35/『魔術師』の帰還ーー主人公はようやくメインヒロインの柚葉のところへとたどり着いた。
だが、そこにはこのラスボス戦だらけの状況を計画した黒幕転生者がいる。
黒幕は、柚葉の命を盾に、主人公に自分の最強スタンドで自害するように命じてきた。
主人公は柚葉を助けたかったから自害する一歩まで追い詰められた……その時、生きていた魔術師が魔眼で全部焼き払って救援にやってくる! ー 「これほどまでに豪華絢爛な魔術儀式を視たのは『アインツベルン』の大結界以来だ。――故に、実に燃やし甲斐がある」
もう一人は人の身で『神の魔眼』を宿して生まれた魔人。常識の天敵でありながら非常識の天敵。
『彼女』の『万華鏡写輪眼』は、その在り得ざる存在を目視してしまって我が目を疑う。
「君の即興詩の舞台が最高潮を迎えているというのに、君の脚本を根本から歪めてやった『黒幕』が不在では華が欠けよう。最後の役者が自主的に馳せ参じてやったぞ――その役割は全てを台無しにする『大根役者』だがね」
後ろ髪がばっさり無くなった事以外は何一つ変わらない風立ちで、その人物はさも当然の如く現れた。
『彼女』に匹敵する処か、遥かに凌駕するほどの邪悪さで嘲笑いながら――。
その彼を見て、秋瀬直也は大きな溜息を吐いて笑った。
此処が自分の死に場所であると確信しながらも、自分と豊海柚葉、両方が生き延びる道を必死に模索し続けて――行き着いた末の結論が『彼』の存在とは最早笑うしかない。
「……まぁ薄々勘付いていたが、敢えて言うとしよう。やっぱり生きてやがったか『魔術師』……!」
(´・ω・`)まさかの魔術師生存
36/舞台劇の分類(ジャンル)は『喜劇(コメディ)』 -生きていた魔術師はたちまち、戦況を逆転させてしまった。
本来ならば、宇宙そのものを滅亡させるレベルの【まどかまぎか】作品の魔女が魔法少女から産まれるはずだったが、その呪いを第二魔法で他の世界に廃棄し、世界最強の魔法少女をゲット!
やったー、最強クラスの戦力が増えたー-
「な、な、な……!?」
「どうしたんだ、ディアーチェ? 鳩が豆鉄砲を食ったような、初手『封印されしエクゾディア』のパーツ五枚を揃えられた時の凡骨デュエリストのような、100%の命中率なのに『踏み込みが甘い!』とエリート兵に切り払われたような、ギャンブラーの繰り出したポケモンの一撃必殺技で全抜きされたポケモントレーナーのような、小数点以下の確率で『源氏』シリーズと『正宗』が『メンテナンス』つきのエルムドアから盗める事を気が遠くなるほど試した後に真っ赤な嘘だったと知ったプレイヤーのような顔をしているぞ?」
後半に行けば行くほど『魔術師』のいう例えは解りにくい表現で、「『黒本』まじ許さねぇー……!」と次元を超えても尚抱く個人的な怨念の篭った内容になっていくが、残念な事ながら此処にツッコミ役はいない。
これじゃ話が進まないと思った『共犯者』は仕方なく口を出す事にした。
(´・ω・`)この魔術師、最初の人生はとんでもないオタクだったな。間違いない
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