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ドラゴン転生
10話「遊ぶ国」3KB 

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「人間は頭がいいから、明日のこととか、来年のことを考えちゃうでしょ。そうじゃなくて、もうちょっとばかになって、今日のことしか考えられないと、幸せになりやすいのにね」

【遊びの天才】所ジョージ






かつて地球の20世紀を生きた人々は、未来の世界をこう思い描いていた
――車は空をビュンビュンッ飛び、全員が銀色の格好悪いスーツを着て、高層ビル群の間に建設されたガラス製のトンネルの中を人間が歩く――私は今、そんな光景が広がる国に居る。

「危なすぎるだろっ!?」

ツッコミを入れると、私の目の前にいる英国紳士風の大統領が、冷静な素振りで

「ドラゴン様、何処が危ないのですか?」
「ガラスの空中トンネルとか耐久力なさすぎるだろ!?」
「ただのガラスではありません、あれは砲弾すら弾き返す硬化テクタイトです。
とても頑丈で耐久力が高いのです」
「完璧な正論で反論された!?」
「我が国の科学力は世界一だと思っております」

どうやらトンネル状のガラス通路は見た目以上に安全らしい。
なら次は服装にツッコミを入れるか!

「全員が銀色のスーツを着ているが、この国には多種多様なファッション文化がないのか?」
「我が国では衣服は実用重視です。
この完璧スーツを着ていると寿命が10倍に伸びて健康長寿になり、毒ガスと銃弾を防ぎ、遭難しても1年間飲まず食わずで行動できます」
「この国凄いな!」
「ええ、我が国の技術水準はトップクラスなのです、ドラゴン様。
頭の上で眠っているドラゴンの巫女様用に、あとで一着送らせて頂きます」

なるほどなるほど、じゃ、あの空飛ぶ車もきっと安全――だと思ったら、2台の空飛ぶ車が、飛行機のような速度で正面衝突を起こしてドガーンッ!と大爆発。
車を構成する無数の部品が、地上に降り注いでいた。

「おおーい!?
あの車は危なすぎるだろぉー!?」
「はい。
あれに人間が乗っていたら、このスーツを着ていたとしても致命傷です」
「普通に、地上に道路作って、そこに車を走らせればいいだろ!」
「この土地には、車専用の道路がありません。
新たに作るとなると……大量の高層ビルを潰す必要があります。
恐らく建物ごと土地を購入するコストで、国の財政が破綻するでしょう」
「ならせめて、空飛ぶ車のスピードを落とせ!あんな速度で衝突したら大事故だろ!?」

ツッコミを入れたら大統領が笑顔で

「あの空飛ぶ車は推進力で無理やり空中に浮かして飛んでいるのです。
速度を落としたら地上に落下します」
「反重力で車が浮いて飛んでいると思ったら、原理が飛行機かーい!」
「反重力はさすがに我が国でも無理でした。
重力を操る技術は開発しておりません」
「なら、空中に信号とか標識を設置すれば、事故が減るんじゃないか?」

空飛ぶ車の列を見ながら、建設的な意見を言ったら――大統領がやっぱり笑顔で

「信号を設置しても、赤信号で停車したら……推進力を失った車が地上に落下する事をお忘れでは?」
「そうだった!」

こうやって会話している間にも――新しい交通事故が起きた。
速度を上げすぎた空飛ぶ車がバラバラの部品になって地上へと落下している。
車は何万という部品が使われているから凶器すぎて危ない!

「なにが起きたんだ!?
勝手に爆発したぞ!」
「物体が音速を超えると、音の波が複数重なって衝撃波が発生するからです。
飛行機の構造なら無問題ですが、車の四角い構造だと衝撃波の餌食になってああなります」
「怖っ!
この国の人間は、そんな危ない乗り物によく乗ってるな!」
「乗ってません。
空飛ぶ車は無人操縦です、ドラゴン様」
「……なら、この国の人間はどんな乗り物で移動しているので?」

私の疑問に答えるためか、大統領は腕に付けた時計を操作して――私の目の前に瞬間移動した――
心臓に悪っ!びびったぞ!
大統領は腕時計を自慢気に見せびらかしながら

「我が国はこの転移装置で行きたい場所に空間転移しているから、車なんて利用しませんよ。
だから交通事故は幾らでも起きても良いんです」
「おおーい!?
じゃ、あの空飛ぶ車は何のためにあるんだ!?」
「我が国はこれだけ資源と技術を無駄使いできる凄い国なんだぞ、とアピールするために車を飛ばしています。
……ドラゴン様、他の国でこんな光景を見た事ありますか?
ないでしょう?
私達は、こうやって資源を無駄遣いしまくる大事業に快感と誇りを抱いているんです。
ちなみに、空飛ぶ車は、この国に住む金髪のハイエルフの少女の提案で作られました」
「いやいやっ!?
資源の無駄遣いは駄目だろ!?
浮遊島の限られた資源をこんな事に使うなよ!」

大統領はひと呼吸置いてゆっくりと

「無駄を楽しむ事も人生ですよ、ドラゴン様。
これが我が国の遊びなんです。
こうやって遊ぶ時間を確保するために全力で仕事をしたら……科学技術が発展してこんな事になりました。
十分な余暇を確保して、頭を空っぽにして馬鹿な事をやれる我が国はきっと世界一の幸せものです!」

これは酷い。
でも……こういう国も良いな。
本気で遊んで、壮大な馬鹿げた事をしている。
――最終的に酷い事になりそうだが、この馬鹿達なら何とかなるのかもしれない。

 

10話「遊ぶ国」3KB
おしまい


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