チーム戦で、駆逐艦がその速さを生かせて活躍できる場所がある。
通常のチーム戦では、巡洋艦と戦艦だけで編成された大艦隊同士が壮絶な艦隊決戦を開始し、被弾して戦闘継続が困難になった艦艇を、後方の全長1kmの巨大要塞とも呼ぶべき修理戦艦アリスで修理して、再び前線に戻るという事を繰り返している。
そして、ここで駆逐艦が大活躍ができる場所が誕生する。
被弾してシールドを展開できなくなったり、武装のほとんどが壊れていたり、ジェネレーターの出力が低下して駆逐艦並になっている巡洋艦・戦艦を奇襲して皆殺しにする卑劣な戦場が用意されているのだ。
敵陣奥深くでやらないといけないので、これは足の速い駆逐艦にしかできない仕事である。
迅速に奇襲攻撃をかまして、短時間で皆殺しにし、索敵に特化した巡洋艦の元まで、軌道がわからないようにして逃げれば完璧だ。
運が良ければ、修理戦艦アリスの居場所までわかって、戦争の趨勢を決める事もできる。
最終話 駆逐艦による駆逐艦のための復讐(前)
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第34201次 ユ・ユンヤー会戦
≪駆逐艦で敵艦を嬲り殺す会≫ 巨大戦艦7隻、戦艦30隻、巡洋艦100隻、駆逐艦300隻 合計437隻
≪巨大戦艦が無敵すぎる会≫ 巨大戦艦20隻 戦艦50隻、巡洋艦40隻 合計110隻
全長1kmの丸いUFOみたいな円盤型の修理戦艦アリスが一時的に無料レンタル。
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≪駆逐艦で敵艦を嬲り殺す会≫の駆逐艦運用方法は二つある。
@修理戦艦に修理に戻る艦艇を駆逐艦部隊で攻撃する事により、効率的に敵艦艇を減らす。
A敵艦隊の背後から大部隊の駆逐艦隊で奇襲攻撃をする。
駆逐艦は運用が難しい。左翼と右翼を戦艦で占められるとそれだけで対処されてしまうほどに厳しい。
艦隊の後ろからの奇襲攻撃も、巨大戦艦一隻が後方で待機しているだけで大半が対処されてしまう。
そのため、駆逐艦部隊のほとんどは使い捨て同然で使い潰され、一部の駆逐艦部隊だけが後方で弱った艦艇をフルボッコにする栄誉を授かれるのだ。
今回の会戦では、300隻の駆逐艦の内、200隻が敵艦隊後方からの特攻同然の盛大な攻撃をやり、残った100隻で負傷して逃げる艦艇をフルボッコにする予定になっている。
どちらの部隊に配属されても不満がでないように、電子クジでランダムで選択されるので駆逐艦乗りからは不満はあんまりでていない。
「ヒャッハー!後方でフルボッコにする仕事にありつけたぜっー!巡洋艦も戦艦も虐殺だぁっ!」
【やっとっ・・・!やっと活躍できる戦場にきたんだねっ!】
現在は、遠くで壮大な艦隊決戦が始まっている。
双方を合せて艦艇の数は447隻にも及び、駆逐艦部隊が無残にも破壊されてくたばっている地獄の戦場だ。
特攻同然の攻撃によって、敵の巨大戦艦部隊達に被害を与え、その犠牲のおかげで弱った艦艇の一部が数隻ほどの纏まった数で撤退してくれる。
主人公の属している駆逐艦部隊には、索敵に特化して攻撃もシールドもできなくなった巡洋艦が1隻いて、この艦艇のおかげで敵の位置が把握できるのだ。
この巡洋艦が沈んだら駆逐艦部隊は何もできなくなるので、巡洋艦は遥か遠くの後方の安全地帯から指揮する役割を担っている。
ただし、修理艦艇は近くに接近しないと確認もできない仕様になっているので、遠距離からでは発見できない。
「おおっ!前線から10隻ほど後退しているぞっ!ヒャッハハハッハっ!
俺達の獲物になるためにやってきやがるぜぇっ!皆殺しにしたらんかーい!」
【駆逐艦200隻が既に全滅しているよっ・・・!
それ相応の損害を敵艦隊に与えているけど、使い捨てっぷりが凄まじいよっ・・・!】
撤退中の艦艇の陣容は、巨大戦艦1隻、戦艦2隻、巡洋艦7隻の構成になっている。
駆逐艦部隊の餌食にならないように纏まって行動している所が健気な艦隊さんだった。
100隻の駆逐艦部隊は、この10隻を徹底的にフルボッコにすべく、遠巻きに包囲して取り囲み、一斉攻撃のタイミングを待つ。
『一斉虐殺だぁっ!巡洋艦も戦艦も皆殺しにしたらんかーい!傷ついたお嬢ちゃん達を陵辱して犯し殺してやれぇっ!』
巡洋艦から送られてきたメッセージで、100隻の駆逐艦が全速力で10隻の敵艦隊を虐殺するべく襲い掛かるっ!
敵艦隊はビームすら発射できなくなった巡洋艦、シールドを展開できなくなるほどに破壊された戦艦、艦のありとあらゆる場所から火を吹き上げている巨大戦艦などなど、戦闘力が7割ほど落ちている致命的な状態である。
そんな状態で駆逐艦達からの数任せの攻撃を浴びた敵艦隊はたまったものではなかった。
辛うじてビームを撃てる戦艦によって近づかれる前に5隻ほど落とす事に成功するが、駆逐艦達の圧倒的な数のビームにより、装甲が吹き飛び、生き残っている武装も弾けとび、たちまちの内に宇宙に咲く綺麗な花火になっている。
巡洋艦はこれよりも酷く、駆逐艦並の性能しかなくなった状態で大勢の駆逐艦に襲われて、次々と爆発炎上して反撃どころではなかった。
「戦艦の装甲がなくなっている部分にビームを撃ち込んでやったぞっー!
ヒャッハハハハハっ!!!誘爆して大爆発してやがるっ!陵辱された場所を更に陵辱されて、そんなに悔しいのかぁっ!可愛いお嬢ちゃんよぉっ!」
『えぐい攻撃だね!でも、駆逐艦でも戦艦を打倒できる戦場って本当に素晴らしいものがあるよ!』
敵艦隊は巨大戦艦を残して壊滅する。巨大戦艦が生き残っているのは、遅いから一番奥にいただけだ。
9隻の艦艇を血祭りにあげた94隻の駆逐艦は、全長500mの化物のようにでかい巨大戦艦も蹂躙して虐殺するべく、全速力で襲い掛かるっ!
巨大戦艦の特大ビーム砲は既に壊れており、シールドも展開できないほどに弱り、装甲板がところどころ無くなっているので、駆逐艦でも倒せる状態だ。
『巨大戦艦も蹂躙したらんかーい!』
味方の巡洋艦の指揮があってもなくても、駆逐艦のプレイヤー達はやる気満々である。
的の大きい横腹を突くように駆逐艦部隊は移動し、ビーム攻撃を浴びせようとするのだが・・・・なんと、拡散ビーム砲が生き残っていたっ!
迫り来る駆逐艦部隊に照準を定め、拡散ビーム砲により何百にも渡る弱いビームが放たれるっ!
【ぎゃああああああああああああああああっ!!!!
味方艦隊ざんがああああああああああっ!!!!
今の攻撃だけで8隻ぐらい沈んだよおおおおっ!!!!!
しかも、回避しようとして4隻が衝突事故で爆発しているよおおおっ!!!!】
「な、なんて攻撃力なんだぁっ!」
巨大戦艦の圧倒的な攻撃力に戦慄するが、拡散ビーム砲が付いているのは片側だけであり、もう一方の拡散ビーム砲は破壊されている事が確認できた。
駆逐艦部隊はそれをお互いに伝達しあい、攻撃がこない方向から積極的に巨大戦艦を攻撃するっ!
数十のビームが巨大戦艦の広すぎる横腹に突き刺さり、既に装甲板がなくなっている場所に一条のビームが突き刺さった事で勝利が確定した。
500mという圧倒的な大きさを持つ巨体がどんどん誘爆を起こしまくり、全ての部品という部品が弾け飛んで、巨大な宇宙の光となって輝いたのである。
駆逐艦部隊は、駆逐艦で巨大戦艦を倒すという快挙に感動し、生き残った82隻の駆逐艦のプレーヤーが喜ぶが、この世界は駆逐艦や戦闘機には優しくない。
次の新たな敵が出現していたのだっ!
駆逐艦の数倍の速度で移動し、彼らを殺そうとする何かが巡洋艦のレーダーに映っている。
『む、無人戦闘機っ!?修理戦艦が近くにあるぞっ!ひゃっほーいっ!』
そこに映っているのは、無人戦闘機ジサツ・トッコウー。修理戦艦の唯一の迎撃手段である。
標的まで高速で辿りつき、特攻する事で大被害を与えるという画期的な無人戦闘機なのだ。
現実の対艦巨砲主義を消し飛ばした戦闘機に対する恨みが籠っているような仕様の戦闘機が、30機の編隊を組んで襲ってきている。
巡洋艦すら1機の特攻で破壊できる戦闘機との戦いが今ここにっ!
「な、なんて酷い仕様の戦闘機なんだぁっ!お前達の恨みは俺達が晴らしてやるからな!」
『と、とりあえず逃げた方がいいと思うよ!30隻ほど味方艦を盾にすれば、後は修理戦艦をいたぶって殺すだけだよ!
だから、撤退しようね!
・・・どぼじで戦闘機の方に向かっているのおおおおおっ!?!!?あんな小さな的にビームが当たるはずないでしょおおおっ!?!?
ミサイル持っている他の艦艇に任せたほうがいいでしょおおおおおおおおっ!?!!!!
ああああああああああああああああああっ!!!もう逃げられないよおおおおおおおっ!!!!』
●巨大戦艦イスカンダル 全長500m
拡散ビーム砲がついているので戦闘機・駆逐艦キラーとしても大活躍している巨大戦艦。
ひたすら装甲が硬く、駆逐艦の攻撃では横腹から攻撃しても無意味である。
後ろの推進口狙いでもない限り、シールドすら破れない。
●修理戦艦アリス 全長1km
味方艦艇を修理する巨大要塞・・・いや戦艦。
内部のドックに格納して、短時間で完全に修理してくれる。
武装がない所が傷だが、無人戦闘機が30機ほど配備されているので、それなりの迎撃能力がある。
●無人戦闘機ジサツ・トッコウー 全長 5m
戦闘機の弱点を特攻という形で補った画期的な戦闘機。
武装はないが圧倒的な速度と、内臓されている爆弾で戦艦にすら被害をださせる。
あとがき
(´・ω・`)戦闘機の扱いが酷い。