もふもふ帝国でニート巫女やっています
8話 世界帝国は凄いんだよ。影響力が世界規模だからね。 |
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後半の内容は世界地図をご覧ください
世界帝国ってなーに?
多くの異なる民族、文明圏を包含する統一的支配圏を有した国家形態の事です。
ミーニャン辺境伯領は、史実でトップ争いを繰り広げるレベルの世界帝国に囲まれている訳ですな。
by 領主補佐タヌキモン
【ミーニャン辺境伯視点】
空軍創設の許可を出した後、タヌキモンが何かを言いたそう狸顔でウズウズしていた。
きっと何かを説明したいのだろう。
タヌキモンって知識自慢をしたいタイプの人間……いや狸だし。
「タヌキモン、何か言いたい事があるのかな?」
「はい、閣下。
私がなぜ空軍を作ろうとするのかお聞きにならないのですか?」
「だってタヌキモンは空軍が必要だって思ったんでしょ?
ならそれでいいじゃない。
私、軍事の事さっぱり分からないし、タヌキモンが来るまでは、こっちで過労で眠っているエミール君に軍事を任せてたよ」
タヌキモンがチラリっと視線を下に逸らし、スヤスヤと私の太ももの上で眠っているエミール君を見た。
エミール君は気持ちよさそうに寝言を呟いている。
「むにゃむにゃ……マスターの尻尾もふもふ……狐耳がピョコピョコ……」
この現状にタヌキモンは10秒ほど重い沈黙を保った後に視線を私へと戻して、何事もなかったような口調で話を再開してきた。
「閣下、私が空軍を作ろうと思った理由を話そうと思います。
まずはそこの地球儀をご覧ください」
そう言われたから、私は机の上に置いてある地球儀をじっくりと見た。
世界の7割が海で、陸地が3割だったよ。
今いるイスラの地は、エジプト〜シリアを跨る広大な領土だけど、周りが世界帝国だらけで酷いんだよ。
もう少し良い立地の所が良かった。
「うん、見たけど、これがどうかしたの?」
「辺境伯領を囲んでいる国々がどれだけの兵力を動員できるか、閣下は知っておられますか?」
「君主として情けない発言になっちゃうけど……さっぱりわかんない」
「なら話しましょう。
この地球儀を見ながらならわかりやすいはずです」
タヌキモンが辺境伯領の東……ブタマン・トンカツ帝国を指し示し、語り始めた。
オークに集団で牢屋で散々エッチィ事されたから、私は個人的に大嫌いな国だよ。
でも、人種差別は良くないから、オークだって領民として受け入れるけどね。
「閣下、ブタマン・トンカツ帝国は、総人口3億人を誇るイスラム帝国です。
最大動員兵力は約300万人。
恐らく、地球のオスマン・トルコ帝国を元にデザインされた国家だと思われます」
「300万人は凄いよね、そんなに膨大な物量をオーク達が持っているなら空軍創設も納得いくよタヌキモン。
ところでオスマン・トルコ帝国ってなんだったけ?
世界史で名前だけ聞いた事があるような……」
「オスマン・トルコ帝国は、全盛期ならヨーロッパ全てと戦争できたイスラム世界最後の世界帝国であります。
西欧諸国が世界中を植民地にした大航海時代を始めたのは、陸路にこの国が居て邪魔だったからでもあるのです。
まぁ、最終的にオスマン・トルコ帝国は敗れ去り、第一次世界大戦後は分割されて中東諸国群になり、この世界でも没落寸前のようですが決して油断して良い国ではありません」
次にタヌキモンは辺境伯領の北を指し示して語りだした。
そこにはオソロシア帝国っていう寒い寒い地域にまたがる広大な国がある。
種族を雪男や雪女を選択したプレイヤー達は、皆、オソロシア帝国が住みやすいって事でそっちに住んでいる。
「オソロシア帝国はユーラシア大陸の北部一帯を領有する巨大帝国です、閣下。
寒い地域のため、人口は1億4000万人ほどしか居ませんが、彼らは凍らない港を求めて、南下政策と呼ばれる戦争を仕掛けてくる事で有名です。
元ネタとなった国は説明する必要もないと思いますが、21世紀の地球にも存在していたロシアですな」
「辺境伯領に、アジアと交易できる港があるから、侵略されるかもしれないって事でいいのかな?
でも、オソロシア帝国ってヨーロッパ帝国の同盟国だよね?
まさか同盟破棄して辺境伯領を侵略するなんて事態になったりする可能性が高いの?」
「はい、状況次第ではオソロシア帝国は裏切るでしょう。
動員兵力は不明ですが、戦争に負けても外交努力で勝利をもぎ取る傾向にあるため、油断できません……が、史実のロシアは南下政策をやる度に、現地の国々や当時の超大国の妨害工作で敗退し、戦争に負けております」
「ひょっとして、ロシアは広大な土地を持ってるけど、実は大した事がない国?
他の世界帝国と比べると、人口が少なすぎるよね」
「いいえ違いますぞ、閣下。
ロシアの恐ろしさはその広大な領土です。
防衛に適し、火事場泥棒の如く、ヨーロッパ、中東、アジアの戦争に参戦して領土をもぎ取る事ができる立地なのです。
しかも、戦争をしたら損害度外視で戦争目標を達成する事で知られております。
日本も第二次世界大戦の時に、ソ連……もといロシアと休戦条約を結んだのに満州に攻め込まれて、領土をもぎ取られた事は知っていますな?」
私はゆっくり頷いた。
つまりこういう事だ。
もしも、私達が他の国と戦争して疲弊したら……オソロシア帝国が火事場泥棒の如く、大軍で攻め込んでくる。
まさに恐ロシア!
タヌキモンは更に地球儀を西へと動かして、今度はヨーロッパ全域を支配するヨーロッハ帝国を指し示して語りだした。
「次に説明するのはナポレオン皇帝陛下のヨーロッパ帝国ですが、最大動員兵力は第二次世界大戦を基準にしたのか、3000万人だと思われます。
いやはや恐ろしい物量ですな。
なぜか封建領主制なのに国民皆兵政策を取っているため、兵士達の士気が低い事で知られておりますが、ナポレオン皇帝の直轄地フランスや、ヒトラー皇子のドイツの兵士は精鋭で知られ、最大動員兵力の半分がこの2つの領土から出せる模様です」
「うーん、宗主国ながら凄いよね。
でも、ヒトラー皇子って亜人絶滅政策を主張している人じゃなかったけ?
私、宮廷で出会った事があるけど、あのちょび髭の皇子様は嫌いだよ。
あんなに可愛くてモフモフしている獣人を皆殺しにしようなんて頭が絶対可笑しいよね」
「はい、問題はそこなのです。
ヨーロッパ地方全域で、我々、獣人を始めとした亜人は嫌われており、何時、関係が悪化して戦争状態になっても可笑しくはなく、まともに戦争すれば我が方は物量差で敗北する事が目に見えています」
「廃人冒険者1000人いても無理なのかな?」
「ヨーロッパ帝国の財力なら、我々の100倍以上の数の冒険者を簡単に用意する事ができましょう。
だからこそ、今の安定した状況が続く間に、空軍という切り札を持ちたいと思い、先ほどの空軍創設の書類を出したのです。
まずは飛行船からスタートし、次は戦闘機、その次は爆撃機を作る事で物量差を覆そうと思っておりますが……世界中に散らばった冒険者達が、各世界帝国に知識と技術を貸与し始めたら、技術的アドバンテージもなくなりますな。
出来れば今のうちにそういった技術者を囲い込みたいですが、まだまだ辺境伯領はマイナーな存在。
宣伝に時間がかかります」
タヌキモンが狸耳を下にペタンと垂らして、顔を真っ青にしていた。
最初から顔が青いけど、辺境伯領が生き残るのがかなり難しいって事はわかったよ。
なんで皆、獣人を差別するんだろう。
獣耳が生えていてモフモフしてて可愛いのに……そうだ。
この可愛さを全世界に教えれば良いんだ。
武力で対抗し続けるのが難しいなら、文化で対抗すればいいんだよ。
「ねぇ、タヌキモン。
なんで世間での獣人や亜人のイメージは悪いのかな?」
「……恐らく、それは人間だから、としか答えようがありません。
地球でもそうでしたしょう?
人間は人間の間に階級を作り上げ、差別する側と差別される側が存在する事によって、社会を安定させていました。
人間は見下せる存在がいると安心するのです。
日本の学校で虐め問題がなくならないのも、これが原因ですな」
「うーん、どうにかならないかな?
可愛い獣人の美少女達の写真を輸出したりして、獣人のイメージをアップさせたいよ。
印刷機が完成したら、写真を量産できるでしょ?」
「確かに人間に近い姿の獣人なら、人間も普通に欲情……げふんげふん、萌えますからな。
私みたいに獣寄りの外見をした獣人達の写真なら、癒される人間も多いはずです。
ですが、人間達の認識を変えるのは長い時間がかかりますぞ?」
「私達にはいくらでも時間があるんだし、可愛い獣人達を集めてアイドルユニットでも作って、プロマイドを大量に販売すればいいんだよ。
昔の日本でも、アイドルのプロマイドが駄菓子屋とかで売れたそうだしね。
産業になってくれたら、辺境伯領の税収もアップするし一石二鳥だよ」
「それは素晴らしいですな!早速やりましょう!
文化侵略とは閣下もなかなか考えていますな!
軍事力で勝てないなら、文化で侵略する!」
「はいっ?」
この時、私は軽い気持ちで言ったつもりだった。
だけど、タヌキモンは深い感銘を受けたようで……一ヶ月もすると、メイド服を着た猫人、ウサギ人の美少女を集めて、超精鋭アイドルユニット【モフモフメイドさんライフ】を結成しちゃったんだ。
人間、一つでも大流行すると同じ事を真似する業者が出てくるから、辺境伯領中でアイドル達が誕生しちゃったんだよ。
まさに世は、大アイドル時代!
【少年オタ(14) 視点】
俺、辺境伯領の都市スエズに住む平凡な人間の少年オタ(14)。
最近、歌って踊る美少女アイドルっていう奴に嵌ってるんだ。
都市の中央に、1000人を集客できる巨大コンサートホールがあって、そこでは公営アイドル【モフモフメイドさんライフ】を始めとした色んな獣娘達がたくさん踊っている。
その中でトップクラスの人気を誇るのは勿論、【モフモフメイドさんライフ】。
領主補佐タヌキモンが直接選別したエリート中のエリートアイドル達。
皆、黒いお洒落なメイド服を着ていて……スカートがすごく短いんだ。
歌って踊っている最中、パンツがギリギリ見えそうで最高!
太ももを恥ずかしいと思わずに露出させて歌って踊る美少女!
俺がその中で特に気に入ってるのは、猫人のニャンコ・ノ・ルナちゃん。
天女のように美しい銀髪、健康的な褐色肌、スカートを押し上げる猫の長い尻尾、極まれにスカートがヒラヒラして見えそうになる黒と白の縞々パンツ、猫耳が愛らしい……たぶん年齢は14歳くらいの絶世の美少女なんだ。うつくしい。
彼女が歌って踊る姿を見るだけで、心をルナちゃんの虜にされて、労働で溜まった疲れが癒されるようだ。
こんな素晴らしい美少女、日常生活で一度も出会った事がない。銀髪が神秘的だ……。
歌も斬新で素晴らしい。
「モフモフにしてやんよー。
アタイと一緒にあなたもモフモフにしてあげるー
たくさんモフモフにしてやんよー。
アタイのキュートな尻尾でモフモフにしてあげるー
いっぱいいっぱいアタイの猫耳でモフモフにしてやんよー。
たくさんモフモフしてあげるー。
抱きついてモフモフーなのー」
ああ、中毒になる。
ルナちゃんの歌で俺の脳みそが中毒症状になる。
何度も何度も同じセリフを歌うルナちゃん可愛い、ルナちゃんと結婚したい。
ルナちゃんがクルッと場で一回転して、スカートを大きくヒラヒラさせる姿を見るだけで感動ものだ。
観衆へ向けて軽く1回ウインクしたルナちゃんは、大きな声で俺達に話しかけてくる。
「皆ー!今日もアタイの歌を聞くために来てくれてありがとうー!皆を愛してるー!」
「「「「「「ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん!ルナたん! 」」」」」」
場にいる他の観客と一緒に俺も【ルナたん!】と叫んだ。
ルナたん可愛い。
嫁に来て欲しい。しかし、ライバルが多すぎる。
所詮、俺には高嶺の花という事なのか……。
でも、ルナたんが幸せなら、俺はそれでいいかもしれない……。
ああ、ルナたんがまた踊って歌い始めた。
ヨーロッパ帝国では、こんなに可愛い獣人達を差別しているそうだが、俺はありえないと思う。
ルナたんみたいな天使を虐めるなんてとんでもない!
普通、獣人がいじめられている姿を見たら、逆に助けるだろ!?
人間よりも可愛いじゃないか!獣人!
嫁にするなら獣人の女の子が一番!
5千ミーニャン紙幣にも、ミーニャン辺境伯と銀髪の妖狐がイチャイチャしている姿が描写されているし、羨ましいと思った。
獣耳生えている美少女とイチャイチャしたい。
尻尾に萌える。
しかも獣人は寿命がかなり長いから、若い期間も長いらしい。
しゅごい。ルナたんしゅごい。
ルナたんの愛らしい姿をずっと見つめていたら、あっという間にライブ時間の2時間が過ぎて、時刻は夕方になった。
太陽が地平線の彼方へと、もう少しで沈もうとしている。
ルナたんと次に出会える日は何時なんだろうか。
この生ライブチケットは、1万ミーニャン程するから高いんだよな。
経済的に厳しすぎて辛い。
一生懸命働いても、月に1回ライブに来れるかどうかだ。
こうなったら手近な獣娘を探して結婚して、ルナたんへの恋を諦めるしかな……そう思ったら、会場にいるスタッフ達が10人ほど出てきて、紙らしきものを観客に1枚1枚渡している光景を見た。
何の紙かわからないが、観客達はそれを見て昂奮しながら熱く叫んでいた!
「すげぇー!」「やべぇー!精巧すぎるルナたんの絵!」
「一生の宝物にする!」「可愛いしゅぎる!」
「ぱ、パンツが見えそうで見えない!」
「神絵だ!これは神絵だ!」
絵?
ルナたんの絵?
はははは、そんなもので驚くなんて田舎者だなぁ。
本物のルナたんの可愛さに比べれば、絵なんて所詮、偽物だろ?
ルナたんを絵として描ける訳がない。
ルナたんは世界最高の芸術作品なんだ。
どんな素晴らしい絵師だって、ルナたんを描ける訳がない。
お?スタッフがこっちの席にもやってきて、紙を渡してきたぞ?
どれどれ……すげええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!
なんだ!これ!
ルナたんをそのまんま描けてる!
ルナたんの美しい銀髪!健康的な褐色肌!ロリロリで妖艶な身体!エロすぎる太もも!可愛すぎる猫耳!モフモフしたくなる尻尾!
それら全てが完璧に描写されていた!
え?こんな1千万ミーニャンくらいしそうな芸術作品を無料配布してくれるのか?!
俺、ずっとルナたんのアイドルになる!
誰かを嫁にしても、俺の心の嫁はルナたん!
【領主補佐タヌキモン視点】
ふふふふふ、貴賓席から、お客の様子を見ていたが計算通りだ。
全員が印刷機で大量生産したカラー写真を見て驚いているぞ。
輪転印刷機(1時間に2万部刷れる)の白黒印刷と違って、カラー印刷はコストが高くなるが、その分だけ高く売れるはずだ。
たくさんアイドルの写真を売りまくれば、辺境伯領の財政が少し向上する事は間違いなし。
輸出すれば外貨を稼げて、我が国のイメージまで上昇できる戦略兵器になりえる。
地球のアメリカだって色んな娯楽をトップクオリティで作って各国に輸出する事で良いイメージを持たれているからな。
音楽も輸出したいから、レコードやカセットテープ、コンパクトディスクなどの記録媒体の開発が待ち遠しい……。
「モフモフータヌキモンさんーモフモフー」
あと、これは秘密だが……私はみんなのスーパーアイドル【ニャンコ・ノ・ルナ】さんとひっそり交際している。
今もこうして、私の狸ボディを堪能するために、ルナは自分の顔を押し付けてすりすりしてモフモフ。
ルナさんの美しい褐色肌に、私も顔を押し付けてモフモフ。
将来的に芸能界で大スキャンダルになる事は間違いなし。
そんな事になったら、ルナさんにはアイドルを引退して貰うしかなくなるが……その時は私は責任を取ってルナさんと結婚しようと思う。
どうしてここまで仲良くなってしまったのか、未だに私にも分からないが、一つだけわかった事がある。
この丸い青狸ボディはすごくモフモフしてゆっくりしているって事だ。
モフモフな体は、この世界ではモテモテ要素だったんだよ!
種族:狸を選んで大正解だった!
「タヌキモンさんの体にモフモフされてやんよー。
モフモフーされてあげるー。
モフモフされてあげるのよー」
「ルナさんにモフモフー」
この習慣、流行するかもしれない。
モフモフは人類と獣人を繋ぐ最高の文化となりえる未来が見える。
あとがき
人間(´・ω・`) (´・ω・`) (´・ω・`) (´・ω・`) (´・ω・`) (´・ω・`) なんだってー!