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35話目
32話   天界戦争-1「死んだら本気出す」


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 一

 一章の敵と戦場   

ピィザ王国  
     
簡易設定さん

勘違いテンプレ
@途方もない方向に勘違いされる(人類という種族の存亡がかかった対話の始まり!)
A主人公、頭がいいと勘違いされる(これは罠だったんか)
B主人公、善意で行動しても、大魔王だと勘違いされる(何か企んでいるに違いない)

ワルキュラ。人間からも良いイメージを持たれたいが、人間をぶっ殺せる軍事力(アンデッド)も大切という板挟みにあっている。自分、人間殺せないし。
LV0だと思ってるし。

ルビー。命を助けて貰ったから、ワルキュラにずっと仕えてる秘書+親衛隊隊長。BL本好き

ヤス。心まで読まれていると勘違いして、完全なる忠誠を従ったお父さん。家族のためなら何でもする。
ニャンニャン 銀髪男装美少年?いいえ、セイルン王の血を引く犬娘です「もっふぅー!さすが先輩です!」

ピィザ3世 経歴 アレクサンドロス大王
ナン 経歴 やれやれ口調のナポレオン  愛人は銀髪犬娘・砂漠装束のミルク「わっふぅ!」
セイルン 経歴 金正日   イルソン 経歴 金日成  

デスキング ハンニバル。アルプス山脈超え

デュー 騎士 俺

ピィザ軍27万5000⇒本国からの増援で33万にUP予定ピィザ3世 生かしておけば価値があると思うが、残念な事に殺される運命どん。


● 回収しないといけない伏線  ヤスの家で、世話されている自衛官さん。
●王弟殿下を、ワルキュラ軍が保護している
●クレアは、ナナシの娘であり、ナナシが陵辱されて死んだ死因。



ワルキュラは後悔していた。
早く死にすぎた事を、ひたすら後悔していた。

(お、俺はこんな所で死んで良い人間じゃないっ……!
まだ、ルビーちゃんとイチャイチャしたいし、お姉さんぶっているアトリにたくさん甘えて、叶えたい欲望があるのに、なぜ死なないといけない)

だが、後悔し続ける事で気づいた事がある。
俺、死んでないじゃんって。
死んだら、人間は思考できなくなる。
それは機能を停止した骸骨(リッチ)だって同じだ。
後悔できるという事は、生きている証。
ワルキュラは両目を開けた。
するとそこは――全てが真っ黒の世界だっあ。
その闇の中に、無数の命が蠢く。
幽霊を見慣れたワルキュラにはよく分かる。目の前のこれは――亡霊の群れだ。

「俺はとうとう地獄に落ちたのかっ……!」

「へへへへへへっ!
ワルキュラの旦那ぁっ!
あの程度の攻撃で、気絶するなんて情けないですぜっ!
アンタは俺たちの全ての総代。雑魚に負ける事は絶対に許されないんでさぁっ!」

その声の主は、金髪のリーゼンドヘアーの若い男だった。
目玉の所に『¥』が浮かび上がりそうな欲望深すぎる顔つきをしている。
というか、ワルキュラのかつての部下だ。

「お、お前は軍師ヤマーダ!
デスゲームを生き延びていたのかっ!?
いや、死んで地獄に堕ちたのか!」

軍師ヤマーダは、物語開始時には、既に死んでいた男だ。
彼は、窃盗・詐欺・AV撮影・パンツ泥棒と……金になる事なら、何でもしてきた。
だからこそ、ワルキュラはヤマーダを頼れた。
ありとあらゆる悪事に手を染めた、それはすなわち、ありとあらゆる策略に手を出した謀略家である事を意味する。
そんなヤマーダと再会した事に、ワルキュラは辟易した。

(ルビーちゃんと再会したい、アトリ師匠と再会したい。
なんでヤマーダーなんかと再会ENDなんだ。
これがゲームだったら、クソゲーの烙印を押されて、すぐに会社が倒産するぞ)

「旦那ぁ。
心の声は聞こえていますぜ?」

「……しばらく見ない間に、人の心まで読めるようになったか。
この謀略家め」

「違いますぜ。
俺達は、この異世界に来てからずっと旦那と一緒にいたんでさぁ」

「はっ?」

「俺は旦那で、旦那は俺。
旦那が生き続ける限り、死んだ俺達は永久に不滅で、美少女ハーレムで複数プレーという事ですぜ」

「ど、どういう事だっ!?
クレアのヤンデレが、お前にも移ったのか!
ヤンデレは可愛い美少女だから許されるのであって、顔がオッサンのお前がヤンデレになるのは誰得だと思――」

「……旦那も気づいているんじゃないですかぜっ?
旦那の中に……俺達がいるって事にさぁ」

ヤマーダの言葉で、ワルキュラは黙り込んだ。
時間にしてたった二日前。
ノーライフ・オンライン最後の大決戦の果てに、数多くの人間が死に絶え、ワルキュラだけが復活して勝ち残ったかのように見えた。
だが、思えばおかしいのだ。

(俺、ひょっとして、アンデッドじゃなくなってる?)

復活してからずっと疑問を抱いていたが――今のワルキュラは、太陽光が全く弱点になっていない。
アンデッドは闇の命であるが故に、太陽に嫌われ、ありとあらゆる不利益を被る。そんな生き物だったはずだ。
しかし、今のワルキュラは太陽を浴びても苦痛を感じない。ステータスはダウンしない。
それは、ワルキュラがアンデッド以外の何かに変貌している証だった。

「ようやく気づいたんですぜっ?
そう、旦那の中には、一億人相当の魂が入ってるんでさぁ」

「言われてみると……そんな気がしてきた……?」

「つまり、旦那と俺達は運命共同体。
旦那が美少女ハーレムやれば、俺達にも利益があるって事でさぁ」

「こら待て。
俺の女は、俺だけのものだ。
お前たちは見るな」

「へへへへへへっ!
いずれ、俺達と旦那は完全に融合して、こうやって会話する事もできなくなるから、今のうちに言っておきますぜ。
今の旦那は強い!アメリカ合衆国すら超越するくらいに、最強の男ですぜ!」

「り、リアルチート国家より格上だとっ……!」

すごく嬉しい気分になったワルキュラ。
全世界と戦争して戦えると言われたアメリカさん並の力があれば、大切な息子や付き従ってきた部下たちを守る事は容易い。
そう彼は一瞬、思ったが――

「ヤマーダ。
俺一人で、アルミ缶を一千億個ぐらい生産できる工業力(アメリカの年間生産量)があったりするのだろうか……?
だとしたら、俺は世界一の金持ちになれて、色んな贅沢ができるという事か?」

「へへへへへっ。
旦那が圧倒的に超越しているのは、生存力という面だけですぜ。それだけはアメリカを超えていますぜ。
アメリカなんざ、隕石を落とせば、一撃でイチコロのコロコロでさぁ!」

「だが、俺には人間を殺せない制約がある。
圧倒的な力を持っていても、人間に直接危害を加える事ができない」

「旦那がハッタリだけで生きていた男だって事は、俺は生前から知っていてるんですぜ。
人間を殺せない?
なら、殺さずにその圧倒的なスペックでハッタリをすればいいんでさぁ!
ハッタリも筋を通し続ければ真実になりますぜぇー!」

「ありがとうヤマーダ。
俺は答えを得られた」

「感謝はいらないですぜ?
旦那は俺で、俺は旦那だ。
生前は、何時か、下克上してアトリとルビーを寝取る気だったんですぜ?
でも、これからは合法的に旦那と融合して、二人とイチャイチャできるという算段でさぁ!
俺がAV撮影業界で磨き上げたエロテクニックでメロメロにしてやりますぜっ……!ふへへへへっっ……!」

ワルキュラは頭が痛くなったような、そんな気がした。
よくよく考えてみれば――

(なんで、億単位で魂を取り込んだのに、出てくるのが軍師ヤマーダなんだっ……。
こういう時は、知的な軍師とか、神秘的な美人さまとか、そういうのが出るべきだろ……
なんで、極悪犯罪者なんだっ……!)

「旦那、俺はアンタで、アンタは俺だ。
だから、想っている事は聞こえますぜ?
……旦那は俺達の分を合わせて、幸せになるべきでさぁ。
そうしたら、俺も幸福でハーレム人生ですぜぇっ……!
今の人格が消えたとしても、旦那の一部として俺は永遠に生きてハーレムですぜっ……!」

「軍師ヤマーダ。お前に言われなくても、俺は絶対に生き残る。
だが、合法ロリで、妖艶で可愛いルビーちゃんは俺のものだ。
魔法の師匠で、お姉さん気質のアトリも俺のものだ。
褐色肌とナイスボディもたまらんラーラも俺のものだ。
監視網を握っているクレアちゃんは、俺だけのヤンデレだ。
絶対、お前には渡さん
あと、ついでにプラチナも幸せにしてみせるっ……!」

「それでこそ旦那でさぁっ……!
独裁者はワガママな子供人間じゃないとやっていけないですぜっ……!
……ところでプラチナの扱いはどうして酷いんですぜ?
小さくて、可愛くて、純粋に旦那の事を慕っている可愛い娘だと思いますぜ?」


「ツンデレ暴力女属性は、二次元だけで十分だと、たまに思う事がある。
ただ、それだけだ、ヤマーダ。
そう言うお前も、プラチナは寝取る候補じゃなかっただろう?」

「さすがの俺も、貧乳は守備範囲外でさぁ」

こうして、二人の男の魂の会話は終わり。
ワルキュラは、現実へと帰った。
これが、漫画雑誌でよくある友情・努力・勝利の三方式展開に違いなかった。






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