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ゆっくり戻るよ!

人類が第一階層を攻略できない理由の一つに、ゲートの周辺の20箇所に巨大な要塞が点在している事が原因となっている。
小さくて醜悪な人型のモンスターであるゴブリンを100万匹以上収容し養う補給物資があり、相互にお互いに連携することで効率的に戦争を進めてくるのだ。
遠い場所に遠征しようにも、この要塞群を攻略できなければ、補給船を寸断されて壊滅の憂き目を見る事になる。
攻略して得られる物より、その過程で失う物があまりにも大きいので、人類が攻略を諦めるほどだ。
幸いにも、第一階層に生息しているゴブリンは門を通れないので、人類の危機感を煽ってないのも原因である。

でも、今まで人類相手に戦ってきたゴブリンの軍隊が、大怪獣みたいな理不尽の権化の塊な触手さん相手に勝利できるかと問われたら、相性が悪いかもしれない。
ラスボスとレベル1の雑魚モンスターとの戦闘だからだ。








第1話  難攻不落の要塞群や100万匹の軍勢なんて蹂躙して虐殺でござるっー!

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「ここは難攻不落の大城塞ゴブっー!
徴兵にやってきた若者達は安心して平和ボケ・・・ヒャッハー!スパルタ訓練ゴブよー!
この世界を守るための立派な漢になるゴブっー!」

平和な時でも軍隊は厳しい事を教える軍曹ゴブリン
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門の周辺はとても広々とした平原が広がっている。
遠くには巨大な要塞群がチラホラ見え、あまりにも壮大な規模のダンジョンの大きさに触手さんは感動していた。

「ここはとても広々としたダンジョンでござるっ!
世界丸ごとダンジョンなんて素晴らしいでござるよ!」

既に気分は観光状態である。
遠くからゴブリン達の哨戒が触手さんを発見して、巨大要塞内で鐘の音が鳴り響いてるが、そんなものはお嫁さんの時の結婚式の鐘の音と同じ祝福の音だった。

数千人の美少女と結婚し、誰とも離婚せずに最後まで添い遂げているので、鐘の音の十や百は慣れたものだ。
遠くから300匹規模の騎馬隊が向かってきたりするが、触手さんの認識ではゴブリンは最弱モンスターなので、歓迎のためだと本気で思ってた。

「おおっ!こんなに早く歓迎してくれるとは素晴らしいでござるっ!
お嫁さんとのハーレムを築く時は、この世界を拠点にするのもいいかもしれないでござるよ!」

騎馬隊は全員が弓矢を所持し、遠距離からの攻撃をしながら移動して、別の場所から攻撃するという運用をされている部隊である。
高速で動きながらの攻撃であるため、相手にするのは厄介であり、ほとんど攻撃できずに一方的に蹂躙されてしまう事もあるような最精鋭だ。

今も全員で弓矢の弦に矢を構え、力強く引きながら狙いを定めている。
この段階になって触手さんは、歓迎のために騎馬隊がやってきた訳ではないとわかるが、もう遅いっ!

「「「「「「「「「「「「「「「うらぁっ!巨大なタコは死ぬゴブっー!」」」」」」」」」」」」」」」」」

無防備な触手さんに一度で大ダメージを与えようと接近し、300本の矢が解き放たれた。
孤を描くような形で矢は、触手さんの身体へと降り注ぎ、触手の表面にチクッと浅く刺さって弾かれる。
僅かな被害を触手さんに齎す程度で終わっていた。

「い、痛いでござるううううっ!!!!!!!
こんな非道な行為は許せないでござるよおおおおおっ!!!!!」

痛みに激怒した触手さんは、背を向けて離脱しようとしている騎馬隊へと向けて、1本の巨大な触手を伸ばし、激しく横薙ぎに振る。
一気に200mほど触手が伸びた事は、騎馬隊から見たら後ろの事なので気づかず、百数十騎の馬の脚を強引にぶち切られ、次々とゴブリンは馬と一緒に地面へと落馬していった。

「「「「「「「「ぎゃああああああああああああああああっ!!!!!!!」」」」」」」」」」」

落馬するときの衝撃で、ゴブリン達のほとんどは傷を負い、半分ほどは骨が折れ、身動きができない重傷である。
助かったのは、触手の射程内に入ってなかった僅か20騎だけだ。
生き残った20騎は馬の勢いに任せて、要塞のある方角へと撤退しようとしている。

しかしっ!激怒した触手さんが逃げるゴブリン達を許す訳がないっ!
触手で周りの石や岩を掴んで持ち上げて、次々と投擲を開始したのだっ!

「お仕置きを受けるでござるうううっ!!!!!!
大魔王と言われた事がある拙者の怒りと心の涙でござるよおおおおっ!!!!!
ウルトラスーパーデラックス投擲でござるううううっ!!!!!!」

放り投げられた石と岩の雨は、騎馬隊の正面を防ぐように降り注ぎ、岩に押しつぶされて馬ごとミンチになるゴブリンもいた。
一撃でも当たれば落馬して人生終了なので、ゴブリン達はこの大投擲に恐怖し、必死に馬にしがみ付いて恐怖を紛らわそうとしている。
だが、次第に降り注ぐ石と岩に数はすり減らされ、最後に生き残ったゴブリンの頭に当たった石が、その衝撃で脳内出血を起こさせたので、誰も触手さんから逃げきることはできなかった。

場に残るのは平原で苦痛に苦しんでいる重傷のゴブリン達とお馬さんだけである。
触手さんは無礼を働いたゴブリン達を壊滅させた事に満足したのか、彼らを見捨てて第一階層を観光しようと触手を使って歩き出す。
最初の目的地は、近隣にある巨大要塞に向けての散歩だ。

「初めての場所なので道がわからないでござるっ!
道を聞きに行くでござるっ!
あと、美しい少女達を1000人ほど献上して欲しいでござるよっ!
殺さずに全部返してあげるでござるっ!」










触手さんが向かっている要塞の方では、騎馬隊を瞬殺した10mの触手さんの存在に大慌てになっている。
巨大要塞は分厚くて高い外壁が幾つも織りなす頑丈な要塞だが、岩を遠い場所から投擲されまくったら、それだけで外壁が崩れて破壊される事がわかっているのでピンチだ。

しかし、野戦で倒そうにも、最精鋭が瞬殺される光景を見ると勝率が非常に薄い。
そんな絶望的な状況で、この巨大要塞を任せられている40歳のゴブラ・ラル将軍は、堅実な用兵を好み、柔軟な発想というものができないので、規格外の相手にいつも通りの定石で対処しようとしている。

「触手を引きつけて、要塞から攻撃ゴブっー!
決して、出撃なんかはしてはいけないゴブよっー!
マニュアル通りに、他の要塞に援軍を送ってもらえるように使者をだすゴブっー!」

幸いにも、触手さんがゆっくりと時速40kmぐらいで移動しているので、使者をだす余裕が存在し、兵士達が迎撃するための準備は整っていた。
後は定石通りに、要塞の防御力を信じて、要塞内に駐留している10万の兵による攻撃で触手さんを打倒すればいいだけである。

それに相手は無防備に近付いていくる巨体な的・・・ゴブリン達はこう思っていた。
弓矢が効かずとも、要塞には岩を飛ばすカタパルトを始めとした兵器があり、いざとなれば油をまき散らして燃やすという方法も存在している。

「道を聞きたいでござるっー!
門を開けて欲しいでござるっー!
美少女を大量に献上して欲しいござるよっー!」

巨大要塞から50mほど離れた場所で、こんな事を叫んでいる触手さんは、ゴブリン達から見たらすごく倒しやすそうな敵だ。
豪勢な鎧を着たゴブラ・ラル将軍が、一斉攻撃の合図を伝えても全員が訓練通りの力を発揮できるほどにリラックスしている。

次々と大岩が空へとはなたれ、火矢が何万本も触手さんへと向かう。
さすがに2回連続で無礼な態度を取られたという事もあり、触手さんは対処するために空間が紅く歪む魔王バリアーを展開していた。

「許せないでござるっ・・・!
ゴブリンごときが拙者の訪問を受け入れずに攻撃するとか・・・許せないでござるうううっ!!!!
魔王バリアー!!!!!!!!!!」

魔王バリアーは、一部の攻撃を除いて、魔法・物理攻撃を全て術者へと向けて跳ね返すという驚異的な性能を誇るチートバリアーであり、結婚生活をしていた頃は嫁の暴力を跳ね返して服をバラバラにし、裸を拝んで夫婦の営みをやるために使っていた。

無論、ゴブリン相手にお嫁さんと同じ対応をするはずもなく、兵器から発射された岩なら兵器に、弓矢から射撃された矢は持っている本人へと跳ね返し、この一瞬の攻防だけで3万匹のゴブリンが重傷を負うか、死亡している。

「「「「「「「「「「「ぎゃああああああああああああああっ!!!!!!
攻撃が全部跳ね返ってきたゴブうううううっ!!!!!!!燃えている身体で近付かないでほしいゴブううううっ!!!!
あついいいいいいいいっ!!!!!!」」」」」」」」」」

しかも、火矢だったので、ゴブリン達は炎上し、身近にいる仲間と抱き合って更に炎上させるという悪循環が続いていた。
その炎は食糧庫、武器庫を始めとして、要塞内部にある木造の建物にも火がつき、瞬く間に巨大要塞は火の海と化す。

10万のゴブリンの兵士達は脱出する事もできず、身を守るはずの巨大要塞がそのまま灼熱の死の監獄となってしまう。
触手さんは、人類を900年ほど苦しめた難攻不落の大要塞の一つを接敵してから10秒で攻略しちゃったのだ!

「とんでもないゲスだったでござるっ!
雑魚モンスターに攻撃されるなんて久しぶりの体験だったでござるよ!
今ならおっぱいボインボインの美少女を30人ほど献上すれば、許してあげない事もないでござるっ!」

「「「「「「「「「「「「「「「地獄ゴブうううっ!!!!!ゴブゴブ大王国の終わりの日がきたゴブうううううっ!!!!!!!!
美少女を大量に献上するから、鎮火して欲しいゴブううううっ!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「「「「「「「いやぁっー!こんな触手に犯されるのはいやゴブぅっー!美少女で美しいからって酷いゴブぅっー!
可愛いからって酷いゴブぅっー!」」」」」」」」」

ゴブリン達が熱さに苦しんで泣き叫ぶ巨大要塞には、ゴブリン視点で見ると美少女な女兵士が1000匹ほどいたりするのだが、触手さんの価値観から見ると、醜悪なゴブリンにしか見えないので、普通に降伏しても馬鹿にされているとしか思わず、結果は皆殺しだった。

「もっと人間やエルフみたいな顔と身体を持つ美少女を用意して欲しかったでござるよっ!
拙者の好みを知らないとか、生きている価値がないでござるっ!」












触手さんは、他の巨大要塞も次々と訪問し、その度に攻撃されるので魔王バリアーを使いまくって壊滅させ、誰も道案内をしてくれない事に激怒し、訪問前から隕石を召喚して次々と巨大要塞を壊して遊んでいる。

どの要塞も数十年、数百年の時を費やして拡張してきたと思われるほどの立派な要塞だが、全ての要塞は炎上して生存者がいなくなるか、隕石によってクレーターに生まれ変わるかのどちらかの選択を迫られているのだ。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!!!!
化物が近付いてきたああああっ!!!!!!!!全軍出撃するゴブううううっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

このまま要塞に籠っていても、要塞ごと破壊される事を理解したゴブリン達が出撃するが、所詮、10万や20万程度のゴブリンの軍勢では、ラスボス中のラスボスである触手さんに叶うはずもなく、さまざまな美少女達を裸にしてきた触手の器用さを使って、軍勢ごと薙ぎ払い、刃向かってきたゴブリンは1匹残らず皆殺しにしようとしてくる。
美少女なら裸のスッポンスッポンにして、お嫁さんにしてあげるだけだが、ゴブリン相手にはそんな優しさはない。
触手で首を斬り、足を斬り、腕を斬り、胴体を斬り、問答無用で虐殺の嵐を続けるだけだ。

「美少女を用意せずに刃向かうとか・・・信じられないゲスでござるよおおおおっ!!!!!
人間かエルフ娘の美少女を用意すれば、許してやらない事もないでござるよおおおおっ!!!
この虐殺をやめてほしかったら、拙者好みの巨乳美少女を用意するでござるうううっ!!!!!」

触手が横薙ぎに払われる度に、1000匹近いゴブリンの軍勢が壊滅し、何もなかった平原がゴブリンの血で染まりつつある。
圧倒的なまでの暴力の権化の存在によって、ゴブリン達は狂乱して逃げるが、すぐに追いついて触手虐殺無双を開始されて何もできなかった。

「死ぬでござるうううっ!!!!!!
拙者に反抗するものには死っ!あるのみなのでござるよおおおおっ!!!!
降伏の証に美少女を1000人ほど献上するでござるうううっ!!!!!!!
一晩で楽しんで返すから安心してほしいでござるよおおおおおっ!!!!!
決して、死ぬまで触手で犯したりしないから安心するでござるうううっ!!!!
・・・どうして、誰も美少女を献上しないでござるかあああああああああああああああっ!!!!!
激怒したのでござるよおおおおおおっ!!!!!!!」

ゴブリンは触手さんの逆鱗に触れてしまった。
嫁のミーナが死亡して一週間ほどたっているので、触手さんはムラムラして大変なのに、一人も美少女を献上出来なかったからである。
ここは第一階層、ゴブリンが世界を丸ごと支配し、人口30億匹に及ぶほどの巨大単一国家を作っているほどの超国家が存在する階層だ。
ただ、問題なのは、人間やエルフの美少女は1人もいないという所が今回の事態で致命的だったのである。
過去に侵攻してきた人間を、奴隷や性奴隷にせず、全部残酷に処刑したのは本当に致命的な問題になっていたのだ!
怒りに燃えている触手さんが、僅か3時間で全ての要塞を撃破し、ゴブリンの男も女の区別もなく、見つけた側から大量虐殺するようになったのに、降伏するために必要な美少女を用意できなくて、終了していたのだ!
人類の侵攻を1000年近く抑えていた歴史ある巨大要塞群は、全て廃墟と化し、平原には数十万匹のゴブリン達が屍を晒しているっ!
100万匹いたゴブリンで生き残れたのは、他の要塞が虐殺されている間に、真っ先に逃げ出した1万匹のゴブリンだけであり、残りは徹底的に皆殺しにされてしまったのだ!

「許せないでござるうううっ!!!!!!
これだけの大軍を保有している癖に、美少女を献上しないゲスさに激怒したでござるよおおおおっ!!!!!
ゴブリンは1匹残らず皆殺しにして、根絶やしにしてあげるでござるううううっ!!!!!!」








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