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第2話  ヒャッハー!犯罪者は数の暴力で虐殺だぁっー!
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「ヒャッハー!クソジジィっー!その重い荷物を代わりに持ってやるから、さっさと休憩しやがれぇっー!
「未来を作る種籾を村まで届けたいだぁっ?な、なんて感動的な話なんだぁっー!俺達が責任を持って連れていってやるぅっー!」

種籾を頑張って村まで持ち返ろうとするヨボヨボのお爺さんへのモヒカン達の対応
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村の全モヒカンを敵に回してしまったマッハ兄貴は病室から逃亡し、村中を逃げ回っていた。
村人全てから慕われていた偉大な名医を殺されたと思っているモヒカン達は、それぞれに斧、槍、ボウガンを手に持ち、マッハ兄貴を本気で殺そうと追ってきている。
その数は、30人にも及び、少しでも足を止めたら、そのまま殺されそうな勢いだった。
家の屋根伝いに逃げているから生存できているようなものである。

「ヒャッハー!命の恩人を殺すようなゴミクズは虐殺だぁっー!」
「こんな奴を助けたのが間違いだったぜぇっー!俺達の手で殺してやるぅっー!」
「待てぇっー!待ちやがれぇっー!大人しく死ねぇっー!」

マッハ兄貴はやろうと思えば、このモヒカン達を30秒以内に皆殺しにする事ぐらいは容易いが、今回は明らかにマッハ兄貴が完全に悪いので、逃走する事しかできない。
飛んでくる矢は回避し、あるいはマッハパンチで落とし、徹底的に逃げに徹する。
しかし、うっかり屋根の瓦が地上へと落ち、下にいたモヒカンの頭へと直撃コースっ!

「アデビッ!」

奇跡的に頭蓋骨が割れ、マッハ兄貴は事故で善良なモヒカンをとうとう殺害してしまったのだ!
モヒカン達は、仲間を殺された事で更に激怒し、マッハ兄貴をぶち殺そうと追いかけてくる。

「死ねぇっー!あいつには幼馴染の巨乳美少女と結婚する約束があったんだぞぉっー!」
「ヒャッハー!今回の仕事から帰ったら結婚式をあげるって言ってたぜぇっー!よくも取り返しのつかない事をやりやがったなぁっー!」
「虐殺だぁっー!絶対に虐殺だぁっー!少し前に幼馴染に夜這いした時の惚気を聞かされたばっかりだぁっー!」

(なんでこんな事になるんだっー!あと、死亡フラグを建てすぎだっー!)

マッハ兄貴は涙目である。
いつの間にか、ただの犯罪者にまで成り下がっていた。
しかも、故郷から歩いて一週間で行ける距離なので、もう故郷に帰れないっ・・・!
マッハ兄貴の未来は暗黒の闇に包まれようとしているのだっ!
そんな絶望的な状況の中、マッハ兄貴は前方をよく確認せずに、屋根を足場にジャンプした事で、着地地点が窓がある事に気が付いていないっ!
ガラスで出来た窓を盛大に音を立てて壊し、その先にいた1人の美しい少女を押し倒してしまっていた!
少女は着替え中だったのか、純白の美しいパンツしか履いておらず、頭を床に激しく打ち付けて気絶中であるっ!
こんな状況で、マッハ兄貴の後ろからモヒカンが驚異的な脚力でジャンプして、部屋に入ってきた事で致命的なレベルで誤解される現場が目撃される事になるっ!

「ヒャッハー!犯罪者は虐殺・・・へ、変態だぁっー!少女を裸にしているぞぉっー!
瞬時に裸にして、レイプしようとしてやがるぅっー!」

モヒカンから見えるマッハ兄貴の体勢は、これからか弱い少女を犯そうとする変質者の体勢にしか見えなかった!!
他のモヒカン達も、すぐにジャンプして部屋に次々と入ってきた事から、彼らのマッハ兄貴の憎悪が更に深まってしまうっ!

「ヒャッハー!レイプ魔はその少女を解放するんだぁっー!」
「俺はこの日ほど後悔した日はねぇぜぇっー!こんな性根がゲスなゴミを助けるなんてよぉっー!」
「早く放すんだぁっー!放さねぇとぶち殺すぞぉっー!レイプしていいのは責任を取れる覚悟がある奴だけだぁっー!」

マッハ兄貴の心はもう限界である。
大泣きしながら、モヒカン達とは反対方向の部屋を破壊し、そのまま村の外まで素早く逃走したのだった。

















村を出てからのマッハ兄貴は心も身体も追い詰められていた。
核戦争で出来あがった荒野は肉体に厳しく当たってきて優しさの一欠けらもない。
救世主ではなく犯罪者としての汚名を着せられたせいで、故郷にも帰れない。

「た、太陽の日照りが憎いっ・・・!
俺はもう愛などいらぬっ・・・!
慈悲もいらぬっ・・・!強さだけがあればよいっ・・・!」

現実が辛すぎて現実逃避をしている。
世界を変える救世主になるという待望を胸に抱いて故郷をでて、一週間で犯罪者になってしまった男のセリフがこれだった。
マッハ兄貴は、そんな事をぶつぶつ呟く不審者になりながら、荒野をひたすら歩いていると、前方から砂埃をまき散らしながらバイクで走ってくるモヒカン達の姿がある。
全員がボウガン、斧、火炎放射器で完全武装し、既に戦闘態勢だった。
数も100人ほどいて、まさに圧倒的な光景である。
普段のモヒカン達なら、ヒャッハーと言いながらマッハ兄貴を助けてくれるのだが・・・

「「「「「「「「「「「「「「「「「「ヒャッハー!美少女をレイプするようなゴミは虐殺だぁっー!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

なんとっ!マッハ兄貴を殺すためだけに、悪人顔のモヒカン達がここまでやってきただけだった!
マッハ兄貴の情報もモヒカン達が伝言ゲームをしたせいで誇大に膨れ上がり

「命を助けてもらったお医者様を拷問して殺害したらしいぞぉっー!こんなゴミに生きている価値なんてねぇっー!」
「ヒャッハー!美少女を10人レイプして監禁して殺害したって話を聞いたぜぇっー!レイプはともかく、責任は取らないクズは死ねぇっー!」

マッハ兄貴の絶望的な戦いが始まった!
もう、精神的に苛められすぎて、心は修羅であるっ!












まずモヒカン達は、バイクに乗りながらボウガンの照準をマッハ兄貴へと定め、次々と鉄板を打ち抜きそうな感じの速さで矢を連射している。
1人がバイクを操縦し、もう1人のモヒカンが連射できるボウガンを撃ちまくるという連携により、マッハ兄貴の周りに数百本の矢が殺意をもってやってくるっ!
マッハ兄貴は、何処に移動しても回避するのは不可能だと判断し、音速を超えるマッハパンチの衝撃波を繰り出して、安全地帯を作りあげ、そこに移動する事で全ての矢を回避したっ!
しかしっ!その逃げた場所に斧で武装し、バイクという圧倒的な機動力で迫ろうとしている10人のモヒカンがやってきているっ!

「「「「「「「「10蓮虐殺ストーリームヒャッハーアタックっー!」」」」」」」」

モヒカン達なりの拘りがあるのか、1列に並びながら走行し、必殺技っぽい名前を同時に叫んでいたっ!
この必殺技は、何処に逃げようとも、10人のモヒカンが対象1人を確実に殺しつくすべき考案された究極の連携必殺技っ!であり、今までこれから逃れた犯罪者は誰ひとりいないほどの攻撃であるっ!
しかし、マッハ兄貴はマッハパンチを放ち、音速を超える真空波を地面に向けて放った事で、モヒカン達の前に膨大な砂埃が巻き上がり、前方が見えなくなった!
そして、マッハパンチで、地面が陥没しているせいで、次々とモヒカン達のバイクは盛大に転がって、飛び出したモヒカンの身体が荒野を何度もバウンドし、大変な事態になるっ!

「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」」」」」

バイクは爆発炎上し、モヒカンは各所へと吹き飛ばされ、全員が重傷だっ!
10台もバイクが転倒したせいで、定期的にドカーンドカーンと爆発音があがる事も場の雰囲気を悪い意味で盛り上げているっ!
残った90人くらいのモヒカン達が、この光景を見て

「あ、あの10蓮虐殺ストーリームヒャッハーアタックっーが破られただとっー!ありえねぇっー!」
「な、なんて強い化物なんだぁっー!俺達じゃ勝ち目がねぇっー!」
「に、逃げるんだぁっー!もっと増援を呼ばないと無理だぁっー!」

茫然と棒立ちしているマッハ兄貴を余所に、勝手に撤収したっ!
普通に10人のモヒカンを見捨てているが、全員マッハ兄貴の近くにいるので救出を諦め、これ以上の犠牲を出さないためのモヒカンなりの配慮だ。
マッハ兄貴は、モヒカン達が去った事を喜べばいいのか、嘆けばいいのか分からず、誤解を解こうと重傷なモヒカン達の治療をしようと近寄る。
そうすると重傷でも元気溌剌なモヒカン達が盛大に涙を流しながら

「俺にトドメをさせばいいっ!その代わり、仲間には手をだすなぁっー!」
「俺を殺してもいいから、皆の命を救ってくれぇっー!」
「お前がホモなら、俺の尻の穴を掘れぇっー!俺の貞操の代価に、皆を見逃してくれぇっー!」
「や、やめろぉっー!近寄るなぁっー!俺達は既に瀕死の重傷だぁっー!もうじき死ぬっー!」
「俺には妻も子供いるんだぁっー!俺が死んだら誰が養うんだぁっー!こいつらにも嫁と子供がいるから助けてくれぇっー!」

マッハ兄貴は場の雰囲気と、モヒカン達の言葉に絶えられず、涙を流しながら場を立ち去った!
あまりにもモヒカン達が善良で仲間想いで、マッハ兄貴とは別次元の世界に住んでいるせいで、マッハ兄貴は生きるのが辛かったっ!

「もういやだっ!山に引き篭もるっ!」








あとがき

(´・ω・`)マッハ兄貴を蹂躙してやったぞぉー!ヒャッハー!

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