第百二十四話 主権者-ヤンと主人公が、帝国が支配するイゼルローン要塞に交渉しに行こうとする道中で会話しまくった。
ヤンは、主人公という個人そのものを危険視しており、帝国風のエリート・・・独裁者な人間さんなんじゃないかなと疑っている。
実際に主人公の言動から、ルドルフ大帝だと同じだと断じて批判したが、主人公は逆にヤンにツッコミを返した。
お前も少しは現実を見ろ!民主主義も欠陥だらけだろうが!
民主主義も専制主義もどっちも人間にゆだねる以上、それが欠点になっている事にツッコミを入れた。 --
慌ててナイフとフォークを動かした。ヤン提督とヴァレンシュタイン委員長を正視出来ない。チラチラと窺うのが精一杯だ。
「フェザーンに要塞を造るのは同盟市民を落ち着かせるという狙いも有るんです。民主共和政国家は市民の声が強い。帝国が突然同盟領に攻め込んで来るなどという事は無いのだと安心させないと……。馬鹿に煽られてヒステリックにキャンキャン騒がれると厄介ですからね」
微かにだが冷笑の色が有った。提督のナイフとフォークを握る手が強張った。挑発している?
「少し言い過ぎでは有りませんか。委員長は民主共和政国家の政府閣僚なのです。主権者である同盟市民を愚弄するかのような言葉は控えるべきでしょう」
きつい口調だった。間違いなくヤン提督は怒っている。委員長が肩を竦めるような素振りを見せた。
「なるほど、では言い直しましょう。民主共和政国家における政府と市民の関係は羊飼いと羊のそれに等しい。羊飼いは羊達を安心させなければならない。そうでなければ羊達は混乱し群れは四散してしまう。……如何です?」
ヤン提督が委員長を睨んだ。その視線を受け止めながら委員長がまた料理を一口食べた。
「やはりそうか、貴方は人間を蔑んでいる。……貴方は、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムと一緒だ!」
ヤン提督が大きな声を出した。ヴァレンシュタイン委員長が笑い声を上げた。やはり挑発だ、委員長はヤン提督を挑発して怒らせようとしている。 (´・ω・`)こういう会話を書けるセンスが羨ましい
第百二十五話 酔うーー主人公は同盟の皆に、帝国を好きになる必要はないが、対等な相手として敬意を払えと言ってきた。
今まで民主主義万歳!な感じに教育されて育ってきた連中ばっかりなだけに、これは辛い。
更に、主人公もヤンもルドルフ大帝に似ていると言いだした。
現実を冷静に見据え、理想を持っている。
ルドルフの場合は少数のエリートが運営する無駄のない専制主義国家が理想だが、それに酔いすぎて現実が見えなくなって暴政になってしまったのだー
ヤンだって最悪の民主政治でも最良の専制政治に優るなんて言い出すんだからな。俺なら最悪の民主政治は最悪の専制政治に劣ると言うところだ。専制政治なら馬鹿な支配者を殺せば済む。だが民主政治の場合は如何すれば良いんだ?
統治者を変える? 変えて悪政が止まらなかったら如何する、馬鹿な市民を皆殺しにでもするのか?
解決策を聞きたいよ、そんなものが有ればだが。
(´・ω・`)ヤン(原作者)の思想が懐かしい。
第百二十六話 調印式--イゼルローン要塞で和平のための調印式が始まった。
場には両軍合わせて10万隻くらいの艦艇がある。
トリューニヒト達は、同盟市民の女帝アマーリエに対する印象が好意的な事から、和平は幸先のいいスタートを切っている。
あとの問題は・・・・交渉で、帝国と同盟の利益の配分を決める事。
口による駆け引きだから、生き苦しい内容だ --
ゲルラッハ、シュタインホフに視線を向けると二人とも軽く頷いた。悪い話ではない、帝国にとっては十分に利の有る話だ。
「良く分かった。疑念は晴れた。後はフェザーン回廊の出口にそれぞれ要塞を建設する事でフェザーン回廊の中立化を図る、そういう事だな」
「そうです、両国ともほぼ同じサイズの要塞を設置する。直径四十キロ、帝国に有るガイエスブルク要塞を参考にしたいと思います」
ヴァレンシュタインが答えると皆が頷いた。先ず一つ解決か。
「では次に同盟が所持している帝国企業の株について話し合いたい」
ゲルラッハが次の議題を提示した。溜息が出そうになったが慌てて堪えた。
(´・ω・`)あとは平和に相手の心をグサグサ抉る言葉の戦争さんかな。
第百二十七話 国際協力都市ーー帝国は困っていた。
同盟がフェザーンから強奪した十二兆帝国マルクの国債の問題である。
恐ろしい金額すぎて、帝国を崩壊させかねない。
かといって、無効にすると今後、誰も帝国の国債を買ってくれなくなる。
だから、主人公は優しい条件を設け、帝国に全部償還する事にした。
この条件を飲めないなら、フェザーン人に国債プレゼントして、もっと大変な事態にしちゃうぞー!っていう脅迫つきで。
でも、この優しい条件でも、12兆帝国マルクは高すぎて、帝国の財政が危ない。 ーー
「その場合は元の持ち主に返却するとのことです」
「元の持ち主?
フェザーンですか?」
私が問い掛けるとゲルラッハが頷いた。
「はい、そうなると償還条件はかなり厳しくなるでしょう。現状でも償還期限を過ぎている国債が三千億帝国マルク程有ります。フェザーンは直ぐに償還を求める筈です。帝国は十二兆帝国マルクをきっちりとフェザーンに償還する事になります。あまり喜ばしい状況では有りません」
夫が顔を顰めた。フェザーンは例の貴族連合軍の一件で帝国を酷く恨んでいる。十分に有り得る。
「借りた以上返すのは当たり前、であれば有利な条件で返すのが賢明だと言われました」
ゲルラッハが太い息を吐いた。面白くなさそうな顔をしている。シュタインホフが“他にもございます”と後を続けた。
「門閥貴族が没落した事によって帝国の財政は一気に改善した。政府の力も強まり改革も支障なく進む筈。自らの手を汚す事無く代償も支払わぬのはいささか虫が良過ぎはせぬかと……」
(´・ω・`)どんどん経済的な結びつきや、金の動きで戦争できない世の中になっていく・・・
第百二十八話 新秩序
-国債の償還は12兆帝国マルクから値下げして九兆帝国マルクにして帝国に買わせ、同盟は大金をゲット!
元々フェザーンの物だからラッキー。
今回の和平交渉が上手くいったのは、フェザーンという敗者がいるおかげだった。
同盟から見たら大勝利。帝国から見れば負けていない事になる。
フェザーンが不満を持つ問題も、フェザーンは有人惑星を一つしか所有してないので許容できる人口が少なく、平和が続けば続くほど、他の陣営の人口が爆発して影響力が薄くなる
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「不安なんだろう。奴にはお前さんが人間不信になっているように見えるんだ。そしてその原因が自分に有ると思っている。お前さんの影響力が強まるにつれ責任と不安を感じるのさ。もしかすると第二のルドルフになるのではないかとな」
「自分が怪物を生んでしまったと?
まるでフランケンシュタインですね。私は彼が生み出した怪物ですか」
ヴァレンシュタインは薄い笑みを浮かべていた。今更何を言っているのか、そんな気持ちが有るのかもしれない。胸が痛んだ。
「そんな言い方をするな。奴はお前さんにルドルフになって欲しくないんだ。お前さんの力量を認めているからな。だから心配している」
「……」
「本当だぞ、今回の首脳会談が上手く行ったのもお前さんの力量によるものだ。ようやく戦争が終わる。ヤンはその事を喜んでいるよ」
納得した様な表情ではない、しかしさっきまで有った笑みは消えていた。多少は効果が有ったようだ。話を変えた方が良いだろう。
(´・ω・`)フェザーンっていう苛められる相手がいて、皆が幸せな状況だったか。
(´・ω・`)よく考えて作ってある小説だ。
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3 件のコメント:
>更に、主人公もヤンもルドルフ大帝に似ていると言いだした。
返信削除同作者さんの悪夢編におけるルドルフ考察によると
「ルドルフは実は相当な臆病者だったから、政敵の弾圧に勤しまざるを得なかった。自分達の行動に自信が無かったから神聖不可侵であることを説いて、ルドルフの死後にも続く帝政の正当性を主張していた」
みたいな感じだったねぇ。この考察設定を当てはめると、主人公さんのほうがややルドルフに似ている気がするよ
でも同じく同作者さんの海賊編によると
「絶対圧政なんてしないしカリスマ性があるから領民に慕われる、女癖も悪くないから後継者争いが起きることも無い。優秀な人間に仕事を丸投げして自分は趣味をやっていれば良いから、ヤンは同盟人じゃなくて帝国貴族に向いている」
って感じの考察があって・・・・・・
うん、主人公さんとヤンを足して二で割るとルドルフなのかもしれない(´・ω・`)
(´・ω・`)二人を足して割ると、ルドルフ大帝にレベルアップ。
削除全宇宙を弾圧して、人口を減らしまくる大圧政者さんの誕生か。
(´・ω・`)でも、その方が歴史に名前が残って有名になれ・・・げふんげふん。
(´・ω・`)ルドルフは、農業を原始的な手作業レベルにまで戻した元凶とか、後世で非難されそうだよ。