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32/最後の幻想ーヘルシングのアーカードを倒すために、神父は6発の弾丸をどうにか対処しないといけなかった。
黒銃『ジャッカル』の13mm炸裂徹鋼弾を一発でも食らえば人生終了。
神父は所詮、人間を極めただけの存在でしかない。
一発を奇跡的に弾丸を戦斧で切り裂き、
二発を、ローマが誇る歴史上最上位の聖遺物【『千人長の槍(ロンギヌス)』】を使い捨てにして防ぎ、
残りとうとう最後の一発に対処すれば、アーカードの所まで行ける状況になった。
神父が最後の頼った武器は、『真魔剛竜剣』を使った銃剣。
伝説の鉱物『オリハルコン』が材料だから、13mm炸裂徹鋼弾を両断し、それはアーカードの心臓に突き刺さった。
アーカード大喜び。
人間の力で、化物が打倒されたから幸せ!
ーー
――赤く燃え盛る炎はさながら日の光のようだった。
この情景を吸血鬼『アーカード』は忌々しくも、こんなにも美しいものだったかと幾度も想う。
『彼』が死んだ光景はいつもこれだった。500年前のあの日も、100年前のあの日も、そしてついあの日も、全く同じだった。
いつの間にか地に仰向けで倒れ伏した『彼』の胸には二振りの『銃剣』が突き刺されており、完膚無きまでに、見事なまでに『彼』の心臓を穿ち貫いていた。
「――く、ははは……!」
『彼』は楽しい夢を見た子供のように邪気無く笑う。
遂に遂に遂に、愛しき怨敵の『銃剣』が自身の心の臓腑を穿ち貫いた。人間でいられなかった弱き化物を、人間が打ち倒した。
幾千幾万の絶望を飲み干した不死身の吸血鬼と言えども滅びが避けられない致命傷だった。
惜しむべきは自身を打倒した人間の安否を確認出来なかった事だが――満ち足りた表情で吸血鬼『アーカード』は目蓋を閉ざした。
その長き闘争の日々に、終止符を打とうとした。そんな時だった。
『――なぁに一人で満足して逝こうとしてるんですか? この精神最弱で駄目駄目な吸血鬼は』
その少女の呆れ声は割れ響く歌のように響いた。
『貴方の愛しの主からの命令をお忘れですか? 随分と薄情な吸血鬼ですね。脳味噌まで黴びたんなら思い出させてあげますよ』
その呼び声は、全く違うのに『誰か』を連想させて――。
『――帰還せよ。幾千幾万に成り果てても、いえ、唯の一人になるまで殺し続けてでも。……だから、三百四十二万四千八百六十七人の中に居た私も容赦無く殺したんでしょ?』
(´・ω・`)皆、戦った末に幸せになっとる。
33/一歩の価値--デモンベイン作品関連のボスキャラ『マスターテリオン』との戦いは絶望的だった。
危うく、『マスターテリオン』の罠で合法ロリのセラが味方のクロウに潰されて死にかける寸前の段階まで行く。
もしも、その企みが成功したら、クロウは自分で自分を許せなくなるから自滅する所だった。
でも、大切にしているロリ娘が殺されそうになる展開にいった事で、クロウは何かに覚醒したかのように強くなり、勝機が見えてくる。 -
「――シスターとセラに何しやがるんだッッ!」
それとこれとは話が別である。
大切な人を理不尽に殺されかけて激昂しない男など誰も居ない。
極限まで激情した闘争本能の赴くままに二挺魔銃を構築し、一発目から切り札である神獣形態のクトゥグァを撃ち放つ。
灼熱の旧支配者の一柱は術者の怒りを体現するように荒ぶり、世界を焼く侵しながら進軍する焔の神獣は紅の鬼械神に襲い掛かる。
『――!』
紅の鬼械神は先程と同じように回避行動すら取らずに防御結界を展開し――しかし、先程との違いは強固極まりない防御結界が一瞬にして飽和状態になって幾千幾万幾億の魔術文字が焼滅し、此処に至って機体の前方に竜の翼で覆ったままの『リベル・レギス』に先制打が炸裂する。
「……え?」
「うっそぉ〜……」
この闘い始まって以来の快打に誰よりも驚愕したのが怒りに我を失っていクロウと窘めようとした紅朔なのは皮肉である。
クロウに至っては身を焦がした怒りの炎が世界の彼方まで吹っ飛んだ勢いである。
(´・ω・`)これが愛(ロリ)の力かっ・・・!
34/いのちの歌^-『マスターテリオン』との戦いは絶望的で、敗北は多数の世界の滅亡と消滅を意味する。
クロウはどう考えても勝機がなさすぎて大変だったが・・・・シスターのセラというロリ娘の愛の力、大十字九郎よりスペック低いのに2回も脚本をひっくり返したクロウ。
それがあり得ない可能性を引き出して、逆転勝利してマスターテリオンを倒してしまった。
結局、這い寄る混沌ナイアルラトホテップは未来永劫に渡って敗れ続ける運命に逆らえなかった・
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「クロウちゃんが自分を信じれないのなら、それでも良い。でも――私の信じるクロウちゃんを信じて」
「シスターの信じるオレを……?」
一体、今の自分の何を信じられるのだろうか? 心底不思議そうな顔をしたクロウに『シスター』は力強い笑顔で、咲き誇る花のように自信満々に告白する。
「……困った人を見過ごせなくて、見過ごせないほど弱いのに誰にでも手を差し伸べちゃうほどお人好しで、頼りないのに暖かくて――そんなクロウちゃんに、私は救われたんだよ?
――『私』もね」
――過去に捕らわれた少女と、未来を奪われた少女が居た。
彼女達に救いの手を差し伸べたのは、奇しくも同じ人だった。
「――大丈夫、クロウちゃんなら出来る。最悪のバッドエンドに至った『アル・アジフ』を救っちゃったのは誰だったかな? あんなの、『大十字九郎』にも出来ない事だよ」
――邪神の策謀を最後まで見抜けずに敗れ去った『魔導書』が居た。
絶望の淵に沈んだ彼女を引っ張りあげ、その掌に『魔を断つ剣』を取り戻させた人がいた。
「八神はやてにしても、クロウちゃんが居なかったらどうなっていた事やら」
――数多の運命の悪戯に翻弄され、復讐者となった少女が居た。
その少女の復讐を寸前の処で止めて、正しき遺言を渡した人が居た。
「貴方の知る物語では私と九朔は『お父様』と『お母様』の手で救われたんだろうけど――クロウ、貴方は神の脚本を『一言』で崩壊させちゃったのよ?」
下の操縦席で、シャイニング・トラペゾヘドロンの発動準備で全操縦系統を奪われながらも必死に抵抗し続ける紅朔が不敵な笑顔で答える。
――玩具支配者によって『悪』として世界に拒絶された少女が居た。
存在すら儚い彼女をそっと耳元で名前を呼んで神様の書いた脚本を打ち砕いた人が居た。
「……どんだけ完璧超人なんだよ、そのシスターやセラ、紅朔の信じる『誰かさん』は……」
――でもその人は、完全無欠なまでの『正義の味方』のように、余裕綽々で常に優雅にこなした訳ではない。
必死に足掻いて、必死に頑張った末に掴んだ、泥塗れで血塗れの勝利である。誰よりも無力ながら、最後まで諦めなかったからこそ掴めた必然の勝利だった。
「……でも、オレは――」
「ううん、クロウちゃんは独りじゃない。私もいるし、セラもいる。大十字紅朔もいる。海鳴市の皆もそれぞれの敵と戦っている。――そして私達の背中には数え切れないほど沢山の人達に支えられている」
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