モフモフ大陸の戦いは一方的に終わった。
勝利者は紅い男ナポ。
そして……彼の配下『6元帥』
ゲームの頃、柔軟に艦隊を運用するために作られた存在だ。
紅い機械歩兵レッド・リーダー。副官はパープル
青い機械歩兵ブルー・ブレイカー。副官はイエロー。
ピンク色の機械歩兵ニュー・ピンク。副官はグリーン。
銀髪のダークエルフ娘『黒真珠』。副官はホワイト。
銀髪のエルフ娘『白真珠』。副官は猫娘ニキータ。
紅い髪の犬娘ルビー。副官は青狸のタヌキモン。
元帥の名前を見て分かる通り――外見の色=名前。
女性は宝石の名前だ。
読者さんにもイメージしやすいはずっ……!
★ブルー「働きたくないでござる」★
青色の機械歩兵『ブルー元帥』は、旗艦『タブリス』で、モフモフ大陸中央部の戦場整理を部下に命じていた。
つまり、破壊した都市の撤去や……オーク達の死体片付けである。
放置すると疫病の原因になるから、死体を穴に埋めたり、燃やしたり、浮遊大陸から落としたりと、様々な方法で処理している。。
この光景を見た、彼の副官イエローは疑問を抱いだ。
「……酷い虐殺劇だ。
2億も殺す必要があったのでしょうか?提督」
そう言って、イエローは黄色い機械の眼を、自身の上司であるブルー元帥に向けた。
ブルー元帥は肩を軽く竦めて
「イエロー。私達はね……機械歩兵であり、軍人なんだ。
軍人は命令された事を実行するのが仕事なんだよ。
だからこれは仕方のない事なのさ」
「これは戦略上、無意味な虐殺です。
全員皆殺しにする必要はなかったでしょう?」
「いや、獣人達が大量虐殺されて、10年間、酷い目に合わされたんだ。
ここで報復しなかったら周辺諸国から舐められていたと思うよ。
獣人達の復讐心も満足させられるしね。
あと、私の個人的な推測だけど――」
ブルーはひと呼吸置いて……静かに言葉を続けた。
「今回の事でナポ様は『自分の財産を傷つけた者たちはこうなる!』と世間に強くアピールしたかったんだと思う。
そして『こうなる前にさっさと降伏しろ』と同時に言ってるんだ。
政治的にはかなり有効な手だと思うね。
少なくとも……私達に喧嘩を売る国は少なくなるはずさ」
「でもそれなら……2億も殺す必要はなかったと思います。
恐怖を宣伝したいなら、何人か生かして返すべきなのでは?
非戦闘員のオークの子供達には、何の罪もないはずです」
一瞬、場は重い沈黙に包まれた。
ブルー元帥は機械の手で顔をポリポリ掻きながら
「……さすがのナポ様も、作戦開始5分くらいでほとんどのオークが死ぬとは思ってなかったのさ。
それに皆殺しにした後に宣伝すれば問題ないし、影響はほとんどないと思うよ」
「まだ罪を犯していないオークも居たはずです!
子供のオークは殺さなくても良いのでは?」
「……逆に聞くけどイエロー。
オークをわざわざ生かして捕虜にするメリットはあるのかい?
かなりの戦力を監視に割かないといけないし、食料も配給しないといけないんだよ?
それに――」
ブルー元帥は皮肉気な笑みを浮かべて
「私達は創られた存在だ。
この大虐殺の責任は、全て創造主であるナポ様にあるのであり、私達には何の責任もないんだ……常識的に考えて。
だから、さっさと戦場整理を終わらせて、ネットゲーの続きをやろうイエロー」
「おいこら!?
提督の発言最低すぎるでしょ!?」
イエローがブルー元帥に詰め寄って抗議する。だがブルー元帥はどこまでも平然としていた。
「なら、イエローはどうしたんだい?
ナポ様に直接抗議するのかい?
指パッチンひとつでブラックホール発生させる偉大なお方を相手に?
私はね、イエロー。
大切な君にくだらない事で死んで欲しくないよ……
豚どもが皆殺しに合ったのは自業自得さ。
話をもっと単純にすれば納得できるはずだよ。
ナポ様は、勝手に人の家に上がり込んで『家を燃やし、家族を殺した強盗殺人犯な豚』を殺しただけ。
正当防衛って奴さ」
「……」
「だから、仕事終わらせてネットゲーやろう。
とっくの昔に死んじゃったけど、糞モンス様が作ったモンスターハンターハンター面白いよね。
ハンターを狩るハンターっていう発想が素敵さ」
「こらぁー!?
せっかく、感動する良い雰囲気だったのに台無しですよ!提督!」
ブルー元帥は機械の顔で優しく微笑んで
「人生は楽しんだ者勝ちさ。
ナポ様だって、きっとそう思ってるよ」
ピルルルッ!
急に呼び出し音が場に響いた。
レッド元帥からの通信だと気づいたイエローは、すぐにTV電話に出る。スイッチをポチッとな
「大変だ!ブルー!イエロー!」
そこには真っ赤な機械歩兵――レッド元帥が映っていた。
ただならぬ様子を悟ったイエローが問いただす。
「どうしたんですか?
レッド元帥は大陸北部を任されましたよね?」
「大変な事になった!
これを見てくれ!」
映像が移り変わった。その光景を見たイエローの動力コアが――故障寸前になるレベルで稼働する。
どの機械歩兵が見ても涙を流す、そんな悲惨な映像だ。
「ば、馬鹿なっ!
こんな事があっていいはずがない!
レッド元帥!嘘と言ってください!
うわぁァァァァァァァ!!」
イエローが涙を流して、艦橋のキーボードパネルを叩き壊す。
テレビ電話に映っていた光景。それは――廃墟と化したゲームセンターだった。
一緒に映像を見ていたブルー元帥が頭を360度回転させまくりながら驚いた。
「なんて事だ!100階建てのゲームセンターが壊れている!?
プレイヤー様達が作った1万を超える名作ゲームが消えてしまったという事か!
クロス・トリガー!
ドラゴンボールクエスト・シリーズ!
ファイナルファンタジーストーリー・シリーズ!
まだやってないゲームがたくさんあったのに!
オークどもめ!許せない!」
「レッド元帥!地下の方に広がっているゲームセンターはどうなってました!?」
イエローがTV電話で必死に問いかけた。
再び、画面にレッド元帥の真っ赤な顔が映り――無念そうに二度、顔が横に振られた。
つまり、地下ゲームセンターも全滅という事だ。
イエローは目からビームを出して、TVモニターをぶっ壊した。バキューン!
旗艦『ダブリス』が航行不能状態になった。
「提督!僕ゆるません!
僕が完全に間違ってました!豚なんて石コロ以下の存在です!
豚には死あるのみです!
偉大な名作ゲームの数々を壊すなんて……文化というものを全く理解していませんっ!」
イエローの価値観が
ナポ様 > プレイヤーが残した名作ゲーム > 敬愛するブルー元帥 > 希少金属資源 > 越えられない壁 > 道端に転がる石コロ >オークになる歴史的瞬間だった。
Aに続く
この話のコメントまとめ +作者感想
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アメリカ「リメンバー!こう言えば国民扇動して戦争できるから楽だわW」 歴史のテンプレ
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【小説家になろう】
2015年9月の月間ランキングベスト10は、支援特化の魔法とスキルで俺SUGEEEEE!【異世界で始める人生改革
〜公爵編〜】【没落予定なので、鍛治職人を目指す】【職業無職の俺が冒険者を目指してみた。】
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