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ラッキーの不思議な旅
26国外目 偉大な発明家




金髪の少女ラッキーが、木々が生い茂る森の中を歩いていると、一件の建物を見つけました。
その建物はこんな場所にあるのが不思議な鉄筋コンクリート製。
周りに照明が設置され、鉄条網で覆われた畑があります。
気になったラッキーは、トコトコ、金属製の扉の所まで歩き、ドアノブを掴んで開けてみました。
するとどうでしょう。
内部は広大な一つの部屋に、無数の機械がゴミのように置かれている屋敷だったのです。
真ん中に、白衣を着た初老のお爺さんがいて、夢中で機械を弄り、ラッキーが後ろにいる事に気付きません。
ラッキーはこの人間で知的好奇心を満たすために声をかけました。

「ねぇねぇ、こんな所で何をやってるの?
憧れの自給自足生活って奴なのかな?」

お爺さんはゆっくりと後ろを振り返り、ラッキーを視認して

「なんじゃい?
お主は誰だ?」

「私の名前はラッキーだよ。
それよりも、あなたはこんな所で何をやっているの?」

「小さいお嬢ちゃんはラッキーと言うんか。
ワシはな。
どんな機械でも作れる機械が完成したから、その実験をしとるんじゃよ。」

「機械を作る機械?」

「ああ、これがあれば人間は働く必要がなくなるんじゃ。
まぁ、現物を見れば分かりやすいはずじゃ。」

ちょうどその機械がプルプル震えて作動して、何かを作っていました。
機械の形状は、三つの大きな茶色の箱を横に繋げた代物です。内部が見えるように側面はガラス張り。
最初の箱は、設計図を読みこんで、材料を元に、まずは機械の元となる部品を次々と生産して次の箱に輸送。
二番目の箱は、内部で無数の腕が部品を掴んで組み立て。
三番目の箱で、無数の溶接作業をする腕が、金属を溶かして仕上げて、機械が完成します。
完成した機械は【機械を作る機械】そのまんまの三つの茶色の箱です。
更に【機械を作る機械】が作動して、【機械を作る機械】を作っていきます。
ラッキーは驚愕しながら、この光景を見ていました。
お爺さんは実験の成功に喜んで踊っています。

「やったぞー!ワシの人生に意味があった!
これで人類は労働から完全に解放されるぞ!」

「あの、これを使って何をする気なの?
ロボット軍団でも作って世界征服?」

「国に帰って、大量生産するんじゃ!
そんで皆を辛い労働から解放して自由に」

「えい!」

「ニート!」

ラッキーはお爺さんのお腹を殴って気絶させて、そのまま屋敷の外へと身体を引き摺って運んで、地面にお爺さんを捨てました。
その次に、魔法で大量の風の刃を量産して射出して【機械を作る機械】を全て粉々に破壊。
部屋の中にあったガラクタの類も、念のために全部壊し、屋敷を支えている柱を切断してバラバラに倒壊させました。落下物が落ちるズシーンズシーンという音が五月蠅いです。
なんて事でしょう。
ラッキーがリフォーム(破壊工作)を開始してから3秒で、廃屋の完成です。
劇的ビフォーアフター。
玄関だけが綺麗に残っている所がお茶目。
部屋がどれも完全に崩壊して、この家に人が住む事は二度とないでしょう。
ラッキーは良い仕事をしたなぁと思いながら、この家を去り、新しい国を求めて旅に出ます。

「あんな機械があったら、人間が全員失業して国が滅亡しちゃうよ。
恐ろしい発明だったよ。」












おしまい
 

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