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料理大好きエルフの異世界レストラン

4話「ダンジョンがある国とオイル」A「……こ、これは石化した人間達!?」4KB


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早速、高さ20mはありそうな超巨大デパートへと入ったブルー達。
ガラスの回転扉から入った彼らに待ち受けていたのは……動かない無数の人影。
よく見たらそれは、顔がない人間だった。現代風の豪華な服を着ている。
しかし身体は――冷たい無機物と化していた。

「……こ、これは石化した人間達かの!?」

トルは細長いエルフ耳をピョコピョコしながら絶叫して、その場でプルプルッと小動物のように震えた。
それはそうだろう。石化した人間達。
そんなものがあったら――ホラーさを感じて怯えるのも無理はない。
ブルーとイエローは歩みを進めて通信で話し合う。

《イエロー。これマネキンだよね》
《はい、衣服の宣伝・販売を促進する時に使う道具です。
結構、高そうな服がズラリと並んでますよね》

無数の人影はマネキンだった。
等身大サイズで、優雅に人間の衣服を着こなしている。
日本の高齢化社会に対応するために、老人仕様の小さいマネキンも多い。
しかし、知識がないエルフ娘から見れば――これは石化された人間に見えた。
無数の命がここで無残に散った。そんな悲惨な光景だ。
プルプル震えていたトルは、勇気を振り絞って立ち上がる。

「わっち!元気充填完了でありんす!
石化された人間達は、後で埋めて埋葬してあげるんじゃよ!
さぁ!ブルーとイエロー!わっちとダンジョン探索じゃ!」

エルフ娘は歩みを進めた。その小さな体に溢れる勇気は、2人の機械歩兵を暖かい感動で包み込んだ。

《イエロー、この娘、すごく面白いよ。
マネキン一つで、この喜劇っぷりは凄まじいね》
《ええ、僕もそう思いました。
すごく弄りがいがあります》
《しばらく、何も教えないでおこう》
《ええ、そうですね。きっとこの動画売れますよ。
本国にいるナポ様に見せたいです》

ブルーとイエローは愉快な気分になった。
機械歩兵の機械頭脳は、低画質録画モードから高画質録画モードになり、じっくりとエルフ娘をカメラ・アイで見て撮影した。



★動く床トラップ!?★

ブルー達は勇敢にもダンジョンを進み続けた。
すると前方に……上の階層へと向かって動く床『エスカレーター』がある。
機械歩兵達は稼働しているエスカレーターに迷いもせずに乗った。
この光景を見たトルは、飛び上がるように驚く。

「こ、これは動く床!?
ブルー!イエロー!危ないでありんす!
こういうのは、行き先に罠があると相場で決まっているでありんす!
落とし穴とか、モンスターを召喚するトラップとかあるかもしれないでありんすっー!
止まるんじゃよっー!」

涙目になって必死に叫ぶエルフ娘。
このままではブルー達が死んでしまうと思い込んでいる。
機械歩兵達はその姿に萌えて癒された。

《この娘、最高だよ、イエロー。
お持ち帰りしたい》
《誘拐は犯罪ですよ!?》
《ああ、なんで私は機械歩兵なのだろうか?
生身の身体があれば、リアル嫁が作れるのに、エルフ娘と狐娘とか最高だよね》
《そこはスッパリと諦めましょうよ。
それに機械歩兵の身体の方が便利ですよ?ゲームしながら生活できますし》

通信で雑談をしている内に、ブルー達は無事、エスカレーターの先に着いた。
その様子を見て安心したトルが、動く床に乗り、追いついてくる。

「お主ら!ダンジョン初心者じゃろ!?
こういうのは本当に危ないんじゃよ!?
たまに床が抜けるトラップがあっての!落ちたらミンチにされてしまうんじゃよ!?」

《それなんて欠陥製品》
《エスカレーターの先に殺人トラップがあるとか、それ完全に人災ですよ。
デパート客を殺したら、裁判になりますよね……》
《認めたくないものだな……文明の過ちとやらを》
《ガンダムネタはやめてください》



★食えない食べ物★

第二階層は無数の食品がズラリッと置いてある食品売り場だ。
だが、どれもこれも腐っている。無事なのは缶詰などの保存が効く代物だけ。
他に残っているのは――

「ひ、ひどいのう!
食べ物まで石化しとるのう!
ひょっとしたら、ここらへんに石化モンスターがいるかもしれん!
ブルーらも気をつけるんじゃよ!」

エルフ娘が手に持っているのは、プラスチックで出来た食品サンプルだった。
本物のラーメンそっくりに作られているが……当然食べられない。

「酷いのう!
食べ物まで石化とか酷すぎるのう!」

《笑い死にしそうだ。このエルフ娘は本当に可愛いね。癒されるよ》
《これがシリアスコメディって奴ですか。奥が深いですね》
《お嫁さんにしたい、エルフ耳可愛い》
《生身の嫁を持つのは諦めてください、ギャルゲーで我慢しましょうよ》

「先を進むんじゃよ!
石化モンスターは、わっちが討伐するんじゃっ!」

特にお金になるものはない。食品売り場を後にした。



★宝石ザクザク★

二階層の奥は、素晴らしい光景が広がっていた。
無造作に置かれた大きな箱の中に、無数の美しい宝石が納まっている。
トルは次々と箱を開封して、大喜びした。

「すごいのう!すごいのう!
これでわっちは億万長者じゃよ!
この緑色の宝石はエメラルドかの?これはサファイヤ?ルビーまであるのう!ええのう!ええのう!
持ち運びきれないくらいあるのうっ!」

少女が手に持っていたのは、1.5cmサイズの丸いビー玉(ガラス製)だった。
超格安、工場で数十万単位で大量生産された代物。
地球の子供達の玩具だ。

《あはははは!ビー玉が宝石とか笑えるよ!イエロー》
《いや、こっちの文明レベルだと宝石として通用しますよ。
ハイレベルのガラス製品とか、きっと高級品扱いだと思います》
《なるほど、後でガラス玉を高い物と交換しまくっておこう。臨時収入になるよね》
《現地経済がぶっ壊れるからやめてください!江戸時代の日本みたいにする気ですか!?》

機械歩兵達の漫才を余所に、エルフ娘はとっても無邪気に喜んでいた。

「ええのうっ!素晴らしいのっ!
これだからダンジョン探索はやめられないのう!
わっちっ!国一番の大金持ち確定じゃよっ!」

業務用の百個で百円のビー玉が、照明でキラリッと輝いた。




Bに続く

今回のコメントまとめ+作者感想さん
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