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ゆっくり戻るよ!

ラッキーの不思議な旅
30国外目 地獄の入口がある国


金髪の小さい女の子ラッキーは空を優雅に魔法で飛んでいました。頭に拳サイズの妖精さんが乗っています。
地上に広がるのは中央アジアヤー地域のカラクム砂漠。
砂と荒地が何処までも広がる不毛の土地です。

でも、不思議な事にその砂漠の中に炎の塊がありました。
ゴウゴウと熱く燃え盛る炎のクレーター。
燃えすぎてクレーター全体が真っ赤。
人間が入れば、すぐに死んでしまうだろう壮観な地獄のような光景。
まさにこの世の神秘そのものです。
ラッキーは知的好奇心に目をキラキラ輝かせながら、炎のクレーターの近くにシュタッ!と着地し、40年くらい燃え続けていそうな炎を見下ろしながら

「ねぇ、妖精さん。
これって何かな?」

その問いに、頭にいる妖精さんは、恐怖で震えながらゆっくりと答えました。

「ら、ラッキー。
これ噂に聞く地獄に繋がる門じゃないの?
早く逃げようよ!地獄は嫌だよ!」

「地獄?
それって面白そうだね。
どんな国があるんだろう?
行ってみよう!」

「やだやだやだぁー!
今度こそ僕たち死んじゃうよ!?」

ラッキーは勢いよく炎のクレーターに、小さい体を華麗にジャンプ。
自分の命よりも知的好奇心最優先。
風のバリアーと魔法で、可能な限り防御を固めながら灼熱の炎に突撃すると、50m 100mと怒涛の速度で落下して

ストン

「?」

すぐに穴の底に着いて、尻餅をつきました。
周りは恐ろしいほどの高熱と毒ガスが吹き出す狭い通路ですが、全て魔法で遮断しているから問題ありません。
穴の底には、ラッキーが入れないサイズの小さな小さな縦穴があり、そこからガスが勢いよく吹き出ています。
どうやら、地上の地獄のような炎はただの自然現象のようです。
地下に大量に埋まっている天然のガスが、地上に絶えず流れ続け、誰かが火をつけたから炎のクレーターが出来上がっただけです。
この辺りには世界第四位のガスの埋蔵量を誇る国家があるから、このようなクレーターが存在する事はありえる事でした。
ラッキーは残念そうな顔でしょんぼり。
エルフ耳が垂れました。今まで描写していませんでしたが、ラッキーは逆に嬉しい時はエルフ耳がぴょこぴょこ動いてます。

「……地獄にいけないよ。妖精さん」

「本気で地獄に行こうとする、ラッキーなんてもう知らない!」

頭にいる妖精さんがプンプン怒ってます。
ラッキーはしばらく周りのガスと上の炎と怒った妖精さんを見た後、その場から魔法で上に飛んで、炎のクレーターから抜け出して、近くに降りました。
背後を振り返り、延々と燃え盛る灼熱のクレーターを見下ろします。
真っ赤に真っ赤にゴウゴウと燃え上げるクレーターは美しいのですが、ラッキーは地獄に行けなくてゆっくりできません。
そのまま惜しい気持ちとともに10時間ほど、残念な気分でエルフ耳を垂らしたまま、ラッキーは炎のクレーターを見続けます。
太陽は地平線の彼方へと沈み、真っ暗な夜がやってきました。
炎のクレーターは、昼間見た頃よりも赤く光って強い存在感を誇示しています。
妖精さんとラッキーは、これはこれで美しいからいいやという気持ちになってきました。
地獄に通じる門ではありませんが、単純に大きなクレーターそのものが燃え上がる光景は滅多にない新鮮な光景です。
砂漠の夜という自然の雄大さ、それを照らす炎のクレーター。
それは人間もエルフも、ゆっくりさせてくれる素晴らしい物。
炎は美しい芸術品、常に形を変えるから見ていて飽きません。
ラッキーは異次元ポケットから、板に載った高級マグロ寿司10人前を取り出してパクパク食べました。
紅いマグロの脂肪は、舌で溶けて甘くて絶品です。
炎のクレーターを見ながらとなると、余計に美味しい気がします。
そして、怒っていた妖精さんに、ウナギが載った寿司をラッキーがあげたから、妖精さんは仕方ないから許してやるという顔をし、一緒に寿司をパクパク食べます。
マグロを食べ終えた後は、熱々のお茶の缶を異次元ポケットから出してゴックリ。
なんでも物が収納できる異次元ポケットのおかげで、旅が快適なのです。
そんな調子で夜が更けるまで、炎のクレーターを肴に、飲み食いしながら妖精さんとラッキーは語り合いました。
妖精さんはラッキーの頭で寛いでいます。


「ねぇ、ラッキー。
僕たちが故郷を出てから、どれくらいが経ったのかな?」

「私にもわかんないけど、少なくとも100年は過ぎてるよね」

「……この旅、いつまで続ける気なの?」

「私が旅に飽きる、その日までだよ。
永遠に続く旅なんてないだろうしね」

「…早く、故郷に帰りたいなぁ」

燃え盛るクレーターから飛び出る光が、ラッキーを赤く染めています。
妖精さんは永遠に続きそうな旅と、懐かしき故郷を思いながら寂しい気分になりました。
でも、目の前の地獄の門みたいな美しい光景を見れるなら、旅も悪くないんじゃないかな?と妖精さんが思います。
世界にはこんな信じられない神秘的な絶景がある。
それを知れた事で旅の良さがわかった気になりました。
そのまま二人は朝になるまで、ひたすら談笑していると、地平線の彼方から太陽がゆっくりと昇って、地上の全てを照らしています。
その地上の砂漠には、複数の工事用の重機と、機材を積んだトラックの集団が、このクレーターへと向けて走ってきました。
明らかに何らかの工事をするための装備です。
集団はラッキー達の近くに来ると停車し、次々と人が降りてきて、みんなが作業用のヘルメットを被っている労働者でした。
その中の1人の男がラッキーを見て邪魔そうな顔をして叫びます。

「小さいお嬢さん!
工事の邪魔だから離れてろ!」

「何の工事なのかな?」

ラッキーは首を可愛くかしげます。
すると男は

「この40年以上燃え続けるガスクレーターが邪魔だから、大統領の命令で閉鎖しに来たんだよ!
だからどいてろ!
危ないぞ!」

「え?
どうしてそんなことをするの?」

「ん?そんな事も知らずにここに居るのか?
このガスクレーターはな。
元々は事故で天然のガスが詰まった洞窟に大穴を開けてしまったから、穴から吹き出る有毒なガスが外にもれないようにするために意図的に燃やし続けている代物なんだよ!
観光名所として活用してきたが、やっぱり邪魔だから大統領が閉鎖宣言をしたんだ!
だから邪魔になるからどこかにいけ!」

そう言うと、男は無視して閉鎖するための作業を開始しました。
ラッキーが光学迷彩で姿を消して見物すると、あっという間に作業は終わり、ガスクレーターは吹き出るガスごと閉じ込められ、先ほどの地獄の門のような光景が見れなくなりました。
ラッキーはそれを見て、エルフ耳を下に垂らしてションボリ。
妖精さんは嫌そうな顔で人間達を見てました。

「もうやだ人間の世界!」

作業を終えた人間達は晴れやかな気持ちで、近くにある大理石の建造物だらけの綺麗な首都へと帰って行きました。
40年以上放置していたガスクレーターを閉鎖できて気分は最高です。
場には、残念そうな顔をしているラッキーと妖精さんが残り、閉鎖されたガスクレーターを見て、憂鬱な気分でションボリ。



おしまい。

 

 


テーマ【トルクメニスタンの地獄の門 + 大統領の閉鎖宣言ネタ】
http://suliruku.blogspot.jp/2014/11/blog-post_86.html
小説書くために【地獄の門】をまとめてみた。
※ 実際にどんな方法で閉鎖するのかは、予定だから分からない。


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 ●核戦争の危機だ!史実通りに書く

●ソ連軍上層部のメンツがつぶれたと思うから、その思惑を書きながら軍人人生終わり。

●ラッキーが最後にその国を訪れて、感心する


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