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本好きの成り上がり
5話  ペット登場「人権の欠片もない世界だ」


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諸君、私は村に到着した。人類にとってこれは小さな一歩なのかもしれないが、私から見れば偉大な一歩なのである。
村は東側に大きなナイルン川があるおかげで、草木がたくさん生えていて涼しい場所。
しかし、不思議な事に田畑は荒れ果て、雑草が生い茂っていた。
まるで圧倒的な浪費で清国を滅亡においやった西太后が統治しているのか?と思ってしまうほどの酷い光景だ。
村とは基本的に農業で生活している共同体。こんな砂漠地帯で仕事を放棄したら死ぬか、盗賊にならないと生活できないはず――
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ビンボー村に到着した。
そこは税率9割に苦しんでる農民達がいる。
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……ひ、酷すぎる。
税率9割とか、統治機構が腐りすぎている。
さすがにそんなに搾取されたら生活するのは不可能だ。
フランス革命前の借金漬けのフランスよりも税率が酷すぎる。
人間は仕事をするためにそれなりの経費を必要とする。だから税率9割なんていう状況になったら、仕事をする度に大赤字になってしまうのだ。
いや待てよ?ここはエロイナ世界。
村の西はダンジョン密集地帯。無数のモンスターがウヨウヨしている。
狩りをすれば肉を得る事ができる。つまり狩猟生活で生計を維持しているのかもしれない。
……まぁ、それよりも最初にやらないといけない事は『最初のペット選択イベント』
エロイナというゲームは、一番近い人里に近づくと……冒険の相棒とも言うべきペットが出てくる。
問題なのはその選択肢だ。
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あなたは忘れているが……大切なペットがいる。
それはどんな種族だ?
@犬
A狐の神
B恐竜
Cゾンビ
D人間
E生首
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人権なんて紙くずみたいな世界観だから……当然、人に近い外見の種族をペットにしても社会的に許されるんだ。
恐ろしい。だが、命を狙われまくりの私には好都合だ。
相棒なしで生き抜くのは不可能なだけに、頼れる仲間が欲しい。
あと、それぞれの種族を詳しく解説すると
@犬  生命力:120 いらん役立たずだ。
B恐竜 生命力140 いらん役立たず。
Cゾンビ 生命力120。暗黒・地獄・神経属性攻撃に素晴らしい耐性がある役立たず。
D人間 生命力100。いらん役立たず。

A狐の神 生命力120。 速度が1000もある超優良種族だ。
よし、私は当たりクジを引いたぞ。これしかないな。
私の種族:猫の神は、行動速度が早すぎて、同じくらい速度が早いペットじゃないと仲間にする意味がないんだ。
狐の神 速度1000
猫の神 速度2000
この速度なら、私の前衛として活躍してくれるはず。
私は運が良い。Aをポチッとな。

「もっふ〜」

幼い少年の声が聞こえた。とても聞き心地が良い。
白い着物を来た愛らしい少年が  村の荒れた道を走ってやってくる。
腰まである白い銀髪、キュートな狐耳の少年だ。
……怖っ!
私が選択肢を選ぶ前まで、この世に存在していなかったとかホラーすぎて怖い!
エロイナ世界のゲームチックさが、恐ろしい怖さを引き立てている。
少年は私に勢いよく抱きついて、小さな胸に頭を押し付けてスリスリしてきた。
一瞬、エロ小僧とか、セクハラかと思ったが、特に悪意はないようだ。

「カグヤ様〜。
あれ?僕、誰だっけ?」

……記憶がないのか。
作られたばかりの存在だから、当たり前といえば当たり前。
哀れだ。私みたいな男女のペットとか哀れだ。
少年の頭を優しく抱いてやって話しかけた。
気分は貧しい人々のために活躍したマザー・テレサさん。

「君は今日から私の弟だ。
血は全く繋がってないが、私と君は大切な家族。理解したか?」


「もっふ?」


少年のつぶらな青い瞳が私を見つめる。
……君は私のせいでこの狂った世界に誕生したんだ。
責任を持って育ててやろう。それが大人としての義務だろう。
一応、育てるメリットはあるし、私とまともに連携できる貴重な種族だ。

「僕はカグヤ様の弟で、家族なんですか?」

利益も不利益も共有する運命共同体だ。
君に名前がないなら私がくれてやろう。
……エミールという名前はどうだろうか?

「エミール?」

ジャン=ジャック・ルソーの代表作。近代教育学の古典に付けられた名前だ。
立派な男になって欲しいという私の思いが込められている

「もっふ!僕、とっても良い名前な気がしました!
僕の名前はエミールなんですね!」

ギャルゲーっぽい反応をするエミールが、嬉しそうに大きな尻尾をフリフリしながら喜んだ。
なんだ、この可愛い生き物。
犬みたいに私に懐いているぞ……ワンコ飼うとこんな気分になったりするのだろうか?
そうだ、装備品も渡さないといけないな。
私は命を狙われている身。エミールにも戦ってもらわないといけない。
まずはアイテムボックスから魔法書を出して、読めるかどうか試そう。
日本語が読めたら戦術の可能性が広がる。
エミール、この本の文字が読めるか?
私は分厚い魔法書のページを開いて見せた。

「もっふ?文字って何ですか?
面白い模様だと思います、カグヤ様」


どうやら日本語の知識は、頭にはないようだ。
よし、エミール。君は今日から前衛として活躍してもらおう。
武器は何が良いだろうか?
鎌……一撃必殺の首狩り効果がある。
槍……硬い敵に対し、貫通ダメージがある
包丁……攻撃力は低いが命中率は良い。
剣……バランスが良くて初心者向け
鈍器、短剣、手斧、斧、カッター、ヌンチャク、棍棒……ダメだ。
なんか、どれもダメな気がする。
現実的に考えると、短期間の訓練で使い物になる槍が良いと思うが、アイテムボックスにはない。
一回、刀を持たせて、その反応を見て確かめるとしよう。
私はアイテムボックスからミスリル製の刀を出して、エミールに持たせてみた。
刀は性能が高い代わりに、命中補正ステがないから、微妙なのか、優良なのか分からん武器だ。

「カグヤ様、これなんです?」

刀だ。エロイナ世界では初心者向けの武器として扱われている。
素振りしてみてくれ。

「もっふー!もっふー!」

軽々とエミールは、手馴れた手つきで刀を振り回した。その様はまるで熟練者。
妙にゲームチックだ。
現実では、刀は携帯性に優れているが、基本的に他の武器の補助として扱われる役立たず武器。
リーチは短い。訓練に多大な時間がかかる。そんなデメリットに溢れた武器のはずだ。
だが、この世界では違うらしい。剣スキルが存在するせいか刀の扱いは簡単。
エミールは何度も何度も刀を上げては下ろし、玩具を貰った子供のように目を輝かせている。

「これ楽しいです!カグヤ様からの贈り物を大事にしますね!」

……すまないな。エミール。
危険な仕事をこれからたくさんさせる事になると思う。
前衛という仕事は、敵の攻撃がそこに殺到する。
君が仏様のような寛大な心を持っている事を祈ろう。
今の私の気分は、若い少年を誑かす悪女さん。
でも、愛人に4000億円貢いだエカテリーナ2世(ロシアの女帝)のような大悪党には成れそうにない。
所詮、私は小市民さ。
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TS転生オリ主よ。お主も悪よのう
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なんだ、このナレーション。


〜〜〜

戦闘時の連携訓練を少しやった後、エミールと並んで私は村を歩いた。目指すべき場所は泊めてくれそうな家。
しかし、村は恐ろしい程に荒廃していた。畑には最小限の穀物しかなく、農民達はクワの代わりに剣や槍で武装して狩りに行っている。
砂漠の日差しを回避するために、日陰で行われる奥さん達の日常会話も

「あっちの砂漠にオークだらけのダンジョンが生えてきたらしいわ」
「豚肉を食べられるって事ね〜食生活が充実して太っちゃう」
「でも奥さん、最下層にいるオークキングのLVが桁違いだから危ないですわ」
「最下層に行かずに、オークだけを狩れば良いじゃない」

どこの世紀末すぎる世界観の村だ。
税率90%のせいで仕事を放棄しているぞ、こいつら。
民草の事を考えない為政者が全部悪いんだ、そう納得しよう。
たぶん、こんな環境の村だから本の類はなさそうだ。
残念である。

ん?遠くから砂煙を上げながら、こちらへと近づいてくる人影が5つある。
……まさか新しい刺客か?
人影の正体は馬に乗った人間達。全員が高価な装備で身を覆っている。
4人は通り過ぎて、彼らの中の一人が私の前で止まった。
白髪の初老の男だ。孫娘を見るような優しい視線で微笑みかけてくる。
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メルカッツ
ベテランの冒険者だ。
アドバイスを受けたいなら、彼に聞くべきだろう。
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「小さなお嬢ちゃん。
冒険者になったばかりの新人かね?」
『ああ、そうだ」
私が素っ気なく頷くと、メルカッツは柔らかい口調で

「そうか、そうか。
新人だから分からない事だらけだろう?
何か困ったことがあったら、私に何でも聞きなさい。
こう見えても冒険者人生は長いのだよ」

メルカッツは優しそうな老人だ。だが、私を罠に嵌めるための演技かもしれない。
敵か味方か、それとも関係のない人なのか、少し悩んだ。
とりあえずカマをかけて見る事にした。

「……メルカッツさんに聞きたい事があります。
聖帝カグヤという言葉に聞き覚えはありますか?」
「ん?」

これで驚く反応があったら未来からやってきた可能性が高い。
だが、私の期待を余所に、メルカッツは首を傾げて悩み込むばかり。

「聖帝カグヤ?昔の偉人の名前かね?」

いや、知らないなら良いんです。メルカッツさん。
時間を取らせてすいません。
見たところ、お急ぎの様子。私たちに構わずにお連れの方を優先してください。

「お嬢ちゃんは礼儀正しいな。確かに私は連れの皆と一緒に、遠出に出かける予定だ」

どうやらメルカッツは、私の事を何にも知らないお爺ちゃんのようだ。
幼い外見の私達を見て、心配になって語りかけてきただけの無関係な人なのだろう。
……こうやって、会話してくる相手を疑う生活はなんか辛い。
メルカッツさんみたいな紳士を疑うなんて恥ずかしいな。

「カグヤ君、エミール君、他に何か聞きたい事があったら村長の家に来るといい。
私はそこで一年前から宿泊している。この村、唯一の民宿だ」

メルカッツさんはそう言って、馬を鞭で叩き、場を走り去っていく。
なんて慈愛に満ち溢れたおじいさんなんだ。
私の名前を知っているのは、向こう側にもナレーションが表示されているせいだろう。たぶん。
あんなに良い奴が刺客な訳がない。

「とても強そうな人でしたね。カグヤ様」

エミールが狐耳をピョコピョコしながら話しかけてきた。
試しにどれくらい差があるのか試してみよう。
私が攻撃意思を示すだけでナレーションの中の人が教えてくれるはずだ。

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私に中の人はいない。
だが、彼に喧嘩を売るのは、やめた方が良い。
蟻と大魔王ほどのレベル差がある。
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さすが真摯なご老人。
振る舞い通りの圧倒的な戦闘力だ。
ああいう人ばっかりだったら、この世界はきっと平和だろう。
平和。今の私には縁がない言葉だ。悲しい。
新しい本が欲しい。高クオリティの小説や漫画を読みたい。

「カグヤ様。僕、もっと強くなりたいと思いました」

隣の少年が熱い闘志を目に燃やしていた。
前向きなのは良い事だ。強くないと酷い目に合う世界だからな。
私は彼の頭を撫でる。
エミール。狐というより犬っぽい印象だ。人懐っこくて狐耳が嬉しそうに揺れ動く。

「もっふぅ〜。カグヤ様に撫でられると癒されます〜」

猫の神(私)と狐の神(エミール)。最強のコンビタッグだ。
成長すれば敵なんて存在しないだろう。
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遠方から飛んできた砲弾が、村人サナンタを殺害した。
どうやら彼は寄生された生命体だったようだ。
二度と復活することはない。
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ふぅ……刺客はどうやらあっちこっちに居るみたいだ。
異世界は危険に満ちている。
誰が敵で、味方で、無関係なのか。
そんな事を考えていたら精神的に参ってしまいそうだが、絶対の信頼を置けるエミールの存在は私にとっての精神安定剤になりそうだ。





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カグヤ Lv4  ※レベルで上がるのはHPとMPのみ。その他のステータスは食事と行動とスキルのレベルアップで上昇する。

所持金 約1万

 筋力  5
 耐久  6
 器用  3
 感覚  5
 習得  12
 意思  12 
 魔力  85 
 魅力  23(+100) 
生命力:90(+30)
マナ:90
速度:2000

 クラス   魔法使い
獲得スキル 詠唱(魔法の成功率)瞑想(MP回復)エコ魔法(魔法のストック節約)魔力の限界(MP切れた状態で魔法使った時の反動を抑える)など×1000のスキル
獲得魔法 無の矢(アロー)LV3  混沌の矢(カオス・アロー)LV1
状態異常
称号 『男女』


装備






胴体 ★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
遠隔武器 ✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
弾薬


どうでもいい設定D

この作品は、エジプトの地理ネタ+Elonaネタを少しオマージュしている。
http://suliruku.futene.net/GAME/Muryou/RPG/Elona_plus/index_pet.html

エジプト「ナイル川の西と東が死の砂漠辛いわー。
でも、大規模な軍勢が侵略してこないし、古代時代は楽勝だった」



この話のコメントまとめ+作者の感想

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Honzuki_no_naiseiti-to/c5.html

【小説家になろう】ラノベの2015年売上ランキング、ダンまち の優勝
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【内政】「船を開発して俺TUEEEE! 」☚展開って結構あるけど、専門知識たくさん必要だよね
http://suliruku.blogspot.jp/2015/12/tueeee.html


 

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