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005「人類絶滅政策-1」



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機械を利用した産業の発展は、大量の失業者を発生させる。
人間の代わりに、機械が仕事をしてしまうからだ。
飢えた失業者は治安を悪化させ、人を簡単に殺すようになり、普通の国では社会問題となる。
……この砂漠の大地にある帝国も、この問題に悩まされていた。


「仕事がないなら、就職すれば良いじゃない」 byパルメ・アントワネット王妃

「ダメだ、この人。問題を理解していない」侍女

〜〜〜〜〜〜

砂漠を南北に貫き、優雅に流れる大河ナイルン。
この国では、水路に、極端に依存しているため、水上交通網が発展している。
それゆえに、ワルキュラが各地を視察する時は、小型の高速船を多用し、呑気そうな骸骨顔で大河を下っていた。
ワルキュラは、高級椅子に腰掛け、嫁のルビーと一緒に地平線まで広がる砂漠を眺める。

(……これが本当の贅沢って奴なんだろうなぁ。
好きな人と一緒に、無駄な時間を過ごす。最高だ。
こんな無駄な時間をもっともっと過ごしたい)

砂漠の時間はゆっくり流れる。
ルビーちゃんと過ごす時間もゆったりと流れる。
何時までも、一緒に同じ時間を共有したい、ワルキュラはそう思った。
そんな神聖な時間の最中、砂漠に朽ち果てた一人の遺骸が見える。

(意外な場所に遺骸(いがい)があった……いや、寒いダジャレを言ってる場合じゃないっ!
助けて骸骨に転生させて、恩を売るチャンスだっ!
俺の良いイメージを世間に広めるグットタイミングっ!
明日の新聞記事の見出しは、写真付きで『骨王、格好よく人助け』に違いないっ!)

「どうしました?ワルキュラ様?」

青と白の縞々の水着を着たルビーは、夫の反応を見て不思議がる。
ワルキュラは威厳たっぷりに、静かに応えた。

「砂漠に死者がいるのだ、ルビー。
魂が漂っているから、骸骨に転生させてやろうと思う」

「……女の子だったりします?」 

「……お、俺の心はルビーと、プラチナ、アトリ、ラーラ、クレアの物だ。
安心するが良い
(嫁がたくさん居るハーレムを維持するのは大変だ。きっと、後世の男たちは俺の事を苦労王と呼ぶだろう)」 

さり気なく、世間の男たちから激怒されそうな事を思ったワルキュラ。
自称『苦労王』は、高速艇から勢い良く、飛行の魔法で飛び立ち、遺骸の元へと一気に向かう。
遺骸の主は……どうやら老人のようだ。
身につけているローブは、ツギハギだらけの中古品。しかも、ろくに補修してないから破れ放題。死臭が漂っていた。

(うわぁ……本物の死体って臭いなぁ……。
俺、清潔で格好いい骸骨で良かった……。
臭いのを我慢して、人助けする俺って良い奴だなぁ……)

ワルキュラは呪文を詠唱する。動かない死者を、元気に動く死者に作り変える禁断の暗黒魔法『クリエイト・スケルトン』
太陽光による妨害を、莫大な魔力で乗り越え、真っ黒で邪悪っぽい霧が死人を包み込んだ。
瞬く間に、腐敗した肉が消え去り、老人の折れそうな骨が、屈強な骨へと変貌。
アイテムボックスから賞味期限が切れた牛乳を取り出し、ぶっかけると、見事なアンデッドモンスター『スケルトン』が誕生した。
だが、アンデッドの天敵である太陽光に晒されているから、ステータスが強制的に十分の一以下にダウン。
すぐに、場に力なく倒れ、動けなくなった。
ワルキュラは、そんな骸骨を見下ろして

「Lv1のアンデッドって、本当に弱いなぁ……。
昼間ももっと活動できたら、俺、楽できたのになぁ……。
きっと、名君になるために課された試練に違いない」

太陽光に晒された不死者の役立たずっぷりを嘆いた。
帝国の建国当初。昼間に戦うだけで確実に敗北する骸骨の軍勢1万を率いて、東西から流れ込んでくる80万の軍勢と戦った事があるだけに、目の前の骸骨の使えなさを知っている。
だが、今はそれで良い。
目の前の骸骨に、ここで恩を売りまくって、夜の歓楽街でバイトでもしてもらって、人間達のアンデッドへの認識を良い方向に変えられたら良いなぁと思いつつ、ワルキュラは威厳たっぷりに演技して声をかけた。

「そこの骸骨(スケルトン)。
お前を骸骨に転生させたのは俺だ。
この国の民なら知っているな?
俺の名を――」

「ワルキュラぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
お前のせいでぇぇぇぇぇ!
ワシは失業したんだぁぁぁぁぁぁ!!」

「ん?
俺の知り合いか?」

「ワシの事を忘れたとは言わさんぞぉぉぉぉ!!
ワシはぁっー!
貴様のせいで人生を潰されたのだ!」

砂漠に、無様に倒れたまま叫んでいるから、何の迫力もない骸骨だった。
だが、知り合いかと思ったワルキュラは、急に不安になって、心臓がないのに緊張する。

(い、一体、誰なんだっ?
この恨みよう……きっと俺とコイツとの間には、深い因縁があって、小説三巻分のストーリーがあるに違いないっ……!)

「貴様はシャンガード食品工場を覚えているか!」

「あ、ああ、美味しいスナック菓子を造る企業だな。
嫁のルビーがよく食べてるぞ」

「ワシはっ……!お前の卑劣な陰謀のせいでっ……!全てを失ったのだっ……!
妻もっ……!子供もっ……!人生すらもっ……!
なんたる悲劇っ!ワシは貴様だけは許せないっ!」

全く聞き覚えがなかった。
謀略の類は、勝利するために必要だからやった事はあるが、食品工場を罠に嵌めた記憶は皆無。
だが、勘違いされる事にかけては定評があるワルキュラ。人知れず、誰かに死ぬほど恨まれるという展開はありえそうだ。

(……これ以上、聞くのは怖い。
だが、俺は聞かねばならないのだ。
ひょっとしたら……俺の悪いイメージをバラまく黒幕が存在するかもしれない。
世間に流れる悪評の数々は、誰かの策謀というオチだったら嬉しいな)

迷いながらも、一人の独裁者として覚悟を決めたワルキュラ。
恐る恐る、目の前の骸骨に尋ねる。

「お前は一体……誰なのだ?」

「ワシの名を忘れたかっ!
ワシの名は――」

だがっ!待ち受けていた結末はっ!

「パルスラーン! 」

「……』 呆然と佇むワルキュラ。

「ワシの名はっ!パルプ・パルスラーンだぁー!
この名を忘れたとは言わさんぞっ!」

「……え?誰それ?」

ワルキュラは砂漠の地で途方にくれた。



【内政チート】「瓶詰めで、食品業界を大規模化してチートする!」19世紀のフランス 10 件のコメント :
http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/19_14.html

今回のコメントまとめ+ 小ネタの感想まとめ

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Dakara_isekai/c5.html





※異世界内政B〜炎を発明したパルメ(´・ω・`)〜

パルメ(´・ω・`)皆〜、魚を焼いたよ〜

庶民(ノ゚ω゚)ノ(ノ゚ω゚)ノえ?なにその、メラメラな光

パルメ(´・ω・`)炎って言うんだ。
物を燃やせて暖かくて、肉を焼けば長期間の保存ができて便利だよ

庶民(ノ゚ω゚)ノ(ノ゚ω゚)ノまじかよっ!便利しゅぎる!
アンタの事を神様って呼んで良いですか!




庶民(ノ゚ω゚)ノ(ノ゚ω゚)ノすげぇー!木だって燃やせるぜぇー!


庶民(ノ゚ω゚)ノ(ノ゚ω゚)ノ山火事だぁー!助けてぇー!


パルメ(´・ω・`) (ダメだっ……こいつらっ……!
早く、炎の危険性を教えないとっ……!)





庶民(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) 生贄に捧げろぉー!パルメは責任を取れぇー!
太陽神が激怒したに違いない!
炎は禁忌だったんだ!

パルメ(´・ω・`)☚心臓を取り出して、神様に捧げる儀式で死亡


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