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本好きの成り上がり
4話 サンタクロース「クリスマス・プレゼントじゃよ」


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砂漠での遭難問題を一気に解決する方法を思いついた。
メイリンの船に乗って、船員として働けば良いんだ。
そうすれば死ぬ心配をしなくても良い。
そんな事を言ったら――

「駄目アル!」

見事にメイリン本人から両手を✖印にして拒否られた。
なぜだ!砂漠に放置されたら死んでしまう!

「歴史が変わってしまうから駄目アル!
歴史の流れは、未来でもよく分かってない分野だから……下手したらアタシが消滅ネ!
近くの村へと向けて旅するヨロシっ!」

ここでその電波設定か。
メイリンは綺麗で可愛い娘なのに、頭が電波すぎるのがいけない。
無論、こんな事は口に出していない。
彼女は私の恩人なのだ。電波娘に電波と言っても怒るだけだ。
下手したら私の人生がここで終了する。
メイリンは黒い瞳で私を見つめて、親しい身内に見せるような優しげな声で

「カグヤ頑張るアル。
これからたくさんの試練が降りかかるけど……カグヤなら大丈夫ネ。
人類の命運を託すヨ」

そんな真摯な態度で言われても困る。
何時から私は、ファンタジー小説の主人公になったのだ。
そういう中二病は早く卒業しないと駄目だぞ?猫の神は不老で老いないから良いかもしれないが、メイリンが種族:人間だったら大問題だぞ?
人間の女性の若い時間は、本当に短いのだ。

「何か言ったアル?」

何も言っていない。
物資の提供、感謝する。
〜〜〜〜

メイリン達に見送られた後、私は貰った地図を頼りに方位磁石を使って、現在位置から一番近い村を目指した。
砂漠を横断するのは、この小さな少女の身体では辛すぎる……。
だから、定期的に遭遇するモンスターは、無の矢を連続して叩き込んでストレス解消しても許されるはず。

「ブヒィー!……チッパイヤンー!?」
逞しい体格のオークさん。はい、無の矢(アロー)

「肉ぅー!……ガキグゲゴッ!?」
ナイフ構えている小さいゴブリンさん。はいはい可愛い可愛い、無の矢(アロー)。

「ピギィ……」
スライムさん、何もしなくても砂漠の暑さで瀕死状態。

「お嬢ちゃん?こんな所で迷子か?……ひでぶっ!」
モヒカン頭の人間。きっとモンスター。はい、無の矢(アロー)。
とりあえず、出会ったら魔法でブチ倒せばいいやって思った。ここはリアル無放地帯だし。
モヒカン頭なんて、きっと人を殺すのが三度目の飯よりも大好き的な異常者さんに違いない。
世間のクズを殺してお仕置きする私はなんて優しいのだろう。RPGの弱い者虐めが癖になってくる。

そうやって、のんびりゆっくり、弱いモンスターを虐めてストレス解消ついでに、魔法関連のスキルを上げまくりながら道を進んだら……南極の氷を割って冷やしたいくらいに暑すぎる砂漠の向こうから、何者かがやってくる。
トナカイが牽引するソリだ。ソリには紅い厚着の衣服を着た巨漢の男が乗っている。
ま、まさか……サンタクロース?エロイナの世界にはサンタクロースがいたのか。
きっと子供の夢を叶えてくれる良い人なんだろう。
今の私は子供。だから何かをくれるはず。
私は、無邪気にサンタの実在を信じていた昔の自分を思い出しながら満面の笑みで待ち受ける。

「ジングルベルー ジングルベルー 死体になる〜。
子供なんて〜殺しちゃえ〜いぇーい!」

死を予感させる不吉な歌が聞こえた。
歌っているのはサンタクロース本人だ。
子供の夢をぶち壊し、猟奇的な事を言いながら私に向かってくる。

「べりー苦しめて殺す!」

こら!そこはベリークリスマスだろ!?
本物のサンタクロースを愚弄するな!偽物めっ!
北欧三国に謝罪しろ!

「ふぉっふぉっふぉっ、面白い事を言うお嬢ちゃんじゃな」

すぐに、私はこいつを敵と判断。
無の矢を一発放って、素早く後方に走って距離を取る。
敵の速度はせいぜい三百。私は二千。
逃げるのは簡単……と言いたいが、私は包囲されている事に気がついた。
360度、全方向からソリに乗ったサンタクロース達が砂煙を上げながら向かってくる。
数は約三十人。私はすぐに包囲網が薄い場所から突破しようと突撃。
そうするとサンタクロース達は、黒光りする回転式弾倉の拳銃をソリから取り出して撃ってきた。

「ふぉふぉふぉ、小さなお嬢ちゃんにプレゼントじゃ」
「ベリー苦しめて殺す!」
「ハッピーデスデー!(今日がお前の命日)」
「ハッピーニューイヤー!お嬢ちゃんにはっ!二度と新年は訪れない!」

火薬の爆発を利用して高速で飛んでくる弾丸。だが銃弾は粗悪品だ。
見当違いの方向に飛んでいく。私が動き回っていれば当たる確率は低い。
基本的に拳銃は携帯性に優れる代わりに、有効射程距離が短い武器。距離を取れば怖くない。

「無の矢!」

問題があるとするならば、私の魔法関連のスキルが低すぎて、大したダメージを与えられない。
相手が一回攻撃してくる間に、私は八回魔法攻撃できる計算だが……私の少ないMPでは、無の矢を十回使えば尽きてしまう。
MP回復が間に合わない。回復関連のスキルはほとんど上がっていない。
もしも、相手が魔法が使えるアイテムを持っていたら……魔法は必中だから包囲網を突き破る事すらできない。
今は相手が魔法を使えない事を前提に走る。
目の前から銃弾が飛んできて怖い。私が相手に近づければ近づくほど、被弾する確率も高くなる。

「ベリー!苦しめて死なす!」

包囲網を突破する瞬間、銃弾の一つが右足を掠った。
HPが9割以上奪われ、焼いた鉄で熱されたような激痛を感じ、私の小さな身体は砂漠を転がった。
サンタ達は私を取り囲み、老いた顔に醜悪な笑みを浮かべて拳銃を向けてくる。

「小さなお嬢ちゃん。
サンタクロースからの贈り物はどれが良い?
1.爆死
2.毒死
3.エイリアンを妊娠死
4.撲殺死
5.惨殺死
6.餓死
ワシ個人としては餓死を進めるね。
復活する気力もなくなるくらいに苦しめて苦しめて殺してあげよう」

ふん、私が嫌だと拒否したら、1〜6を全てプレゼントする気だろ?
その手には乗らない。まだこちらには勝ち目がある。
……人間としての尊厳を失ってしまう方法だが、私には最後の手段が残されている。
そうやって私に言い聞かせて、頭を冷静にさせつつ、このゲスどもから情報を引き出す事にした。

「……なぜ、私を徹底的に虐待するんだ?」
「ふぉっふぉっふぉっ。
ワシらにも最後の情けはある。
冥土の土産に教えてあげよう。
サンタクロースからのクリスマスプレゼントじゃ」

サンタの一人が立派な白ひげを弄りながら、完全にこちらを見下してくる。
三流だ。こいつらは殺し屋としては三流の類だ。
獲物の前で油断してペラペラ喋るとは……雇い主が貴様らに居たらリストラされるぞ?

「小さなお嬢ちゃん。いや、カグヤ聖帝。
お前を放置するとな?
魔族が大敗北する未来が約束されるから邪魔なんじゃよ。
じゃから蘇生できないように徹底的に虐待して魂すらも辱めて殺す。
お嬢ちゃんの輝かしい未来を摘み取らせてもらう」

……誰かと勘違いしてないか?
確かに私の名前はカグヤだが、そんな凄い英雄ではないぞ?
よく調べてから襲え、三流の暗殺者め。

「信じなくても良い。
この時間軸のカグヤ聖帝は……無名のまま、歴史に名前を刻み込む事もなく死ぬのじゃからな。
そのために、ワシらは未来からやってきたんじゃ。
まぁ……ワシらが居た時間軸は人類が絶滅した世界。
小さなお嬢ちゃんが、この末期的な戦況を覆して大逆転するとは信じられんが、ワシはワシが居た世界を守るためにお主を殺す。
分かってくれたかの?」

意味が分からん。
いや、ヒントはメイリンと会話した時点であった。
あの猫耳娘も『未来から来た』と言っていた。
つまりこういう事だ。
@こいつらは魔族が勝利した時間軸からやってきた刺客達。
Aメイリンは、人類が勝利した時間軸からやってきた。
恐らく、こういう事なのだろう。
タイムトラベル関連はややこしいな……異世界で可愛い女の子になって、私が人類の命運を担う存在になる?
一体、どんな物語だ。ふざけているとしか言い様がない。

「さて、まずは銃殺死といこうかの?」
「メリー苦しめて殺す!」
「メリー苦しめて死なす!」

痺れを切らしたサンタ達が銃を構える。私を殺す気満々だ。
私は最終手段を使うべく身構える。
恐らく勝負は一瞬で決まる。
最終手段を使えば、奴らが一回攻撃する間に、私は八回攻撃できる。
勝てるかどうかは分からない。だが、可能性が残っている以上やるしかない!

「「ハッピーデスデー(貴様の命日)!」」

その言葉とともにサンタ達が引き金を引こうとした瞬間。
奴らの頭が消し飛んだ。一気に5人分の頭がバラバラの肉片となり、奴らは状況の急激な変化に困惑して行動を停止した。
私は最終手段を使わずとも勝利できると判断し、怪我してない左足で思いっきり地面を蹴る。
「無の矢!」
一気に九回連続で魔法を浴びせた。しかし私の魔力が低いせいで一人も死んでいない。
25人のサンタが拳銃をこちらへと向けて引き金を引いてくる。
銃弾が届く前に、私はアイテムボックスから『魔石』を取り出して擬似魔法を発動。
「ショートテレポート!」
少し離れた場所に空間転移し、銃弾を全て回避した。
サンタは突然、私が消えた事に動揺し、その場に立ち尽くす。
すると遠くから超高速で飛ぶ砲弾がやってきた。これがサンタ達を殺害した凶器の正体。
4人のサンタを吹き飛ばして肉片へと変え、次々と新しい砲弾が飛んでくる。
サンタどもは避けられない。
トナカイとソリごと餌食になる。
すぐに生き残ったサンタどもは、近くの砂丘を盾にし、生き残ろうと足掻くが

「無の矢(アロー)!」

魔法は有効射程内なら必中。そこに目標がいると分かっていれば、応用して魔法の軌道を曲げるのは容易い。
そんで私のMP回復速度は種族特性のおかげで二十倍っ!さらにMP回復スキルのレベルアップっぷりも二十倍!
無の矢を何度も何度も砂丘に隠れ潜むサンタどもに打ち込み、チマチマと虐めてみた。
サンタどもは砂丘が障害物になっているせいで、反撃できない。
人を苛めようと思うするから、アンタらは苛められるんだよ?

「こ、これが聖帝カグヤの恐ろしさだというのかっ!?」
「おそロシアっ!」
「ど、どうすればいいんだぁー!?」

サンタどもは砂丘を出れば遠くからやってくる砲弾で死亡。
砂丘に篭れば、無属性魔法のレベル上げ用の標的END。経験値も貰えて美味しい。
そんなどっちの選択肢を選んでも死ぬじゃん!という状況に置かれたサンタ達は、一斉に砂丘から飛び出て逃げようとするが、砲弾の餌食になってHPが尽きて死に……三分もする頃にはひとり残らず肉片になっていた。

……まだ、油断してはいけない。
この世界の生物は、勝手に湧いているモンスターを除き、気合があれば何度でも復活できるクリーチャー。
自然治癒スキルで癒えた足で、立ち上がって走ってサンタ達の死体から距離を取る。
MPは3割ほどしか回復していない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このサンタ達は、寄生生物に身体を奪われた犠牲者だ。
LVが十倍になる代わりに復活できない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サンタ達の死体から、白い塊が飛び出て空へと登っていく。
世間でいう魂なのだろうか?綺麗で幻想的である。
ナレーションを信じるなら、ここは安全という事になる?
それにしても私を助けてくれたのは誰だろうか?
きっと、私を助けるために未来からやってきた奴に違いない。
私としてはアーノルド・シュワルツェネッガーみたいな頼れるマッチョを希望する。

……しかし、本当に、なぜ、こうなった。
子供が思い浮かぶような空想小説の主人公になってしまったのか?この私が?
馬鹿げていると言いたいが、エロイナ世界で猫耳美少女になってしまった時点で、どんな事態も有りうる。
分かる事は、これから先もたくさん刺客がやってくるのだろう。
基本的に襲撃する側に主導権があるから、防衛側の私の方が不利だ。
早めにスキルレベルを上げて耐性装備を整えないと、絶対殺されると思う。
どないしよう。
負けたら、徹底的な辱めとか拷問受けるとか酷すぎる……私は風呂の中でゆっくり本を読んで過ごしたいだけなのに……ああ、現実に帰りたい。



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カグヤ Lv3  ※レベルで上がるのはHPとMPのみ。その他のステータスは食事と行動とスキルのレベルアップで上昇する。

所持金 約1万

 筋力  4
 耐久  5
 器用  3
 感覚  5
 習得  12
 意思  12 
 魔力  80 
 魅力  23(+100) 
生命力:90(+30)
速度:2000

 クラス   魔法使い
獲得スキル 詠唱(魔法の成功率)瞑想(MP回復)エコ魔法(魔法のストック節約)魔力の限界(MP切れた状態で魔法使った時の反動を抑える)など×1000のスキル



装備






胴体 ★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
遠隔武器 ✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
弾薬




【小説家になろう】 他のヒロイン達が俺以外の男と3Pしてる件【田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い】
http://suliruku.blogspot.jp/2015/12/3p.html
【小説家になろう】 異世界召喚は辛いよ【コメントまとめ】
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どうでもいい設定C

カグヤが内政チートする前に死んだら、人類は滅亡する」

カグヤ「どうでも良くない件」
魔族「人類滅亡しろ!」







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