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本好きの成り上がり
18話「重機関銃への対処策、戦争のテンプレ」


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メルカッツが重機関銃を振り回し、フロア中にいる数百匹のオークを掃射し始めた。
私の目には見えないが、恐らく一秒間に少なくとも百発程の弾丸を撒き散らし、オークの肉体を紙くずのように貫いて肉片へと変えている。
とんでもなく金がかかるな……この兵器。
魔法が必中な分、無駄がとても少ない事を考えると不経済すぎる……。

「ははははははは!ユルサァン星人の科学力の凄さを思い知れぇー!モンスターどもぉー!!
宇宙を超えてやってきた驚異の科学力っ!」

宇宙からやってきた割には、重機関銃の性能が低いように思えるが、千匹も居たオークは、当然、一分もかからず全滅。
アイテムをドロップしてくたばった。
そりゃそうだ。重機関銃に対して真正面から戦ったらそうなる。
あれは歩兵部隊を簡単に一掃できるクリーチャー。
それが私がいる方角へと向けられた。
無数の弾丸が、魔法で作った壁を容易く貫き壊す。現実だったら破壊された壁の残骸が出来上がって盾になるのだろうが……この世界で壊された壁は、ドロップアイテムを落として消滅する。
そのせいで、恐ろしい勢いで無数にあった壁は壊れ、破壊的なエネルギーを秘めた銃弾が私がいる場所めがけて飛んできた。
だが、大丈夫。私は既に安全地帯にいる。
重機関銃相手に有効な戦術なんて簡単だ。
深い溝……塹壕陣地を土魔法で掘って作れば良い。
基本的に銃という武器は、真っ直ぐに銃弾を飛ばして相手を殺傷する武器。
地面に掘った塹壕。その中にいる人間を殺傷するのは困難だ。
そう、私とエミールがいる場所は、深く掘った塹壕の中。銃弾は私の真上を通り過ぎる

「さすがカグヤ様っ!天才ですっ!僕、見直しちゃいました!」

エミールが狐耳をピョコピョコ動かしながら褒めてくれた。
私は彼の頭を撫でてやる。犬みたいで良い。
そんな感じに落ち着いていたら

「さすがカグヤ君っ!
機関銃の対処方法をすぐに考案するとは天才だな!
ならこれで死ねぇー!」

メルカッツが金属棒に爆弾をつけた手榴弾を投げてきた。しかも、扱いやすい時限式。
塹壕の中に手榴弾。これは最悪の組み合わせ。
狭い空間だから爆圧増して大ダメージ待ったなし。
私はすぐに土魔法で新しい塹壕を掘り、エミールを連れて、倒れるようにお引越した瞬間

どかーん!

背後の空間が爆発した。爆風は直角に曲げて作った塹壕の中に入ってこない。
何もない空間でエネルギーが殺される。
……ふぅ、危なかった。この手榴弾。ナチス突撃隊員仕様だ。
投げ返されないように、ピンを抜いてすぐに爆発する仕組みになっている。
エミールは怪我なかったか?

「もふぅ……あの武器、卑怯すぎます……」

彼は悔しそうに愚痴った。狐耳が元気を失って垂れている。
まだ、投擲スキルが低すぎて、遠距離攻撃戦では役に立たないから仕方ない。
基本、遠距離攻撃はスキルがたっぷりいる。つまりたくさんの練習が必要。
ゼロ歳児のエミールにはそこまで期待してない。
私はこうやってエミールを慰めている間も、グネグネとした形の塹壕を作りまくり、手榴弾で殺される確率を減らし続けた。
だが、正直……このまま戦っても詰む。
いずれ手榴弾の直撃をくらって死んで、メルカッツに拘束されたら……女として後悔するレベルの酷い死に方をさせられる可能性が濃厚だ。
補給の面でも完全に私が負けている。向こうは味方がいるからどんどん食料や弾薬も運べるだろう。
だが、私達は孤立している。
長期戦をやっても、味方が助けに来る可能性はほとんどない。
何とかして、メルカッツの耐性装備を剥がさないと駄目だ。
私はアイテムボックスから魔石を取り出し、鑑定の魔法を発動。
手榴弾を次々と投げ込んでくるメルカッツの装備品を一つ一つ調べた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★黄金に輝く全属性の首飾り【ゴージャスパルメ】

それは黄金製だ。
それは錆びない
それは燃えない。
全ての属性に完全な耐性がつく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

メルカッツが首にかけている首飾り。
あれさえ外す事ができたら……混沌魔法で状態異常にして一方的に叩ける。
でも、奪うには接近する必要がある。

「カグヤ君っ!早く死にたまえ!良い娘だから!」

また、複数の手榴弾が飛んできて、複数の塹壕で爆発した。
一度でも居場所を補足されたら人生終了。
トンネルでも掘れば、メルカッツに攻撃される事なく移動も可能だが……そんなことをしたらメルカッツも塹壕の中に入ってくるだろう。
向こうだって採掘スキルで穴を掘るくらいの事はできる。
そうなったら追いつかれて、いずれは……詰む。
どうすればいい?

「もふぅ……僕、役立たずですいませんです……」

あ、そうだ。
陽動役をやってくれる子が居たならば……勝機はある。
エミール。聞いてくれ。

「もふっ?」

私のために……死ぬ気で囮をやれる覚悟はあるか?

「もふっふ!」

彼は力強く頷いた。私は頭を抱きしめて狐耳を撫で撫でしてあげた。
メルカッツ。貴様の敗因は一人でここに来た事だと思い知らさせてやる。
基本、人数が多い側の方が選べる選択肢が多くて強いのだ。




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