第八十四話 司馬懿の策-洛陽は最悪の位置にいた。3方が強大な敵に囲まれている。
袁紹(´・ω・`)☚東には大都市を擁した最大勢力である袁紹・劉虞連合
劉焉と劉虞(´・ω・`)☚西には長安を陥落させて勢いに乗る劉焉
劉表(´・ω・`)☚南には虎視眈々とこちらを狙う荊州の劉表
勝利するには各個撃破するしかないという事で、策略を考え、まずは南を潰す、その間邪魔されないように西を混乱させ、東を他の勢力と同盟組んで妨害する事で、一つ一つ潰すという作戦になった。
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「南を攻め、西は乱します。東とはある勢力と連合を組む必要があるでしょう」
「同盟相手を支援し、劉虞袁紹同盟の力を削ぐわけか。それでこちらが平定するまでの時間稼ぎにする、と。となると公孫賛と烏桓だな。やりようによっては幽州をもぎ取ることも出来るかも知れない。陛下から幽州牧の地位を与えると言えばかなり説得力あるだろうな。早速動こう」
公孫賛どのはすごくいい人なんだよ、と李岳は初めて歳相応の表情を見せた。内心には怒りや不安、恐れが渦巻いているだろうが、こういう笑顔が本来のこの人のありようなのだろうと思えた。
今からこの人の表情を曇らせることになるかもしれないと思うと司馬懿は胸が締め付けられた。
「公孫賛どのだけでは荷が重うございます」
「同盟相手は多いほどいい。誰に声をかけるべきかな」
――司馬懿は一人、名を挙げた。李岳はその名を聞いた瞬間、指一本動かさなくなった。
司馬懿は初めて李岳から敵意を感じた。司馬懿はいま諫言(かんげん)を行った。愚昧であれば遠ざけられるだろう、卑劣漢なら斬られてもおかしくない。
李岳の敵意は司馬懿に向いているわけではなかった。具体的な個人でもなく、過去でもなく……強いていうなら、運命に対して敵意を向けているように思えた。
沈黙は永遠に思えた。朝が来るまで、李岳は全く動かなかった。
(´・ω・`)壮大な各個撃破作戦案だ。
一つでも手間取ったら終わりですお・・・
第八十五話 酸棗の会ー曹操と主人公はお互いに共通する強敵(袁紹)がいるので一時的に手を取り合った。
どうやら主人公さんは、日本の天皇制を真似しようとしている。
権力のない皇帝(神官)を掲げる事で、野心家達が頂点を目指せないようにする現代日本を真似しようとしているが、そんなものを信じられない曹操は主人公の提案を拒否り、一時的に手を組むだけで、自分が皇帝になる夢を諦めた訳ではなかった。ー
「馬鹿な。では華琳、お前が新たな王、新たな皇帝になったらその問題は解決するというのか? 曹孟徳は天才だ、この時代では誰よりも優れた能力の持ち主だろう。だがお前の子もそうなのか? そのまた子も? ……違う! だったら問題の本質は全く変わらないということになる! 曹姓が新たな愚劣さを表す記号になるに過ぎない! 大事なのは仕組みだ。皇帝は権威として残し、その実権は時代の有力者が握る。それを仕組みとして残すんだ。世の人は、人のまま政府の高みを目指し、政策を決め、世に奉仕するんだ」
「曹の血が腐ったのならまた除かれればよい、その時代の最も優れた血が取って代わるだけよ、何の未練もないわ。それに、実権のない皇帝ですって? 貴方こそ自分が何を言ってるのかわかってるのかしら。ただ権威のみで何も決められない皇帝? 傀儡を認めろというの? 意志を奪われた人間が、果たして本当に生きていると言えるの? ……ハッ、お笑い草ね。傲慢は貴方の方だわ。まさか後世に至るまで全ての時代の争い事を無くしたいとでもいうの? なら方法は簡単、今すぐ神にでもなるがいい。その神の後釜を巡っていずれまた争いが起こるのは目に見えているけど」
「争いを無くせるかどうかと、無くすために行動するか否かは別問題だ。その理屈で言うなら華琳、お前が戦うことだって無意味だろう。無意味なことのために兵を戦わせているのならその方が傲慢だ。出来ることは少ないが、それでも信じて人は世代をつなぐんだ」
「そう、だからこそ私は戦っている、この世を変えるために! 出自でも家系でもなく、人が能力に基いて正しく評価される社会に作り変えるべし……それが、私が祖先より受け取ったこの時代での答えよ!」
「それがなぜ覇道を進むことになる! 政府の中で仕組みを一つ一つ変えていけばいいだろう!」
「この劉姓が治める漢を打ち倒さねば、その理想は描けないからよ!」
お互いの吐息が真っ白に塗り込められ、視界が度々遮られた。見ればいつの間にか雪がちらついていた。雪はお互いのまつげの辺りからしっとりと濡らした。見れば陽も落ち始めていた。気温も下がっている。しかし、この体の震えは寒さからではなかった。
「冬至。私を従わせるには完全に打ち破るしかないわ。完全に、もはやどうしようもないくらいに、屈服させてみなさい」
「その時は、乱世の奸雄ではなく、治世の能臣として俺の元に来るか」
「私に要求するのならば冬至、貴方もまた誓うべきね……貴方を完全に打ち破り、私が勝利した時、私に従いなさい。この曹孟徳の右腕として、乱世を塗り替える覇道に全力を以って最後まで付き合うのよ」
「……誓おう」
「誓うわ」
曹操は言い切ると、立ち上がり外套を翻した。
「次に会うのは対袁紹劉虞軍の本陣ね」
(´・ω・`)主人公さんが勝てば立憲君主制 VS 曹操が勝てば従来通りの専制君主制
歴史家が歴史の針が前に進んだとか、言いそうなシチュエーション
第八十六話 包囲網と各個撃破ーー主人公さんは三方面にいる三つの強大な勢力を各個撃破するために、まず南の劉表を潰す事にした。
用意した兵力は3万。
その間、他の勢力を妨害するために、東では曹操たちと同盟を組み、西には異民族を束ねた馬騰と韓遂がいる。
それを利用しての壮大な各個撃破作戦が始まろうとしていた。
上手くいけば、袁紹を包囲して倒して全てが終わるはずである。 ーー
「李岳は長安を失って面目が潰れた、論功行賞の場でも官位を得られなかったので焦ってる、丞相府でも飼い殺しだ、荊州への進軍は李岳の暴走に近く幕僚の大半も乗り気ではない、李岳の手腕にも疑いの声も上がっており、その根拠は本来なら長安奪還を目指して西進すべきであるところを避けて荊州を目指しているところだ」
「手厳しいな珠悠。兄はいたく傷ついた。辞職する」
「う、嘘です! たてまえです! 策略です!」
冗談さと手を振り、再び地図に向き直ると、今度は洛陽から西に筆を走らせた。
「あらためまして。さてこの国の西北の涼州には異民族を束ねた馬騰と韓遂がいる。反董卓連合軍に参加していた馬超の本拠地で、彼女は陽人の戦いの後に連合を離脱し、荊州北部から漢中を通って涼州へ戻ったのを確認している。こいつらは益州と近い、が、様子見をしているってところだな。見ての通り地理的にはかなり遠い。広い意味では敵対しているがそこを解消して間にある長安戦線に引き込み挟撃の形にしたい……はい沙羅、これをなんという?」
(´・ω・`)各個撃破戦が終わっている頃には、他の勢力(曹操)が育っているだろうし、難易度高い。
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