37/彼と彼の使い魔達のターン--普通ならこのラスボスだらけの戦いで、味方から死人が出るはずだったが、魔術師がこっそりサポートに回っていたから死人ほとんどなし。
アーカード殺したアンデルセン神父さんも生存済み。
一番厄介なラスボスよりもはるかにつよいマスターテリオンは、ロリコンの力で敗れ去ったから、勝利が着実に近づいていた。 -
「あらあら、負傷した本人に自覚が無いなんて大変だわぁ。お医者様ごっこしないとぉ!」
と、此処で乱入してきた紅朔がシスターを引っ攫って、彼女を後ろ向きに押し倒す。
って、頬を紅潮させて舌舐めずりしながら一体何をするつもりだ、R-15だったのに一人R-18指定されたエロ本娘!?
「ななっ!? 紅朔、やめなさいっ! 離せっ!? クロウちゃん見ないでぇ!?」
「嫌よ嫌よも好きのうち――恋敵を寝取るってこう、背徳的なシチュエーションで燃えるよねぇ……! 大丈夫よぉ、優しく激しく責め抜いてあげるから、天井のシミを数える間に終わるわぁ!」
と、とりあえず、今のオレに出来る事はシスターの尊厳の為にも目を瞑ってやる事ぐらいであり、言い争う声に混じった悩ましい声、服を剥ぎ取る音が聞こえるが全力で聞かぬふりをする。
こ、これは医療行為だ。決してやましい行為ではない、筈? でも、紅朔がやるせいで18禁指定のエロい行為にしか思えないような……?
「――これは。……貴女、『魔術師』殿に何かされてるわよ?」
は? 紅朔から忌々しげに呟かれた予想外の人物に、頑なに瞑っていた目をあっさり開けてしまい――『歩く教会』を剥ぎ取られた素っ裸のシスターの、白い陶磁器のような素肌を目の当たりにしてしまう。
ブラもせず、白いパンツと白いニーソ姿のシスターは殺人的なまでに官能的で綺麗で――おっと、今はそうじゃない! 沈まれオレの煩悩!
その背中には血で刻まれた呪印じみたものがあり、同様の呪印が『歩く教会』の裏生地に血文字として刻まれていた。
(´・ω・`)この作品の中で一番幸せのは、ロリコン。間違いない。
38/『家族』ー魔術師が居たおかげで大勝利。
最後の問題は、主人公の恋人のシスの暗黒皇帝なラスボスさんが人質に取られている事だったが、それすらも簡単い攻略した。
主人公が助けなかったから、死ぬような攻撃を仕掛けて、主人公の突撃以外の選択肢を奪い、人質を救出させたのである。
黒幕さん、人質いなくなったから詰んだ。ー
「君も十二分なまでに存知だろうに。――『悪党』に人質なんざ通用しねぇんだよ」
清々しいぐらい邪悪な嘲笑をもって『魔術師』は一度も口にしていない煙草から魔力を送り――紫煙舞う上空に巨大な魔術陣が姿を現す。
突如全容を現したAランク以上の大魔術はこの校庭全域を焼滅させるに足る威力を持たされており――『魔術師』による種明かしはこの大魔術を構築する為の時間稼ぎに過ぎなかった事を『うちは一族の転生者』は一瞬で理解する。
如何な『万華鏡写輪眼』と言えども当人が視なければ意味が無い。煙草の煙を利用し、上空で風力操作などで陣を構築していたとは――だが、まだ詰みではない。
あの程度の大魔術ならば『万華鏡写輪眼』の瞳術の一つ『須佐能乎』の絶対防御の前では――否、これは衛宮切嗣の魔術礼装である『起源弾』のように防いだ瞬間に詰んでしまう類の悪辣極まる一手だと歯軋りを立てる。
(――おのれ、おのれおのれ『魔術師』……!)
この広域を焼き払う大魔術は人質諸共『うちは一族の転生者』を屠る目的に放たれたものではなく、人質の存在で身動きが取れなかった秋瀬直也に目に見える人質の危機を与えて――選択の余地を一切合切奪って彼を突撃させるものである。
(っ……!)
(´・ω・`)気づいたら、絶望的な状況がひっくり返って、黒幕側が完全に詰んでいるでそうろう
39/『悪』-黒幕さんは魔術師を誘った。
fateの万能の願望器である聖杯を使えば、全て元通りにできると。
この転生者だらけの世界になってしまった世界群。
それらを生み出した狂った基幹世界をもとに戻す事。
悲劇を全部なかった事にして、最初の一回目の人生に帰還できるって・・・黒幕さんに教えられたけど、魔術師は拒否ったどん -
「――けれども、だからこそ、私の『三回』に渡る人生の中で、それだけが唯一誇れる事だったのだよ」
――その『彼』の口から紡がれた信じられない告白。
私は幻術の支配下に置かれてなければ『うちは一族の転生者』と同じ表情になっていただろう。
「――ぇ? 身の丈を考えずに、何も掴めずに無残に焼け死んだ、あの結末が……?」
「ありったけの勇気を振り絞って『ヒーロー』を目指して志半ばで死んだ。それが一回目の私の死に様であると、私は胸を張って誇らしげに言えるぞ?」
……どうして、よりによって『彼』がそんな事を断言出来るのだろうか?
「私が自分の意志で打算無く自発的に行った『正義』は後にも先にもそれだけだ。結果は伴わなかったのは非常に残念な話だが、結果次第で事の『善悪』が変わる事はあるまい」
出発点は同じなのに、その眼に死が焼き付いて母を焼き払うという私以上に酷い過失無き損失を犯す羽目になったというのに、その最初の過ちを誇るだって――?
私は救いなんて無いと思って焼け死んで『光』を見失ったのに、救えなくて光も失った『彼』がその『光』を見続けていた、だって――?
「それを無かった事にする? 同じ状況を繰り返して別の選択肢を? ――ふざけんな、人生は何度繰り返そうが一度限りの選択の積み重ねだ。其処にどんなに苦渋と苦悶があろうと、一生涯に渡る後悔があろうとも、私の下した一度限りの決断の数々は私の生きた証そのモノだ。それを見ただけに過ぎぬ貴様如きに否定されてたまるか」
『魔術師』神咲悠陽は真正面から言葉の刃で切り捨てる。
「それに、やり直すというのならば今、現在進行形で人生をやり直してる最中だ。――消えろ、一夜限りの悪夢の残骸。その手の救済(まやかし)は我々には不要だ」
(´・ω・`)この大魔境で王道貫く主人公路線を、魔術師がやっているだとっ・・・!
40/黎明0 ラスボスさんなうちは一族の転生者が勝利する手段が、レクイエム化したチートスタンドを保有する主人公相手に勝利する事だった。
つまり、勝利ほぼ不可能。
幻術で夢の世界に連れ込んだとしても、ジョジョの仕様的に夢の中にまでスタンドが入ってくるから、なんの意味もない。
うちは一族の転生者さんはボコボコにされ、魔術師の使い魔ランサーにトドメをされて死亡した。 0
秋瀬直也ごと一閃せんとした一太刀を彼は咄嗟に飛び越えて回避するも、未だに幻術の支配下で動けない豊海柚葉を抱える『魔術師』神咲悠陽に避ける手段は無く――在り得ない事に、寸前の処で受け止められる。
火花を散らせて『草薙の剣』を受け止めたのは、膨大な呪いが籠められた朱色の魔槍だった。
「――遅いぞ、ランサー」
「……やれやれ。手厳しいな、マスター」
……そんな理不尽な文句を、絶対の信頼感を持って『魔術師』は口にした。
霊体化から即座に実体化したのは青い槍兵、この地で行われた『聖杯戦争』の最後の生き残りにして彼のサーヴァントであるランサーであり、『魔術師』は鍔迫り合いにすらなってないほど停止した『草薙の剣』の刀身に触れ――魔力を流されて一瞬で破砕される。
それは強化魔術の失敗、脆い箇所に過剰に流し込んで物質破壊するという、強化を成功させる気が最初から欠片も無い使い方であり――『蒼い亡霊』の影は、すぐ其処まで忍び寄っていた。
「――秋瀬、直也ぁッ!」
蒼い疾風となりて駆け抜けた彼とその『スタンド』は既にその拳を大きく振りかぶっており――最早、接近戦は避けられない。絶対に敵わないと悟りつつも、私の右掌には多重に乱回転したチャクラの球体である『螺旋丸』を形成する。
――そして終わりは一瞬、長い長い悪夢の決着は、やっぱり呆気無くついたのだった。
魔術師(´・ω・`)今までペラペラ会話していたのは、何のためなのか理解できたか?
ランサーがここに来るのがわかっていたから、そのための時間稼ぎだ。
41/転生者は泡沫の夢を見るのかーラスボスさんが負け逃げして、魔術師達の勝利END。
魔術師は穢土転生で蘇った冬川雪緒(ジョジョの奇妙な冒険のボスキャラが来た時に死んだ奴)と、今世最後の会話をし、魔術師はこの大魔境【海鳴市】の後を託された。ー
「――ったく、此処に至って生者の心配か。何処までも救い難いな、お前は」
「そういう性分だ、死んでも治るものではないから仕方あるまい。これから去り逝く者の戯言だと受け取ってくれ――」
既に冬川雪緒の体は薄く透き通り、末端から光の粒子となって消えて逝っている。
恐らく次に交わす言葉が今世最後の言葉になるだろう。二人共そう確信し、互いに万感の想いを籠めて口にする。
「――じゃあな、悠陽。後は任せて良いか?」
「――愚問だな、雪緒。迷わず往生するが良い。精々土産話を楽しみにしていろ」
此処に、魔都『海鳴市』にて奇妙な友情を育んだ二人は別れの言葉を今度こそ交わす。
死者さえ平然と闊歩する異常な夜だからこそ機会無くして途絶した言葉を交わす事が出来た皮肉な巡り合わせに『魔術師』は寂しげに笑った。
冬川雪緒の物語は在り得ざる『再演(ラスト・ダンス)』を経て『終幕(カーテン・コール)』を迎えた。
友の最期を自身の魂に刻み付けて『魔術師』は先に進む。希望を託された以上、託された者は前に進むしかない。
――人生は短い。途中下車なんて日常茶飯事だからこそ、二の足で歩ける内に進むしかない。
一足先に自由になった友を忘れずに、遥か先にある『大団円(グランド・フィナーレ)』に向かって走り続ける。
幸いな事に自分一人ではない。頼れる者達に負債を押し付けながら人生という短い道程を踏破するとしよう。
これが『うちは一族の転生者』による史上最大規模の即興劇の『終幕』であり――『魔術師』の常闇に封鎖された光無き視界には薄っすらと、新たな絶望の具現たる『赤い線』が静かに脈動していた――。
(´・ω・`)魔術師と冬川の会話、とっても心にくるわ。主に今世の最後の会話って意味で。
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