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ゆっくり戻るよ!


残りの携帯食料が1日分になった。もう猶予がない。
これ以上、時間を浪費すれば部屋の外にいるゾンビに食われる前に、栄養失調で餓死してしまう。
だが、どうすれば脱出できるのか分からない。
武器は短刀と、風の精霊魔法くらいしかない。
風の精霊魔法はエネルギー消費が激しい上に、風を起こす事や、音を一時的に消す程度で威力がないのだ。
通路一杯にいる腐った元人間を破壊できる訳じゃない。

「新鮮な肉うううううううううううううううううううううっ!!!!」
「生きた人間が憎いいいいいいいいいいいいっ!!!仲間になれええええええええええっ!!!」
「死んでいけええええええええええええええええっ!!!!」
「早く死ねええええええええええええええっ!!!!」

気分を落ち着けよう。
クーニャちゃんの縞々パンティーをクンカクンカして、気を落ち着けるんだ。クンカクンカ。
ふぅ、落ち着いたぜ。
好きな女の子と初夜を過ごす前に、こんな所で死ねる訳がない。
・・・・ん?死ぬ?おおっ!良い事を考え付いた!
俺は頭の中に浮かんだ名案は、この状況を解決できるかもしれない案だと思う。
早速、実験するべく扉の前に近づいて、息を大きく吸い、全てのゾンビに聞こえるように大声で、尚且つ、友好的な感じで

「うー、ぞんびー、おれ、なかまー、うりー」

逆に考えるんだ。奴らは死んだ奴らは味方だと思っているっぽいアンデット。
なら、ゾンビの振りをして接すれば良いんだ。

【馬鹿じゃないの?そんな手が通用する訳がな】

「同じゾンビいいいいいい?」
「俺悪かったあああああああああああああああ!!!!」
「食べようとして悪かったあああああああああっ!!!!」
「クーニャちゃんのパンツを寄越せえええええええええええええっ!!!」

ゾンビの雰囲気は優しい雰囲気になった。
1匹はこの縞々パンティーを欲しいようだから、くれてやろう。
冒険者ギルドの個室に数枚あるから、一枚くらいなら平気だぜ。

【どうして、それで解決できるのよ!こんなの可笑しいでしょっ!】

 

 

 

第7話   腐った元人間の世界にようこそ!
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「ゾンビっ……!それは恨みを持ったまま死んだ人間がっ……!
不完全に復活した生き物っ……!放置するとっ……!
恐ろしい事になるっ……!疫病とかっ……!病原菌が大変なのだっ……!」

ゾンビ解説してくれるクーニャちゃん。
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ゾンビどもが落ち着いたのを見て、俺は重しの棺桶を外して、扉から外に出る。。
ゾンビのようにヨタヨタと動けば、外まで行けるだろう。

「うー、ぞんびー、おうちにかえるー、うりー」

完璧だ。ゾンビのようにノロノロの動きを俺は完全に再現している。
顔も間抜けな顔になってるはずだ。
この方法を思いついた俺は天才・・・・・ん?
可笑しいな。ゾンビ達が俺を見ているぞ。
ゾンビの真似をしているはずなのに、注目を集めすぎて可笑しい。

「人肉うううううっ!!!!新鮮な人肉うううううっ!!!!」
「食ううううううううううっ!!!食べるうううううっ!!!!」
「待てえええええええええええっ!!!人肉うううううっ!!!」

ゾンビ達が襲いかかってきた!
俺はすぐに壁伝いに走って逃げる。
僅かだけ包囲網に穴があったから、そこから逃げ出した。
だが、逃げた先にも、その先にもゾンビ達が待ち受けている。
皆、俺を食べたいようだ。ヨダレをダラダラ流している。

【仲間どころか、美味しい餌としか認識されてないじゃない!】

こうなったら精霊魔法で音を消して逃げ切ってやる。
ラクシズが使うと風を巻き起こしたりできるが、俺が使えば音そのものを消せるんだ!
音もなく移動すれば、ゾンビ達をやり過ごせるはずだ!

【どの通路もゾンビだらけだから、意味がないわよ!】

ラクシズにツッコミを入れられて気づいた。
ゾンビの元々の量が多すぎて、ほぼ全ての通路にゾンビがいるっぽい。
走っても走っても、どの通路もゾンビがいて襲い掛かってきて大変だ。
なにこれ怖い。物量がきつすぎる。
回避して逃げ切るのが困難な数だ。

【天井よ!天井にゾンビが張り付いているわ!】

「人肉うううううっ!!!!!!・・・・アデブッ!」

短刀を鞘に入れたまま、俺は天井から降ってきたゾンビを殴った。
ラクシズの警告がなかったら、そのまま人肉になっているほどに危うい。
心臓が激しく脈動してドクンドクンする。
こうしている今も、通路からゾンビ達が歩いていて、ホラーだ。
俺が場に留まり続ければ、膨大なゾンビに包囲されて餌食になるという事だけは理解できる。
俺はすぐに走り出し、進路の邪魔をするゾンビに向けて鞘入りの短刀で頭を殴る。
ゾンビの頭は胴体から引き千切れて、地面へと転がった。

「人肉うううううっ!!!!美味しい人肉うううううっ!!!!」

頭だけになっても食欲旺盛すぎて怖い。
どうやったら完全に殺せるんだ。
胴体の方は倒れたままビクンビクン動いていてグロすぎる。

【殺す事よりも早く逃げなさいよ!
後ろからもゾンビが歩いて来ているわ!】

ラクシズがいなかったら気が狂うかもしれない。
空を飛んで、警告してくれる存在がありがたい。
あ、清楚な感じに純白なパンツが見えた。気分が癒されるようだ。

【こんな時にエロい目線で見るなぁっー!】

 

 

 

 

 


地下を何処をどう走ったのか、俺にはわからない。
ただ、ゾンビが少ない方へ少ない方へと走って、進路を妨害するゾンビを鞘入りの短刀で殴っただけだ。
こういう生物を斬ると刃が油で抜けなくなるから、殴った方が効率がいい。
俺はそう思っている。

【集中しろ馬鹿っ!前からきているわよ!】

ラクシズの声で気を取り戻し、俺はゾンビの頭を短刀で殴って、胴体とサヨナラさせた。
こいつらは頭と胴体を引き離せば、かなり無力化できる。
今も頭だけで生きているが

「動けないいいいいっ!!!!食べたいいいいいいっ!!!」

うるさくて怖いだけで、脅威にならなくなる。
ただ、ゾンビの数が膨大すぎて、全部殴るなんて真似をしたら、疲労して俺が死んでしまうから最悪だ。
1匹退治しても、少しすると他のゾンビがやってきやがる。
俺は通路をまた走る。ひょっとしたら入り口へと辿り着けるかもしれない幸運を祈りながら走った。

【う、後ろから・・・なんか黄金の骸骨が走って来ているわ!すごく速い!
早く振り返ってっ!】

意味がわからん。ゾンビ以外にもいるのか。
とりあえず、前方にいるゾンビ達を通り抜けて、ゾンビを盾にするような感じで身体ごと振り返ってみよう。
・・・・・た、確かに黄金の骸骨だ。
価値がありそうな豪華で金色の装飾品をつけており、骨の両手に錆びた大剣を持っている。
錆びた大剣は鉄の塊といってもいいほどに大きく、人間に扱えるサイズだとは思えない。
だが、骸骨は余裕で大剣を振りかぶって、この閉鎖空間で器用に振りぬいた。

「わしの墓を荒らすゴミどもは死ねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!
静かに眠れないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ゾンビ3匹を一瞬でバラバラにした。
剣が錆びているせいで切れ味がなくなり、鈍器みたいにエネルギーが拡散して、ゾンビがバラバラになっている。
なんという圧倒的な格上。
俺が切り結んだら、次の瞬間にバラバラになる事が確定しているような速さだ。
先ほどの走る速度から見ても、俺よりも足が速い。
コイツを倒す以外には、逃げ道はなさそうだ。
俺が緊張してビクビクしていると、黄金の骸骨は、俺の方へと頭蓋骨を向けて

「平民の分際で頭が高ぃぃぃぃっ!!!!!!
ひれ伏せぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!
わしを誰だと思っているんだぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

この黄金の骸骨は態度が偉そうだ。
闘えば確実に死ぬだけに、どう対応すればいいかわからない。

【え、偉そうな骸骨ね!きっと、この墓に葬られている王族の骸骨に違いないわ!
早く土下座しなさいよ!こんな化物に勝てる訳ないじゃない!】

ラクシズの言葉通りに俺は土下座する。
闘って勝てないなら、ラクシズの言うとおりにした方がいい。
こうしている間にもゾンビ達がやってきたりするが、他の新しい骸骨・・・いや、スケルトンって呼んだ方がいいな。そのスケルトンが複数現れて駆除しているから大丈夫っぽいようだ。
俺が土下座した事で、黄金のスケルトンも気分が良くなったのか

「ふっひゃっひゃっひゃっ!
平民はワシの偉さがわかるようだなぁぁぁぁぁぁっ!!!!
お前のズボンのポケットから見える縞々の布を寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!
そうすれば墓への不法侵入を許してやるぅぅぅぅぅっ!!!!!!」

【なんで骸骨がクソ女のパンティーを欲しがるのよ!可笑しいでしょっ!?】

俺はすぐに青と白が綺麗な縞々パンティーを黄金のスケルトンに渡した。
クーニャちゃんのパンツよりも俺の命の方が大事だ。
早くクーニャちゃんでクンカクンカしたい。

「うっひょっひょっひょっひょっ!
良い被り物じゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
とても良い香りがするぅぅぅぅぅっ!!!!!!
可愛い女子の匂いじゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!人生が薔薇色じゃぁっー!」

黄金のスケルトンが、頭にクーニャちゃんの縞々パンティーを被っていた。
俺ですらクンカクンカで我慢していたのに、コイツは被ってやがるっ……!信じられねぇっ……!

【へ、変態ぃっー!この骸骨、変態よぉっー!変態ぃっー!】

黄金のスケルトンは、それで気分が良くなったのか。俺に背を向けて、他のスケルトン達と一緒に通路の闇へと消えた。
最後の最後まで偉そうでやばいスケルトンだ。
だが、わかった事がある。
クーニャちゃんのパンティーが俺の命を救ってくれたんだ。
つまり、俺とクーニャちゃんとの愛の勝利っ!

【そんな愛の勝利があってたまるかっー!この変態ぃっー!】

 

 

 

 


スケルトン達が駆除したせいか、ゾンビ達の数は少なくなっていた。
その少なくなったゾンビ達から4時間ほど逃げ周り、地上の光が入ってくる入り口をとうとう発見する。
俺はそこへと向けて全力で走った。
後ろから30匹くらいのゾンビに追いかけられて、もう全身がヘトヘトだ。
だが、ゴール地点が見えるから頑張れる。

「待てええええええええええええええっ!!!死んでいけえええええええっ!!」
「美味しそうな人肉ううううっ!!!!食べさせろおおおおおっ!!!!!」
「クーニャちゃんのパンツうううううう!!!!寄越せええええええええっ!!!」
「食べたいいいいいいっ!!!肉食べたいいいいいいっ!!!!」

背後からかかるゾンビ達の声が、俺を祝福する応援のように聞こえる。
これでようやく、この地を去れると思うと俺は嬉しい。
全ての力を足に篭め、冷たい石の地面を蹴る。蹴る。
これほど力を使った事がないというほどに走る事に全力を集中し、光が見える入り口に俺は到達した!

「「「「「「「新鮮な人肉がきたあああああああああああああああっ!!!!」」」」」」」
「「「「「「「美味しそうううううう!!!!食べるうううううっ!!!!」」」」」」」」」
「「「「「「食べたいいいいいいいいいいいっ!!!!!食わせろおおおおおっ!!!!」」」」」」」」」

あれ?外に出たはずなのにゾンビが視界を埋め尽くすレベルでいるぞ。
明らかに1000匹くらいいそうな物量だ。
もう、俺の足はヘトヘトで限界まであと少しという所なのに、なんなんだ。この仕打ちは!
完全に突破するのは無理な量だぞ!

【諦めるんじゃないわよ!
えーと、が、頑張れば何とかなるわよ!】










あとがき

(´・ω・`)うーぞんびー
スケルトンがこわいから、ちじょうにでてきたー
逃げないとたべちゃうぞー
 


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