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14話 人工太陽 = 不老不死な冒険者電池☆
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昔はよくあった出来事
女冒険者「このステーキ美味しいね!
何の肉なの?」
ゲス「猫の肉だよ。
つまり、食べたお前は重罪人だよ。」
女冒険者「は、謀ったなぁっー!」
ゲス「うるせぇ!
何の肉か確認せずに食べた奴が一番悪い!
さぁ、今日からお前は私の奴隷だぁっー!」
女冒険者「ここで自殺しまくって、犯罪者モードを解除するよ!
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「次は加工された妖精達の姿を見に行くのにゃ。」
僕は猫さんの事が怖くなってきた。
平然と食料をくれなくて僕を餓死させたり、初対面の時に30回も殺してくれたりしたり、倫理観が僕と違いすぎる事に気がついたよ。
あと、この施設の・・・・薄くて黒い扉を平然と開けて、入ってこれるのか疑問すぎるんだ。
小学校の工場見学で行った事あるけど、工場って普通は外に検問みたいな場所があるよね?
なんで、この工場は検問ないんだろう。
この施設、扉のすぐ外の通路を通ると、簡単に外部に出れちゃう。
この環境じゃ妖精逃げちゃうよ?
・・・・・・・・・・よく考えたら、地下都市にガードさんがいるから、犯罪者になるだけで銃で射殺されちゃうって事に気がついたよ。
この妖精区では、あんまりガードさんを見ないけど、見晴らしが良い高所から見下ろしているガードさんがいたから、犯罪者は銃殺されちゃうんだね。
そりゃ、妖精達は逃亡できないよ。
この施設から出たら、すぐに射殺されちゃうんだもん。
「ちゃんと前を見るのにゃっー!」
あれ?色々と考え事をしたら、猫さんが開けた扉が目の前で閉じて・・・いたいいいいいいいいいいいいいいい!!!!
この扉凄い重量で、僕を真っ二つにしていたいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!
僕の身体が縦から真っ二つになって、扉の向こうと、こちら側に転がっていて即死だよ!
この扉、人体を簡単に切断できる時点で重すぎるよっ!?
幽霊の身体で僕の死体と扉にツッコミを入れる現実が辛いの!
【扉に挟まれて死亡した。
復活しますか?(レベル20まではペナルティは発生しません。)」
猫さん酷いよ。こんな重い扉から手を放すなんて外道だよ!
「扉が重いから支えるのは疲れるのにゃっ!
トモエは何度も死にすぎにゃっ!
反省するのにゃっ!」
なんで、怒られるんだろう。
僕、9歳の女の子なのに・・・・辛いよ。
パパと一緒にスイーツ食べたい。お風呂入りたいよ。
・・・あれ?僕、猫さんと一緒にここから出ないと、扉が重すぎて開けられないから、とても酷い目にあっちゃうの?
ビクンビクンっ・・・!
猫さんにここで嫌われたら、触手にエッチィ事をされた後に魔力電池に加工されて大変だよ!
早く復活ボタン押さなきゃ!
ここで置いていかれたら、僕まで家畜にされちゃう!
「早く復活するのにゃ。
トモエはここに置いていかれて、家畜にされてもいいのかにゃ?」
ビクンビクンっ・・・!
扉が重すぎるから、妖精達には逃亡する選択肢すらないって気がつかされたよ。
さっきの妖精達が呑気に遊んでいる風景って、確実にやってくる現実を忘れるための現実逃避だったんだね。
復活してすぐに繁殖場から出たよ。
あんな異常な場所は、僕の精神衛生上良くない。
この世界は狂気の沙汰すぎるの。
・・・・ここの通路って、あちこちに照明があって明るいけど、この電力を、妖精達を犠牲にして作っていると思うだけでオゾマシイって思う。
どうして他の方法で発電しないんだろう。
前の世界だと、原子力とか火力、水力、風力、太陽光とか色々あったのに。
これは猫さんに聞くしかないよね。
ひょっとしたら僕の持つ知識で、大勢の妖精達が救われるかも☆
「ねぇ、猫さん。
妖精を犠牲にしなくても・・・エネルギーは自給自足できるって思わないの?」
「にゃっ?
何を世迷言を言っているのにゃ?
妖精の魔力電池がとってもクリーンで、エコなエネルギーにゃ。」
それは猫さんのエゴだよ、エコじゃないよ。
「た、例えば、水の流れを使って発電したり、太陽の光を集めて電気にしたりとか、そういう技術はないのっ?」
「トモエは、ここが地下都市という事を忘れているのにゃ。
太陽の光なんてないし、水の流れは地下水脈くらいにゃ。」
そういえば、ここ地下なんだよね。
なら火山活動を利用する地熱発電とかどうなんだろう。
エコなエネルギーってTVで出ていた記憶があるよ。
「地熱発電なら、地下でも発電できるよ!」
「地熱発電?それはなんなのにゃ?」
「火山活動の熱を利用して、発電する方法だって誰かが言っていたよ!」
「・・・・そんな危ない場所に、地下都市を作る訳がないのにゃっー!
トモエは現実逃避をやめて、現実を見ればいいのにゃ!」
猫さんが顔を近づけてきて怖いよ。ビクンビクンっ・・・!
中身がとんでもない畜生だって分かると・・・緊張しちゃってオシッコ少し漏れちゃった。
スカートが湿っていて恥かしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁいいや。
また死んだら、服は新品になるしどうでもいいよね。
「トモエは非常識で困るのにゃ。
でも、我輩は優しいから、知らない事は何でも教えてあげるのにゃ。
報酬は出世払いでいいにゃ。
ションベンを洩らすガキがマスターなんて、吾輩は不幸なのにゃ。」
猫さんが顔を左右に振ってヤレヤレだって感じに飽きれているけど、こっちも猫さんに常識って奴を持ってほしいよ。
人 間 の 常 識 が 足 り な い の !
通路を歩いた先にも、重すぎる黒い扉があった。
外見からは、そうは思えない薄さなんだけど、挟まれたら僕を真っ二つにするくらいの重量があるから怖いよ。
猫さんはよくこんなに重い扉を開けられるよね。
ガチャ
猫さんの力で重い扉が、普通の扉と同じ様に簡単に開いた。
うわ、猫さんの力つよい。
早めに扉を通らないと、また真っ二つにされるから急がなきゃ・・・あれ?
部屋に入ると、なんか、すごく、下品な光景が見えるの。
数百人の裸の少女達が透明の容器の中に居て、目を瞑って眠っている。
全裸だよ。全裸。
僕みたいな貧相で幼い体つきなの。
顔は、僕みたいに可愛らしい美少女フェイスで、小さい娘が好きな人にはたまらない魅力があると思うよ。
男の人が居たら大変すぎる光景だよ!
「これが魔力電池にゃ。
持ち出したら、我輩のカルマの高さでもメッセージボードが一瞬で赤になる大罪だから触ってはいけないのにゃ。 」
しかも、僕の隣で猫さんが平然と説明していたよ。
僕の想像だと、魔力電池に加工されるって聞いたから、身体をバラバラにされると思ったのに、五体満足なんだね。
皆、無表情に目を瞑ってる。
まるで、死んだように眠っていて・・・・あれ?これって
「全部、遺体なの?
ねぇ、全部死体?」
僕の想像通りだとしたら、やばいよ。
猫さんは楽しそうな顔で僕の問いに
「違うにゃ。全部生きている妖精にゃ。
以前、魔力は魔力を回復させるスキルがないと、睡眠以外では自然回復しないと説明した事があったにゃ?
それを利用して、常に睡眠状態に置く事で魔力を回復させて、100年〜1000年くらい持つ魔力電池として運用しているのにゃ。
昔は10年で、この冷凍睡眠装置が壊れて、魔力電池に使われている妖精が腐る時代もあったそうにゃ。
技術の進歩は素晴らしいのにゃ。
感動するしかないにゃ。
トモエもそう思うのにゃ?」
「えーと、技術の進歩で妖精の犠牲者が減ったって事だよね?」
「違うにゃ。
地下都市も規模を拡張したり、人口が増えたから昔の10倍くらい魔力電池にされる妖精の数が増えたのにゃ。
おかげで魔力電池の業者は大儲けにゃ。」
もうやだ、この世界。
希望的な観測に縋ろうと思った瞬間に、現実が叩きのめしてくるよ。
皆、キチガイだよ。キチガイ。
精神病院に入院すればいいよ。
「特に一番良い魔力電池は、魔力回復スキルを覚えた冒険者や神の眷属なのにゃ。
金貨1億枚以上で取引される超高級電池にゃ。
人工太陽の電池として大活躍にゃ。」
あれ?
なんか不穏当な言葉が入っていたよ?
僕と同じ冒険者まで電池にされちゃうの?
「あ、あの猫さん。
今の話って本当なの?」
「にゃ?
冒険者や神の眷属を使った電池の事かにゃ?」
「うん、僕と同じ冒険者も電池として使うの?」
「当たり前にゃ。
魔力回復スキルを常時使う事で経験値も自動的に入って、勝手にレベルアップする最高級品になるのにゃ。
不老不死なら無茶な運用をして壊れても、すぐに蘇生するから管理も簡単にゃ。
各都市に明りを齎している人工太陽には、必ず神の眷属や冒険者が使われているのにゃ。」
地下なのに妙に明るい太陽があると思ったら、とっても鬼畜な内容だったよ。
これは酷すぎるよ!
「そ、そんなの酷いよ!
どうして猫さんは、そんな酷いことを許せるの!?」
「魔力電池に使われている冒険者は、犯罪者だから人権なしにゃ。
だから、何の問題もないのにゃ。
主に猫の肉や、犬の肉を食べた大罪人が魔力電池にされるのにゃ。」
「・・・・犬や猫の肉を食べたら犯罪者なの?」
「そうにゃ。
重罪になるから、食事の時には気をつけるのにゃ。
数多くの冒険者が、宿屋で出された飯が、犬の肉だと気づかずに食べて、魔力電池にされた過去があるにゃ。
その経緯もあって、地下都市では猫や犬の肉を出す事を禁じられたけど・・・たまに事件が発生するのにゃ。」
酷いよ。
こんなの絶対に可笑しいよ。
そんなに神様が定めたルールが大切なの?
犯罪者になった人には、どんなことをしてもいいの?
もうやだ、この世界。
「でも、最近は冒険者を使った魔力電池は少なくなったのにゃ。
冒険者達の権力と財力が声が大きいから反対されて、今は神の眷族を魔力電池にするのが大人気にゃ。」
「あれ?
ね、猫さんも神の眷族だよね?
可笑しいと思わないの?」
「大丈夫にゃ。
本人も同意した上で、魔力電池になっているのがほとんどにゃ。」
どういう事なんだろう。
皆のために犠牲になる自己犠牲精神が強い聖人さん達ばっかりなのかな。
僕の顔を見て、猫さんが首を傾げて
「不思議そうな顔をしているにゃ?」
「全部不思議だよ。
猫さんも、この世界も、地下都市も、全部不思議でツッコミ入れるの諦めたよ。」
猫さんが爪で顔を少しだけ掻いてから
「ゆんやー神に、金貨1億枚捧げると誰でも神の眷族になれる事を利用して、政府が一部の妖精を神の眷族にしているのにゃ。
魔力回復のスキルも覚えさせて、1万年契約で人工太陽の電池になってもらってるにゃ。」
「え?」
「妖精から見ても、政府から見てもお得な取引にゃ。
妖精から見れば、1万年後に目を覚ませば、不老不死の素敵ボディで第二の人生を歩めるお得プランなのにゃ。
政府は優しいのにゃ。
トモエもそう思うのにゃ?」
「う、うん。
たぶん、良い契約だと思うよ。」
なんだろう。
違和感を感じる。
妖精を家畜化している時点で、約束なんて守らずに・・・・1万年後も魔力電池のまま運用している気がするの。
僕の気のせいかな。
「魔法を使える妖精は、世界最強にゃ。
圧倒的な機動力で縦横無尽にダンジョンで戦えるのにゃ。
そういう妖精は、とても幸運に恵まれた存在にゃ。」
猫さんがモフモフした顔で会話しているから可愛いけど、外見だけの可愛さだよね。
僕みたいな内面も可愛らしい美少女を見習った方が良いと思うの。
「だから、トモエも頑張るのにゃ。
金貨100万枚貯められるように仕事を紹介してあげるのにゃ!
我輩はとても優しい猫にゃ!」
猫さんの素敵な笑顔。
ああ、僕、たくさん死ぬような目に会うんだろうなぁって理解したよ。
さっきも、死ぬ事が僕の個性だって言って褒めていたし、命が軽い仕事をやらされちゃうよっ・・・!
ビクンビクンっ・・・!
あとがき
(´・ω・`)冒険者は最高級の電池です。
間違いありません。
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