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迷宮都市の王
2章2話 この世界はダンジョンに資源を頼りすぎているお

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1年くらい、ひたすら労働に励んで、多産を奨励し嫁達と子作りに励んでいたら、とんでもない事に気がついてしまった。
この世界、ほとんどの資源をダンジョンに依存しすぎているんだ。

●食料
俺「そうだ俺も畑を耕すの手伝おう、確か食糧が足りないんだよな?」
スター「駄目です!天使様にはダンジョンでモンスターを狩って、食料を持ってきてください。
多産を奨励したから、いくら食料があっても足りないと思います」

●金属資源
俺「鉱山は領内にあったけ?」
テレサ「ダンジョンで穴を掘れば、高純度のミスリルとか出るんじゃよ」

●武器・防具
俺「大砲とかの武器を作りたいんだが、職人は確保できるか?」
アリサ「モンスターで倒せば、かなり品質の良い武具を落としますから、私はそれでいいと思いますぞ、主殿」

なんて事だ。
ダンジョンに頼りきりすぎて、この世界では現実の地球のように技術を地道に積み重ねて発展させる事が困難になっている事に俺は気づいた。
大抵の事をダンジョンで入手できるアイテムで補えてしまうから、そういった技術が発展する訳がないんだ。
仮に車や飛行機を発明する未来がやってきたとしても数万年後とか、それくらい先の事だと思う。
でも、まぁいいか。
ここ異世界だしな。
地球と同じ様なやり方で文明を発展させる必要はない。
ダンジョンを積極的に活用して発展できる文明を作り上げた方が賢明というものだ。
そうだな。まずは領内で入口を防いだままの初心者用ダンジョンを活用するとしよう。

ダンジョンの入口の周りに50mサイズの穴を掘って囲んで、木の板を穴と穴に通して橋として使い、そこしか通れないようにすれば、モンスターが外に溢れ出る心配がなくなるし運用できるな。

穴穴穴穴穴穴穴
穴ダンジョン穴
穴穴穴板穴穴穴

ダンジョンを使わない時は、木の板を外すだけで済む。
この程度の工事なら半日もあれば、俺の怪力で楽勝だ……って事をベットの上で夜の運動をした後のスターちゃんに話してみた。
そしたらとんでもない返事が返ってきた。

「あの、天使様。
天使様が堀の内側にいるモンスター達を全て餓死させるやり方で、今ある安全地帯を作り上げましたよね?
それと同じ方法で、ダンジョンの入口からモンスターを全て穴の中に落として、餓死してアイテム化してから回収するのはどうですか?
この方法だと食料関連のアイテムは、餓えたモンスターが食べてしまうでしょうけど、大量のアイテムを獲得できますよ?」

それはモンスター狩りの効率化だった。
確かにその方法なら、労力をほとんど使わずに膨大なアイテムをゲットできるだろう。
だが、俺はその方法じゃ駄目だと思った。

「……スターちゃん。
確かにその方法なら、モンスターを最大限効率よく狩れるだろう。
でも駄目なんだ。
その方法じゃ人民のレベルが上がらず、俺やテレサ達が居なくなったら、ちょっとしたモンスターの侵入で大混乱してこの国は滅亡してしまう。
モンスターを倒せば経験値が手に入り、経験値が手に入ればレベルアップして人間は強くなれる。
それを忘れちゃ駄目だ」

「……天使様、その方法だと犠牲が多くなりすぎますよ?」

スターちゃんは不安そうな目を俺に向けている。
俺はその両肩をガシッと軽く握って

「大丈夫だ。スターちゃん。
例え、人民が死ぬ事態が発生しても、俺は復活魔法が使える。
何回人民が死んだって、俺が蘇生させればいいんだ。
ここで重要なのは、レベルが高い人間をこの国で増やす事なんだ。
俺と同じように復活魔法を使える神官職の人間が増えれば……この国の未来は安泰になる。
そうなれば俺とスターちゃんとの間に産まれる子供達が、リスクなしでダンジョン探索ができるようになるんだ」

俺がこれだけ言ってもスターちゃんは不安そうだ。
そうだろう。
俺みたいなレベルに到達するには、5年間ぶっ続けてモンスターを狩り続けるという苦行をやるに等しい。
だが、皆が俺みたいな強さを手に入れる必要はないんだ。
オリーシュ・リザレクション(復活魔法)は、回復スキルにポイントを振り込んで特化した神官職ならレベル30で覚えられるからな。
そのレベルの神官を量産すれば、皆、リスクを気にせずにダンジョン探索ができるようになる。
あとの問題はオリーシュ・リザレクション(復活魔法)は、この世界で色々と試して見てわかった結果、死亡時刻から10年以内の相手じゃないと効果がないという事だ。
この魔法を唱えるとこの近くで死亡した人間やモンスターのリストがずらりと俺の前に表示され、その人物の死亡した日付を本人を蘇生させて聞き出し、統計を取る事でオリーシュ・リザレクションは10年以内に死んだ人物とモンスターにしか効果がない事がわかっている。
スターちゃんはしばらく沈黙を保った後、そっと俺に問いかけた。

「……天使様はこの国をどのような国にしたいのですか?」

「俺は皆が充実した人生だったと、人生最後に言い張れる国家にしたい。
そのためにも、人民のレベルをもっと上げる必要があるんだ。
最終的に俺に頼らなくても良いくらいに、人民達には強くなって欲しい」

「……天使様。
それを実行したら、国内が分裂しませんか?
天使様みたいに皆が強くなったら、野心を持つ者たちが反旗を翻しますよ?」

「そうなった時はそれで良い。
どんな国家だって、永遠に生きる訳じゃないんだ。
俺は万能の神様ではない。
……ただ、好きな娘達を不幸にしたくないだけだ」

スターちゃんからの返答はなかった。
その場でスターちゃんがシーツを横にどけて立ち上がり、その美しい妖精のような裸体が見えた。
エルフ耳が垂れてないところをみると、残念な気持ちにはなってないようだ。

「天使様。
先ほどの発言は、あなたはこの国よりも、僕達の事を優先するという事なのですか?」

「……出来ればどっちも幸せにしたいと俺は思っている。
どちらかを選択する事を迫られたら、俺は……たぶん、女を取るだろうな。
皆、俺には勿体ないくらいの良い女だ」

「……天使様は専制君主としてはダメダメな気がしますけど、一人の女としては嬉しいですよ」

「おそらく、俺は専制君主的な意味での名君にはなれないと思う。
でも、名君であろうとして頑張るよりも、皆のために頑張る方が人として健全だと思うんだ。
名君であろうとして挫折した君主は、その反動で恐ろしい暴君に変貌したという事を、歴史の本で読んだ事がある。
だから、俺はこれでいいんだ」

なんか、重い話になった。
でも、スターちゃん、テレサちゃん、アリサちゃんと、産まれてくる子供達の幸せを願う気持ちだけは、俺には本物なんだ。
……えっちぃ事はもう散々したし、今日は寝よう。
明日も仕事があるからな。
それにしても、スターたんの太腿は素晴らしい。
俺、まじリア充。








翌日、俺は国に設けた広場の一つに30人の若い少年達を集めた。テレサちゃん達は他の仕事で忙しいから、ここにはいない。
彼らを集めた目的は、ダンジョン探索が出来る軍隊の創設。
そして、この30人の少年達は、軍の未来を担う幹部候補だ。
徹底的に鍛え上げて、立派な廃人プレイヤー……もとい、一流の戦士にしてみせるんだ。
俺は棍棒の扱い方が下手だから、俺の訓練も何気に兼ねている。
さぁ、宣言するぞ。ヒトラー式演説(適当)だ。
激しく両手でジェスチャーをしつつ、俺は叫ぶ。

「全ての人民がオニギリとお酒を飲む時がやってきた!
お前達は、この日から戦士となる!
死んでも復活する事が約束された最強の戦士にだ!
そこのお前!モンスターは憎いか?」

俺は一番先頭にいる銀髪の12歳ほどのエルフの少年に向けて話しかけた。
少年は戸惑いながらも、しっかりと返事を返してきた。

「は、はいっ!
私はモンスターが憎いです!
300年前に目の前で姉をオークに陵辱されて誘拐され、兄を殺されて以来、殺したいと思っています!」

寿命長っ!
俺よりも超年上だったか。
よし、この少年を鍛え上げまくるぞ。
エルフだから寿命なんて存在しないに等しいくらいに長いだろうし。

「そうか!
お前はモンスターが憎いか!
名前をなんという?」

「はい!私の名前はエル・ロンメル!と言います!」

俺はロンメル少年の背中を軽くバシッと叩いて

「そうか!良い名前だ!
きっちりモンスターに復讐できるように俺が鍛え上げてやるぞ!
さぁ!
まずは!」

30人の少年達は、俺の次のセリフを緊張しながら待って唾を飲んだ。
彼らは、俺が過酷な訓練を初っ端からやると思っているんだろうが甘いな。
ゲームの頃なら実戦を最初にやらせるんだろうが、俺は違う。

「座学をやるぞ!
モンスターを効率よく撃破するための戦術を俺が教えてやる!
何か質問があったら、片手をあげろ!いいな?!
わかったら、はい!と返事をするんだ!」

「「「「はい!テンプレ陛下!」」」」

「よろしい!ならば座学だ!
俺が地面に図を描くから、ちょっと待ってろよ!」

少年達にさっさと座学を受けさせるために俺はすぐに地面に絵を描いた。

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           もんすたーA×19
もんすたーB×10                               もんすたーC×30


           ♂×30 

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少年達は、この絵を不思議そうに見ている。
俺が何を言いたいのか分からないのだろう。
早速、解説してやろう。

「いいか!
これはお前達がダンジョンで3倍以上の戦力を有するモンスター達に包囲されてしまった状況を想定した図だ!
モンスターのレベルはお前達と同じくらいだと仮定する!
レベルが高いモンスター集団に遭遇した場合は、交戦するよりも逃げた方がいいぞ!
勝てないからな!
この状況でどうやったら、モンスター達に勝てるのか、お前ら考えろ!」

ロンメル少年が片手をあげた。
俺はすぐにビシッ!と指名する。

「よし!ロンメル少年!
発言を許す!」

「勝てないから撤退すべきだと思います。
テンプレ閣下」

「いや、お前達の逃げ足じゃモンスター達に追いつかれて包囲された上に、他のモンスター集団とも遭遇する可能性が高い。
それはダンジョンでは愚策なんだ。
この場合はまず一番近くにいるモンスターA集団を叩くんだ」

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           もんすたーA×19
もんすたーB×10     ↑                          もんすたーC×30
             ↑ 
             ↑
           ♂×30 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「モンスターB集団が左からやってくるが、その前にモンスターA集団を壊滅させて」

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         死体の山
もんすたーB×10←↑                     もんすたーC×30                   
         ↑ 
         ↑
        ♂×30 

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「数の少ないB集団を壊滅させて、右からやってきたC集団と戦うのがダンジョン探索のセオリーだ。
これを専門用語で各個撃破戦法という。
あとはモンスターの集団を襲う時は、指揮官とHPと防御が低い後衛職を真っ先に狙うと、簡単に勝利できるぞ。
何か質問はあるか?」

ロンメル少年が片手をあげて、また質問してきた。

「よし!ロンメル少年!
発言を許す!」

「あの、敵集団を効率よく倒せなかったら、包囲されて私達が殺されませんか?」

「ああ、そうなるな」

「なら、これは最適の戦法とは違うのでは?」

「いいや、これで良いんだ。
あいつら実は頭悪いし、自分の命が惜しいから増援に向かうのもゆっくりとしているから、さっさと殺すのが一番良いんだ。
逆にこちら側が逃げる素振りをみせると、恐ろしい勢いで追撃してくるから、撤退は難しいんだぞ。
それにダンジョンではモンスターがポコポコと次々産まれるからな。
迅速に次々とモンスターを処理しないと、結果的に包囲されて全滅するのはこちら側になる」

「なるほど!さすがテンプレ閣下です!」

ロンメル少年達は俺の言葉に納得してくれた。
よし、座学も終わったし、彼らに職業を与えてさっさとダンジョン探索にいくか。
装備なら、モンスターが落としたアイテムを拾いまくったおかげで魔法の鞄に大量に入ってるしな。
あとは、こいつらの職業を聞くだけだ。
それによってパーティ編成を考えないと駄目だ。

「お前ら!この紙に名前と職業を記入しろ!
パーティ編成のための参考にするから、LVも書けよ!
あと列を作って並べ!並べ!」

ロンメル少年達は俺の言葉に従って列を作り、一人一人パルメ(´・ω・`)さんの本の裏表紙に名前と職業、Lvを記入していった。
そしたら、とんでもない事になった。

ロンメル Lv2  職業:戦士
ギガン Lv1 職業:戦士
キンパツ Lv1職業:戦士
アカガミLv1職業:戦士
チンモクLv1職業:戦士
クビツリLv1職業:戦士
マジュツシLv1職業:戦士
テッペキLv1職業:戦士
トツゲキLv1職業:戦士
ケンジツLv1職業:戦士
キャクジン・テイトクLv1職業:戦士
センドウカLv1職業:戦士

職業が全員、戦士だった。
お前ら、どうやってダンジョン探索する気だ。
後衛職、俺1人じゃねぇーか。
お前ら補助と回復手段なしにダンジョン突撃して死ぬ気か!



あとがき


(´・ω・`)脳筋パーティー

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食料 →ダンジョン
住居の素材 → 近くの木を伐採。昔の建築の仕方を知っている人がいるから、その人が皆に教えながら工事
着る服 → ダンジョンからとってくるアイテム


初心者用ダンジョンが敷地内にあるから、人民の男15人を誘って戦い方を教える、死んだら蘇生する 最大16人パーティまで結成できるから、後の軍隊の幹部となる子たちを鍛える。
その中に渋いドワーフがいる。名前はセバスチャン 
「私はセバスチャンと申します。陛下」



●ダンジョンの入口から出てくるモンスターの問題は周りに深さ50mの穴を掘って、石化の魔法で舗装。簡易的な木の橋を通らないと通れない仕様にする事で対処する。

●モンスター狩りは各個撃破戦術。魔法・回復技能を持つものから優先的に倒し、フロアを移動して包囲されないように戦う。

●最下層にはユニークボスが発生するから、入口を岩で防ぐ→岩はダンジョンの壁を使用

後は後日談
はい、二章で物語おしまい 

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