第七十八話 反董卓連合戦、決着--曹操は逃げ切るために主人公たちの軍隊を一度は撃破する必要があったが、信頼していた袁術が裏切ったから、匈奴兵に追撃されて敗北した。
騎馬3000を討ち取る仕掛けを敗軍の撤退中に地中に設置するという不可能な事をやっても無理ゲー
もともと、騎兵10万人相手という絶望的な戦いだけに、袁術を信頼する以外に選択肢がなかった上での裏切りだったから心も体もボロボロ
部下のほとんどは消息不明である。
でも、曹操は死なずに生きていた。 -
――対李岳戦のために用意していた、兵器。拒馬槍が炸裂したのだ。
地に埋めた槍を李典が開発した仕掛けで跳ね上げ、飛び込んできた敵兵を串刺しにする仕組みである。陽人の戦いで用いようとしたが出番のないまま寝ていた武器を曹操はここで用いた。ここしかなかった。この作戦を知ってたのは李典と荀ケとその子飼いの兵だけである。誰にも漏らさぬ極秘作戦がこの罠だった。
李岳であればもちろん地理を調べてくる、であれば丘陵地での伏兵を見抜くだろう、そしてそれに対する反攻を考えるに違いない。李岳からすれば読んだ通りに伏兵が現れた、そのための備えを解き放った時、脳裏には勝利の二文字が抗いようもなく浮かんだはずだ――曹操はその隙を狙撃した。これしか思い浮かばなかった。
「総員抜剣! 本隊も突入する!」
今しかない、李岳を殺せるのは今しかなかった。 (´・ω・`)こんな無理ゲーでも、生き残ってしまう曹操がすごかった(小並感
主人公(´・ω・`)今ならこの大軍で曹操を殺せるチャンス!これが匈奴の騎兵部隊だ!
曹操(´・ω・`)私のターン!拒馬槍を大量に地中に仕掛けた!最後の最後で主人公を返り討ちにして殺すチャンス!
袁術(´・ω・`)裏切って主人公の味方になる。
曹操(´・ω・`)袁術の裏切りで左翼が崩壊っ!?完全な大敗北だわ!
第七十九話 おかえりなさい--主人公は曹操の身柄を抑える事ができなかった。
政治的にも軍事的にも圧倒的な大勝利だが、曹操はその優位を崩せる可能性を持っている。
主人公は反董卓連合の首魁達を逃がしてしまって気が重い。
更に匈奴兵の問題点にも気づき、遊牧民族の騎兵は、兵站を略奪に頼るから史実のような快進撃ができるのであり、それができない主人公の軍隊では、兵站が長くなりすぎてd匈奴兵を運用するのが困難になる。
しかも今回の騒動で、寝返って味方になった袁術陣営が問題だった。
袁紹と主人公を争わせるための戦争の火種を持ってきている。
でも、一応はこれからは協力し合う関係になりそうなので、袁術陣営に忠告する事にした。
【孫権に気をつけろ】【帝を名乗るな】と。
いい関係を築けそうだが、近い将来、袁紹陣営との大衝突は避けられそうなく、戦争はまだまだ終わらない。
一応、反董卓連合の戦いはこれで終わり、主人公の努力は見事に実ったが、愛する母親とは会えず、虚しさが心に残ったそうな。
-
「ご、ごめん……だ、だめだな……はは、まるで、ら、藍苺じゃないんだからさ……う、くそ、なんで止まらないんだ?」
「冬至……」
涙の理由なんてわかっていた。そんなものたった一つしかない。
「みんな……ちゃんと俺との約束守ってくれたな……一人も死なずに帰って来てくれて、嬉しいんだ」
ありがとう、と。
心配そうに覗きこんでくる一人ひとりの顔が無事ここにあることが嬉しくて、李岳は泣いた。そして同時に、もう一人、ここに居て欲しかったなと心から思ったのだ。
――母さんがここにいてくれればなあ、きっと、珍しく褒めてくれたに違いないんだ、まぁよくやった、って。もしかしたら本当に頑張ったな、くらい言ってくれるかも知れない。いや、精々これからも精進しろ、程度だろうか……
自分を包む人の輪に温かさを感じながら、同時にぽっかり抜けた穴から寒風を感じるような寂しさも拭い難かった。もう一人ここにいてくれるだけで、こんなすきま風は感じることなかったろうに。
そう思って、ようやく泣き止もうとした時だった。外から伝令が現れて使者が到着したと告げた。
李岳の代わりに赫昭が応答した。洛陽から使者など早すぎる、何かの間違いではないかと。
伝令は答えた、元々使者ではなく、援軍のつもりでやって来たと。だのに途中で勝利したと聞いて、独断で祝勝の使者に切り替えた、と。
赫昭が聞く。誰か、と。
伝令は答えた。高順どの、と。
そして陣幕の入り口が開き、その人は現れた。
声。李岳の夢寐(むび)のような予想は全て外れた。
――心の底からお前を誇りに思うよ、愛しい我が子。ただいま。
(´・ω・`)やっぱり王道(ベタな話)は美しい。
|