18 A‐N interval-アキラは、saiはヒカルの中にいる鬼だと例えた。
本物のヒカルを闇へと引き摺りこみ、鬼が本因坊の座を狙っている。
本物の鬼に人間がかなう訳がない。
既に6冠の貫録を、ヒカルが持っているが、それはsaiの貫禄であって、ヒカルのものじゃなかった。
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「桑原先生は鬼かもしれない。けど人が本物の鬼に叶うわけがない」
「鬼?どういう意味だ?」
アキラの言葉の真意を測りかねて緒方がその意味を尋ねるがアキラは答えることなく、じっと新聞のヒカルを眺め、
――鬼が本気で本因坊を狙ってる
ヒカルの中にヒカルが2人いると確信し、今ヒカルとして打っているのが本当はsaiであると分かってしまえば、新聞に映ったヒカルは姿形だけそっくりな全くの別人にしかアキラには見えない。
「進藤はsaiだけどsaiじゃなかった。saiを隠そうとしたお父さんの判断は正しかったんです」
「先生が言っていた意味が君はわかったのか!?」
(´・ω・`)saiに勝つには、アキラがヒカル(sai)を鬼に例えたように本物の鬼になるしかないわね
19 神の一手^ヒカルがとうとう現代の本因坊の桑原と戦う時がやってきた。
これに勝てば、ヒカルの目的を達成した事になる。
つまり、江戸時代の最強と、現代の最強対決
アキラから見れば、それは鬼が打つ囲碁。
死んだ塔矢先生が見れば、神の打つ囲碁。
見方によって印象が大きく変わってくる。 ^^^
「何故神の一手を求めるのですか?と僕は問いました。そして父の答えは………」
僅かに間を置いて、
「神が神の一手を打つところを見たいがため、だと」
本当のヒカルをネット碁の中で見つけることの出来た今ならば行洋が誰を指してそう言ったのか理解できる。
ずっと最善の一手を探求し続けてきた行洋にとって、それだけ魅力あるものだったのだろう。
しかし、
(進藤の中に潜むsaiをお父さんは神と捉え、僕は鬼として見ている)
(´・ω・`)現代の本因坊に勝てたとしても、孤高の王者ENDになりそうだから、ヒカルが悲劇的な事になりそうな雰囲気が伝わってきてワクワク。
20 本因坊戦第一局-本因坊の桑原は、ヒカルと戦って、これは鬼だと判断した。
決して現代で戦う事そのものがありえない相手なので、桑原は喜んでいる。
ようやく本気でぶつかりあう本物の舞台。
死んだ塔矢光洋が、ヒカルに拘った理由がわかった。
ヒカルの中の鬼(神)に魅入られていたからだ!って理解した!
アキラの方は、進藤は二重人格ではないが、進藤の中にsaiが居て、進藤はsaiの指示通りに囲碁を打つだけの傍観者だと、少ない情報から、正解に近い回答を導きだしていた。--
「進藤の中に進藤が2人います。普段表に出ているのは進藤。そして碁を打つ時だけsaiが現れる。お父さんが亡くなるまで進藤はそのもう一人の自分をネット碁だけで打たせていて、それがsaiだったんです。ただ誤解しないでほしいのが、saiが一般的に二重人格と呼ばれる人格的なものではないということです」
振り返ったアキラの表情は険しい。冗談で言っているのではなく、アキラは真剣にヒカルの強さをそう考えているのだ。
本気で言っているのか?というのは愚問だろう。
ヒカルの強さが普通の常識で測れないことは緒方も既に熟知していたからである。
「僕がまだプロになる前、駅前の碁会所で進藤は初めて他人と対局した。誰かと初めて対局し、石を打ったのは進藤でも本当に対局して僕を負かしたのはsaiだった。けれど中学囲碁大会で僕に大敗し、そこから実力をつけてプロになったのは表である進藤本人。その間、進藤は相手の見えないネット碁でだけsaiを打たせていたんです」
(´・ω・`)体力を大量に消費しそうな囲碁だから、幽霊のsaiの方が体力面で有利と見た。(集中で考え込むと脳味噌恐ろしいほどに疲れますし。
21 本因坊戦第一局・二日目-本因坊戦第一局はギリギリ、ヒカルの勝利だった。
桑原は、江戸時代の本因坊秀策なら、どうするかと考えて打っているので、sai相手でも善戦しながら敗北できる。
ただ、年齢が年齢なので、若いヒカルと幽霊のsai相手だと、こんな体力を消費する囲碁をやると身体が持たなそうな雰囲気。
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――あの目は鬼に誑かされて碁を打っとる目ではないわい。小僧め、自分を殺して鬼背負う覚悟したか
鬼の甘い誘惑にほだされてタイトルを軽はずみに欲しただけなら、周囲からのプレッシャーや自身を持ち上げようとする周囲に簡単に自分を見失うだろう。
タイトルを一つとるだけで数千万の金が入る。普通の人間なら強さではなく金に目が眩む。
しかし、ヒカルは自分を見失うことなく桑原の対局者として盤面向かいに座った。
けれど、
「覚悟?」
桑原が何の話をしているのか咄嗟に分からず、緒方が聞き返す。
「緒方君にはまだわからんか?」
「何の話です?」
(´・ω・`)この勝負。
長引けば長引くほど、桑原のお爺さんの体力が消費されるから、saiが有利になっていくわ。
22 還りたい場所ー七冠達成したから、進藤本因坊が誕生した。
だが様子が可笑しく、記者会見を全て無視して、タクシーで東京にさっさと帰ってしまう。
ヒカルの心は限界を迎えてしまった!そんな雰囲気!
そして、ヒカルにこれから待っているのは、超過密スケージュール。
塔矢先生が忙しすぎて、心筋梗塞で死亡しちゃう激務人生だったから、事務員達がヒカルの身を案じていた。 ー
「進藤の選んだ道は針のムシロじゃ。一歩歩くごとに足裏に張りが深々と突き刺さり、血が滴り流れる。自分の選んだ道に後悔はしていないだろう。それでも後悔しない道を選んだとて、胸の奥深くに還りたい場所は誰しもあるものじゃ。心当たりはないか、進藤の還りたい場所に」
いつもからかい口調が混ざる桑原に珍しく、淡々と語るようによく考えろと緒方に説く。その一言に、ふと思考が止まる。
『還りたい、場所?』
行洋がまだ生きていた頃の、ヒカルとsaiと3人でいられた楽しかった、嬉しかった、幸せだった頃に、還りたいのか?
(´・ω・`)今の状況ならこれを言える。
(´・ω・`)ヒカルの心のヒットポイントはもう限界よ!
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