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もふもふ帝国でニート巫女やっています
7話 ローマ帝国のカエサル「辺境伯領土が俺みたいに借金漬け経営している件」 

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http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Mofumofu_teikoku/tiiki.html
後半の内容は世界地図をご覧ください


【ミーニャン辺境伯軍 トラジロウ少将視点】

俺達、1000人の廃人冒険者が辺境伯領に住み着いてから、あっという間に2年の時が流れた。
この辺境伯領はありえないほどに発展速度が早い。
遠くの端末と通話できる無線や、電波を受信するラジオが既に大量に市場に出て、ある波長に端末を合わせると電波神を名乗る謎の幼女の声がラジオから聞こえて不思議ミステリーって新聞に載っていた。
【この発展の速度を早いの一言で済ましていいのかのぅ? by電波神】
この土地の噂を聞いて、チャンスを掴もうと次々とやってきた冒険者や商人が、ミーニャン第一銀行からの融資を受けて新しい産業を大量に起こし、とても豊かだ。
娯楽にも事欠かず、漫画雑誌週刊少年シャンプーが本屋で売られ、繁華街にコスプレ喫茶店があり、可愛い獣娘のメイドさんとニャンニャンできる。更に公営競馬場・カジノ・ゲームセンターも現在建設中で楽しみだ。
一応、この辺境伯には他にもギャンブルがあるのだが……宝クジやサイコロを使った地味な賭博しかないから俺は好かん。
辺境伯軍の少将の高い給料を盛大に使うなら、もっと派手で楽しい事に使った方が良い。
……あとの問題は、お嫁さんが欲しいって事だ。
結婚すると基地の近くにある公営住宅に家族と一緒に無料で住めて、そこから通勤できる。
いつまでも辺境伯軍の寮の中で過ごすよりは、公営住宅で家庭を築いた方が良い。

【わっちを嫁にするのはどうじゃろ?どうじゃろどうじゃろ?ワシ寂しい by電波神】

うるせぇ、俺の頭に響く妄想電波を嫁にしてどうするんだ。
嫁にして欲しいなら、俺の目の前まで来い。
可愛かったら嫁にしてやる。

【ドキッ! by電波神】








今日の楽しみは、最近できた公衆浴場。
大きな風呂を提供してくれる素晴らしい場所だ。
しかも、ミーニャン辺境伯の誕生日になると全市民に無料開放してくれる。
煙突の長さが50mほどあるから、遠くからでも煙突がしっかり見えて銭湯の場所が容易くわかる。
煙突がある方角へと向けて、色んな道を歩く事20分、建物の周りから湯気が出ている江戸風の巨大建造物を発見した。
屋根の瓦は、日本を思い出すような青い瓦。
店の周りには多数の旗が並び【大江戸銭湯へようこそ】と書いてある。
石造りの入口を通ると、そこから先は三つの通路に分かれていた。
左側に行けば女風呂、中央が男風呂、右側が混浴風呂と暖簾で大きく書いてある。
混浴風呂に入ってみたいと思ったが【夫婦、家族限定】と書かれてあったから俺には入場資格がない。
仕方なく中央の青色の暖簾を潜ると、そこにはネズミ人間が居た。
白い小さな顔がチャーミング。ネズミがそのまま二足歩行しているタイプの獣人だ。
ネズミ人間は俺を視認すると気さくな口調で話しかけてきた。

「やぁ、お客さん。
見ない顔だね?銭湯は初めてかな?
初めてなら銭湯でのマナーを説明するよ」

一応、日本の銭湯のマナーは知っているが、ここはミーニャン辺境伯領。
マナーが全く異なるかもしれないから聞いておくことにした。

「マナーを教えてくれ」

「まず料金説明からだ。
利用料金は大人は500帝国マルク、子供は200帝国マルク。
年齢が10歳以下の子供なら性別問わず、男風呂でも女風呂でもどっちでも入れる。
ただし、お金を払わないと入れない。これルールなのさ」

素直に財布をポケットから出し、1000ミーニャン紙幣を一枚出して渡すと、500帝国マルク貨幣が返ってきた。
ネズミ人間は口に笑みを浮かべて、ゆっくりと、誰にでも分かるように軽いジェスチャーをしつつ説明を続けてくる。

「荷物と脱いだ服は鍵つきロッカーに仕舞うと盗難され辛いけど、盗まれても自己責任。
銭湯側は何の補償もしない。
風呂に入る前に、しっかり身体を洗わないと風呂が汚れるから、風呂の前に身体を洗うのがマナーさ。
隣は女風呂だけど覗くのは禁止。その他の犯罪行為も禁止。
風呂にオークやエイリアンが居ても驚かない、人種差別禁止。
お客さんわかったかい?」

「ああ、わかったよ」

「そりゃ結構。
あと、風呂上がりにコーヒー牛乳を飲むと美味しいから、飲みたかったらオイラに言ってよ。
ビールが1000ミーニャン、コーヒー牛乳は500帝国マルクで売ってるよ」

周りを見渡すと、大量のロッカーがズラリと右側に並び、左側は休憩室兼飲料水販売所となっている。
氷とビールとコーヒー牛乳がガラスの冷蔵庫に大量に入っていて、風呂から上がった後に冷えたビールを飲んだら美味しそうだ。
俺はさっさと着ている衣服を脱いでロッカーに入れて、風呂へと繋がる曇ったガラスの扉を開ける。
するとそこには……広大な露天風呂が広がっていた。
狸人、猫人、犬人、人間、虎人、オーク、エイリアン……様々な種族がゆっくり風呂で寛ぎ、一部は湯船に板を浮かべて将棋をやって遊んでいる。
露天風呂の左側には岩の壁があり、その先には女風呂があるはずだ。
覗くと法律で罰せられるから俺には覗く勇気はないが、女風呂から聞こえる声を想像して楽しむのは良い。
絶対に見れない場所だからこそ、想像力が働くってもんだ。
そのためにはまず、俺の身体を洗わないといけない。
虎人は人間と虎の中間に位置する外見を持つ獣人だ。
全身、虎の毛だらけだから、石鹸を泡立ててゴシゴシ綺麗にするのに10分ほどかかる。
それが終わったらシャワーで身体の汚れと抜け毛を完全に落として、風呂に入る資格を得た俺はゆっくり身体をお湯に浸し、ウェーイという声を出して気持ちよさに浸る。
そんでもって聞き耳を立てて、女風呂から聞こえる音を拾うんだ。

【お主、悲しくないか?寂しかったらワシが会話してあげてもええんじゃよ? by電波神】

……そうだな。悲しいな。
あー、誰か俺の所に嫁に来てくれんかなー。
いっその事、合コンにでも参加するか。
少将の階級があるんだ。きっと良い娘を嫁にできる。
現在の辺境伯軍は、ミーニャン閣下が元帥、タヌキモンが大将って構成だから俺はこう見えても、軍で3番目に偉いんだ。
おっと、軍隊で一般的に用いられる階級制度を知らない奴が聞いたら訳がわからないか?
軍ってのは下から順番にこういう階級に分かれているんだ。
  
二等兵 新兵は最初はここからスタート
一等兵
上等兵
兵長
伍長
軍曹 軍隊の中核を担う下士官だ。
曹長
准尉
少尉
中尉
大尉  
少佐  将来的に士官学校を作って、そこを卒業した学生は最終的に全員が少佐以上の階級になるそうだ。
中佐  
大佐
准将  少将になるための準備期間。大佐と変わらない立場
少将 トラジロウ
中将
大将 タヌキモン
元帥 ミーニャン

【ワシに説明しとるんか?どれだけ自意識高いんじゃ? by電波神】

俺がどれだけ偉い軍人なのか、これでわかっただろう?
だけど、虎顔が怖いせいか、積極的に寄ってくるのは虎人の女性だけだ。
怖い虎顔の女性にどう欲情すればいいんだとツッコミたいね。
嫁にするなら、妖狐や猫人やウサギ人みたいな可愛らしい娘に限る。
そう思いながら、湯に浸かって目を瞑ってゆっくりしていると、聞き覚えがある男の声が俺を呼んだ。

「トラジロウの旦那もここに居たのか」

目を開けて、声の方を見てみると、そこには巨大なパンダが頭にタオルを置いて湯に浸っていた。
パンダってのは、身体が白と黒の体毛で覆われた癒し系動物の事だ。
地球だと中国辺りに生息していて、肉食動物なのにほとんど消化できない竹を食べているせいで、一日中、栄養を補うために食事ばっかりしている不思議な生き物だ……主に生き方が下手すぎて絶滅一直線的な意味でな。
この世界では、二足歩行して会話できるパンダの外見をした獣人の事をパンダ人と呼んでいる。
パンダ人の外見を見ても未だに、どのパンダ人か判断できんが、恐らく、声から考えるに、このパンダは俺の相棒のパンダヤンだ。

「よぉ、パンダヤン。
お前も風呂でゆっくりしていたのか?」

「日本男子なら、1日に1回は風呂に入るのが当たり前だぜ、トラジロウの旦那。
まぁ、俺は今日で3度目の風呂だけどな!」

「入りすぎだ!」

アホだ。
パンダヤン、絶対アホだ。
1日に三度も公衆浴場に行くなんて……アホすぎる。

「パンダヤン、他にやる事がないのか?
一応、大佐だろう?」

「いや、トラジロウの旦那。
今度、俺はアレッポの町へと部隊ごと配属される予定だから、今の内に風呂を楽しんでおこうと思ったんだよ。
旦那たちはいいよな。
公衆浴場があるスエズ勤務のままで羨ましいぜ」

「アレッポ?
ヨーロッパ帝国の国境近くにある町か?」

「そうそう、陸路の交易の要所らしいから、防衛力を強化するんだとよ」

この辺境伯領とヨーロッパ帝国は同じ陣営に所属する味方のはずだ。
貴重な廃人冒険者戦力を割いて、アレッポにパンダヤン達を配備するという事は……ミーニャン閣下は宗主国であるヨーロッパ帝国を信用してないという事か?
……まぁそうだよな。亜人絶滅政策を掲げるヒトラー皇子がいる時点で信用できないよな。
ナポレオン皇帝なんてひたすら戦争ばっかりしている戦争狂いだ。
今はスペイン地方の反乱を鎮圧するために、30万人の兵力を投入して市民ごとゲリラを虐殺していると聞く。
ヨーロッパ帝国は、ナポレオン皇帝が一代で築き上げた大帝国だから、未だにあちこちで反乱騒ぎがあって騒乱の種が尽きないんだ。
……やれやれ、ひと波乱ありそうだぜ。
しかし、相棒のパンダヤンにしばらく会えないと思うと寂しいな。 
よし、景気付けに俺が奢ってやるとするか!
どうせ給料余ってるしな!

「パンダヤン、風呂あがって焼肉屋行くぞ!焼肉屋!
送別会をやってやるよ!」

「支払いは旦那のお金で?」

「ああ、焼肉の代金は奢ってやる!
焼肉を食い終わったら、猫メイド達がいるコスプレ喫茶でゆっくりするぞ!」

「さすがトラジロウの旦那!
太っ腹だ!
よっ!未来の大将!いや、未来の元帥閣下!」

今日は休日だし、一日中パァーと遊ぶぞ!
これも全てミーニャン閣下さまさまだ!
紙幣まで発行してくれたから、お金の持ち運びは楽になったし、余ったお金は銀行に預ければ安全だし、鍵をかけなくても泥棒は入ってこないし、安心して毎日過ごせる。
ミーニャン閣下万歳!

【不思議じゃのぅ、紙のお金に、銀と同じ価値を持たせるなんぞ凄いのぅ。常識というものが崩れるんじゃよ  by 電波神】









【ミーニャン辺境伯視点】

辺境伯領の財政状況を示す紙をタヌキモンに渡されて、私はじっくり紙を見た。
そこには莫大な借金の額が載っている。
えと、0が1、2,3,4,5,6,7,8,9,10……ど、どうしよう。腕がプルプル震えちゃうの。
これ、本当に返済可能なのかな?
タヌキモンの狸顔をチラッと見ると、とても冷静で落ち着いているから不思議だ。
私よりもこの辺境伯領の事を理解しつつあるタヌキモンは、この借金漬けの財政状況を理解できているはずなのに冷静なのは何故だろう?
分かんないから聞いてみよう。

「ねぇ、たぬきもん」

「はい、なんでしょうか閣下?」

「借金だらけなんだけど、大丈夫なの?」

「大量に借金していますが、それと同じくらいに各種事業に融資しております。
今は赤字財政ですが、将来的に産業が発達すれば税金が取れて、黒字財政になる予定です、閣下。
ナイル川へのダム建設計画もスタートしており、このままいけばエジプト地方が緑に溢れた土地になるのは時間の問題かと」

なるほど、今は損して後の利益を取る。長期戦略なんだね。
さすがタヌキモン。
私なら借金が怖くて、そんな方針取れないよ。
あと気になった事が一つある。

「……ねぇ、タヌキモン。
スエズ運河建設計画に関する書類を1枚も見たことないんだけど、そこらへんはどうなっているのかな?」

「スエズ運河建設ですか?
あれは現在の労働力を全て集中しても10年以上かかると判断したので後回しにしました。
今はスエズ運河建設よりも先に、海軍の創設、ナイル川のダム建設計画を優先しております。
それに……スエズ運河を建設すると厄介な問題が発生しましてな。
もっと辺境伯領が豊かになってから運河を建設した方がよろしいかと」

「厄介な問題?」

タヌキモンの丸い手が執務室にあるサッカーボールサイズの地球儀を指し示した。
指し示した先にある領土は、ミーニャン辺境伯領(エジプト〜シリア)。
タヌキモンはゆっくりと私に理解できる内容で説明してくれる。

「スエズ運河を建設するという事は、現在、大英帝国が独占している暗黒大陸アフリカ航路経由でのアジア地域への貿易に、ヨーロッパ帝国が最短距離で参加できるという意味です。
そうなれば、ナポレオン皇帝を始めとしたヨーロッパ帝国貴族が、ミーニャン辺境伯領に攻め込んでくる事は間違いありません。
良い方向に話が進んだとしても皇帝の直轄地としてスエズ運河を取り上げられますな。
更に航路を独占している大英帝国が運河建設を妨害してくる事は明白。
現時点ではスエズ運河建設はデメリットしかないのです。
史実のスエズ運河建設はオスマン・トルコ帝国の属国エジプトがやりましたが、結果的にエジプト政府はスエズ運河の莫大な建設負債に耐えられず、大英帝国がスエズ運河を手に入れるという最悪の結果になっています」

「……そ、それは困った事だよね。
でも、みんなの前でスエズ運河を建設すると断言しちゃった以上、何時かは建設しないといけないよ?」

「私は何年何日何時に、スエズ運河を建設すると約束した覚えはありません。
スエズ運河は何時か作りたいと思っていますが、あれは冒険者達に希望を持たせて、辺境伯領で働いてもらうための方便として利用しました。
目標を大きく設定すると、人間という生き物は元気がでるのです」

タヌキモン、さすが腹黒い。腹黒い。
モフモフしたい。
まん丸い青狸ボディがチャーミングで可愛いすぎるよ……!
あと少しでタヌキモンを掴んでモフモフしそうになったけど、タヌキモンは新しい書類を1枚出してきた。
そこには【空軍の創設】と書かれてある。

「閣下、この書類にサインをお願いします」

この世界、未だに馬車とか、木造の帆船が主流の世界だから、空を飛ぶ乗り物を見たら皆が驚くだろうなぁって思って、私はポンッと書類に許可証を押した。



あとがき

【内政物のテンプレ】公衆浴場を作って衛生・産業チート
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_76.html

(´・ω・`)この作品に出す予定のナポレオン皇帝の元ネタがチートすぎる件

http://suliruku.futene.net/1uratop/Rekisimono/EU/Furansu/10.html
ナポレオン(´・ω・`)貧乏貴族なのに11ヶ月で士官学校卒業(普通は4年、当時のフランスは一流貴族じゃないと軍で出世できない仕様)

ナポレオン(´・ω・`)24歳で少将、イギリス海軍を丘の上から大砲でドカーンしてやった。

ナポレオン(´・ω・`)26歳でフランス軍最高司令官

ナポレオン(´・ω・`)多数決をとって圧倒的賛成多数で35歳で皇帝になった。




●現時点での時間の流れ

ゲームスタート
☟辺境伯領土2年経営 合計2年
☟ 大量の冒険者を雇用して2年  合計4年



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●ミーニャン紙幣流通

●【冒険者トラジロウ視点】+ 副官 パンダやん准将 

●すごいなーミーニャン辺境伯領すごいなー(次々と新しい産業ができてすげぇえええええ!!!な事を話す
お金は銀行に全部預けたとか、そんな事はなす)

冒険者が作った娯楽品などで、遊びにも困らない。将棋や囲碁が流通している。

で、この5千ミーニャン紙幣のエミールとミーニャンはどういう事だ?
二人は結婚していたのか。
そりゃそうだよな。
可愛い娘が結婚してない訳がない。

民間が建設した公衆浴場(銀行からの投資で作られた)に入る。魔法で燃費は低コスト
ゴーレム使った石造り。
女風呂、男風呂、夫婦専用の混浴風呂がある。

良い湯だなぁー、良い湯だなぁー

ミーニャン「あの、この数字はなに?」

「発行した国債の額です」





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