13話 妖精さんは優秀な魔力電池☆
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政府「税金払え」
妖精「僕達、労働の義務果たせないくらいに身体能力低いよ?
水商売も生命力低すぎて、すぐ死亡しちゃうの。」
政府「うるさい税金払え」
妖精「で、でも、お金を稼げないの!
お願いだからそれを理解して!
生活費も稼げないから補助金とかくれると嬉しいよ!(チラチラ 」
政府「うるせぇ、税金払えない妖精なんざ奴隷にする価値もない。
全員、家畜だ!」
妖精「工エエェェ(´д`)ェェエ」
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僕が猫さんと一緒に通路から施設に入って見た光景は、猫さんの物騒な言葉とは裏腹に平和だった。
数多くの妖精達が通路中を鬼ゴッコしたりして走り回り、お菓子を食べ、遊んでいる。
5歳児〜10歳児くらいの小さな娘達ばっかりで、皆がスカート履いていて可愛らしいよ。
妖精って種族的特徴なのか、顔が整っていて美しいんだ。
「鬼ゴッコしよう!」
「わぁー、すごいねー」
「このオレンジジュース美味しいよ!アタイわかるもん!」
「来週は子作りの練習だって、興味あるよね。」
「明日は何して遊ぶ?」
でも、二つだけ、致命的な違和感を感じさせる点があった。
皆・・・・・・頭の上のメッセージボードが真っ赤なの。
つまり、犯罪者。人権が保障されず、殺しても犯しても文句を言われない身分。
【パンツちゃん 妖精Lv1】← 赤
【パンちゃん 妖精Lv1】← 赤
【ゴハンちゃん 妖精Lv1】← 赤
【ギュウニクちゃん 妖精Lv1】← 赤
【スキヤキちゃん 妖精Lv1】← 赤
【スシちゃん 妖精Lv1】← 赤
【ハンバーガーちゃん 妖精Lv1】← 赤
ビクンビクンっ・・・!
僕、身体が恐怖で震えているの。
この地下都市が公然と、僕と同じ種族を家畜扱いにしているなんて怖いよ。
待遇は良いみたいで、妖精達は明るい感じだけど最後は魔力電池に加工されるって知っているのかな?
この能天気っぷりを見ると自分達の運命を知らないだけな気がするよ。
あと、巨大な触手さんがいる。
【触手大魔王
LV321 】 ← 青
「来週は子作りの授業でござるよ!
モテモテでごめんでござる!うひょうひょうひょっ!」
なんか、妖精達が遊んでいる輪の中に、巨大な触手の化物がいて、小さな娘達と遊んだりして平和だけど外見がキモイ。
最低でも2mくらいの大きさがあって、たくさんの赤色の触手で構成されていてやばいよ。
触手からぬちゃぬちゃした粘液が垂れていて汚い。
発言もなんか不審者っぽいロリコンだよ。
この異世界怖い。
日本の常識と違いすぎて・・・もうやだ、おうち帰る。
でも、この世界には帰るお家がない。
グスン
この世界で頼れるのが猫さんくらいしかいないや。
「ここが妖精の繁殖場兼生活の場にゃ。
10〜20歳になった妖精は、市場の需用に応じて魔力電池に加工されるのにゃ。
それまでは遊んで暮らす楽園にゃ。」
猫さんが隣で平然としていて怖いの。
何処からツッコミを入れればいいんだろう。
あの巨大な触手からかな?
「ねぇ、あの触手って何なの?」
「あれは触手っていう種族にゃ。
性欲が激しくて、相手の女性を殺すまで愛してしまう事もある嫌われ者って、以前説明したのにゃ。
もう忘れたのかにゃ?
10歳を過ぎて子供を妊娠できるようになった妖精に種付けして、妖精を増やすのと、妖精の生活の面倒を見るのが仕事にゃ。
だから、決して近づいちゃ駄目にゃ。
トモエが妊娠させられるのにゃ。」
ビクンビクンっ・・・!
ここじゃ妖精は馬や豚と同じ価値しかないよ!
家畜を増やすのと同じ感覚で猫さんが会話していて駄目すぎる。
これは・・・・抗議するしかない。
立場が弱すぎて家畜並の待遇なんて絶対に可笑しいの!
「こんなの可笑しいよ!
力が弱くて死にやすいからって、家畜扱いするなんて畜生のやる事だよ!
猫さんは、この光景を見ても可笑しいと思わないの!?」
「どうしたのにゃ?
政府は、善意で妖精を飼ってあげているのにゃ。
この待遇の何が不満にゃ?」
僕は猫さんの外道すぎる返答に驚いた
猫さんが正真正銘の畜生すぎて人生辛いよ。
「可笑しいの!
妖精を繁殖させるための場所を作ったり、魔力電池にするために加工する事そのものが間違っているよ!」
「・・・・トモエは常識がないのにゃ。
妖精の待遇は、過去の歴史と比べてみても、格段に扱いが良くなったのにゃ。
これ以上の待遇アップは過保護って奴にゃ。」
ビクンビクンっ・・・!
僕、哀れな娘扱いされてるよ。
涙出ちゃう。
猫さんは言葉を続けて
「妖精が自立して働いて、税金を納める事が可能だと、トモエは思っているのかにゃ?
税金を納める事ができないと、普通は奴隷の烙印を押されて、都市の外で強制労働にゃ。
ここなら、魔力電池に加工されるまでの間は、食欲を満たして、安心して遊んで暮らせるのにゃ。
最低でも10年は遊んで暮らせる待遇が保障されているのにゃ。」
「よ、妖精だって頑張れば働けるよ!
決めつけは良くないの!」
「なら、どんな仕事なら働けるのにゃ?
吾輩にそれを話して欲しいのにゃ。」
どうしよう。僕、この世界の仕事を知らないよ。
えーと、筋力低い、耐久力低い、生命力低い・・・・そうだ!可愛さだよ!
僕は、自分の圧倒的な可愛らしさを誇示するために、スカートの両端を掴んで、太ももが見えるくらいに持ちあげて、クルリッと場で一回転したの。
スカートの裾がフワリと広がって、すぐにストンと落ちて元に戻る。
お父さんの目の前でこれをやったら喜んでくれたから、男の人をメロメロにできるよ!
男の人は、女の子の太股が大好きだもん!って聞いた事があるの。
「アイドルになれるよ!
僕、可愛いもん!
アイドルになれば大金稼ぎ放題なの!
目指せトップアイドル!」
完璧な解答だよね?あれ?
猫さんがプルプル震えているの。
「せ、世間知らずにも程があるのにゃっー!
世迷言もいい加減にするのにゃっー!
生命力と耐久力が必要なアイドルに、生命力が低い妖精がなれる訳がないのにゃっー!」
「え・・・?アイドルって生命力必要なの?
踊ったり、歌うだけだよ?」
「当たり前にゃ。
歌が下手だと、魔法や銃弾や石が飛んできて殺されるのにゃ。
歌や演奏が下手な奴は攻撃して殺してもいいって、神が作ったルールで決められているにゃ。」
「常識が可笑しいだけだよ!」
もうやだ。この世界。
芸能業界が物騒なの。
血みどろのスプラッターすぎるよ。
「非常識なのはトモエにゃ。
かの伝説のエルフのピアニストなんて、LV200になってからようやく音楽を習い始めるほどの周到さだったにゃ。
死なないための防御手段と生命力を得てから、音楽をやるのが一般常識って奴にゃ。
アイドルのオーディションの参加条件が、LVの高さと生命力な事は有名な話なのにゃ。」
「・・・・じゃ、どうやって僕は金貨100万枚稼げばいいの?
アイドルになれないなら、大金を稼ぐ方法なんて思いつかないよ。」
「他の妖精な冒険者達の話を聞いたり、トモエの取り柄を利用すればいいのにゃ。」
あれ?
猫さんが僕の良い所とか見ていたの?
て、照れちゃうな
僕、顔が真っ赤になりそう。
猫さんの黒くてモフモフな顔を見るだけで癒されるよ。
「トモエは死ぬのが得意にゃ?
なら、それを活用した仕事をすればいいにゃ。
何回死んでもすぐに蘇る事が出来るのは、自慢してもいいにゃ!
吾輩が立派な妖精として育ててあげるにゃ!」
あれ?
猫さんの言動が怖いよ。
なんか、何回も死ぬ事を前提とした仕事をやらせる気満々だよ!
きっと僕、とてもつもないほどに酷い目に会う予感がするのっ・・・!ビクンビクンっ・・!
あと、僕の背後から触手の下品な声が聞こえる。
「君は20歳過ぎたでござるな!
年増は魔力電池になるでござる!
拙者は15歳以下じゃないと興奮できないでござるよ!」
「やだやだ!
私はまだ死にたくないよ!
ここでずっと皆と一緒に遊んで暮らすの!」
「うるさいでござる!
ここでの生活費は、魔力電池になった先輩妖精達のおかげで出ているのでござるよ!
皆のために進んで犠牲になるのが、淑女の義務でござる!」
「いやぁぁぁあぁぁぁ!!!!!
加工所はやだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「今まで楽しかったでござる!
子作りしてスッキリーした夜は忘れないでござるよ!」
地獄だ。
この世界。地獄だよ。
背後を振り返りたくない。
お家に帰りたい。
猫さんに見捨てられたくない。
見捨てられたら・・・・・きっと、恐ろしい事になる。
「あと、こういう言葉があるのにゃ。
家畜には神様なんていないのにゃ。
とても有名な偉人の名言にゃ。
だから、家畜の運命なんて気にする必要ないにゃ。
理解できたかにゃ? ト モ エ 」
猫さんが怖いよ。
モフモフで黒くて可愛いけど、それって外見だけな有様だよ。
中身は極悪人なの!
あとがき
(´・ω・`)さぁ、皆もゆんやーオンラインをやろう。
妖精プレーで。