ラッキーの不思議な旅
20国目 ゲームの国 (超絶ムリゲー イス・ラム国オンライン) B (4話構成)
イス・ラム国は、トヨタのトラックを改造した戦闘車両部隊1万人を率いてイラクの各都市に攻め込みました。
ここで問題になるのはイラク軍です。
イラク軍は規模から言えば、中東で3位の軍隊です。これを上回る規模を持つ軍隊はエジプトとイランだけ。
装備も、米国や北大西洋条約機構(NATO)がイラク軍に提供した戦車336台、装甲
兵員輸送車3600台、重砲類1300台などの高機能の兵器があります。
兵器の性能は高ければ高いほど、戦術なんてものを無視して容易く覆す代物になるので、これはイス・ラム国から見れば大きな脅威なのです。
でも、イラク軍は新兵だらけで弱い軍隊でした。
イス・ラム国がイラク北部の都市モスルを侵攻しただけで、将校が部隊を見捨てて逃亡してしまったのです。
指揮は混乱し、兵士達の士気も低い。
これでは勝てるはずの戦いにも勝てません。
イス・ラム国はイラク軍90万人(武装警察も含めた数)と各地で交戦しましたが、容易くイス・ラム国の冒険者達がイラク軍を蹂躙して敗走させ、冒険者達はすぐにイラクの首都バグダッド北東約60キロのバアクーバまで快進撃を続けています。
ラッキーも、戦闘車両(トヨタ車)に乗り込んで、イラク軍を追撃してひたすら進撃。AK47の7.62mmを1分に約600発の速度で撃ちまくり、マガジンを再装填してずっと乱射しまくりです。
ラッキーはようやく一方的に無双できる展開になったから笑顔で叫びました。
「やっちゃぇー!
どんどん殺しちゃぇー!」
タタタタターン!
荷台にいる部下が機関銃を乱射し、敗走中のイラク軍らしき人達を射殺しました。
砂漠には無数の軍服を纏ったイラク軍兵士の死体が転がっています。
イラク軍は新兵だらけで構成されているせいで、戦いに慣れたイス・ラム国の冒険者に対応できません。
指揮系統が混乱して士気が低い軍隊なんて、ただの烏合の衆でした。
あっという間に潰走して、背後から追撃を受けて大被害です。
タタタタターン!
ラッキーはAK47を振りまわして、助手席から次々とイラク軍の人々を射殺して爽快感を味わっていました。
イラク軍から組織的な抵抗を受けないから、一方的にやりたい放題なのです。
しかも、現地に住んでいるイスラム教スンニ派住民が、現在のイラク政権(シーア派)に不満を持っているから、スンニ派過激派で構成されているイス・ラム国に協力的で助かりました。
でも、イス・ラム国のせいでイラク人100万人が次々と住んでいる場所から逃げ出して難民となり、国全体からみれば大迷惑です。
ラッキーはそんな事を気にせずに銃を乱射して楽しみました。
気分はシューティングゲーム。ストレス解消にぴったり、爽快感があります。
「楽しいなぁ。楽しいなぁ。
これがガン・アクションゲームの醍醐味って奴なんだね。
たまには人間の銃もいいかも。」
タタタタターン!
ラッキーが笑顔でAK47を振りまわして無抵抗の兵士達を殺す姿に、イラク軍はラッキーに恐怖しました。
うわようじょこわい。
タタタタターン!
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「虐殺幼女だああああああああああああああああああ!!!」
「うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「ひゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
ラッキーは虐殺幼女という異名がこの戦いでつけられました。
可愛らしい金髪幼女が兵士を一方的に虐殺するギャップに、兵士達は絶望したようです。
ラッキーは他の戦闘車両部隊と一緒に、敗走するイラク軍をひたすら追撃につぐ追撃。
AK47と機関銃で、大勢の兵士を虐殺しました。
イス・ラム国の冒険者は、アフガニスタンやイラクで戦ってきた経験豊富な戦闘員が多い、それが勝敗を分けてしまったのです。
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
タタタタターン!
素人を寄せ集めただけのイラク軍は大被害を受けました。
この短期間の戦いで、イス・ラム国はアラブ最大級の巨大油田を制圧し、フセイン前政権の化学兵器施設を掌握、今以上に強大な軍事力を持つ組織に変貌するのは時間の問題でした。
世界中の国々が、イス・ラム国に警戒感を持ち、今までの過小評価の姿勢を変え、イス・ラム国に対処するための動きを見せつつあります。
ラッキー達はイラク軍を追撃して大被害を与えたから、現在支配しているイラク北西部の街へと他の戦闘車両と一緒に戻りました。
そこでは、地域の少数派民族やシーア派の住民が広場に集められて、次々とナイフで首を撥ねられ処刑され、その光景をイス・ラム国の冒険者がスマートフォン(電子媒体)で撮影しています。
広場の周りには大勢のスンニ派の住民が、処刑を見物するために集まっていました。
ラッキーは何でそんな事をするのか気になったので、隣にいる運転手な部下に聞いてみます。
「ねぇねぇ、なんで処刑しているの?」
「ラッキー様。
あれは我ら冒険者に逆らうとこうなる!っという事を世界に知らしめるための処刑です。
あとで動画をインターネットにアップロードして、イス・ラム国がどれだけ残虐かをシリア軍やイラク軍や民衆に教えて、戦闘意欲を喪失させる心理作戦なのです。
こうすると結果的に犠牲者は少なくなり、我らに従う民衆が増えます。」
「なるほど、合理的な処刑なんだね。
現実でも恐怖で統治とかよくある事だよね。」
「はい、そうです。」
「・・・・ゲームなのに、凄くリアルだよね。
皆、本当に生きているみたい。
いや、NPCから見れば、ここが本当の世界なのかな。
だとしたら、このゲームを作った人間達は残酷な事をするね。」
ラッキーがしばらく、このリアルすぎる世界に愚痴って、ゆっくり休んでいると、携帯電話に連絡が入りました。
携帯電話をポケットから取り出してスイッチを押すと、イス・ラム国本部の人の声が携帯電話から聞こえます。
【同志ラッキー。
イラクのモスル市で、我らイス・ラム国はイラク国軍が放置した最新米国製武器を大量に入手する事に成功しました。
これらを配りますので、モスル市にトラックで来てください。】
「?
米国製武器?
性能凄いの?」
【はい、どれもこれも我々が使っている武器よりも良い武器ばっかりです。
それと、指導者ハクダディが冒険者の国イス・ラム国の国家樹立宣言をするので、現地の住民を集めて演説を聞くように仕向けてください。】
「国家を作るの?
うん、わかった。
何分くらい後に、演説やるの?」
【1時間後です】
「なら、急がないといけないね。
電話切るよ。」
ラッキーは携帯電話の通信を切って耳を離し、車の外で警戒している部下に顔を向けて命令しました。
「偉大な指導者ハクダディが、一時間後にイス・ラム国の国家樹立宣言するみたいだから、この街の住民を集めて欲しいな。」
「分かりました。ラッキー様。
みんなー!とうとう俺達の国が出来上がるぞー!
喜べー!」
部下は建国宣言をすると聞いて喜び、車から降りて、周りに居る冒険者達に次々とこの情報を伝え、街中の住民を今いる広場へと集めようとしました。
住民は困惑の顔とともに、ぞろぞろと家を出て、広場へと歩いています。
既に広場には、処刑を見物するために集まっていた見物客で溢れていたから、広場はすぐに満杯。
住民達は不安な顔を、イス・ラム国の冒険者達に向けていました。
冒険者達の銃口は地面に向いていましたが、何時、自分達に向けられるか分からないので恐怖しています。
ラッキーの部下達は、広場の高い場所に、大きなテレビ(略奪品)を設置し、この配線で放映できるかどうかテストしていました。
ラッキーがそれを見て、部下に質問責めするから、部下達は困っています。
一応、ラッキーは幹部なので、部下達は粗雑な対応をする訳にはいきません。
「ねぇねぇ、そのテレビは何処のテレビなの?
大きいよね?
こんなに薄いのに、画面映るの?
君達、前はどんな職業についていたの?
手が器用だよね?
こんな組織に入らなくても普通に就職できたんじゃないの?」
住民達は、小さな女の子が武装集団を質問責めしている光景を見て、気分を和らげていました。
実は優しい奴らなんじゃないか?と住民に思われ始めています。
1時間後、イス・ラム国の指導者ハクダディの演説が始まりました。
黒い長衣とターバンを身に着け、白髪交じりのあご髭のおじさんです。
テレビに大きく映っています。
【全世界の冒険者よ。
この冒険者の国イス・ラム国に移住できるなら移住すべきだ。
なぜならそれは冒険者の義務だから。
シリアはシリア人のものではなく、イラクはイラク人のものではない。
この地は冒険者、全ては冒険者のものだ。】
【私は、たぶん、あなた方の中で最良の人物ではない。
だが、あなた方を統括する指導者だ。
だからもし私が正しいと思うなら私を支えてほしい。
もし私が間違っていると思うなら、私に助言し、正しい方向に向かわせてほしい。
そして私が神に従う限り、私に従ってほしい。
冒険者になってくれるNPC大募集。
月給は3万円で、とてもやり甲斐がある職場です。】
こんな感じに政治家らしいセリフを次々と喋りました。
ラッキーはどうでも良さそうな顔で、演説を聞いています。
部下や冒険者達は、大喜びで泣きながら演説に感動していました。
住民達は、話が分かる奴かも?と指導者にそういう印象を持ったので笑顔です。
「うーん、でも、これからどうするのかな?
イラクの首都バクダットを攻略しようにも、クルド人が背後から襲ってくるみたいだし、補給ルート確保できない状態で戦争やらないといけないのかな?
超大国アメリカも黙ってないだろうし、また、難易度高くなりそう・・・・。」
ラッキーは、早く現実に戻りたいなぁって思いました。
一方的に虐殺するのにもすぐ飽きて、銃での戦いに飽きつつあります。
魔法と風のバリアーと一緒に生活していた頃を懐かしく感じました。
イス・ラム国の指導者の演説を聞いた各国の対応は様々でしたが、共通点がありました。
それはイス・ラム国を国家として絶対に認めないという事です。
他国から見れば、イス・ラム国はただのテロ組織、それが世界からの評価でした。
イス・ラム国は、周辺の中東国家をほとんど敵に回し、ヨーロッパの先進国家群、中国、超大国アメリカすらも敵に回し、辛い受難の日々を建国当初から迎える事になります。
世界全体に影響力を持つ超大国アメリカのイケメンの黒人大統領さんは世界中の国々に力強く、こう語りかけました。
「冒険者の国イス・ラム国は最終的に打倒されなければならない!
こうした殺人者達が理解する唯一の言葉は力だ!
アメリカは幅広い有志連合と共に、死のネットワークの廃棄に取り組む!
具体的には、ひたすらアメリカ空軍は、イス・ラム国の指令部と拠点を爆撃して泥沼の地上戦は避け、地上戦は現地の国々や部族に任せた!
泥沼な地上戦を恐れてアメリカの陸軍は動かさないから、現地の国々頑張れ!
前のイラク戦争で正面装備だけで50兆円もかかって、米国史上最大の財政赤字になったから、明らかにアメリカだけじゃ無理だ!
世界中の国々の協力を求める!」
この演説に世界中の国々が賛同し、序盤の時点でイス・ラム国 VS 有志連合(41カ国以上)の戦いに発展してしまったのです。
ラッキーはこの時、世界情勢がこんな事になっているとは思っても居ませんでしたが、未来に不安を何故か感じていました。
「なんだろう。
凄く無理な気がするよ。
これどうやって勝利すればいいんだろう?
早く現実に帰りたいなぁ・・・」
頭の上に妖精さんがいなくて、ラッキーはゆっくりできませんでした。
●冒険者の国【ユスラム国】を作るのが君の目的だ!
↓
●依頼内容 → 酷い
シリアスタート
アメリカ軍がイラクから撤退したぞ!
イラク正規軍を襲撃して、支持者を大量に集めるんだ!
銃弾やミサイルを全部回避して、殺しまくれ!
後篇 シリアとイラクを手に入れ、国盗り物語完成!
↓
●世界中の国々が敵になりました。
本当の地獄はこれからだ。
石油関連の施設は空軍に爆撃されて、資金源壊滅。
どうするの?!
↓
無理でした。
おしまい