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Lv39「人類最強 VS 世界最強」中編

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時間を置いて、デスキングの口から漏れたのは――

「陛下の暗殺ですか……。
それは不可能の類でしょうな」

ボンドーが望む答えではなかった。
どうやらデスキングは思考停止しているように見える。
時間停止に強い信頼を持っているボンドーとしては、すぐに質問せざる負えない。

「暗殺者が時間停止を使えるのに……不可能ですか?
時が止まった空間が相手では、さすがの陛下も対処できないのでは……?」

「恐らく、陛下も、それくらいの事は簡単にできるでしょう。
太陽すら手下にする超越者でおられますぞ?」

一瞬、ボンドーは『え?』という戸惑いの声を上げそうになった。
太陽が手下。それは一体、どういう事なのだろうか?
大抵の宗教では、太陽は高い神格を独占しているが、帝国がそういう宗教を国教にしているとは聞いた覚えがない。
目の前のいる骸骨が、精神的に狂っていると判断した方が、自分の常識を守れそうだ。
その証拠に、デスキングが続けて言った言葉が――

「最近では、タコ型宇宙人の大艦隊とHANASIAIをして、友好を結んだと言っておりました。
その時に、うっかり艦隊を撃破してブラックホールで消滅させたとも……言っております」

「う、宇宙人……?
デスキング殿は私をからかっているのですか……?」

「陛下の冗談なのか、本気で言っているのか、私にはさっぱり分かりませんが――陛下なら、そのような事も容易いでしょうな」

「そ、そんな事があり得ると……?」

「デュー殿。
戦場での必勝法を知っておりますか?
私は陛下と出会った頃は、地の利、人の和、圧倒的な物量、補給を万全にすれば勝利できると思っておりました」

デスキングの言っている事は、帝国以外の国では叶えられない理想論だ。
普通の国は、物量を揃えるだけで精一杯。
僅かな物資しか運搬できない馬車を使っている国だと、補給を万全にするのはどうやっても不可能。
帝国だけが達成できる理想論だ。とても共産国では参考にならない。
しかも、デスキングの話にはまだまだ続きがあるようだ。

「しかし、数々の戦いを経てパワーアップした陛下には、そんな常識的なやり方は通用せぬのです。
陛下は無限のエネルギーを持つ動力炉であり、距離という概念を無視した移動要塞であり、一つの異世界であり、帝国軍は細かい仕事をするためのオマケでしかありませぬ」

「て、帝国が総力を尽くせば、何日ほど、陛下と渡り合えると思いますか?」

「一秒も持ちませぬ。
陛下がその気になれば、惑星を砕いて一撃でしょう。
我々と陛下では、立っている舞台が違うのです。
赤子の腕を捻るように、蟻を踏み潰すかのごとく、惑星を潰せるでしょうな」

「で、ですが、俺達が居れば、そのような暴挙に出ないのでは?
ルビー皇后を大事になさっているはず……確か他にも何人か大事にしている娘がいるとか……」

「暴挙?
陛下がこの惑星を用済みだと判断したら、壊せば良いのです。
なに、この惑星で死んだ生物は、皆、ドリームランドへと行くだけの事。
陛下が作り上げた異世界で、皆が住めば全ての問題は解決ですな」

完全に、デスキングは噂通りの『狂信者』だった。
ワルキュラを信仰し、神のように崇める不死の王。
ボンドーは戦慄する。ワルキュラを倒すという事は、目の前にいる狂信的な不死者達を敵に回すという事だ。
圧倒的物量で包囲されたら、さすがのボンドーといえども対処できない。
いやそれよりも――

(ドリームランドに、そんな秘密があっただと!?)

夢の世界の創造主がワルキュラだった。こっちの情報が重要だ。
死んだ人間が最後に行き着く果て。
それは『あの世』に他ならない。
ワルキュラとの戦いは、人生史上最大の激戦になりそうだ。

「あと、デュー殿。
先ほどから気になっていたのですが……」

そう言って、デスキングの何もない眼窩が、激怒で真っ赤に光る。
殺気が場に満ち溢れ、命の危機を感じたボンドーの体内時間がゆっくりと流れた。
そのまま、彼は呼吸をするのをやめて――

「なぜ、鎧の中に人が入っているのだぁー!」

デスキングに殺される前に『時間を止めた』
停止した時間では、何も動かない。
空気も光も音も動かない。
だが、ボンドーには、空間を認識できる。
ボンドーの周囲10cmは時間停止の影響を受けないのだ。
少し前に行けば、停止した光が活動を再開し、目を通して一瞬だが情報を齎してくれる。
だから、気づいてしまった。
目の前に、デスキングが放ったと思われる、バスケットボールサイズの暗黒の玉が迫っている事を。
これがあと1mmでも前に進出していたら、時間停止の影響を受けずに、ボンドーを直撃して命を奪い取っていた現実に気づいた。

(容赦なく殺しに来ているだとっ!?
だが残念だったな!
この停止した時間で動けるのは俺様だけだ!
呼吸を止めている10分の間なら!
俺様に勝てる奴はこの世に存在しないのだぁー!)

この玉は恐らく、アンデットどもが好んで使う暗黒魔法ブラックボール。
込める魔力量によって、破壊力を調整できるから重宝されていると聞く。
だが、この停止した空間では、何の価値もない。
自由に動けるのはボンドーと『その周囲10cm以内にいる物体』だけなのだから。

(ふははははははは!!
この骸骨をどうやって殺してやろうかなぁ?
ワルキュラを倒す手がかりにもならん役立たずに屈辱的な死をくれてやろう!)

ボンドーは、ゆっくりと身体を動か――せなかった。
可笑しい。
自分の周囲10cmは時間停止の影響を受けないから、空気は壁のように固まってないはずだ。
なのに何故か動けない。指一本も動かせない。
周りをコンクリで固められたかのように、手足が動いてくれない。

「ふむ……今日のタバコBARは静かだな、ルビー。
いつもは騒がしいのだが……?
まさか、これが不景気という奴なのだろうか……?」

しかも、背後から声がする。
つまり、ボンドーの周囲10cm以内の場所に、誰かがいる事を意味する。
ありえない。そんな小さな知的生命体がいる訳がない。
しかし、振り返ろうにも、振り返れない。
いや、振り返らなくても、後ろを確認できる。
ここはタバコBARだが、吸血鬼用にワインも置いてある。
ガラス製の瓶は、光を反射し、ボンドーの後ろに誰がいるのかを教えてれた。

(げぇ!悪の帝王!?)

背後に居たのは紅いローブで身に纏ったワルキュラだった。
しかも、何故か『ボンドーから10cm以上離れた』ガラスの瓶が光を反射している。
いつもの停止された空間ではない。
もっと、こう、とってもご都合主義的で圧倒的すぎる力に押さえつけられて支配された世界にいるんだと確信せざる負えなかった。


後編に続く

 
ワルキュラ「タバコがないから、タバコを買おう」

ルビー「あのBARのタバコ美味しいですよね」




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8 件のコメント :

  1. (´・ω・`)他の作業やっているから、修正はゆっくり明日

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    1. (ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)ゆっくり修正完了

      ワルキュラ(´・ω・`)健康に良いラベンダータバコを吸おう すーはーすーはー

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    2. ラベンダーの臭いがする大麻タバコですね分かりますw

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    3. 人間「「きゃあー!街中で麻薬を吸ってるわー!」」

      ワルキュラ(´・ω・`)そんなー

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  2. 死んだ人間が行く死後の世界を作ってるのなら
    戦いとか言ってられないと思うけどな

    最早やってる事は神やんw

    神話で言うプルートーやハーデースレベルと戦うって何よw

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    1. ワルキュラ(´・ω・`)現実逃避したら、ドリームランドができた。

      部下(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)さすがワルキュラ様!あの世を作るなんてしゅごい!

      ワルキュラ(´・ω・`)(つまり、俺、自殺願望がある……?)

      >神話で言うプルートーやハーデースレベルと戦うって何よw

      (´・ω・`)ワルキュラをとにかく、すごい設定にしたらこうなった。

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  3. 今日初めて気がついたんだが
    Lv数が物語の数でやるのなら
    目標話数は9999億なのかな?
    パルメさん毎日やっても死ぬまでに終わるの?w

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    1. (´・ω・`)そんなー(´・ω・`)



 


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