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ラッキーの不思議な旅


21国目 スポーツの国B ボクシング



ジャパンヤー代表選手団は、チョウセン国の策略で、毒入り弁当を食べさせられ食中毒で壊滅状態でした。
だから、ラッキーは特例として、男子・女子の競技関係なく、次々と出場して試合をしています。
今はドリームパーク近代五種フェンシング競技場で、フェンシングという細い剣を相手に当ててポイントを競う競技をしていました。
3分間×3セット、合計15ポイント先取で勝敗が決定します。
ラッキーに見合うサイズの防具と面が用意できなかったから、相変わらず短いピンク色のスカートと白色のシャツのまま戦っています。
激しい攻防の最中にスカートがめくれて、レース入りの可愛らしいパンツが見えそうになったりしますが、見せるためのパンツだから恥ずかしくないんです、そう納得しているようですが、ラッキーの顔は真っ赤でした。
顔が赤いのは、きっと激しい運動をしているせいでしょう。
これが周辺諸国中のテレビで放映されちゃったりしています。

「えい!えい!」

「ええい!これがうわようじょつよい という奴なのか!?」

今、戦っている相手はチョウセン国のファビ・ョォーン選手です。細身の身体に筋肉が詰まっている男性でした。顔に面を被っています。

「えい!えい!」

「認めたくないものだな!チビ娘相手に劣勢な自分を!」

ラッキーが一方的に細い剣で攻撃しまくって、ファビ・ョォーン選手は劣勢でした。
ラッキーは初心者の癖に、身体能力だけで全てをカバーしています。
ファビ・ョォーン選手の剣なんて容易く回避し、逆に相手を刺していました。
刺されすぎたファビ・ョォーン選手は身体の各所から出血して命が危ないです。

「えい!」

「やらせんはせん!チビ娘に負けたりせんぞぉー!
うわようじょつよ・・ヒデブっ!」

「えいえい!」

ラッキーの剣が、ファビ・ョォーン選手の頭を切りつけて大ダメージです。
血がどばどば、ファビ・ョォーン選手の頭から溢れていました。
そのままラッキーの圧倒的優勢で試合が終わり、あとは勝利宣言を待つだけという状況になります。

(完全に私の勝ちだよね。
この競技楽勝かも。
金メダルをたくさん見せたら、コーチは喜んでくれるかな?)

ラッキーは勝ったと確信して、観客席にいる若い男達を魅了しかねない良い笑顔をしていました。
ですが、現実は非情で理不尽。
顔にエラがある審判さんがこう叫んだのです。

「ラッキー選手の決勝ポイントは無効!
よって!チョウセン国のファビ・ョォーン選手の勝利!」

「え!?」

ラッキーは驚きます。
明らかにラッキーの勝利だったはずなのに、なぜか相手選手が勝利した事になっていたからです。
ラッキーは審判に走って詰め寄り、抗議しました。
でもラッキーの背が低すぎるから、迫力がありません。
審判は馬鹿にしたような眼でラッキーを見下しています。

「さっきの戦いは私が優勢だったよ!
ほら見て、私、無傷だよ!?
相手選手は血まみれだよ!?
インチキよくない!」

「ノー!ノー!
抗議は認めない!
あれは我が国の無敵防御ルール!(※そんなルールありません)
幾ら攻撃されても、ラッキー選手に加点されず無効になる!
これ以上抗議するなら、バトミントンで得た金メダルの資格を剥奪するぞ!」

「ひ、酷い!」

「もうやだ、この国。」

妖精さんが嫌そうに呟きました。
なんだかんだいって、ラッキーが一年間楽しそうにスポーツに打ち込み、熱血コーチと良い仲になっている姿を見て、妖精さんはニヤニヤしていたのですが、この国に来てから、スポーツのフェアプレイの精神が全く見られない試合ばっかりだったので、嫌そうにしています。
ラッキーは、勝利したのに勝手に敗北認定されたから、悔しくて涙目です。
審判さんはゲスな顔で、ニヤニヤしていました。

(この国、消し飛ばしていいかな?かな?
この半島の地形丸ごと海にしてもいいよね?
その方が海産物がたくさん取れて美味しいよ?)











それからも幾つものの競技にラッキーは出ましたが、チョウセン国側からの妨害・不正行為に困る事になりました。
10mエアライフル団体戦で優勝したら、銃重量オーバーと一方的に顔にエラがある審判に言われて失格させられたり
競泳会場で水着の用意がないから、下着姿で出たら失格させられたり、出場する前に4日間連続でドーピング検査と称して血を毎日抜かれる嫌がらせを受けたり(なぜかプールと台が一直線じゃない可笑しい競泳場でした)
体操男子床に出場したら競技開始から立ったまま3分以上待たされる事態になり、スカートを履いたままやったから会場中に見せパンツを見られた末に、一方的に減点される不正行為をやられて、ラッキーは涙をポロポロ出しています。
全世界にパンチラ大公開。
見せても良いパンツだから恥ずかしくないもんという理屈に疑問を抱いています。
白いレースの可愛らしいパンツは、可愛いからこそ、逆に恥ずかしい気がしたのです。

(よく考えたら・・・スカートじゃなくて、スパッツ履けばいいのかな。
見せても良いパンツって、男の人から見たら、ただのパンツだよね。
なんで、私、こんな理屈を納得しちゃったんだろう。
スポーツって、女の子のパンツを見せるために行う競技なのかな?)

この時点で、スポーツに対して幻滅していました。
でも、熱血コーチの事や、ジャパンヤーの各地で戦った強敵(とも)の事を思い出して、必死に戦い続けます。
ラッキーはスカートの代わりにスパッツ(腰から脚までにぴったりとフィットするズボン)を着て、残りの競技に出場しました。
なぜか、観客席からパンツ見せろというブーイングの嵐でしたが、ラッキーは無視しました。
パンツを見せるためにアジア大会に出場した訳じゃないからです。








この酷過ぎる大会は、ラッキー以外にも苛酷な戦いを強いました。
各国の選手達が何人も行方不明になったり、中東地域からやってきた選手達が教会の人達からテロリスト呼ばわりされたり、チョウセン国人は徹底的に嫌がらせをして、選手達を疲れさせて寝る事を許しません。
挙句の果てには、試合前にドーピング検査と称して血を抜いたり、同じ選手から4回も血を抜いたりして寝る事すら妨害、徹底的に選手達を苛めぬきました。
特に最悪なのは、チョウセン国のお客さん達と大会スタッフです。
顔にエラがあるお客さん達は恐ろしいほどに五月蠅く、試合を妨害して罵声を浴びせてきます。
注意すると逆切れして、もっと大変な事態になるから、歯止めが利きません。

「おい!ジャパンヤー国のラッキー選手ちゃん!
何で1人で複数の競技に出てるんだ!?
身体で審判を買収でもしたのか?!
あはははははは!!!!
あとパンツ見せろ!パンツ!スパッツなんか履くんじゃねぇー!」

「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね! 」

「あの外人!転倒したぞ!あはははははは!!!!」

「おい!イスラム教徒はテロリストなんだろう?」

選手達は連日のように次々と行方不明になって行方を眩ませました。
こんな酷い開催国はそう滅多にありません。




こんな苛酷な大会で、多数の競技に出場する事になったラッキーでしたが、体力的にヘロヘロになっても彼女は決して諦めません。
コーチと約束したからです。
【勝て】と。
ラッキーは、今、ボクシングの試合に出ています。
専用の服を用意していないから、スパッツとTシャツという簡素な格好です。
ラッキーは対戦相手を次々と一撃、もしくは数撃で倒し、勝利しています。
基本的に、体術は得意なので、この分野で負けるなんてありえません。
でも、ラッキーは緊張して冷や汗を流しています。
次の対戦相手がチョウセン国のヒ・ビョウ選手だからです。
必ず何らかの不正・インチキ行為をしてくる人達なので、 ラッキーは判定勝利に持ち込まれないように倒そうと思いました。
必殺右トルネード回転パンチ!

「えいっー!」

「ぎゃー!」

ヒ・ビョウ選手をラッキーは徹底的に殴って殴って殴りました。
ラッキーの体格は10歳児くらい、ヒ・ビョウ選手の体格は成人した大人の身体なので、これはありえない光景です。
ラッキーは頭、腹を殴りまくって、ヒ・ビョウ選手をすぐに倒そうと頑張ります。
でも、ヒ・ビョウ選手の耐久力は凄く、試合時間が終了するまで粘られ、勝敗は審査員による判定に委ねられました。
ラッキーは緊張した気持ちとともに、顔にエラがある審査員達を睨みます。
どうせ、不正行為をやってくるからです。
審査員達は次々と点数を言って、こう宣言しました。

「ヒ・ビョウ選手の勝利!
ラッキー選手の負け!」

「く、悔しいっ・・・!」

ラッキー、涙目のまま、床に座り込みました。
もう、スポーツに幻滅しすぎて大変です。
ヒ・ビョウ選手は死にそうなくらいに、あちこち血まみれ、それに対しラッキーは無傷なのに一方的な審査で敗北認定されてしまったから腹が立ちました。
あまりにも悔しかったのでラッキーは妖精さんに怖い声でゆっくり語りかけます。

「ねぇ妖精さん。」

「どうしたの?ラッキー。」

「この国、魔法で消滅して海に変えてもいいかな?かな?
こんな国なくてもいいよね。
海にしたら、たくさん海産物が取れて皆幸せだよ。」

「駄目ぇー!それは駄目ぇー!
熱血コーチが病院で入院しているから、コーチも死亡しちゃうよ!?」

妖精さんが止めなかったら、危うくチョウセン国が魔法で消滅して海になっている所でした。
インチョーンアジア大会2014は、このような悲劇で満ち溢れています。
現実は書き手の許容量を超えた膨大なイベントが発生するから、どんな小説よりも凄いんです。
これだけ書いても極一部しか描けないのです。








続く。






没ネタ(何処にこの文章を入れればいいのか分からなかった。)

ちょうど目の前で、ジャパンヤー VS 北朝鮮ヤー国のサッカー決勝戦が行われていますが、北朝鮮ヤー国の国旗を持って両国を応援していたジャパンヤー人が警察に拘束されて何処かに連れ去られて目茶苦茶です。
応援する事すら許さない。それは明らかにスポーツの精神に反した異常事態でした。


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●最後のネタ
・スタンドの半分は空席なのに、女子バレー韓国戦で組織委が2万6500人の観客と発表(※水増し捏造)

・【不正疑惑】競泳男子の萩野公介選手が「4日間で4回ドーピング検査に指名され血を抜かれた」
 →ドーピング検査後、バスがなく足止め。眠れたのは午前1時で午前の予選は2位。疲労で「決勝はやばいと思っていた」
 →それでも大会新で金メダル(400m個人メドレー)


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