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唐突だが、俺の自己紹介をしようと思う。
俺の名前はジン。
農業で生計を営む村に生まれた普通の男児だ。
将来的に身近な女の子と結婚して、鍬で畑を耕す同じような日々を送るだけ・・・・と8歳の時点でそう思っていたが、その考え方が激変する転機が到来する。

偶然、初めて行った都会の街中で、可愛すぎる女の子に出会ってしまったのだ。
銀色の美しい長い髪、雪のような白い肌、可愛すぎて天使にしか見えない顔、家が金持ちだとわかる豪華なドレス。周りにいた謎の黒服達。
こんなにも美しい女の子がいるのかと思ってスカートをめくったら、青と白の縞々パンティーが見えて、エロくて完全に俺は惚れた。
次の瞬間に謎の黒服の男にボコボコにされてしまったが、スカートの中を見る事ができて満足。
しかも、結果的に街に滞在している一週間、その女の子と鬼ゴッコをしたりして遊びに遊びまくる事ができて感動した。
好きな子と遊べる甘くてすっぱい青春だ。
戻れるなら戻ってみたいと思うほどに素晴らしい日々。
だが、俺が農村へと帰る事になった事で、あの少女・・・・クーニャちゃんとの関係は絶ち切れて、今では盗んだ青と白の縞々パンティーと俺の記憶しか、それを証明するものがない。
そして農村に帰った時、俺は決めたんだ。
あんな感じに美しい女の子を絶対に嫁にしてやるって。
この美しい縞々パンティーを、未来の嫁に履いてもらうって決めたんだ。クンカクンカ。
他のパンティーも盗むべきだったと後悔している。クンカクンカ。

【きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
女性用の下着の匂いを嗅いでいる変態がいるわぁっー!
恐ろしい物を見ちゃったぁっー!」

「ち、小さい人間が空に浮いているぅっー!?!!?!?!
な、なんだこりゃぁっー!

俺、背中に蟲の羽が生えた小さな美少女と出会ってしまった。
この時、一生涯の付き合いになると予想しないほどに唐突な出会いだったのだ。




プロローグ   詐欺契約の世界にようこそ!
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「し、仕事がやってきたぁっー!
に、逃げるんだぁっー!逃げないと殺されるっー!」

by この世界の一般的な冒険者達

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俺は少しだけ落ち着いて、小さな人間をよく見てみる。
美しい金髪をしていて、紅くて装飾が丁寧なドレスを着ている。
顔は滅多に見る事がないような整った美しい顔で、辛い性格をしてそうな強気の美少女だ。
そうやって、じろじろと観察していると、向こうから声をかけてきた。
頭に直接響くような奇妙な声だ。

【私は風の精霊よ!
パンツ泥棒な少年は近寄らないでね!この性犯罪者っ!人間のゴミっ!】

「俺は小さい女の子に興味を持つような変態じゃないっ!
性癖はノーマルだっ!ただ、パンツをクンカクンカしてただけだ!」

【へ、変態ぃっー!正真正銘の変態ぃっー!】

社会的に人生を終了させられそうなレッテルを貼られたから反論した。
俺が興味があるのは、人間の美しい女の子だ。
断じて、風の精霊という妖しげな者じゃない。

【・・・・・あ、あんたっ・・・!私がなんで見えてるの?
あんたが変態すぎて忘れてたけど、精霊は人間には見る事ができないのよ!】

意味がわからん。さっきから意味がわからん。
この風の精霊って奴は、さっきから意味不明だ。

【エルフでもないのに見えるって可笑しいわよ!
あんた人間でしょっ!】

「ああ、人間だっ!俺は生まれた時から人間だが、何か悪いのかっ!」

風の精霊な美少女が黙った。
何やら考えごとをしているようだ。
外見は可愛らしいが、将来的な成長とか期待できないと思うと残念に思えてくる。
30秒ほど黙っていると、急に指をこっちに指し示し

【私と契約しなさいっ!
エルフに会えなくて困っていたから、あんたでいいわっ!】

「い、意味がわからんっ・・・!」

意味不明すぎる。契約ってなんだ。奴隷契約か。
とりあえず、契約の内容とやらを聞いてみよう。
一応、外見は美少女だから話しているだけで気分が癒される。
どんなパンツを履いているんだろうか。

「契約って何だ?どんな内容なんだ?
まず、それから教えてくれ。
さっきから、訳がわからない事だらけだ。」

風の精霊がまた黙った。こうして黙っている姿に、美少女なりの儚さを感じるが小さい所が残念だぜ。
数秒ほど経過してから、辛そうな表情で

【・・・・風の精霊ってのはね。
御主人様がいないと普通の空気になっちゃうの。
可哀そうでしょっ?こんな可愛い美少女が空気なんかになったら世界の損失って思わない?
まだ、素敵な恋もしたことないのに、可笑しいでしょっ?】

可哀そうに思えてきた。
確かに死ぬと思うと可哀そうだ。身体が小さすぎて興味がないが美少女だしな。うん。
だが、未だに意味がわからん。その契約って何なんだ。
俺が無言のまま黙っていると、風の精霊が小さすぎる身体を大きく動かして、強気にアピールしてくる。

【今、契約すると風の精霊魔法が自由自在に使える権利つきっ!
魔法って、とっても便利だからお得だわっ!
上手く使ったら空を飛べたり、一撃で大木も真っ二つにできるの!
これで女の子からモテモテよ!今なら洗濯石鹸もサービスでついてるわ!】

「・・・・・・ほ、本当か!」

便利だ。確かにこれは良い契約だ。
将来的に都会で働こうと思っている俺にはうってつけだ。
洗濯石鹸も日常生活で消費するから良い買い物だと思う。

「どうやったら契約できるのか教えてくれ!」

【契約するって心に念じるだけでいいの!
心の底から契約すると思えば完了だわ!】

「よしっ!俺は契約するぞぉっー!」

これで俺の人生は安泰でモテモテだ。
契約すると宣言した瞬間に、魂を奪われるような、そんな奇妙な感覚で視界がふらふらになって地面に倒れた。
あれ・・・・身体が・・・動かな・・・・い・・・・?

【まぁ、今まで言った事は、ほとんど嘘だけどね。
100年後くらいに出来るかもしれないけど、今は無理だわ。】

ちょ・・・・おま・・・・あれだけ切実な事を言っていたのに嘘とか・・・・ありえない・・・・
い、意識が保てな・・・・

【私、ラクシズっていう名前だからよろしくね!ニ ン ゲ ン !
これからたくさん搾取して、私の成長のために頑張ってもらうわよ!】









これが風の精霊ラクシズと、俺との初めての出会いだった。
ラクシズが言っていた事で本当だったのは、魔法が使えるようになるという言葉だけだ。その性能は言っていた内容よりも遥かに下でゴミ。
スカートめくりするくらいにしか使えん。
しかも、俺の身体のエネルギーを勝手に奪っていくから、人よりたくさん食べないと痩せて栄養失調になって死ぬらしい。
風の精霊を退治にしようにも触れる事すら出来ないほどに速くて諦めた。スカートが長すぎてパンツも見えん。
・・・・俺の人生、もう駄目かもしれない。今日もあの娘の縞々パンティーでクンカクンカした。
良い匂いだ。クーニャちゃんに会いたい。



あとがき

(´・ω・`)契約っ・・・!それが代償がない契約だとっ・・・・!誰がいったっ・・・?

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