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15話 地下都市の夜
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子供「電気税を払わないとどうなるの?」
教師「最終的に酸素を作るための電力がなくなって、全員酸欠になって死にます。
更に言うと、明りは消え、野菜工場が停止して食べる物がなくなり、電力依存のガードロボットが動かなくなり、治安が崩壊しておしまいです。」
子供「なにそれこわい」
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妖精を魔力電池にする鬼畜施設から出れた事で、ぼくはホッと一息ついた。
もしも、猫さんに悪意があったら、犬の肉や猫の肉を食べさせられて、犯罪者にされて売られると思っただけに緊張したよ。
・・・あれ?屋内から出たのに地下都市が真っ暗だよ?
遥か頭上にある人工太陽があんまり明るくないの。
真っ白の人工太陽を直視しても平気で、今は月明かり程度の照度だね。
ゆっくりと地下都市の上を人工太陽が移動しているよ。
現実の太陽と月を、人工太陽で再現しているんだね。少し感動しちゃったかも。
技術って凄い。
「もう夜の時間帯なのにゃ。」
隣にいる猫さんが呟いた。
ここで聞いておかないと駄目っぽいね。
分からない事を分からないままにすると、たくさん殺される気がするよ。
「夜?」
「地下都市は人工太陽の明るさを調節する事で、昼間と夜を演出しているのにゃ。
24時間昼間にすると、住民の精神が狂って壊滅した区画が発生した過去があるから配慮されているにゃ。」
「・・・・地下で暮らすのって大変なんだね。」
「そうにゃ。
以前は帰還魔法で核兵器がテレポートしてきて大変だったそうなのにゃ。
地下都市の生活は大変にゃ。」
もうやだ、この世界。
何か聞く度に、物騒な話ばっかりだよぉ。
ちょっと人工太陽の技術に感動したら、次の瞬間に台無しすぎる。
・・・・そういえば、凄く眠いね。ご飯も食べたいな。
「ねぇ、猫さん。
泊まる所って何処にあるの?
美味しいご飯が食べたいよ。」
「わかったにゃ。わかったにゃ。
少し待つのにゃ。」
猫さんが頷いて、猫さんの目の前に浮いているボタンを押してアイテム欄を出す。
日本語の文字列がずらりと並んでいて、慣れた手つきでポチッポチっと操作すると、次の瞬間、青色の寝袋が地面に落ちていた。
寝袋は上から入る形式になっていて、とっても暖かそう。
丁度、僕にぴったりなサイズだね・・・え?まさか・・・・野宿?
「あ、あの、猫さん?
宿は?」
「地下都市は基本的に安全にゃ。
たまに泥棒が居るくらいにゃ。」
「美味しいご飯は?」
「明日になったら食べさせてあげるのにゃ。
夜は一部の店しか営業してないにゃ。
妖精区は店が極端に少ないから困るのにゃ。」
「・・・寝袋1個だけだよ?」
「大丈夫にゃ。
密着すれば一緒に寝られるのにゃ。」
やだ、ドキドキする。
こんな見晴らしの良い場所で野宿なんて・・・・恥かしい。
黒くてモフモフの猫さんと一緒に寝れるなんて・・・・中身が凄く外道な畜生だと理解しているから辛いよ。
ビクンビクンっ・・・!
「どうしたのにゃ?
早く来るのにゃ。」
僕が悩んでいる間に、猫さんは既に寝袋に入っていた。
頭と片手だけを出して、片手でコッチコイコイって手を振ってる。モフモフな外見が可愛らしい。
やだっ・・・!可愛すぎるよっ・・・!
この猫の愛らしさっ・・・!僕の心をわし掴みにしちゃうよ!
猫可愛い!
「う、うん、わかった。」
あと、猫さんの機嫌を損ねないためにも、僕は寝袋の中へと入った。
隣に猫さんがいて密着しているような体勢だから気持ち良い。
猫さんの身体、すごくモフモフして可愛いよ!
うっかり、猫さんの身体をあちこち触ってしまうほどに手触りが良かった。
「やめるのにゃっー!
セクハラはいけないことなのにゃっー!」
ふふふふふふふふ。
密着しているから、猫さん反撃できないよ!
僕を殺したら、寝袋が血で台無しだもんね!
今までの鬱憤を晴らせさせてもらうよ!モフモフ!
猫さんの顔可愛いよぉ!
撫でてあげるね!
顎の所もたくさん触ってあげる!にゃごにゃご!
気持ち良い!これ良いよ!猫さんモフモフで最高だよ!
わぁ!猫耳だよ!猫耳!
可愛いよ!可愛い!
猫いいよ!猫可愛い!癒される気持ちになっちゃうよ!
ゆわわーい!
「いい加減にするのにゃっー!」
猫さんが僕の両脇を掴んで立ち上がり、勢い良く寝袋の外へと放り投げた。
その時、猫さんの爪が思いっきり刺さって、服が破れて肉が裂け、血がシャワーのように出血している。
ドサッ
地面に倒れた僕は、声も出すのが辛かった。
血が出すぎて、脳 味 噌 が 動 か な い
痛くて辛い。
【トモエは出血死で死亡した。
復活しますか?(レベル20まではデスペナルティは発生しません。)】
また、全裸の幽霊ボディになっちゃった。
酷いよぉ。
猫さんに抱きついて、あちこち触っただけなのに酷いよ。
グスン。
「夜這いなんて1万年早いのにゃっ!
我輩に抱いて欲しかったら、もう少し身体を成長させるのにゃ!
一晩、幽霊のままで反省するのにゃ!」
あれ?
なんか酷い勘違いを受けているよ!?
僕、猫さんの身体が気持ちいいから触っていただけなのに、夜這いだと勘違いされているよ?!
こんなの酷いよ!
僕、幽霊の身体で考えたんだけど、この世界ってとっても酷いと思うの。
なんか、安全な場所だと思ったのに、地下都市の区画を移動する度に検査で殺されるし、餓死するし、安全地帯も録でもない場所すぎて辛いよ。
僕の死体が地面に横たわっていても、誰も気にしない時点でフリーダム。
蜘蛛みたいなロボットのガードさん達がたまにやってくるけど、気にもせずに無視してる時点で倫理観が可笑しいよ。
普通、殺人事件だから警察の人とかたくさんやってきて、写真をパシャパシャ撮るよね?
なんで、僕の死体を無視するの?
こんなにも翠色の髪が長くて可愛くて、美しい9歳児なのに扱いが可笑しいよ?
不幸だよ・・・
絶対、世界の方が間違ってるよ。
きっと、本当の僕は夜の地下都市の上空を飛んでいる妖精さんの方が、本当の僕なんだよ。
こんな地べたで死体で転がっている僕はきっと偽者なんだよ。
なんか、大きい白いワンちゃんがやってきて、死体が足で踏み潰されてるし、可笑しいよね。
白い犬は2mくらいありそうで大きいよ。
背中に銀髪の可愛らしい妖精が乗っている。スカートの隙間から青と白の縞々パンツが見えたよ。
男の人に襲ってくださいって言ってるようなもんだよね。
変態さんなのかな?
「ワン?」
「どうしたの?
・・・やだ、妖精の死体だよ!」
普通にアイスちゃんだった。
この地下都市に来る前に、僕を氷の魔法で凍死させた娘だよ。
僕よりも可愛くて恵まれてるなんて、嫉妬するしかないよ。
僕は猫さんに抱きついただけで殺されるのに、白い犬に乗って散歩とか羨ましいよ!
白い犬に抱きついてモフモフしたい!
格差差別反対!
その白いモフモフのワンちゃんを僕にも寄越すべきだよ!
・・・・・・あれ?犬が僕の死体に口をつけてるよ?
「ワン!ワン!」
「こ、こら死体を食べちゃ駄目だよ!」
食べられちゃった。
食欲的な意味で。
白い犬が僕の死体に齧りついて、むしゃむしゃ勢い良く食べてるの。
アイスちゃんはそれを必死に止めるけど無視だよ。
「ワン!」
「アタイの命令が聞けないのっ!?」
「ワン!」
「病気持ちかもしれないから、食べちゃ駄目!」
この世界の犬は、猫さんと同じくらいの畜生すぎて人生辛いよ!
皆、精神病院行くべきなの!
あとがき
(´・ω・`)風邪引いた。
(´・ω・`) 体 が 複 数 欲 し い で す?
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