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ゆっくり戻るよ!

人類からの侵攻を防いできた偉大な要塞群から、東に200kmほどいった場所に、小さな漁村がある。
人口は200匹程度であり、ゴブリン達が漁師として海で働き、その糧で生計を建てている。
前線から遠いのでゴブリンの男も女も平和そうに暮らし、前線に消費される膨大なお金の一部が流れて、仕事が大量にあって比較的豊かな村だった。
そして、そんな平和で充実した毎日を遠くの崖から、双眼鏡で偵察している一人の男がいる。
ゴブリン達に見つからないように、崖から顔だけを出し、ゴブリン達の数を把握しようとしていた。
外見は、モヒカン頭をした人間ではあるが、その顔は醜悪なだけのゴブリンとは違い、完全に悪人面である。

「ヒャッハー!こんなところにも獲物がいやがるぜぇっー!
本隊に戻って報告だぁっー!」

何を隠そう・・・このモヒカンは、ラストダンジョンに生息している世紀末モヒカンという名前の種族であり、触手さんの家臣なのだっ!
近くに置いておいたバイクと呼ばれる鉄の乗物に乗り、触手さんが大量に召喚した世紀末モヒカン達の本隊の元へと戻ろうとしているのであるっ!











第2話 ゴブリンなんて・・・モヒカン達を召喚して殲滅戦争で皆殺しだぁっー!

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「ヒャッハー!ラストダンジョンにきた男は虐殺して人肉料理だぁっー!
美少女と美女は、旦那への献上品だぁっー!!旦那が要らないといった女は俺達の性奴隷だぁっー!」


ラストダンジョンに大量に居る忠臣
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触手さんがゴブリンを皆殺しにする事を決めたので、地面に巨大な幾何学模様の魔法陣を描いて、次々と大量の世紀末モヒカンを魔法陣から召喚している。
かつての広い平原はゴブリン達の死体による独壇場だったが、今は世紀末モヒカン達がバイクのエンジン音をならし、その凶悪な面で

「「「「「「「「「「「「ヒャッハー!ゴブリンは虐殺だぁっー!
大魔王様を怒らせたゴミで焼き肉だぁっー!」」」」」」」」」」」」」」」

ゴブリン達を大量に虐殺しようとする意気ごみを触手さんに見せていたのである。
元々はラストダンジョンに生息しているという事もあり、大抵の毒が通じず、その戦闘力もゴブリンを遥か彼方に置き去って超越しているほどに強い連中だ。
死亡しても、触手さんが全部蘇生しているので、ここ1000年間で世紀末モヒカンの数は増えて増えまくり、2000万の大軍を形成している。
触手さんは、そんな世紀末モヒカン達を平原に整列させて、とても偉大で歴史に残るような演説をやろうとしていた。
実際に一つの種族を世界から皆殺しにするという行為は、稀にしかしないので、普通に歴史の教科書に載ってしまうレベルの出来事である。
触手さんは無数の触手をぶんぶん振って、己の内心の怒りをアピールしながら

「ゴブリンは拙者を侮辱して可愛い女の子を献上しなかったでござるっ!
一晩だけ触手プレイして気持ち良くして返してあげようと思っていたのに、誰も献上しなかったでござるっ!
だから、ゴブリンを皆殺しにするでござるよっ!
男も、女も、子供も全部殺して、焼き肉なり、肥料にするでござるっ!
最弱モンスターの分際で、大魔王を怒らせた事を身を持って全てのゴブリンに教えてあげるのでござるっ!
あと、おっぱいボインボインの美しい少女達を見かけたら、献上して欲しいでござるよっ!
献上してくれたら、拙者のお酒コレクションから好きなお酒をプレゼントしてあげるでござるっ!
望むなら、拙者の秘蔵のパンティーコレクションの中から、好きなパンティーを選んでもいいでござるっ!」

ゴブリンから見たら怒りたくなるような言い分だが、弱い奴が全部悪いの世界で生きている触手さんの考え方は非常に苛烈だ。
前の世界なら、短時間でどの種族も巨乳の美少女達をすぐに用意して献上していたのに、ゴブリンは1人も寄越さなかった所が触手さんの怒りを買っている。
世紀末モヒカン達は、そんな触手さんの怒りに同調したのか、全員が手をグーの形であげながら

「「「「「「「「「「大魔王様を舐めたゴミは虐殺だぁっー!生きた事を後悔させてやるぜぇっー!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「ヒャッハハハハハっ!大魔王様に怒りを買う馬鹿なんて久しぶりにみたぜぇっー!」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「大魔王様が許すのは、可愛くて美しい女性だけなのによぉっー!そんな事は5歳児でも知ってるぜぇっー!ヒャッハー!」」」」」」」」」

触手さんの演説が終わりを迎えたので、世紀末モヒカン達は次々とバイクに乗り、それぞれの方角へと向けてバイクを走らせた。
見知らぬ土地でも、虐殺するべき獲物の場所を勘で察知しているのか、町や村がある方角へと向けて、世紀末モヒカンは即座に部隊を移動しながら編成するという異常な事までやっている。
まさに、ラストダンジョンの大魔王の手下と呼べる精鋭達だった。
100万匹のゴブリンを養えるだけの村と街が大量に大陸に存在してはいるが、圧倒的な物量と質に任せたローラー作戦が展開できるので、ただの獲物でしかないっ!
世紀末モヒカン達がバイクで移動して、1時間移動した場所に、人口1万匹ほどの街が最初の獲物になっただけだ!
残った街や村も発見されて皆殺しにされるまでのタイムラグが存在するだけで、虐殺から逃れる事はできないっ!
世紀末モヒカン達は、それぞれにボウガン、頑丈なオリハルコン製の斧、オリハルコン製の火炎放射器、オリハルコン製のロープを装備しており、人類から伝説の金属と呼ばれているオリハルコンで作られた武器を保有している時点で、その実力が化物なのは間違いなかった。
彼らは、子供達が見たら泣いて失禁するほどの凶悪な顔に笑みを浮かべて

「「「「「「「「「「「「「「「ヒャッハー!ゴブリンは虐殺だぁっ!」」」」」」」」」」」」」」」」

街に住むゴブリン達を蹂躙するべく、バイクをフルスロットルにして突撃を開始するっ!
記念すべき最初の餌食となるゴブリンは、要塞と街を行き来をする馬車に乗っているゴブリンさんだ!
街に家族を持ち、街で仕入れた物資を薄利多売で要塞まで運んで売却している苦労人39歳であるっ!
バイクの音があまりにもうるさいが、馬車の荷台が邪魔になって後方の状況が見えず、横をチラチラと気になってみていると

「ヒャッハー!死ねぇっー!」

凶悪な顔をしたモヒカンがいた事で、心臓がビクンと止まりそうになるほどに驚いた。
そして、その驚愕した顔のまま、黄金色の斧で身体を真っ二つに薄紙のように斬られて荷台から転げ落ち、半分になった身体を馬車の木製のタイヤがぶちぶちと潰し、酷く損壊した遺体さんへと変身したのである。
ゴブリンの返り血を盛大に浴びたモヒカンは、ペロリと顔に付着した血を舐めて、街の方へと突撃するモヒカン達の後を追い、虐殺の宴を楽しもうとしていた。











平穏な町は、凶悪なモヒカン達によって虐殺の嵐が吹き荒れている。

「ヒャッハー!木造住宅はキャンプファイヤーだぁっー!」

ほとんど木造の家屋で構成されていたせいで、火炎放射器を持ったモヒカンが、次々と楽しげに放火し、ゴブリン達が長年働いて築き上げた努力の結晶が灰になろうとしていたのだ。
しかし、ゴブリン達は財産よりも自身の命が脅かされているので、そんな事を気にしている余裕はない。
今も、ゴブリンの夫婦が首にロープを繋がれて、石で舗装された道路をバイクで引きずられている。
身体と道路が接触して、ガリガリ削れる感触は激痛しかもたらさず、ゴブリン達はモヒカン達が虐殺して、拷問して楽しむ獲物に過ぎなかった。

「ヒャッハー!競争だぁっー!」「ヒャッホゥッー!今日のお酒を賭けるぜぇっー!」

徹底的に1つの種族を皆殺しにするなら、すぐに殺した方が簡単だが、遊びながら殺した方がモチベーションが長続きし、結果的に皆殺しという目標をたてながら遊べるので、気分が楽になるのである。
既に町の住民の9割は殺害済みであり、今は休憩時間をかねて、それぞれの方法で遊んで楽しんでいるだけだ。
家ごと放火して焼いて楽しむモヒカン、致命傷を与えないように射撃して、ゴブリンが苦しむ様を楽しむモヒカンなどなど、それぞれの趣向が凝らされている。
特に悪辣なのが、捕まえたゴブリン達を並べさせて、そのゴブリンの子供達に斧を渡し

「ヒャッハー!自分の父親を殺さねぇと、死ぬよりも酷い目にあわせるぞぉっー!」
「ヒャッハハハハハっ!お前の周りに散らばっている死体の仲間になりてぇかぁっー!」

このゴブリンの子供は10歳くらいの優しそうな少年である。
兄と姉が15匹くらいいたが、父親を殺す事を拒否ったので既に殺されて、周りの死体の仲間入りをしていた。
少年は涙を流しながら、死にたくないと思い、渡された斧で父親の頭を破壊するために振り上げ、勢いよく振り下ろす。
オリハルコン製の斧の圧倒的な切れ味で、綺麗に父親の身体が真っ二つになり、自身で父親の命を奪うという行為に自殺したくなるほどの罪悪感を感じていた。
モヒカン達は、父親殺しをやった少年に向けて、少年が泣きたくなるような素敵な笑顔を浮かべ

「こいつ、父親を殺しやがったぞぉっー!なんてゲスで非道なんだぁっー!」
「こんなゴミを育てて殺された父親が悲しすぎるぜぇっー!代わりに俺達がクソガキに道徳っ!っていう奴を教えてやるよぉっー!」

少年は泣きだした。
あまりにも理不尽な仕打ちに涙を流し、場に泣き崩れる。
そして、モヒカン達に身勝手に制裁されて苦しんで死ぬ前に、どうしてこんな酷い事をするのかを聞くと、モヒカン達はとてもリラックスした笑顔でこう答えた。

「はぁっ?弱すぎるから悪いんだろぉっー!」
「殺せば殺すほど、進化して強くなって頭が良くなる世界なのによぉっー!努力を怠ってゴブリンの身に案じたお前が悪いんだろぉっー!」
「ヒャッハハハハっ!泣いてやがるっ!うざいから死ねぇっー!」

弱者の心を平然と踏みにじるモヒカン達によって、少年は斧で首と胴体を切り離されて死亡した。
幸いにも嬲り殺しに合わずに済んだ所が幸運である。それだけが少年の唯一の救いだったのだ。
このような残虐非道な行いが第一階層の各地で行われ、圧倒的な強者であるモヒカン達により、どの町も村も容易く陥落して、虐殺の宴が行われるようになる。
元の世界なら、人間達が美少女を10万人くらい集めてプレゼントにやってくるので、こんな酷い事態には絶対にならないのだが、人間やエルフのような美少女がいない所が本当に致命的だった。
そして、この全滅虐殺命令を下した触手さんは、どうすれば階層を攻略した事になるのかわからなくて

「た、大変でござるっー!
どうすれば階層を攻略した事になるかわからないでござるよぉっー!
ムラムラするでござるっー!嫁をゲットできなくなるかもしれなくて、夜も眠れないござるっー!
とりあえず、元の世界に戻ってスッキリーするでござるよっー!」

元の世界のゲート周辺に住んでいる美少女達が数千人単位で貞操が危なかったっ!
ちょうど、復興のための軍隊や民間団体までやってくるので、美少女騎士達や、ボランティアの少女達も危ないっ!









あとがき


 (´・ω・`)ヒャッハー!大勢の女性を愛せる甲斐性に憧れるっー!

















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