ラッキーの不思議な旅
21国目スポーツの国A バトミントン大会
酷過ぎる開会式は終わり、ラッキー達は宿泊先へとバスで向かっていました。
皆、精神的に疲れています。
ラッキーはそんなに精神的なダメージを受けていませんが、10〜11歳くらいの幼い少女だと思われているので、熱血コーチが隣の席に座って励ましてくれます。
「ラッキー君。
あの観客達は、ラッキー君の凄さが分からないだけなんだ。
試合をすれば、きっと認めてくれる。
大会が終わる頃には、罵倒は拍手に変わっているはずだ。」
「うん、わかったよコーチ。」
「・・・・その調子なら大丈夫そうだな。ラッキー君。」
「皆のために勝たないといけないからね。
じゃないと、ここまで来た意味がないよ。」
ラッキーの脳裏には、今まで激戦を繰り広げた強敵(とも)達の姿が浮かんでいます。
熱血コーチはラッキーに熱い闘志が宿っている事を理解したので、静かに微笑みました。
ラッキーもそれに気付いて、満面の可愛らしい笑みを返します。
この1年間のおかげで二人は熱い友情と愛で結ばれていました。
描写をほとんど省略しちゃいましたが、長い長い激闘の日々と思い出があったのです。
そんな二人を見て妖精さんは、誰にも聞こえないような小さな声で
「さっさと結婚すればいいのに。」
バスはインチョン市の道路を走り抜け、チョウセン国が手配したホテルへと到着すると・・・・そこにはピンク色のラブホテルがありました。
ラブホテルとは、男女で生殖行為を行って楽しむ場所を提供する休憩所です。
こんな場所を宿泊場所として確保する時点で嫌がらせでした。
ラッキーは隣にいる熱血コーチに問いかけます。
「ねぇねぇコーチ。
ホテルなのかな?かな?」
「・・・・・小さい子供が知って良い場所ではない。。ラッキー君は勝利を目指せばそれでいいんだ。」
「うん、わかったコーチ。」
熱血コーチは疲れた顔をしていました。
代表選手達は、精神的な疲れを癒すためにバスを降りて、次々とラブホテルに入って行きます。
休憩できるならラブホテルだって構いません。
でも、ホテルのエレベーターが故障しているから、目的の部屋(22階)まで階段を登る必要がある時点で、チョウセン国側からの嫌がらせでした。
灰色の階段が遥か上へと続いています。
それを代表選手達はひたすら上りつづけます。
皆、プロスポーツ選手だから、この程度の運動は大した運動ではありませんが、多少の不便さを感じていました。
22階まで上がった代表選手達はようやく部屋で寛いで、(精神的な)疲れを癒せると思って油断しました。
チョウセン国が用意した部屋の灰色の扉を開けると、そこには
「「「「うああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」
ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、ぶーん、
大量の蚊が居て襲ってきたのです。
蚊といえば、世界で一番、人類を大量殺戮している凶悪で小さい虫です。
空をぶんぶん飛んで五月蠅く、近付いて血を吸ってくるから精神と肉体の両方にダメージを与えてくる辛辣な敵なのです。
稀に凶悪なウィルスを保有しており、それを人間に感染させて対象を死に至らしめる事があるため大変です。
なお、二番目に人類を殺戮しているのは、人類と地球の統計で出ていました。
代表選手達はイライラしています。
ここはラブホテルの22階の部屋、普通はこんな高層階(蚊が住みにくい環境)に蚊は大量に生息しません。
完全にチョウセン国側からの嫌がらせです。
熱血コーチは頭をピクピク引き攣らせて、とっても怒っています。
「なんだ!この宿泊設備は!?
我々に対する嫌がらせだな!
ちょっと私は抗議してくる!
ラッキー君は蚊がいない場所へと退避するんだ!
わかったね?!」
「うん、わかったよ、コーチ。」
熱血コーチがチョウセン国に抗議するために階段を降りて行きました。代表選手達は複雑な気持ちで大量の蚊を見て、不快な気持ちになっています。
ラッキーは、代表選手達が可哀そうになったから、近くの窓を魔法で静かに開けて、魔法で作り出した風で一気に蚊を全部ホテルの外へと叩きだしました。
蚊が勝手に外へと飛んでいった事に代表選手達は驚きますが、部屋が快適になったから、ただの幸運だと思って気にしない事にしました。
この階層のエアコン・排水が故障している問題も気にしない気にしない。
どうせ、チョウセン国からの嫌がらせです。
代表選手達は、試合に集中するために、それらの嫌がらせを見ないように必死です。
こんな事でイライラしていたら、試合で敗北する確率が高くなってしまいます。
戦いは精神的なものを含めて既に始まっているのです。
「とりあえず!チョウセン国から支給された弁当を食おうぜ!
お腹が空いたら戦もできねぇよぉー!」
代表選手団の一人がこう言ったので、皆は食事を取る事にしました。
ラッキーは、コーチと一緒に食べたいから、コーチが帰ってくるまで大人しく待ち、聞き耳を立てると、他の階層にいる外国の代表選手団の叫び声が聞こえてきます。
「なんで弁当が配達事故で届かないんだよぉー!腹減ったぁー!
餓えたまま試合に出場しないといけないのかよぉー!
早く弁当を配達してくれぇー!」
「うあああああああああああああ!!!!食糧を自炊したら、チョウセン国人の選手が嫌がらせに異物を混入してきやがったああああ!!!!!!!
モンゴルヤー国はこれに抗議する!」
「なんで、昼飯がパンと牛乳、チョコバー!?!!質素すぎる!」
「焼き肉とキムチしかない。」
「ちょっと近くの食堂で食べてくる。
その方が美味しくて安全だ!」
ラッキーはちょっと不安になりました。
ひょっとしたら、弁当に毒入ってるんじゃないかな?って。
でも、コーチが丁度帰ってきたから、仲良く談笑しながら 弁 当 を食べちゃいました。
後に、この地で戦うには、忍者のように食事を自分で用意する必要がある事を、世界中の皆が知る事になります。
自炊しても異物を混入される事件が発生したので、ちゃんと警戒もしないといけません。
翌日、桂陽体育館でバトミントン大会が開催されました。なぜか対戦表が操作されて、チョウセン国の選手が有利になるように対戦表が作られていますが、熱血コーチは全ての試合に勝利すれば良いだけだと思っているから余裕ぶっています。
あと、バトミントンという競技は、シャトル(球)に羽がついているため、とても風の影響を受けやすいので必然的に屋内でしか公正な試合が成り立たないスポーツです。
試しに風がある日に屋外でバトミントンをやってみてください。
難易度が高くなり過ぎて、打つのが極端に難しくなります。
ラッキーは可愛らしいピンク色のスカートと、リボンのついたTシャツの格好で試合に臨み、次々と強敵を打ち破りました。
可愛らしい掛け声とともに、鍛え上げた必殺技が炸裂なのです。
「えい!」
「球が分裂?!!?!!」
分裂する魔球で敵を翻弄し、反撃を許さず圧勝
「えい!」
「ぐぁー!」
【対戦相手死亡!ラッキー選手の勝利!】
爆発する魔球で、相手のラケットを人間ごと粉砕して勝利
「えい!」
「棄権しま・・・カチコーン」
【対戦相手死亡!ラッキー選手の勝利!】
凍らせる魔球で全身を凍らせて勝利。
次々と勝ちまくって、すぐに準々決勝でした。
対戦相手はチョウセン国のカン・コク選手です。
顔にエラがある女性で、憎しみと恨みの感情をラッキー選手に向けて叫んでいます。
「あんたには絶対に負けないわ!」
尋常ならない気迫です。ラッキーはカン・コク選手との戦いを楽しめそうだなと思いました。
試合は審判の「ラブ オール プレー!」の叫びとともに始まり、ラッキーはシャトルを左手で空に飛ばし、素早く右手で握ったラケットで打ちました。
シャトルは10個に分裂し、チョウセン側のコートにすんなり落ちます。
あっさりと得点を取られたカン・コク選手の顔が憤怒の表情に染まっていて冷静じゃありません。
第一ゲームは、この調子でラッキー優勢で進んでそのまま終了し、ラッキーは笑顔です。
この調子で勝てれば、準決勝。
アジア地域の頂点はもうすぐでした。
でも第二ゲーム開始から異変が起きます。審判の「セカンドゲーム ラブ オール プレー!」という試合の開始を告げる言葉とともに、ラッキーがシャトルを空に向けて投げると、向かい風が吹き、シャトルが飛ばされてしまったのです。
シャトルはそのままラッキーのコート外に落ち、一点を取られてしまいました。
審判が「カン・コク選手 ワン(1)!」と叫び、得点をカウントしています。
気にせずにラッキーは試合を続行しましたが、5回ほど強い風が吹き、不利な結果を齎していくので疑問を抱きました。
強い風でスカートがめくれて、可愛らしいレースの白い見せパンツも見えて大変ですが、これは他人に見られても良いパンツだから恥ずかしくないんです。
「?
なんで風が吹くんだろう?」
「ラッキー、パンツ見えてるから少しは隠そうよ・・・観客席の男達がジロジロ見てるよ?」
妖精さんの呟きに少し反応してスカートを手で抑えながら、疑問を解消するためにラッキーは周りを見渡します。
ここは競技場の屋内施設なのに、何故か強い風が吹いたのか原因を突き止めようとしました。
すると上の方にあるクーラーが力強く作動し、強い冷風を送りつけている事をすぐに理解します。
(偶然かな?
わざと試合を妨害しているのかな?
とりあえず抗議しよう。)
ラッキーはクーラーの方向を指で指し示しながら、黒いジャージを着た審判に向かって抗議しました。
「審判さん。
あのクーラーから吹き付ける風が邪魔です。
止めてくれませんか?」
「ノー!
電力の節約のために、on
offを繰り返しているだけだ!
大人しくさっさと試合しろ!
ジャパンヤー人の抗議は一切認めない!
ノー!ノー!ノー!」
審判から帰ってきた言葉は、抗議の破却です。
クーラーは、最初の消費電力100%近くで分回って冷気を作り、そこから消費電力を20%前後まで落として巡冷させる仕様のため、スイッチのon offをしても節電にはならないのです。
審判の言っている事は、ただの言い訳でした。
つまり、これはチョウセン国側からの試合への妨害工作という奴なのです。
ラッキーはちょっとイライラしています。
スポーツはフェアプレイの精神が大切で、だからこそ熱くて盛り上がるのに、こんなインチキをされたら気分が台無しです。
だからラッキーは、魔法を使う事にしました。
風の刃を100ほど作り出し、屋内にあるクーラー全てに向けて射出して一気に破壊しました。
クーラーのバラバラ破片があちらこちらに落下して五月蠅いです。
ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン
クーラーを全部破壊した事で、屋内にいた選手全員が呆然とし、空気を冷やしてくれる設備がないから温度が少しづつ上がって辛くなりました。
ラッキーはカン・コク選手に微笑みながら
「じゃ、試合続けようか。
ごめんね。
審判への抗議のために、試合を勝手に中断して。」
カン・コク選手は、ラッキーの笑みを見て怖い幼女だなぁと何故か思いました。
微笑んでるのに、睨んでいるような、そんな怖い不思議な顔です。
きっと、ロリババァの貫禄がなせる顔と言う奴でしょう。
試合結果は当然、クーラーによるインチキ向かい風戦法で妨害されなくなったので、ラッキーの大勝利です。
カン・コク選手は爆発する魔球で死にました。
準決勝で、爆発する魔球を連発して大勝利、途中でなぜか20分ほど停電する事故が発生して試合が中断されています。
決勝で、競技場を破壊して廃墟にしちゃう激戦をやった末にラッキーは金メダルを得ました。
表彰式の台の上に立ち、ラッキーは金メダルを周りに見せびらかしながら良い笑顔をしています。
マスコミ達は無数のカメラをラッキーに向けて、パシャパシャ撮っていて眩しいです。
小さい金髪美少女が優勝して金メダルなんて、そう滅多にない事態だから、いつもよりも多くのマスコミの人達が周りに居て華やかでした。
死んだ選手達がなぜか蘇って、ラッキーに盛大に拍手していますが、気にしてはいけません。
大抵、こういう格闘技物(球技)での死は、死んだ死んだ詐欺だからです。
これを専門用語で【これで何回でも人気キャラを使い回せるな! by
週刊少年ジャ●プ】といいます。
「お前強いな!次はオリンピックで雌雄を決しようぞ!」
「それにしても、この大会は序盤だけはクーラーの風が凄かったな!」
「爆発する魔球・・・やりおるわ・・・・」
「ふはははははは!世界は広い!」
「小さき勇者よ!試合後に私のラケットをプレゼントしよう!」
無論、皆、平均身長2mくらいの怪物です。
妖精さんは、彼女達を見て嫌そうな顔で呟きます。
「この競技、化け物しかないからやだ。」
ラッキーは金メダルを持って、熱血コーチがいるかもしれないラブホテルへと向けて走っています。
最初は表彰式を行った会場の周りを探したのですが、何故か熱血コーチを含め、ジャパンヤー国のスタッフの姿がなかったので、ラブホテルにいるんだと思いました。
ラッキーとコーチは、なんだかんだいって、一緒に1年間、共に戦いぬいた仲。
愛に変わるかもしれない深い絆で二人は結ばれているのです。
(コーチは喜んでくれるかな?
でも、なんでコーチは会場に居なかったんだろう?
私の優勝を喜んでくれないのかな? )
ラッキーは笑顔のまま、インチョン市内を駆け抜けて、コーチのいるラブホテルへと向かうと・・・ホテルの入口に救急車が複数止まっていました。周りを救急車の頭上に設置している緑色の回転灯が照らしています。(日本だと回転灯は赤ですが、この国では緑色が多いのです。)
「え・・・・・?
まさかテロ・・・・?」
悪い予感がします。
ひょっとしたら、テロがあったのかもしれません。
人間が簡単に死んでしまう事を知っているラッキーは、慌てて何があったのかを知ろうと近付きました。
よく見たら、救急車の隊員達が、顔を真っ青にしているジャパンヤーの代表選手達や、目を瞑って気絶しているコーチを運搬しています。
思わずラッキーは、コーチが運ばれている担架に駆け寄って叫びます。
「コーチ?!
どうしたんですか!?」
コーチはラッキーの言葉で目を覚まし、手を震わせながらゆっくりと
「・・・・ラッキー君・・・か・・・・
どうやら・・・チョウセン国から支給された弁当に・・・・賞味期限が切れていたり・・・サルモネラ菌・カンピロバクターが入っていたようだ・・・
ぐああああ・・・お腹が痛い・・・・」
「ま、まさかっ!?
これはチョウセン国の卑劣な罠!?
しっかりしてください!コーチ!」
ラッキーの悲痛な叫び。
でも、現実は非情です、
コーチは死にそうな雰囲気を漂わせ、最後の力を振り絞って言葉を紡ぎました。
「・・・ああ・・・・お腹が痛い・・・・
あとの競技・・・全て・・・君に・・・・任せた・・・・勝て・・・勝つんだ・・・ラッキー・・・・
私の幸運の女神・・・君が・・・勝つ姿を・・・見たか・・・た・・・・ガクリ」
コーチは項垂れて気絶しました。
ラッキーは泣け叫んで、コーチに抱きつきます。
「コーチが死んじゃったあああああ!!!!
いやあああああああああああああああああああ!!!」
特に死んでいません。
サルモネラ菌による食中毒でお腹が痛すぎて大変なだけです。
ラッキーもコーチと同じ弁当を仲良く食べていましたが、エルフの身体が丈夫すぎて何ら影響を与えていませんでした。
30秒ほどコーチに抱きついたまま泣いていたラッキーでしたが、コーチに最後に言われた事を思い出して、唐突に宣言します。
このラッキー、熱血コーチのせいで完全に今までとは別人です。
「コーチやります!
私、全ての競技は時間的に不可能ですけど、可能な限り、色んな競技に出て勝ちます!」
国際大会では、一人の選手が違う競技に幾つも出る事は制度上可能ですが、競技によって鍛える場所が違うので勝つのが難しく、こういう無茶をした事で有名なのは8種目に出場して金メダル全部獲得したアメリカの水泳選手のマイケル・フェルプ選手です。
恐ろしい体力が必要であり、魔法なしで挑むとなると、ラッキーは肉体の限界に挑戦しないといけません。
なお、チョウセン国には、救急車に道を譲る習慣や、法律を守る意識がないから、病院に到着するのに恐ろしい時間がかかってしまい、代表選手団の病状が悪化してしまった事を後でラッキーは知りました。
※現実のインチョンアジア大会では毒弁当を廃棄して、事前に食中毒を防いでいます。
※毒弁当ネタは本当にあったネタだけど、現実の代表選手団は壊滅してません、ラッキーを多数の競技に参加させるためのネタです。
●
熱血コーチ
「そうか!君がラッキーか!」
「頑張れ・・・ラッキー・・・・私はここで死んでも・・・勝利をその手に掴むんだ・・¥・」
敵 ゴリラ女、対して強くもないけど、不正行為で勝利をおさめる。
インチョン・アジア2014
「ふはははははは!!!!
勝てば良かろうなのだああああああああああああ!!!!!」