第23話 EXAMシステム --原作を憑依シロッコが改変したせいで、 対ニュータイプ殲滅システム『EXAMシステム』の中に、ララァの魂が生贄として捧げられていた。
眠ったままのララァ嬢を目覚めさせるには、全ての『EXAMシステム』を破壊するしか他になく、残り三つは連邦軍にあるから、戦争で破壊しないといけない。 -
私はそう吐き捨てるように呟く。
『EXAMシステム』はフラナガン機関のクルスト=モーゼスによって造られたシステムだ。本来の開発目的はニュータイプの能力と戦闘力をシステムにより再現できるようにして、戦力底上げを狙うというものである。
しかしクルストはその過程でニュータイプを研究すればするほど、強力なニュータイプによって自分たちオールドタイプは駆逐されるのではないかという強迫観念に支配されていく。そこでいつの間にか『対ニュータイプ』を目的としたシステムの開発に向かっていった。そして完成されたのがこの『EXAMシステム』である。
ニュータイプの意識……『魂』というものをコピーすることで、ニュータイプのような能力をパイロットに与えるのがこの『EXAMシステム』だ。
意識を取り込まれたニュータイプは当然、意識不明になって目覚めることは無い。何故なら、自らの『魂』とも言うべきものをマシーンの中に閉じ込められているからだ。
ニュータイプを生贄に捧げることで完成した対ニュータイプ殲滅システム……それが『EXAMシステム』である。
そして……その生贄になったのが、シャアにとって何よりも大切な彼女、ララァ=スンだった。
(´・ω・`)シャアが友人に恵まれ過ぎているだとっ・・・!
第24話 重力戦線 戦果報告書(前編)−連邦軍は海から大量の輸送船を使って物資を輸送していたが、憑依シロッコのせいで強力な水陸両用MSをジオンが保有しているため、艦隊は全軍消滅に等しい大被害を出していた。
憑依シロッコのせいで、アッガイVっていうステルス性が高く、整備もしやすい傑作機が誕生しちゃったのである。−−−
スウィネン社は元々土木・作業機器のメーカーであり、そんなスウィネン社によって開発された水陸両用モビルスーツが『アッガイ』である。しかし水陸両用モビルスーツにはすでにツィマッド社の『ハイゴッグ』という高性能機がいた。
MIP社ですらその性能を前に巻き返しは不可能だと判断した高性能機『ハイゴッグ』、それよりも数段は性能の劣る『アッガイ』はそのまま歴史の闇に消えていくモビルスーツになるはずだった。しかし、そんな『アッガイ』に一つの光明が灯る。
『アッガイ』はその形状と内部機構によって廃熱と静粛性に非常に優れていた。その上、装甲には特殊電波吸収剤が塗られており、形状のせいもあってレーダーに探知されにくい。その高い隠密性に目を付けた特殊潜入部隊が採用を決めたのである。
同時に、『アッガイ』存続を決めた大きな事件が起きた。あの『ザク情報漏えい事件』である。
この事件によって連邦軍はザクを量産させることに成功した。そのためジオン軍ではザクは旧式化したこともあり順次外見の変わる改装を施されたり、作業用・訓練用に廻されるなどしたが、それでもパーツは大量に余る。
『アッガイ』はザクのパーツを流用しており、『アッガイ』は余ったパーツの受け皿としても注目された。さらにそこにツィマッド社との『ハイゴッグ』とのパーツ共用を考え、あのパプティマス=シロッコ少佐協力の元で再設計されたのがこの『アッガイV』である。
純粋な戦闘能力に関してはさすがに『ハイゴッグ』には及ばないが元になった『アッガイ』と比べ劇的に向上、特徴でもあったステルス性を維持しつつ静粛性ホバー推進システムによる高機動を実現、しかもほとんどのパーツがザクとハイゴッグの流用のためパーツが手に入りやすく整備がしやすいという代物である。
アカハナのアッガイVは、その自慢の静粛性でゆっくり静かに、河から海へと消えていった…
(´・ω・`)これ連邦軍が仮に勝利できても、戦争にお金を使いすぎて財政破綻して連邦滅亡コースじゃ・・・・
第25話 重力戦線 戦果報告書(後編)--ザクを量産するようになった圧倒的な連邦軍の工業力の差を覆すために、ジオン軍は連邦軍の海上輸送網を次々と壊滅させて疲弊させ、MSを操る人間を基地ごと全員皆殺しにする戦略を取ることにした。
MSが幾ら量産されても、それを操る人間さんが居なければ、ジオンは有利に戦える!そういう方針さん。
サイクロプス隊が、この汚れ仕事を引き受けて達成してくれるから、ありがたい。
憑依シロッコは、死んだら自分は地獄に落ちるなと思った。
モビルスーツパイロットは、よく『儀式』を行うことがある。
例えば任務前に新しい本を買って読まずに自室に置いておく。
例えば先の休暇の申請書を作っておく。
例えば酒場で一番高い酒をボトルで買って、封を開けずにおいておく。
例えば……。
その内容は様々、意図的にやりのこしを作ったりして『生きて帰る』という思いを新たにするための『儀式』である。
そして彼にとっての『儀式』こそ、この煙草だ。
作戦中は決して吸わない。そして終わった後の一服のために、また生き残る……そう決意を新たにしながら煙草を元に戻すと彼……『サイクロプス隊』隊長、ハーディ=シュタイナー大尉は部下たちへ通信を送った。
(´・ω・`)戦場は地獄だわ。
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