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「ふ、フジワラ様!」
アライグマ族の族長から懇願するような声がした。
裏切りを思ってか、それ以上の言葉はない。
だが、信秀にはそれが慈悲を乞うものであるとはっきりとわかった。
しかし、アライグマ族の言葉はもう信秀の心には響かない。
「ミラは連れていくぞ! 絶対に死なすな!」
アライグマ族を一瞥することすらせずに、信秀は指示を出し、動き始める。
そして「うわあああ」という悲鳴がこだました。
ゴビが狼族らの手によって、石垣から町の外側へと落とされたのだ。
信秀の神の所業を目にしてしまっては、同族であろうとも、容赦はなかった。
狼族が信秀を囲いながら階段を下りていく。
殿にいる狼族達は、槍を構えて、アライグマ族を牽制した。
信秀達が石垣から下りると、そこにいたのはゴブリン族である。
ゴブリン族は、狼族が槍を突き出すまでもなく、遠巻きに後退った。
彼らは町のあまりの異変に、もはや反乱は失敗したことを察していたのだ。
「ふ、フジワラ様……」
ゴブリン族からもアライグマ族と同じく、哀願するような声がした。
しかし、信秀がそれに反応することはない。
信秀の中で、狼族以外の者は既に見切っている。
今、信秀が何よりも優先すべきは、自身の命と自身を裏切ることがなかった狼族達なのだ。
「ミラはこっちに乗せろ! 他の者は分かれて乗り込め! 全員乗り次第、俺の車両を先頭に出発するぞ!」
トラックは補給用に3台停めてある。
この場にいる狼族が全員乗るには十分な数だ。
「お待ちをフジワラ様! いや、救い主様っ!」
その声は、ここ北門から信秀の自宅へと延びる二本の泥の片側から聞こえてきた。
隆起する泥に上った魚族の族長のものである。
魚族の族長は言う。
「全ては、古参の獣人らの企て! 我ら新参の者は関係ありませぬ! どうか、我らをお救いくだされ!」
これにギョッとしたのは、その場にいたゴブリン族と、いまだ沈みきらぬ石垣の上にいたアライグマ族、さらには東西の石垣から来た獣人達である
なんと魚族の族長は、古参の獣人達に全ての罪を擦り付けようという腹積もりであったのだ。
まさに裏切りの、さらに裏切りといえる行為といえよう。
「貴様! 嘘をつくな! 何もかも魚族の企みではないか!」
「そうだ! シューグリング公国軍が町を攻めるのに乗じて、反乱を持ちかけたのはお前達魚族だろうが!」
ゴブリン族とアライグマ族が魚族の族長に反論する。
だが、それを心外とでもいうように、魚族の族長は平然と嘘を吐いた。
「そんな馬鹿な! 新参の我らに何ができると言うのだ! 我らには武器すらないのだぞ! この期に及んで見苦しい嘘はやめよ!」
厚顔無恥。
恥を恥とも思わぬ魚族の性質が、嘘を真実のように語ってみせた。
――だが、魚族の族長はあまりにやりすぎた。
「言わせておけば!」
石垣の上からアライグマ族の一人が、自前の弓でもってビュッと魚族の族長へと矢を放つ。
矢は肩の辺りに突き刺さり、魚族の族長は「うぐっ」という呻き声と共に、通りの反対側へと転げ落ちた。
その始終を運転席から見ていた信秀は思った。
醜いな、と。
どちらが、ではない。
どちらともだ。
「フジワラ様、乗りました!」
信秀の耳に、後部座席から声が聞こえた。
「フジワラ様! 私達が間違っておりました! 見捨てないでください!」
「フジワラ様!」「フジワラ様!」
ゴブリン族がその場に両手両膝をつき懇願する。
アライグマ族や他の獣人らも、石垣を下りながら哀訴の声を放っている。
するとその時、またも泥をよじ登ってきた魚族があった。
その魚族は泥の上に立つと、車に飛び移ろうとする。
しかし、そこに矢が飛んだ。
射ったのは、またしてもアライグマ族である。
「フジワラ様、憎き魚族を射止めました!
我らもフジワラ様と共にあり!」
声高々に叫ぶ、アライグマ族。
されど、信秀はギアを入れてアクセルを踏み、車を発進させる。
そして、信秀がハンドルを握りながら『町をつくる能力』を使うと、車があった場所には泥が新たにせり上がり、道の入口を塞いでいった。
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プリベルみたいやな
返信削除こんなん相手にするなら恐怖政治するっきゃない(綾香ちゃん並感
現実も独裁政治終わらせたら内戦パラダイスになって手出しが出来なくなってるしね
削除オリ主(´・ω・`)恐怖政治すると、コメント欄が荒れてしまうお!
削除やっぱりこの作者は人間味のあるクズを描くのが上手いわ(褒め言葉)
返信削除この一件で主人公も変わらざるを得ないだろうが
反省を踏まえた上で他者と共存するのか
完全に支配するのかどちらに針が触れるか展開が気になる
山にこもって仙人ルートもワンチャン……?
削除イギリス 「どっちも効率悪いやろ。やっぱり分割してヘイトは違う連中に向けさせるのが最高。」
削除裏切られた最大の原因は、力を隠しすぎてなめられた事じゃないかな。
返信削除主人公は獣人達の前では一度も物を作らず、一度家に帰って自分の部屋でしか物を作らなかった。
その為、獣人達に主人公の家には物を作る装置があると思われた。
食料の供給を主人公にすべて頼っていた獣人達だが、その装置を奪えばすべての物の供給も主人公なしでいけると思っちゃった。
一度作った物も、所有権が主人公にあるものならいつでも消せること知らなかった。(主人公は武器を敵に奪われた時のために、武器の所有者をすべて自分自身に設定していた)
目先の欲だけで起こした反乱って失敗したらこうなるわな
返信削除特に土人にありがちな光景だね
削除現実でもアフリカとかで似たような光景がよく見られたよ
有名所では南アフリカやジンバブエか
白人追い出したけどその結果……
南アフリカはトップは白人の傀儡のままだけど
削除ジンバブエはジンバブエ人による国家運営を勝ち取ったし最近じゃ立ち直ってきてるよ
追い出された白人が経済制裁したけどロシアや中国を味方につけた
びふぉー
返信削除匿名s (´・ω・`)「パルメは落ち目だから匿名を利してめちゃくちゃにたたいちゃうよぉぉっ!」
あふたぁ
匿名s (´・ω・`)「パルメが書籍化だって!? 我ら匿名はパルメさまと共に有り!」
ワロタwwwまさしくそのとおりやんwww
削除労働力でなく労働者入れたら自分たちに有利なことしか考えないからなぁ
返信削除この烏合の衆自体が移民の集まり見てるようで何とも言えない
そりゃ移民だって今よりいい生活がしたい、今より楽がしたい、貧乏は嫌だ面倒は嫌だ辛いのは嫌だから脱却する為に移民しようぜ!ってなるわけで
削除自分に都合のいい奴隷は現実にはいない。
移民はいっしょに国を支えてはくれない。
実は反乱に参加すべきだと喚いてた狼族の一部青年達
返信削除「(あぶねぇぇぇぇ…事前に気づかれ、大人たちにフルボッコにされて家で拗ねてたけど、うん反乱とか無理、無意味、むしろ不利益!そう昔を思えば十分恵まれてる…大人しく家業継ごう)」
最初から裏切る気だった魚族は別として
削除アライグマとかゴブリンと狼族は紙一重の差ではあったんだよね
最初に出会って責任ある仕事を任されて、その分待遇が他種族より僅かだが良かったから。主人公との関係が密で気心もある程度知れてたから
族長たちも若者の暴走を止められたという面もあった
パルメさんの紹介がなければ読まなかったですね。
返信削除ここの記事を観なければ、チートな主人公が虐げられている獣人を保護して、クズな人間至上主義な王国・チートを持ってる転移者達から獣人達を護り切って「すごいですわオリ主様!!」になる典型的ななろう小説かな?と思って途中で切ってた。
マッカーサーが激怒 知らなかった・・・
自分も典型的なそれ系かなと思って読まなかったんだけど、裏切られると知って読んだww
削除やっぱり人間は悪、異種族は善、という単純な構造はもう飽きたし、
>>一緒に裏切った獣人を殺しましたよ!だからご慈悲をー!
返信削除必ずしもこのやり方が間違ってるとは思わないんだよな・・・
ただし、同じ種族の中で裏切りに積極的だった連中を、今回なら、裏切った兵士全員を、家族などの身内の手で殺したうえで、もう膿は出し切ったと宣言するとかしないと、禊にも何にもなりゃしない。