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本好きの成り上がり
11話 「突撃、エルフ娘がいる女風呂」


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「さぁ次はダムの建設図をお願いします」

村長宅の食堂に篭もり切る生活が一ヶ月間続いた。おにょれ……この陰険眼鏡っ……!
ひたすら私は質問攻めに合い、どんな金属なら代用できるだろうか?と深夜まで語り合う日々が続いて眠くて辛い。
おかげで、色んな機械の設計図やパーツ、運用方法などを残す事が出来たが、まともにダンジョン探索が出来なかった。残業代もなく無償労働である。
紳士のメルカッツさんに真に申し訳ない事をした。弟子にしてくださいと言って一ヶ月も待たせた時点で、破門されても可笑しくない。
あと、村長殿と一緒に、色々と議論して分かった事がある。
彼はとんでもない優秀な技術者で、息子が三十人ほどいるそうだ。
そのせいもあって、この近隣の村々は無駄に技術力が高いと聞く。

おにょれ……未来人どもめ!
私をこの村に誘導した理由がわかったぞ!
目の前にいる村長殿を含めた連中は、技術分野での重要な偉人なんだろ!?
未来人の手の平で転がされて悔しい……背筋が震えてビクンビクンっ……!
でも……結構楽しかった。
本の知識が形になって役に立つ快感が病みつきになりそう。
読書も良いが、今まで読んだ内容が、現実で役に立つ快感がたまらない。
読書欲とともに、創作意欲が湧いて出てきた。
今の気分は発明王エジソン……主に能力の高い技術者集団を集めて、色々と開発しまくる的な意味で。
エジソン本人も他人のアイデアをパクりまくって発明してたしなぁ。
私も、本の内容をそのままパクって発表しよう。どうせ異世界だから著作権ないだろうし。
エジソン先生万歳。目指せ、未来の発明王カグヤ。

「カグヤさん、カグヤさん」

陽気に話しかけて来たのは、笑顔とエルフ耳がとても愛らしいテファさんだった。
手に桶とタオルを持っている。まるで、これから銭湯にでも行くような格好だ。

「これから一緒に露天風呂に入りませんか?
夫が作った特製の風呂ですの」

村長殿。万歳。
アナタの創作意欲には言葉で表せないほどに感動した。
異世界で、日本人の豊かな風呂文化を再現しようなんて……この村、本当に貧乏なのだろうか?
湯を沸かすための燃料に薪を大量消費したら、この周辺の木々が全滅すると思う。森林破壊反対。

「温泉だから、燃料は必要ないですの」

なるほど、さいですか。
そういえば、今の私は猫耳美少女。
女風呂に合法で入れる存在なのだ。
ん?ペットのエミールは男?
0歳児だから女風呂に入っても問題ないだろ。私が許す。
〜〜〜〜〜〜〜


露天風呂は、村長宅の裏側にあった。
……なぜ、一ヶ月間、誰も教えてくれなかった……?ひょっとして私は苛められてる……?そんなぁー。
風呂そのものは無駄に大きい岩作りで、一度に百くらいが入浴出来そう。
私はそんな景色を見ながら、露天風呂の隣に設けられた脱衣所で巫女服を脱ぐ。
赤い袴がスルスルッと抜けて、ピンク色のパンティーが周りの奥様方に見えるようになると――

「あらやだ、あの娘……パンツ履いてる」
「武器を下着代わりにするなんて……」
「きっと村長の愛人か何かよ。アタシには分かるんだからね。
ずっと食堂でエッチな悲鳴を上げてたでしょ?あの娘」
「村長もやっぱり男という事かしら?おっほほほほ!」

奥様方に散々な事を言われた。
パンティーを履いているだけで非常識と言われる世界観が辛いです。テファさん。
しかも、今の私の身体が女なせいか。
女性の身体を見ても、男性の頃のような性的興奮を覚えない。
ただ、テファさんの裸体を見ても美しいと思うだけだ。
肌は雪のように真っ白で、長い黒髪は清潔感が溢れる。毎日、身繕いして綺麗になるように努力している証であろう。
胸が小さくて控え目で、子供を2桁単位で産んだとは思えないほどに若い身体をしている。
今、彼女は紫と黒色のアダルトな縞々パンティーを脱いでいる。大変、美しいです。

「あらあら?カグヤさんもパンティーを履いてらっしゃるの?」

え、ええ、そうです、テファさん。
私の常識ではパンティーは下着です。決して武器ではありません。
下着を投げるのは変態の所業です。警察に捕まって刑務所行き。

「履き心地良いですものね。
でも、パンティーってレアアイテムだから、下着として使うのは贅沢ですの。
絶対に普及しない価値観だと思いますわ」

さいですか。
それにしても……テファさんは華麗だ。その姿は精霊のように清らかで母性溢れる。
村長殿が羨ましくなってくる。きっと、毎日のように彼女と愛し合っているのだろう……と思ったが、ずっと食堂で私と議論してたから、そんな訳はなかった。

「もふっ?」

隣で衣服を脱いで裸になったエミールが、私の細長い黒い尻尾を掴んで優しく揉んできた。
かなり気持ちよくて、くすぐったい。感覚細胞が密集しているから敏感に快楽が伝わってくる。
ちょっとしたセクハラだよ。これは。相手がゼロ歳児だと分かってなかったら、カオスアローを十連発叩き込んで、ナイルン川に沈めて、その上から投石していると思う。
おっと、物騒な事を考えるよりも先に、エミールにツッコミを入れないと駄目だ。

「そんなに私の尻尾を揉んで……どうしたんだ?エミール」

「目の前に合ったから、ついつい触っちゃいまし。」

尻尾は敏感な部分だから、許可なく触っちゃ駄目だぞ?
まぁ……今みたいに優しく触るなら良いけどな。これからたくさん苦労かけるし。

「もっふ!」

エミールがパァーと輝く笑顔で頷いた。
何故か、一回の食事で28億円を浪費したクレオパトラ(
古代エジプト最後の女王 )みたいな気分になってくる。
まぁ、私みたいな女モドキを信頼してくれるのはありがたい事だ。
尻尾くらいなら、幾らでもモフモフしても良いぞ。
エミールがいれば、他の男が近寄って来ないだろうし。害虫除けならぬ、男除けとして頑張ってもらいたい。
おっと、こんな無駄な事を考えるよりも、今は暖かい温泉文化が優先だ。
私はエミールの片手をしっかりと握って

「さぁ行くぞ、風呂文化が私たちを持っている」
「もっふー!」

いきなりエミールが湯船に突撃しようとしたから、抱きついて止めた。

「もふっ?」

そうだ、この子は常識が全くない。
大きな尻尾がある狐耳少年が、いきなり湯船に使ったら、それはそれは悲惨な事になる。
……主に湯船が毛むくじゃらになって、村の奥様方から村八分にされる的な意味で。
危うくエミールの非常識さで、住む場所を喪失する所だった。
私は心を鬼にして、お風呂マナーを目の前のゼロ歳児に叩き込む事を決め、命令する。

「エミール。
お風呂に入る前に、身体と尻尾を洗んだ。
そうしないと周りに……殺されるぞ?」
「もふっ?わ、分かりましたっ!カグヤ様っ!」

エミールの元気な反応を余所に、私はまず桶を手に取り、湯船からお湯を拝借。
それをエミールにぶっかけて、アイテムボックスから出した石鹸でゴシゴシと彼の銀髪を丁寧に洗う。

「もっふぅ〜」

特に大きな狐の尻尾を念入りにゴシゴシ。
手のかかるワンコの世話をしている感覚がたまらない。ワンコワンコ、ワンダフルライフ。

「あらあら、仲が良いですわねぇ」

テファさんがエミールの隣で身体を石鹸で洗いながら、優しい目線を私に向けてきた。

「二人が結婚する日が楽しみですわー」

…三tねいやいや、それはないですよ?
エミールは私から見れば弟みたいな存在でして。
そういう恋愛対象ではありません。

「あら?それだとエミールちゃんが不幸ですわ?」

何故かテファさんが首を傾げて疑問を投げかけてきた。
私も首を傾げる。そうするとテファさんは全身の泡を、湯で一気に洗い流して、真っ白な裸体を見せつけながら

「ペットが一番愛情を向けるのは、主であるアナタですの。
もしも、カグヤさんが別の人物と結婚したら、エミールちゃんは一生独身ですわ」

なんですと。

「もっふぅ〜カグヤ様気持良いですぅ〜。
結婚?何ですか、それ?」

エミールの身体を洗い流しながら、私は友軍の支援なしに篭城戦をやる武将並に……激しく動揺した。
そうだ。今の私は女の子。
何時か、誰かと結婚するか、残念すぎる喪女になるかのどちらかを選ばないといけない。
この小さな胸は、子供を育てるための器官。
股間のツルペタ●●コは、子種を入れて子供を作る神聖な場所。
人生って大変だなぁと思った。でも若返って気分が新鮮だし、どうでもいいや。

「もふぅっ〜僕、幸せ者ですぅ〜」

あ、そうだ。私の体も洗わないといけない。
エミール、身体を洗うのを手伝ってくれ。くれぐれも尻尾を優しく扱うように。

「もっふ!」

エミールはそう言って元気よく、私の後ろに行き、猫の尻尾をたくさん揉んできた。
はにゃー。尻尾がしゅごい。敏感すぎて石鹸をつけて優しく揉まれると……妙に心臓がドキドキっして変な気分になる。
犬や猫もこんな気分なのだろうか?
テファさんは、そんな私と、一生懸命洗おうと頑張っているエミールを見て苦笑している。

「二人なら良い夫婦になれると思いますわよ?」

どないしよう。
男キャラ選択してたら、殺されまくって人生終了する可能性が濃厚だっただけに辛いよう。
そうだ。
こういう時はアレだ。日本の政治家が得意としていた切り札を発動しよう。
究極必殺技オープン!

問 題 は 全 部 未 来 に  先 送 り すれば良かろうなのだぁー。
私が女として生きるか、喪女として生きるか。ずっと後に決めれば良い事だ。
日本政府がやれば、破滅の先延ばしだが、私個人の問題はこれで良いのだ。
……でも、尻尾をマッサージされながら洗われると、すごく気持ちよくて病みつきになりそう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜

身体を洗い終わった私達はゆっくり湯船に浸る。熱いお湯がとても気持ちいい。
空は無数の星が輝いて綺麗だ。
……本を読みたい。魔法書は本といえば本だが、プログラム言語の塊みたいなものだから、読み返す必要がない。
新しいプログラムを考えたり、魔法を使った方がまだ爽快感がある。
それに温泉で読書は危険すぎる。
考えて貰いたい。温泉のお湯はとても熱い。そんな場所で時間がかかる読書をやったら死んでしまうだろう。
風呂での読書は、基本的にぬるま湯でやるものなのだ。
諸君らも是非、実践してもらいたい。37〜39度くらいに温度を調整すると良いぞ。
本が湯に落ちないように、下に桶を用意すれば完璧だ。
今日から君も、風呂で読書ライフ。

「もっふぅ〜、カグヤ様。お風呂って最高ですねぇ〜」

エミールも気持ちよさそうだな。両目を瞑って風呂の暖かさを堪能している。
今の彼の気分はきっと、お風呂が大好きなローマ帝国人。
この砂漠地帯に、これほど立派な露天風呂を作った村長殿への感謝の心がまた湧き上がってきた。
……いや、駄目だ。これはブラック企業でいうアレだ。
マッチ・ポンプ。酷い労働をさせまくった後に優しくする事で、人はコロリッと洗脳されてしまうという。
あ、危なかった。

「この風呂は、私達の自慢なんですの」

ちなみに、私の隣にテファさんがいる。二次元美少女のように美しいお方だ。
今の私の視界に映る光景は、全て二次元アニメ風になっているから、まさにその通りとしか言い様がない。
それにしても…なんで、この村はこんなに貧乏なのだろうか?
村長たちの製品を次々と作り出せる技術力。観光客を喜ばせる事が可能な温泉。
東には、水上交通網として使えそうなナイルン川。
こんな理想的な場所なのに、貧しい村が一つポツンとあるだけ。
これはありえないことだ。
地図の地理を見て、古代エジプト文明的に考えると、この場所は……エジプトの首都カイロのような条件が揃った場所。
カイロがアラブ文化圏の中心都市であるように、この村にはもっともっと価値があるはずだ。
そんな事を無節操に、テファさんに言ってみたら

「……全部、フミーダイ公爵のせいですわ」

彼女のエルフ耳が下に垂れて元気を失くした。胸を見たらチッパイだった。
村長殿はきっと貧乳派。チッパイを見ると不思議と安心するのは何故だろう?

「カグヤさんは夫から聞いて知ってますわね?
この領土が昔は良い場所だったって」

はい、知っています。

「今のフミーダイ公爵は本当にひどい豚ですの。
贅沢な生活を維持するために、税率9割は当たり前。
ありとあらゆる事に税金をかけて……たくさんの村を廃村に追い込んだの」

個人の贅沢で、領土まるごと疲弊……?
フミーダイはどんな贅沢をしているんですか?

「……平地に湖作ったり、宮殿作ってハーレムしたり、8000枚の絵画を並べた回廊を作ったり、山を作って墓を作ったりとか、信じられないレベルで散財してますの」

まるで西太后と始皇帝の悪い所を足して割ったかのような酷い人間ですね。
……うん。ここまでの会話で分かった事がある。
恐らく、将来的に私が大規模な反乱を起こすのが史実なのかもしれない。
明らかにフミーダイ家は排除しなければならない害虫だ。
私が安心してゆっくり読書する生活を得るために、殺さないといけない。
腐った枝は、巨木を腐らせる。西太后みたいな人物を生かしておいては駄目だ。
西太后は個人の浪費で、清国の圧倒的な国力を削りまくり、当時、弱小国家だった日本相手に敗戦させたオバサン。
それに、こんなにも麗しいテファさんを苦しめて悲しませるなんて……フミーダイ公爵は許せん。
エルフ耳がこんなに愛らしくて、肌が真っ白で、神々が作り出した芸術品としか言い様がない貧乳美少女を苦しめるゲスは、私がぶっ倒――

「テレサはテレサだよ!」

金髪童女生首なテレサさんが男風呂の方角から飛んできて湯船に着水した。
無論、溺れそうになっている。

「ゲホッっ!ゴボッ!カグヤっ!だ、だずげで!」

私は慌てて、テレサさんを持ち上げた。彼女のHPが一気に2割ほど削れて危ない所だった。この状況を笑えばいいのか、哀れめば良いのか分からん。
……ところでテレサさん、アナタは空を飛べるんですか?

「テレサは心の中で自由に空を飛べるんだよ!
でも現実じゃ飛べないよ!さっきの空中旅行は仏さんに投げてもらったんだよ!」

仏さん。テレサさんをもっと大事に扱え。下手したら死んでたぞ。
女の子を投げるなよ。

「仏さんはとても良い人なんだよ!カグヤがそんな事を言ったらテレサは悲しくなるよ!」

この娘と会話していると癒される。つねに前向きで素晴らしい娘だ。
これで胴体あったら、聖女扱いしてたと思う。なぜ、種族:生首を選択したんだ。テレサさん……。
でも、
私は女の子になってしまったが、良い女友達に恵まれているな。
良きことかな。良きことかな。

「カグヤっ!たくさん湯船で遊ぼう!」


……
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
目の前に、茹で上がった生首の死体がある。鮮度は抜群だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
金髪童女生首と温泉で頑張って遊んでみたが、一回、テレサさんを誤って事故死させてしまった。
生首と一緒に遊ぶのが難しすぎて困る。
死んでも本人は全く気にしない性格だからありがたいが、私が生首の立場だったら人生に絶望して成仏してた。そんな気がするくらいに、テレサさんの最弱っぷりに泣けた。
彼女もこの世界の被害者だと思うと、心が辛い。

あと、この時間軸で成仏した方のテレサさん。
浜辺で殺してすいません。
絶対に化けて出てこないでください。
テレサさんと出会う度に、心臓を乙女のようにドッキリさせる私がいる。


この話のコメントまとめ+作者の感想

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どうでもいい設定11


成仏したテレサ「テレサはテレサだよ!
浜辺で酷い猫耳の女に殺さたよ!うぇーん!悲しいよー!」

天国の仏さま「可愛いから俺のペットにするわ!」

成仏したテレサは、天国でゆっくりしている






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