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散歩チート
3国目 神話を伝える国なのです 中編

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目的の大聖堂は、世界最大級の教会堂建築でした。
光の精霊さんで調べてみましたが、高さ約120m、最大幅約156m、長さ211.5mだから凄いのです。
北側には宮殿、南側には教皇謁見所と宝物館があって見所たっぷり。
早速、開いたままの大きな扉をくぐると、そこの内装も豪華絢爛。
数百人の信者達が幾つもある細長い席に座り、一番奥に白い法衣を纏った男性の大司祭さんがいます。
年齢は40歳くらいで顔は……顔は……ラスボスの風格を纏う怖い顔なのです。
眼光は鋭く、全てを支配するカリスマを持っているように見えました。
きっと、予知能力を持っていたり、ハンドパワーで人を飛ばしたりできる凄いお人に違いありません。
その大司祭さんが今から説法を始めるそうなので、私が一番後ろの席に座るとイエニーさんも隣に座って

「あらあら、まるで悪人にしか見えない顔の大司祭ですわね」

「駄目なのです!こういう場所でそういう事を言っちゃ駄目なのです!」

私が大声をだしてイエニーさんを止めたから、大司祭さんから強く睨まれました。
私語をしちゃいけないような神聖な場所で大声だしてごめんなさいです。
しばらく待っていると、大司祭さんは一回わざとらしく咳き込んだ後に説法を始めました。
両手をグワッと広げて、荘厳な声とともにこの世界の神話が紡がれたのです。

「これは人類が産まれるより前も古いイニシエの神話。
この世が誕生する時、神様と魔王という相反する存在が誕生しました。
神様はこの世界の存続を願う素晴らしいお方。
魔王は世界を滅ぼそうとする邪悪の化身。
両者が相容れるはずもなく、世界の存続と滅亡を賭けて、後の世に言う第一次スーパー神魔大戦が始まったのです。
神様と魔王の戦いは、お互いに互角の力量だった事もあり、30日間にも渡って続き、原初の超大陸ロディニアは粉々に砕けちり、両者相打ちの共倒れで、第一次スーパー神魔大戦は幕を閉じました」

え?相打ちなのですか?
いきなり衝撃展開ですよ。これ。

「ですが、皆さんの知っている通り。
神様は死ぬ直前にその身を犠牲に、6人の神様を創造し、世界の安寧を願った尊いお方なのです。
惑星の北に赤の炎龍王様。
南に黄の土龍王様。
東に青の水龍王様
西に緑の風流王様。
地下に黒の闇龍王様。
リーダーとして白の光龍王アーリア様を創造なされ、完全なる治世が世界に誕生する事となりました。
魔族やオーク、ゴブリン、ミノタウロス、トロルなどの下賤な者達は存在せず、我ら人類は平和を謳歌できたのです」

ここから大魔王【悪夢の皇帝】が出現して、全部台無しになったのですか。
私もそんな平和な頃に散歩したかったのですよ。

「神々による治世は長きに渡り続き、一説では10億年続いたと言われています。
これは人間では実現不可能な完璧な治世だった証なのです。
ですが、その完璧な治世も残念ながら終焉を迎える事になりました。
1000年前、突如出現した異世界の大魔王【悪夢の皇帝】により、悪夢が始まります。
悪夢の皇帝の力は凄まじく、神々と人類は苦戦を強いられました。
無数の人間の国々が滅亡し、死者の数は1兆人や2兆人とも言われ、戦いは1年間の長きに渡り続き、その激戦の末に神々は己の身を犠牲に、大魔王【悪夢の皇帝】を切り裂き、無数に発生した悪夢の皇帝の欠片を……人や動物の魂に封じ込める事に成功しました。
この戦いは皆さんの知っての通り、第二次スーパー神魔大戦と呼びます。
神様の肉体は滅びましたが、あの世で私達を見守ってくれている事を決して忘れてはなりません」

1兆人って……数を盛りすぎなのですよ。地球でも60億人なのに、100倍を優に超える死者とかありえないです。
あと、凄く怖い事になっていそうですよ。これ。
 人 や 動 物 の 魂 に 大 魔 王 を 封 じ 込 め た?

「そしてここからは現代の社会問題です。
悪夢の皇帝の欠片は、人や動物が死んで新しい肉体に転生する度に浄化され、最終的に消滅させる事を神々は目的としていました。
ですが、第二次スーパー神魔大戦後の神々が居なくなった人間社会の大混乱は、膨大な負の感情を産み出す事となり、封印が緩んでしまったのです。
人や動物が次々と魔族と化し、当時の人間達は疑心暗鬼になりました。
この大混乱で死んだ死者は、少なくとも5兆人と推測され、今のような無数のキチガイ国……いえ、可笑しい……いや、不思議な国々が誕生する切欠となったのです」

うーん、思った以上に悲惨な歴史なのです。
大司祭さんの口調だと、エルフの魂に悪夢の皇帝の欠片を封印しなかったようですね?
やっぱり寿命が殺されない限り、ほとんど無限のエルフだと、目的達成できないから当たり前ですよねー。
師匠や私が魔族になってラストバトルなんていうBAD ENDオチは嫌だから安心しました。

「更に悲しい事に悲劇は続きました。
魔族達は、生命工学を利用してオーク、ゴブリンなどの繁殖能力が極端に高いモンスター達を作り出し、この世に放ったのです。
今では世界各地にオークやゴブリン達が国々を乱立し、世界の覇権を握ろうと邪悪な野望を迸らせ、負の感情をこの世界に大量発生させて魔族達に餌を提供している有様です!
ゆえに!我々は絶望してはいけないのです!
オークは殺してトンカツ定食にしなさい!!
ゴブリンは殺して死体を細かく刻んで畑の肥料にしなさい!
ミノタウロスは住んでいる迷宮ごと爆破して殺しなさい!
トロルは再生能力が高いから、頭に銃弾や魔法を撃ち込んで殺しなさい!
魔族に与する者は、例え、親兄弟であろうと殺しなさい!
全て神様が許してくれます!
正義は我ら人間にあり!
異教徒殺せ!世界宗教の恐ろしさを見せてやれ!ヴァ●カンなめんな!
エイメーン!」

この暑苦しい言葉とともに信者さん達が席からたちあがって「うぉー!」って叫びました。
皆、銃を持ったり、炎の精霊さんを纏ったりして暑苦しいですよ。
どこの十字軍の頃のキリ●ト教徒なんですか。
好戦的すぎるのです。

「あらあら、やっぱり人間の宗教って面白いですわね?
ヴィクトリアさん」

「うう……やっぱりこんなオチだったのです」

皆、好戦的すぎますよ。
でも、世界情勢的にはその方が生存しやすいんですかね?
よく考えたら、ここまで来る最中に奴隷にされたり、永遠の時間の牢獄に封じ込められそうになりましたし、ここにいる信者さん達は、かなりの手練れな気がします。
ああ、神様が居たら、安全な散歩ライフを楽しんで、師匠とイチャイチャできるのに、私は不運ですよ。

【我の名は光龍王アーリア】

なんか神様を名乗る幻聴が脳みそに直接響いています。
私、精神的に疲れすぎですかね?

【我の名は光龍王アーリア!】

ふぅ、なんかこの幻聴、言い直してますよ。
病院に行った方が良い気がしたのです。

【幻聴ではない!
我は光龍王アーリアであるぞ!】

は?
滅亡した神様の名前?
やっぱり幻聴ではないですか?
あれ?よく考えたら、私の身体が金縛りみたいな感じになって全く動かない?
なにこれこわい。
その状態のまま数秒後、視界全体が真っ白な光に包まれ、目の前には、金色に光る美しいドラゴンさんがいました。
しかも、サイズは50mサイズ。
ちょっとした高層ビルくらいの大きさがあるのです。
しかも、先ほどまで私は大聖堂に居たはずなのに、いつの間にか全てが光に包まれた異空間に居ました。

【ようやく納得したか?
異世界の申し子ヴィクトリアよ。
我の名は光龍王アーリアである】

ふぅ、幻聴に続いて幻覚まで見てしまう時点で、私の身体はもう駄目かもしれないのです。
師匠、若すぎる身で死んでしまう私を許して欲しいです。
イエニーさんのような素敵なロリババアをお嫁さんにして幸せになってください。

【こら!
現実逃避するな!
幻覚と幻聴を聴かせるのは大変なんだぞ!】

幻覚の癖に、自分から幻覚だとばらすなんて、最近の幻覚は凄いです。
なら幻覚さんに聞きますけど、光龍王アーリアって1000年前に死んでますよね?
じゃ、あなたは誰なんですか?偽物さんですか?
あと、私の心を読んで会話するのは恥ずかしいので止めて欲しいです。

【神は死んでも、その身体はバラバラに分裂して、人や動物の魂に宿ったり、知識だけが情報生命体として存続し続ける生物だからだ。
我は、本体の知識だけが生き残った情報生命体だ】

魔王も神様もしぶとい生き物なんですね。
健康で羨ましいのです。
ところで私に何かようなのですか?金縛りを解いて欲しいんですけど?

【用件は簡単だ。
お主をトラックという乗り物で轢き殺して、この世界に転生させた計画を建てた黒幕が私だからな。
謝罪を兼ねて、こうしてわざわざ会話してやったのだ。
我の罪を許すがいい】

はっ?

【お主が納得いくように、なぜ我がこんな事をしたのかも、説明してやろう。
この世界には、悪夢の皇帝の欠片が負の感情を吸い取って強大な魔族へと成長し、魔王と呼ばれるほどの力を蓄えた個体が5匹も発生して、そやつらが世界を滅亡させようとしているから、その企みを阻止するためだ。
お主には、精霊魔法と散歩チートを用いて、魔族達を倒し、この世界の存続のために頑張ってもらいたい】

なんて身勝手な神様なんでしょう。
一方的な都合で、前世の私を殺して転生させる時点で酷いのです。
でも、散歩チートという素晴らしい能力を貰えたようですし、収支は総合すれば黒字ですかね?

【いや、散歩チートはお主が前世の頃から持っていた能力だぞ。
お主をわざわざ殺して転生させたのは、その能力をこの世界のために活用して欲しいからだ。
せいぜいやった事と言えば、その能力を使いやすいように改良して、叶った願いを音声で読み上げたり、必要な散歩数の表示機能をつけたり、光の精霊に愛されやすいようにサービスしただけだ】

ま、まぁ、前世の私はこの能力に全く気付かなかったから、一応、収支は黒字なのです。
神様と敵対してもきっと損しかなく、人生の経常収支が赤字になってしまう気がするから敵対はやめておきます。
人生は理不尽な事ばっかりで当たり前なのは、前の人生で慣れてますしね。
でも、世界を救うなんてどうすればいいんですか?

【方法はお主に任せる。
たくさんエルフの子供を作る方法を探すなり、強い仲間を集めるなりするがいい。
その散歩チートは、人どころかエルフの運命にも干渉できる力。
例えば、お主の隣にいるイエニーというエルフは、水を極める素質をもつ未来性豊かなエルフのメスだ。
その娘と定期的に出会えるように、運命に干渉すれば、最小限の散歩ポイントでお主の旅先にイエニーは現れるようになる。
だが、その力といえど万能ではない。
イエニーの場合は長い新婚旅行をして、あちこち移動するからこそ運命に干渉して再会が可能だが、国や家から全くでない人物の運命に干渉する場合は無意味になる可能性が高い。
そして、神や魔王やラッキー……いや、世界樹などといった圧倒的な存在には、効力は薄い】

うーん、出来れば危険を犯したくないから、師匠とのんびり旅をして、色んなエルフのカップルが誕生するように努力しましょうかね?
エルフ用の精力増強剤を作って、私は異世界の救世主になれたらいいなぁーと思います。
子宝こそ本当の財産という訳ですよ。

【危険を回避するのはお主の場合は困難だ】

は?

【我はお主の前世の散歩ポイントを全て消費して、魔族が居そうな場所へと無意識に向かうように、お主の運命に干渉したからな。
お主の行く先に災いと魔族ありという事だ。
我はお主の幸福を祈ろう】

なんですとっー!?
勝手に前世の散歩ポイントを全消費して、そんな事に使うなんてひどいです!
……それに、私の意志関係なしに師匠が行きたい場所へと向けて散歩しているから、完全に死にスキルになってますよ?
私としては魔族に会いたくないから、それでいいんですけど。

【更に言うと、この国の中枢は魔族に支配されている。
法王も目の前にいる大司祭も既に殺され、今いるそいつは大司祭と同じ外見に擬態した魔族だ。
無理をして人の姿になっているから、力は弱体化しているがお主だけでは勝てぬ。
イエニーと協力して魔族を倒すのだ。
そうしなければ、この国は宗教的権威を利用して戦争を煽り、膨大な負の感情が世に解き放たれる事になる。
さぁ、そろそろ現実に戻るがいい。
既に殺し合いは始まっている】

光龍王様がそう言うと、私の意識は大聖堂の体に戻りました。
目の前には、私に向けて銃や炎精霊で乱射している数百人の人間達の姿と、それを膨大な水の壁で防御しているイエニーさんの姿があったのです。
いやー、イエニーさん可愛いのにやっぱり凄く強いんですね。
同じロリババアとして尊敬します。

「あらあら?
ヴィクトリアさん、目が覚めたようですわね?
いきなり攻撃されて大変なんです、出来れば手伝って欲しいんですの」

私の人生なんでこうなったんですか!
もう、前言撤回です!光龍王なんてゴミカスです!ゴミカス!
経常収支大赤字になったのです!
師匠が行きたい場所へと向けて散歩しているのに魔族と遭遇しちゃう時点で、私が平穏に生きるには、世界中にいる魔族全員皆殺しする以外に選択肢がないって事じゃないですか!
そうじゃないと安心して子育て……げふんげふん、結婚生活もできません!



後編に続く


舞台のイメージ「バチカンの施設の写真を見ながら全部書いた、大聖堂がふつくしい」

テーマ「テンプレの異世界転生への理由づけ」

テンプレ転生神様に、凄いチートを与えられて異世界に行くのがテンプレなんだよ!
http://suliruku.blogspot.jp/2014/11/blog-post_9.html

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●バチカンをイメージ。人口821人 ほとんど聖職者で税金がない。

●師匠が法王と知り合いだから、ヴィクトリア別行動。
カツサンド購入してモグモグしていたら、食べ物を食べるエルフは珍しいという事で、そこでイエニーと知り合いになる。

「あらあら?食べ物を食べるなんて珍しいエルフですわね?」

「ふぁい?」

「返事は食べ終わってからいいですよ?」

●会話した後に、この国の大司祭からこの世界の神話を聞く。

第一次スーパー神魔大戦によって産まれた6人の龍神

第二次スーパー神魔大戦で龍神が滅亡。
この世界に、魔族が作ったと思われるモンスター達が大繁殖して、各地で戦争が勃発。

●でも、諦めてはなりません。
神様はあなたを天国から見守っています。
ゴブリンを殺して、オークを殺し、明日を戦う兵士を産み育て、魔族に与する者を全て殺しなさい。
神は全てを許します。

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