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本好きの成り上がり
19話「メルカッツ挟撃作戦」


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メルカッツは景気よく手榴弾をばら撒き、重機関銃を恐ろしい筋力で持ち上げて乱射しながら、少しづつエミールへと近づいてきた。
エミールは時折、塹壕から顔を出して、アイテムボックスから魔石を取り出して中に込められた魔法を発動。

「矢(アロー)!」

私が改造した長射程距離の魔法を解き放つ。
わざわざ長射程の魔法を使うのは、メルカッツも魔石を持っているから。
通常の魔法の射程距離に入った瞬間、エミールは必中効果つきの魔法で即死だから、遠くからちまちま攻撃するしかない。
しかも、悪い事に長射程用の魔法は燃費が異常なほどに悪く、エミールだと五回も使えば魔力が底をつく。
うん、魔石を発動させる時に、MPを消費する形式だから、あんまり優しくないのだ。
魔力があれば誰でも魔法を使える。それだけが魔石を利用するメリット。

「ふはははははっ!そんなもんは通用しないぞ!カグヤ君!」

レベルが低い魔法では、メルカッツにはダメージは僅かしか入らない。
治癒スキルですぐにHPは自然に全回復。
でも、エミールは健気に塹壕の中を動き回る。白い狐耳と髪を、染色で真っ黒に染めたから、メルカッツはそこに私がいると思い込んでいた。

「ははははっ!科学の力は素晴らしいなぁ!
カグヤ聖帝ですら一方的に叩ける!」

再び、メルカッツがナチス突撃隊員仕様の手榴弾を投げる。
複数の塹壕に入って、すぐ大爆発を起こした。
幸運にもエミールはもっと遠くの塹壕へと移動したおかげで被害はゼロ。
この手榴弾。投げ返されない代わりに射程距離が超短い。だから遠い塹壕にいればエミールは死なない。

「あと少しでカグヤ君はチェックメイトだ!
そうしたら徹底的に辱めてやる!異形の怪物の子供を孕ませて嬲り殺しだ!
ゴミのような人生を送らせてやる!」

この光景を千里眼の水晶で見て思ったのだが……塹壕の中に、手榴弾対策用の穴をあっちこっちに作れば対処できるなぁと思った。
一応、塹壕をジグザグに掘る事で、爆風がほとんど壁で殺される構造になっているが、塹壕の中に更に1mほどの穴を大量に作れば手榴弾がそこに入って爆風と破片を50%くらいの確率で無効化できるはず。
だが、今更そんな事をする時間はない。
エミールはちゃんと頑張って生き残りつつ、反撃してくれている。
このまま進めば、私達が逆転勝利できそうだ。
そんな事を思った矢先――

「これでチェックメイトだぁー!」

メルカッツが手榴弾を投げた。今までのとは形状が違う。
火薬が爆発するタイプの手榴弾ではない。周りに毒ガスを撒き散らすガス手榴弾だ!
やばい!エミールが死ぬ!
ダンジョン内は閉鎖空間。当然、ガス手榴弾が塹壕の上で毒ガスを撒き散らしたらエミールは死ぬ。
この状況で使うという事は空気より重いガスのはずだ。
彼には毒ガスの知識がない。
しかも最悪な事に、毒をくらったら速度ステータスの高さが仇になる。
エミールの場合、毒ダメージが蓄積する速度は人間の十倍だ。

「はははははは!ようやく一回死んだかね!
手足を縛って何度も何度も拷問して殺し尽くしてやる!」

メルカッツは大笑いして迂闊にも、塹壕を飛び越え、エミールの所へと近づく。すると

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
エミールは毒で死んだ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

奴はこのナレーションを見て思考を一瞬停止させた。
重機関銃で現場は煩いわ、エミールの狐耳が真っ黒に染めてあるから、さっきから私が行方を眩ませている事に気づいていない。
私が何処にいるのか?
それは貴様の真下だ!メルカッツ!

「土堀術(ドリル・アース)!」

一気に魔法で穴を開けて、メルカッツを落とし穴に落とす。穴の底には錆びた剣が置いてあり、メルカッツの足に突き刺さった。
その瞬間、私は奴の背後から近づいて窃盗スキルを発動。
首飾りを超高速で盗んだ。このスキルは重い物を盗むのは困難だが、軽いアイテムなら盗みやすい(ダンジョン内のモンスターからアイテムを奪いまくったから、窃盗のレベルはかなり高い)
そう、この首飾りがメルカッツに圧倒的な耐性を齎した超超レアアイテム。
鑑定魔法で遠くから鑑定した時は正直驚いた。
全十二属性全てに素晴らしい耐性を与える効果の恐ろしさに。

「き、貴さ――」
「混沌矢(カオス・アロー)!」

私は奇襲した優位を生かし、メルカッツに何もやらさせずに殺し尽くす道を選んだ。
混沌耐性がなくなったメルカッツを恐れる必要はない。
混乱状態で魔法を使う事は自殺行為。
だが、これだけ圧倒的優位な状況でも、魔法だけでは火力が足りなくて殺し尽くせない。
メルカッツに一つでも手段を残せば、私は詰むj。
だから、私は人間としての尊厳を捨てる事にした。
サンタ戦の時に使おうとした最後の切り札。それは――

「メルカッツ!よくも私の大事な弟を殺してくれたな!」

ピンク色のフリルが付いたホカホカの暖かいパンティーをメルカッツに向けて投げる。
尋常じゃない大ダメージで、奴は苦しみ悶えた。パンティーは自動的に私の元へと帰ってくる。
私も恥ずかしくて心が痛い。

「あぁぁぁぁぁっ!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)

それは絹で出来ている
 それは(10d6)のダメージを与える(貫通率100%)
 それは首狩りを発動する****
 それは剣術への理解を深める**
 それは槍術への理解を深める*
 それは周りの時間を遅くする***
 それは稀に時を止める*****+
 下着として着用した場合、それは魅力を100上げる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私は時折、混沌矢(カオス・アロー)を放って、メルカッツに複数の状態異常をかけ、ひたすらパンティーを投げまくる。
至近距離だから投擲スキルが低くても当たる……恥ずかしい、死にたい。でも拷問されるよりはマシだ!
そうやってパンティーを二十回連続で投げまくったら効果の一つが発動した。

〜〜〜〜〜〜
〜時間が停止した〜
〜〜〜〜〜〜
停止した時間の中、私はパンティーをひたすらひたすら投げた。
メルカッツは少しづつHPを減らしていく。
上の階層にいる連中がやってきたら、私は詰む可能性が高い。
早く死ね!
私は百回ほどパンティーを投げまくり、メルカッツのHPを凄まじい勢いで削っていく。
投擲スキルが上昇し、投げれば投げるほど、威力も自動的にレベルアップ。
ずっと私のターンだ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
再び時は動き出した
〜〜〜〜〜〜〜〜

「こ、降参する!
助けてくれ!」

メルカッツが状態異常のせいで、方向感覚すら失って倒れながら言ってきた。
私はそれでもパンティーを投げ続ける。
負けたら、酷い目に遭う。その恐怖でひたすらパンティーを投げ続けた。
憎い。目の前の男が憎い。可愛い狐耳の弟分を殺されて悔しい。
だから……私は負けた。
メルカッツへの憎悪。そのせいで混沌矢(カオス・アロー)に使うMP配分を間違え、うっかり連射しすぎてMPを全消耗。
状態異常から自然回復したメルカッツは、魔石を取り出してこちらに向けてくる。

「麻痺矢(パラライズ・アロー!)!」

魔法は発動すれば必中。
麻痺の矢を食らった私はHPを9割以上削られて動けない。
やばい。拷問される。虫系モンスターに陵辱される。
やだ、やだ、やだっ!

「ふはははははは!」

メルカッツが高笑いを上げ、アイテムボックスからロープを取り出して近づいてくる。

「詰めが甘かったな!聖帝カグヤ!
だがっ!これでお遊びはおしまいだ!
どんな死に方が良い?
オークの子供を孕みまくって出産死はどうだ?!
虫系モンスターの卵を孕んで、子供に食べられるのはどうだ!
二度と甦れないように殺しや――」

ズブリッ

貫いた。
私じゃない。
メルカッツの背後に、無数の黒い髪を垂らした女がいる。
彼女の鋭い髪がメルカッツを貫いていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
メルカッツは死んだ。寄生生物は復活する事ができない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あら?駄目じゃない?
その娘は私の玩具なんだからさぁ!」

その女の真っ白な顔には、口と髪しかない。
口は真横に裂けていて真っ赤。怖い笑みを浮かべている。
私はこいつ、いや、種族を知っている

「混沌の神っ……!」

よりによって最悪な時に、最低な化物が来た。




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コメントまとめ
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〜〜〜
カグヤは混沌の神との遭遇フラグを回収した!
〜〜〜

カグヤ「そんな伏線は回収しなくて良い」

エミール「もっふぅ……」

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