。
11.突き付けられる矛盾-学校で体調不良になる生徒が続出している事を、遠坂凛の口から士郎は聞いた。
ちょうど桜もそのことを聞いて・・・思い切り、自分の兄が関係していることだから、気分が辛くなっている。
普通にライダーが一般人を襲って、魂食らい★やってるからだ。
士郎はセイバーに剣の鍛錬をつけてもらっており、ギルガメッシュに見られながら、セイバーにボコボコにされ、ギルガメッシュから説教を受けていた。
士郎の目的は、人を助けることなのに、自分の手で助けようとする事に固執しているから、ギルガメッシュが士郎のアホっぷりに怒っている。
他人を救いたいなら・・・・人間なんかより遥かに力を持つサーヴァントの力を借りればいいだけなのに、士郎は手段と目的が入れ違っていて可笑しいのだ。
人間の身でサーヴァント相手から、他者を守ろうとする時点で頭が狂ってる。
おかげで士郎は自分の本性に気がつきつつあり、ギルガメッシュはなんだかんだいっても、手を貸さない代わりに口でアドバイスしてくる良い奴だった。 --
「よいか。そこの小僧が生き残る術を教えたいと言うのなら、戦闘訓練を施すのではなく、サーヴァントとの戦い方を教えるのが筋であろう。指揮官(マスター)としての兵士(サーヴァント)の運用方法、それを叩き込む事こそが常道だ。
凡百の雑種が英雄と戦う?―――世迷言も大概にしておけ。セイバーよ、雑種の思い上がった鼻をへし折るのなら初手の一戦で十分だ。本気で此奴を鍛えようと考えていたのなら、些か失望を禁じ得ぬな」
そう嘲るように言うと、アーチャーは俺に厳しい視線を送る。
「まだ解らぬか小僧、貴様ではどう足掻こうとサーヴァントには勝てぬ。このような戯れ事に意味など無い。貴様の根底に何があるかは知らぬが、人間どもをサーヴァントから救いたいと言うのなら、手段に拘る事こそ何よりの愚挙。自分が何を為すべきなのか、何を考えるべきなのか、今一度己の裡に問うがいい」
(´・ω・`)この英雄王は、きっとツンデレ(言葉が厳しいだけで実は良い奴)。
12.動き出す影ーー士郎は夢でギルガメッシュの過去の一部を見た。
民衆を威圧する最強すぎる暴君すぎる過去と、男の娘な親友との出会い。
その夢のせいで士郎は朝寝坊をしてしまい、朝の料理をギルガメッシュが作ってくれた。
無駄に料理が上手すぎる。
セイバーもギルガメッシュに感心しているレベルの料理だった。
料理の後に、皆で作戦を話しあい、ライダーを放課後に挑発しておびき寄せる作戦になる・・・はずだったが、衛宮士郎が他の生徒が襲われている事に気がついて、暴走しちゃったから、逆に士郎たちが罠に嵌ってしまう!
更に逃げたライダーを士郎が追いかけてやばい。
サーヴァント相手じゃ人間は足手まといにしかならないのに、士郎が暴走してライダーを深追い!
こんな時に頼りになるギルガメッシュの方には、キャスターが何故か居て、戦闘をやっている。
本来のギルガメッシュの力を発揮できれば、宝具の雨でキャスターなんて瞬殺だが、このギルガメッシュは記憶喪失で弱体化しているため、キャスター相手にも苦戦して弱すぎた。
最終的にキャスターを取り逃がしてしまい、その間に士郎たちを放置してたから士郎の命が危ないぞ! ー
―――その光景は、魔術を知る者にとっては余りに異様だった。
アーチャーを攻撃している魔術は、その全てが大魔術と言っても過言では無い。予備動作も、詠唱も、宝具の発動すら無しに、コンクリートを紙切れのように吹き飛ばしていくキャスターは、人間の技術など足元にも及ばぬ程卓越した魔術師だった。
加えて、それを可能にする魔力量。弾切れなど知らぬとばかりに放たれていく魔術の槍、一つ一つが並の魔術師の総力に匹敵するそれを、あれだけ連射する程の魔力の貯蔵は、異常と呼んで尚余りある量。
回避しきれぬと判断し、双剣と鎧で攻撃を防ぎながら、冷静に状況を分析したアーチャーは忌々しげに舌打ちした。
―――不利だ。
(´・ω・`)
13.蠢動する牙--慎二と会話した衛宮士郎は、慎二が人を襲って魂食らいやって、サーヴァントを強化している事を知った。
完全に慎二に倫理観がなく、士郎の怒りに触れる発言ばっかりやっている。
しかも・・・・慎二は自分が圧倒的不利になる状況だと認識してなかった。
地形的に、ライダーは目茶苦茶不利なのに、セイバーとアーチャーを相手にしないといけない状況な事を忘れている。
片方一人だけでも辛いのに、それが2人。
場にランサーが来なかったら、そのまま慎二は降伏か死のどちらかを選ばないといけない事態だった。
ランサーが来たから慎二は逃げ出し、戦いはセイバー VS ランサー戦になる。
以前闘った時は、セイバーが優勢だったはずだが、今回の戦いでは何故かセイバーが劣勢になっている。
なんと!セイバーの戦い方が今までの戦いのせいで、ランサーに読まれ、それゆえにセイバーが劣勢!
更にまた乱入者がやってきて、場は混迷した。
場から逃げ出した慎二の方には、キャスターの魔の手が迫り、ライダーがキャスターのサーヴァントになっていた。
-
「……何が目的ですか、キャスター」
「力を貸してあげる、と言ったら貴女はどうするかしら?」
「―――な」
美しい唇から齎された言葉に、ライダーの全身が硬直する。その様子を見下ろし、魔女はふ、と愉快げに笑みを零した。
「判らない?力を貸す代わりに、私と組みなさい、と言っているの。
その傀儡は目障りなだけの役立たず。私なら、遥かに優れた環境を用意出来る。無能な主に煩わされる事も無く、思うままに力を振るえるわ」
(´・ω・`)どんどん乱入者が参戦しまくって、混乱している戦場だ。
17.相対する二人^ライダーを撃退したが、セイバー達は困っていた。
だってライダーはキャスターと手を組んでいるし、肝心のギルガメッシュは役に立たないから、実質セイバー1人しかサーヴァントいないようなもん。
次戦う時、ライダーはペガサス召喚して恐ろしい機動力で勝負を挑んでくるはずだから、さあすがにこれは辛すぎる。 ^
「約束だよ、シロウ!」
「ああ、約束だ」
「うんうん! それじゃ、また会おうね! 次会う時まで、他のサーヴァントなんかにやられちゃダメなんだから!」
最後に、大きく手を振ると。雪の妖精は、踊るように走り去っていった。
それにしても……他のサーヴァントにやられるな、か。それは単純に俺の身を心配してくれていたのか、それとも俺への敵意を拭い切れず、自分が止めを刺すという意味だったのか―――いや。彼女のあの笑みに不純なものは無かった。聖杯戦争とは関係なく、イリヤもまた、俺と会う気になってくれたのだろう。
切嗣だけではなく、俺へも向けられていた敵意。それは大切な人が自分を置き去りにし、代わりに見ず知らずの子供を引き取っていた事への怒りだったのか。当初は間違いなくそうだったのだろうが、俺と話をするうちに、その感情は徐々に薄れて行ったようだった。
二度話してみて解ったが、イリヤは良い子だ。それこそ、聖杯戦争などという血腥い儀式が似合わぬ程に。けれど、彼女はアインツベルンという一族の悲願を背負っており……他人を巻き込まないと言うのであれば、そしてそれをイリヤ自身が望んでいるなら、彼女の願いを否定する事自体は俺には出来ない。傷ついてほしくないのに戦うなとは言えないのは、もどかしい限りだ。
「聖杯戦争なんて……そんなものが起こらなければよかったんだ」
腹立ち紛れに、転がっていた石を蹴り飛ばす。もやもやした感情を抱えながら、俺は足早に公園を立ち去った。
(´・ω・`)なーに、ギルガメッシュがいるんだ。
イリヤ救済ルートがあっても可笑しくはない。
|