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ゆっくり戻るよ!


1000体くらいゾンビがいると、回避する隙間もないと思うんだ。うん。
回避とか、逃げるとか、それ以前の問題だ。
どれを選択しても、詰むまでの時間を僅かに引き延ばすだけの無理ゲー。
ゾンビの腐った顔だらけできついぜ。

「「「「「「食べるううううううっ!!!!!美味しそうううううううっ!!!!」」」」」
「「「「「「新鮮な人肉うううううううううううっ!!!!!!!」」」」」
「「「「「「心臓食べたいいいいいいいいっ!!!!」」」」」

俺は前も後ろからも襲い掛かってくるゾンビの前で、最後の賭けに出た。
息を大きく吸い、顔をゾンビのように間抜けにして

「うー、おれ、ゾンビー、なかまー、うりー」

もうこれしかない。
これが駄目なら、食べられて奴らのお腹の中だ。
俺はじっくりと奴らの腐った顔を見る。少しだけ挙動が止まった事で、生きる活路ができたと思ったら

「「「「「「「「ゾンビでもいいいいいっ!!!美味しそうううううううううっ!!!」」」」」

演技とか、それ以前の問題だった。
奴らは新鮮な肉にて飢えていただけなんだ。
・・・・・・クーニャちゃんをクンカクンカしたい。

【現実から逃げる前に、ゾンビから逃げなさいよ!】

 

 

 

 

 


第8話    謎のエルフ娘にようこそ!
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「人は餓えていたらっ……!自分の子供すら殺して食べるっ……!
それが自然の摂理っ……!餓えとはそれほど恐ろしいものだっ……!
だからっ……!餓えたくなければっ……!働けっ……!働くのだっ……!
くっかかかかかかかかかっ……!」

労働意欲がない冒険者達に演説するクーニャちゃん。
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逃げる隙間もないほどにゾンビが密集しすぎている。
何処をどう回避すればいいか分からん。
圧倒的なまでの数の暴力に、俺の命は風前の灯火だった。
そんなピンチな状況で、ラクシズが何かに気づいたのか叫んでくる。

【地面に伏せなさいっ!はやく伏せてっ!】

よく分からないが人生最後に聞く美少女の言葉に従う事にした。
身体ごと地面に倒れて、クーニャちゃんをもっともっとクンカクンカしたかったと、心の中で思う。
そして、次の瞬間に頭の上を、恐ろしい速度で何かが通り過ぎた。
突風が吹き荒れて、ゾンビ達の悲鳴が上がる。

「「「「「「「「食べたいいいいいいっ!!!!動けないいいいいいいっ!!!!」」」」」」」」」

俺はその声に顔を少しだけ上にあげると、周りにいたゾンビ達が胴の部分から千切れて、倒れている光景が見えた。
無様に食欲旺盛なセリフを吐いて、地面に転がっている。
何が起こったのか、さっぱりわからないが・・・・ラクシズの言葉に従わなかったら、俺もあんな感じになっていたんだなという事を理解した。
でも、そんな事よりも生きる喜びで、俺の心は一杯である。思わず立ち上がって叫んだ。

「お、俺は生きているぅっー!ひゃっほぉっー!
ゾンビなんかざまぁみやがれぇっっー!」

【早く伏せなさいよ!さっきの攻撃がまた来るわっ!】

すぐに伏せた。俺はその言葉に地面に倒れた。
次の瞬間に、また鋭い何かが頭の上を通り、ゾンビ達を真っ二つにしている。
この現象は何なんだ。よく見たら後ろにある大墳墓の入り口すら真っ二つになってるぞ。

【そのまま伏せたままじっとしてて!
これは高位の風の精霊魔法よっ!】

ぬぅ・・・?これが風の精霊魔法・・・?
さっきから、何度も何度も頭の上を通り過ぎる物体が風?
恐ろしい。1年前に聞いたラクシズの詐欺説明通りの切れ味だ。
いや、実際に出来るから本当だったんだな。
なんで俺には出来ないんだろうか。
ラクシズの強気な顔をしている金髪美少女顔をじっくりと見ながら思った。

【わ、私にもわかんないわよ!】

困っているラクシズを見ると可愛らしいと思う俺がいる。
なんで、身体のサイズが小人サイズなんだ。
リボンつきの純白のパンツとか、中々に良い趣味をしているのに残念だ。
特にあの清楚な感じの色と形が実に良い。クンカクンカしたくなった。

【へ、変態ぃっー!こんな状況で私のパンツを妄想するなぁっー!】

 

 

 

 

 

1時間もすると、周りから五体満足なゾンビは1体も居なくなっていた。
全てが胴体と離れ離れになり、悲しそうに叫んでいる。

「「「「「「「動けないいいいいいいいっ!!!新鮮な人肉うううううっ!!!!!」」」」」」
「「「「「「「美味しそうううううううっ!!!でも動けないいいいいいいい!!!!」」」」」

騒がしい光景だ。
ゾンビに追い掛け回されすぎて、腐った元人間の姿を見慣れてしまったがうるせぇ。
俺はこの騒がしい場所から抜け出すために、馬を止めた場所へと向かう。
縄で木と繋いでいたが、きっと生きているだろう。うん。
近くに小川がある場所を選んだし、草とかも豊富っぽいしな。ゾンビに食べられてなかったら生きてるはずだ。
きっと、今頃、ウンコを出しながら呑気にしているだろう。

【ちょっと待ちなさいよっ!
向こうに女の子がいるわっ!】

ん?女の子?
さっきの攻撃をやった娘だろうか。
敵に回したら、すぐに俺の身体が真っ二つになるな。
俺はそう思いながらラクシズの指し示した方向を見た。
そこには・・・・おおっ・・・・・!妖精のように可憐で美しい金髪の美少女がいる。
白い絹のようなローブを着ていて、この世のものとは思えないほどに清楚で美しく感じた。尖っている耳が個性的。
まさにクーニャちゃん並だった。
美しい。可愛すぎて嫁にしたい。

【伏せてっ!】

唐突なラクシズの言葉に、俺の身体は素直に従った。
俺の頭の上を何かが尋常じゃない速度で通り過ぎ、殺されそうになっているという事を理解する。
目の前の妖精みたいな美少女に命を狙われているのだ。
どうやっても勝てそうにない。
次の攻撃は体勢的に回避するのは無理だ。
そんな俺の心配を余所に、新しい声が上がる。

≪生存者を救出する仕事なのに、生存者を殺そうとしちゃ駄目でしょおぉぉぉぉぉっ?!?!?!?!
ラッキーは、流れ作業な感じで人を殺すのはやめてね!≫

その声は、美しい少女の隣に浮いている生首の声だった。
太った女性の顔だけが浮いているようなホラーな外見をしており、金髪美少女に説教っぽいものをしている。
よく見たら・・・この金髪のお嬢さんは、俺と同じ首輪を付けていた。
つまり、俺と同じ冒険者っ!クーニャちゃんが援軍を寄越してくれたんだ!

「ひゃっほぉっー!助けてくれてありがとうぉっー!」

俺は金髪美少女に抱きついた。戸惑っているような感じが初々しくて可愛らしい。
クンカクンカした。クンカクンカ。
自然の森にいるような落ち着く匂いだ。
胸の方は少し貧相だが、この美しさの前にはどうでもいい。

「・・・?何がしたいの?」

声も美しい。
もう惚れた。この娘をお嫁にするっ!
俺の親戚の叔父さんも『ぐへへへへへへっ!女は子供を妊娠したら諦めるしかねぇっ!』とか言っていたから、結婚するぞっ!
そうと決めたら愛の告白だっ!将来的にクーニャちゃんとも結婚してハーレムぅっー!
長期間、命のピンチにさらされて俺の繁殖能力は全開だぁっー!

「好きだぁっー!初対面だが好きだぁっー
そこの森の茂みの中で、俺の子供を産んでくれぇっー!
責任は絶対に取るから、お願いだぁっー!」

金髪美少女を茂みに連れ込もうと、俺は動く。
この美しいお嬢さんの身体は軽くて、簡単に連れ込めそうだ。
これで運良く妊娠してくれれば、こちらのもんだっ!叔父さんもそう言ってた!
ただ、俺の行動を咎める存在がいる事を忘れていた。
不思議な女性の生首と、ラクシズがいるのを忘れていた!

【へ、変態ぃっー!初対面の女の子を無理やり犯ろうなんて変態よぉっー!】

≪ラッキーに恩を仇で返すなんて、最低な人間さんだね!
少し痛い目を見てもらった方がいいと理解したよ!≫

あれ?今、ビリッって感じに手が痛くなった。
バチバチっと俺の身体に何かが流れてきて、尋常じゃない痛みが全身を襲っている。
・・・ぎゃああああああああああああああああああああっ!!!!
いだいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!
雷のようなものが流れていだいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”

 

 

 

 


・・・・・次に目が覚めたら、俺は縄で手を縛られて馬の上にいた。
俺の隣には、馬に乗った金髪美少女がいる。名前は生首が叫んでいた通りなら、ラッキーちゃんだ。
幸運に恵まれそうないい名前だな。うん。
俺が起きた事に気づいてないのか、顔をこちらに向けてこない。空を浮いている不思議な生首と会話しているようだ。
・・・ところで、なんで俺は縄で縛られているんだ?
これじゃ、子作りができないぞ。

【いきなりレイプしようとしたら当たり前でしょっ!この馬鹿っ!】

おお、俺の頭の上にラクシズがいて驚いた。
どんな表情をしているか分からないが怒られているようだ。だが、それは可笑しいぜ。
俺のいた村では夜這いという伝統行事があってだな。
お嫁さんにしたい娘の家に、こっそり忍び込んで気持ち良いことをする伝統があるんだ。
だから、無理やりでもレイプじゃない。

【へ、変態ぃっー!あんたの村が変態の根拠地だったのねっ!
あんな村は滅びた方がいいわっ!】

いやいや、この伝統には良い面があってだな。

【ある訳ないでしょっ!】

例えば、村に若い女の子が旅で通りかかったとしよう。
そんで、村に泊まって夜這いされたら、立派なお嫁さんとして受け入れられるんだ。
このご時世、女1人だけで生きていくのは難しい。
それを男が支えてあげるんだ。
俺の叔父さんも『ぐへへへへへへっ!4人くらい可哀そうな美女のお腹に、俺の子供をプレゼントして、ハーレムっー!労働力もゲットォっー!』
って男らしい事を言ってた。
だから、俺は悪くない。

【さ、最低っー!そんな伝統を持っているアンタの事を死ねばいいのにって今思ったわっ!
早く捨てなさいよね!】

村の伝統を捨てるよりも前に、あの金髪美少女の事を聞きたい。
隣に変な女性の生首がいるわ、触れただけで全身が雷を浴びたかのように痛くなって不思議だぜ。
こりゃ、クーニャちゃんみたいに抱きついてクンカクンカするのも危ない。
俺が心の中でそう思っていると、ラクシズが少しの沈黙の後に

【・・・・あれはエルフっていう超長寿種族の女の子よ。
あんたがエッチな事をしようとしたから、あの生首から電流を流されたの。
電流ってのは、雷の弱いバージョンだと思えばいいわ。】

エルフ?1年前くらいにラクシズから聞いた事があるような言葉だ。
詳しく教えてくれ。
あと、精霊魔法があれだけ凄い事になっている理由とかも教えてくれ。
俺もあんな風になりたい。

【エルフってのはね。数十万年くらい平然と生きちゃう生き物で、精霊を扱える世界唯一の種族・・・・アンタが精霊を使えるのは例外中の例外ね。
あんたじゃ、風を少し操作するだけで終わっているけど、エルフと一緒にいる風の精霊は最上級クラスの精霊な上に、扱い方が上手いから、ゾンビの大軍を薙ぎ払ったりできたの。】

強い精霊と契約したかった。
身体が大きい素敵な娘で、嫁になってくれる精霊だったら余計に嬉しいぜ。

私もエルフと契約したかったわよっ!ふんっ!】

俺の心の声のせいで、ラクシズが顔を背けて怒っている。
俺は有益な事を聞けたと思った事と、風の精霊魔法はまだまだ発展させられる余地があるんだなぁーと未来に希望が増えた気がした。
クーニャちゃんみたい並に美しい女の子を見るのは、これで3人目だ。
あの娘に精霊魔法の扱い方とか教えてもらいながら仲良くなって、最終的にゴールインすれば最高だな。うん。
強くなれて、絶世の美少女っぽい子をお嫁に出来るかもしれないと考えるなら話は早い。
土下座してでも、精霊魔法の扱い方を教えてもらおう。
どんなパンツを履いてるのかも気になる。

【パンツへのこだわりを捨てなさいよ!この変態っ!人間のゴミぃっー!】

ちなみに美しい女の子の2人目はラクシズな。小さすぎて将来性がない所が辛いが、顔は絶世の美少女だと俺は思ってる。

【しょ、将来性がなくて悪かったわね!
アンタみたいな変態はこっちの方が願い下げよっ!ふんっ!】

ツンツンと怒っているラクシズを見ると、ムラムラした。
最近、死にそうな事ばっかりだらけすぎて、誰かと合体したい。
周りには手が出せない子ばっかりで生殺しすぎるぞぉっー!なんてこったぁっー!
可愛い美少女とエッチが出来ない事に絶望じだぁっー!早く結婚したいっー!

 

 


あとがき


(´・ω・`)うーぞんびー
頭だけになったから動けないー
胴体がほしい

 


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