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ゆっくり戻るよ!

小さい美少女・・・・・もとい風の精霊ラクシズに搾取されて一年、俺は16歳になっていた。
農作業で、身体は昔から筋肉ムキムキ。ラクシズに奪われる分がなかったら、身体がもっとムキムキマッスルになっていたに違いない。
髪は邪魔なので黒い髪を短髪にし、動きやすい格好にしている。
これから馬車で向かう都会で、運命的な再会とかした時のためにも身なりを整えた。
腰に、家に代々伝わる短刀も装備したし、これで俺は一人前の男だ!

【ぷぷぷぷぷっ!ガキが色気づいちゃって笑えるわっ!
どうせ、初恋の女は他の男に取られているわよ!
今頃、子供とか作って新婚カップルになっているんじゃないかしら?】

うるせぇ。こいつの声は頭に直接響くから余計にうるせぇ。
お前が他の人間から見えない事に気づくまで、何もない空間に喋るキチガイ扱いされて大変だったんだぞ。
おかげで、今じゃ村八分だ。
今から都会に行くから、もう関係ねぇけどな!

【縞々パンツを大事にしているような変態には言われたくないわね!
あんたは可能な限り長生きして、私の栄養になるエネルギーを出してればいいの!
だから・・・・・絶対に死なないでね。】

一瞬、この金髪のチビッコが可愛いと思った俺は駄目かもしれない。
顔を赤らめて可愛い。
俺がそう思うと、ラクシズが顔を背けた。

【ふんっ!】

思っている事が全部伝わるから、隠し事ができなくて辛い。
外見だけは可愛い金髪美少女なのに、心の声が伝わって的確に罵倒されるから生きるのが辛い。
小さすぎる女の子は色々とアウトだと思うんだ。
胸も太股も小さすぎて、色の欠片もないぜ。






第1話  ブラック株式会社【冒険者ギルド】へようこそ!

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「私達は社会の役に立つ組織っ……!つまり善っ……!
多くの冒険者がっ……!死のうとっ……!それが真理っ……!
くっかかかかかかかかっ……!」

by  冒険者ギルド長
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久しぶりの都会へとやってきた。
人口が10万人もいて、石造りの建物が大量にあって相変わらず凄いぜ。
ここで仕事を探して、俺は可愛い娘と結婚するんだ。
俺は仕事を探すために周りを見渡す。ここは街の中心部だから、大勢の人間が歩いていて、店がある。
どこに就職すれば、金を稼げるか考えながら見ていると・・・・・俺の初恋の人が通りがかった。
昔と変わらない姿で、俺よりも頭が二つ分小さく、渋い雰囲気を身に纏ったゴズロリ娘だ。
そして頭に角が二つ生えている!あれは間違いない!クーニャちゃんだ!
周りに謎の黒服の男が十人くらいいる事から考えても間違いない!

【あ、あんた、相手は明らかにあんたよりも年下で犯罪でしょっ!?】

ラクシズの声なんか今はどうでもいい。
今は、俺の熟成した熱い思いを渡さないと気が済まない!
俺はポケットから青と白が綺麗な縞々パンティーを取りだして走り出した。
クーニャちゃんに見えるように縞々パンティーを振り回しながら大声で

「好きだぁっー!クーニャちゃんっ!俺は君の事が好き・・・アデブッ!」

周りにいる黒服に殴られた。
綺麗に顔に右ストレートがヒットして、俺は石の地面に転がって痛い。
しかも、倒れた事すら許さずに、数人の黒服が殴る蹴るの暴行を加えてきて痛すぎる。魔法を使う暇すらない。
ただ、クーニャちゃんが縞々パンティーを拾ってくれるのを見たから、俺の事を思い出して貰えるはずだと思った。
あの娘はいつもと同じ不思議で渋くて可愛い顔を少しだけ歪めて

「これはっ・・・!私の特注縞々パンティーっ・・・!明らかにこれはパンツ泥棒っ・・・!性犯罪者っ・・・!」

え?

「貴様を奴隷階級にしてやるっ……!我が冒険者ギルドのっ……!Eランク冒険者として使ってやるからっ……!死ねっ……!
働いて働いてっ……!死ぬがいいいっ……!この変態っ……!人間のゴミめっ……!
私のパンティーでっ……!何をやっていたんだっ……!」

何故、怒っているんだ?
黒服達が俺を睨みながら蹴りを入れてきて痛い。血が口から出る。
あ、また殴られて意識が飛・・・・・

【私はあんたにツッコミを入れたいわ。
普通は怒るわよ。外見を見た所、それなりの年齢の魔族の御令嬢にこんな事をやって、殺されてないだけありがたいわ。
・・・・というか、完全に忘れられているわね。あんたは意識すらされてないじゃない!】











次に目を覚ましたら、緑色の首輪が首にかかっていて、大きな部屋らしき場所にいた。
周りを確認すると俺と同じ色の首輪をかけられた100人くらいの男達がいる。
どれも身なりが汚くて暗い雰囲気を漂わせていた。
これだけの数の人間を収容できる部屋の大きさが凄まじいぜ。

【あんたっ!ようやく起きたのね!】

むぅ、俺の頭にラクシズが乗っているようだ。
ここは何処なのか教えてくれ。
都会が怖い所すぎて、意味がわからん。

【凄く大きくて黒い建物の中よ!
あと、怖いのはあんたの常識の方よ!
いきなり初恋の子の前で、縞々パンティー取り出して性犯罪者になっている時点でキチガイだわっ!】

昔はスカートをめくっても、盗んでも、骸骨な紳士達と鬼ゴッコをしたら許してくれた。
だから、大丈夫だと思った結果がこれだ。すまん。

【・・・ふんっ!】

俺は次の言葉を言えなかった。
生きるのが恥ずかしすぎて何も言えない。
初恋の子に性犯罪者と勘違いされて、ボコボコにされたと思うと恥ずかしい。
あんなに若くて小さくて可愛いままだっただけに、大魚を逃がした思いだ。
・・・・・・・そうか、今の俺は性犯罪者なのか。なら、ここは留置所とか、そんな所か。
そう考えていると、部屋の高い木製の台がある場所に、その初恋の子が歩いてきた。
やっぱり、あの頃と変わらないくらいに小さくて可愛い。
何故育ってないのかわからないが、真剣に謝って許して貰おう。
クーニャちゃんに近付こうと立とうとすると、鋭い冷徹な声が当のクーニャ本人から発された。

「貴様たちは人間のクズだっ・・・!」

あれ?クーニャちゃんに嫌われた?
いや、この声は部屋にいる全ての人間に向けて言っている口調だから、まだ謝罪の余地はあるな。うん。

「ここにいるのは全て犯罪者っ……!人間社会で生きる価値もないゴミっ……!クズっ……!
だがっ……!だがっ……!その命を私が有効利用してやろうっ……!
働けっ……!我が冒険者ギルドで働けっ……!そして成り上がるのだっ……!正社員……いや冒険者になれっ……!」

つまり、クーニャちゃんが欲しいなら、冒険者になって頑張って働けばいいんだな。
よし、初恋とやらを叶えてみるか!
男に首輪をかける趣味が危ないと思うが、そんな小さな所はどうでもいい!

「貴様達の首輪について説明するっ……!その首輪はEランク冒険者の証っ……!
頑張って仕事をすればっ……!D、C、B、A、Sと昇格できるっ……!
昇格すればっ……!貴様たちはゴミからっ……!人間へと近付くのだっ……!
だがっ……!仕事を達成できなかったりっ……!逃げたりすればっ……!それは拷問器具と化すっ……!
どんな風に苦しめるのかはっ……!実際に体験してみたいならっ……!すればいいっ……!」
くっかかかかかかかっ……!」

あれ?可笑しいな。趣味が危ないぞっ・・・!
ちょっとハードすぎるっ・・・!

【どんだけ前向きなのよ!少しは今後の人生に危機感を持ちなさいよね!】

ハードルが高い。久しぶりにあった初恋の娘がツンデレすぎる。
あんなに小さくて可愛い娘が、村長以上の怖い威厳があって凄まじい。
でも、俺は幼い頃から決めていたんだ。あんな感じの娘を嫁にするって。
なら、諦める訳にはいかないさ。

【・・・・ここで死んじゃ嫌だからね?】

こういう時のラクシズを不覚にも可愛いと思ってしまう。外見が美しい金髪美少女なだけに癒される。
この心の声が向こうにも伝わるから恥ずかしい。

【・・・・ふんっ!あんたが死ぬと、代わりを探すのが大変なだけよ!勘違いしないでね!】

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