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ドラゴン転生  
15話「鉄道の国」2KB
 

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「活動的なバカより恐ろしいものはない」 
  ゲーテ【ドイツを代表する文豪】


 

鉄道――鉄道車両が走行する線路の事である。
細長い金属レールの上を、車両が超高速で走り、大量の物資・人・情報を運搬できる。
戦争・経済の勝敗を左右する重要な物なのだが……私の目の前に広がるのは、地球でよく見られる鉄道(線路)ではなかった。
馬車が8台が並んで通れそうな道を、溶かした鉄で丸ごと舗装した――文字通りの鉄の道『鉄道』がある
鉄の道の上を、木製の馬車が行き交う姿はとても奇妙だ。
私はこの疑問を解消すべく、この浮遊島を支配する60代ほどの太った国王……全身鎧を纏っている男に、威厳を装いながら質問した。

「……なぜ、道を鉄で舗装している?」
「おや?ドラゴン様は見た事がないのですかな?」
「ああ、こんな奇妙な光景は……見た事がない」
「これは鉄道と言いまして……先進国で大流行しているハイテク文化です。
先進国の意味は知っておられますか?」
「とっても発展した国々の事だろう?」
「ええ、そうです。
先進国には、鉄道と呼ばれる便利な道があると……30年前に訪れたエルフの少女が教えてくれたので、我が国も積極的に真似して、国を発展させようと実行して見ました。
だから、この光景が国中に広がっているんです」

私は周りを見渡した。
鉄で舗装された道が地平線の彼方まで続いている。
道が金属だからか、その上を走った馬がステテーンっ!と滑って転がって、交通事故を引き起こしていた。
明らかに石の地面の方が低コストで済むし、利便性良さそうだ。

「……こ、国王殿、この鉄道とやらを作って何かメリットがあったのか?」
「全くありません。
馬も人も滑って怪我するわ、お金はかかるわ、鉄が錆びるから維持費が莫大になって国庫は火の車です、ドラゴン様」
「……この国の人間で、実際に先進国に行って、鉄道をその目で見た事がある人間はいるのか?」
「いません。
この国は他の浮遊島から離れすぎた絶空の島です。
だから、先進国が遠すぎて、実際どのような発展の仕方をしているのか、誰も知りません」
「そ、そうか」

頭が痛くなったが――納得できた。
鉄道を文字そのままの意味で解釈して、鉄の道路を国中に張り巡らしたのか……。
よくこれだけ大量の金属があったな……普通の国なら借金で大赤字になるぞ……。
そうやって私が静かに考え込んでいると――国王は自信満々の顔で

「鉄道を作って分かりましたが……先進国とやらは馬鹿だと思いました。
こんな意味のないものを作って喜ぶなんて――頭が何処か可笑しいに違いありません。
鉄道を作るくらいなら、減税して民の負担を軽くして、学校・病院・堤防を作った方が100万倍効果的です。
だから、ドラゴン様」

国王はひと呼吸置くと

「先進国とやらに訪れたらこう言ってください。
鉄道なんて馬鹿げたものを作るのはやめろ。
そのお金で人民の事を考えろ『馬鹿!』と説教してください。
奴らはきっとトンデモナイ大馬鹿ですから、ドラゴン様が説教しないと理解しませんよ」

人民の汗と血の結晶である税金を無駄遣いして、国中を不便な道路だらけにしたとかアホすぎる……。
人民の苦労を何だと思っているんだ!

「よしわかった。国王殿の言うとおりだ。
説教してやろう!
もう特大サービスで24時間、ワンツーマンでな!
貴様が泣いて謝っても説教はやめない!」




15話「鉄道の国」
おしまい


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