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10国目  転生者の国なのです 前編
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転生とは? 生まれ変わって、別の人間さんになる事です。

カースト制度とは? 5000年続いたインドの伝統です。身分が高い人は前世で良いことをした人、身分が低いは前世で悪い事をした人という事で身分を定着させたのです。

私は? 転生者です。






散歩、散歩、楽しい楽しい散歩〜って言いたいんですけど、私は緊張しています。
なぜなら、自分の秘密を師匠に話さないといけないからです。
トラックに轢かれて転生して、この世界にやってきました……と言ったら、誰が信じます?
正確には神様の陰謀で殺されたんですけど、それを言うと余計に痛々しいですよね。
自分を超特別扱いしている中二病患者だと、師匠に思われるのは嫌なのです。
大好きな師匠に、痛い娘だと思われたくありません。
でも、本当の事を話すと言ってしまった以上、勇気を出すしかないのです。
私は隣を呑気そうに歩いている師匠の手を引っ張って歩くのをやめさせ、
深呼吸をゆっくり2回した後に勇気を持ってハッキリ告げました。

「じ、実は私は地球という惑星で死亡して、この世界へとやってきた転生者なのです!」

「異世界と魂が実在するからね。そういう事もきっとあるさ、ヴィクトリア。
ところで地球という惑星はどんな場所なのかな?」

軽く流されました。
あるぇ?私の過去に興味がないのですか?師匠。
乙女として残念な気持ちになりますよ?
ひょっとして、全く脈なし?
いや、地球の事を聞いてきたから、少しは私の事を異性として興味持って見ている証拠として考えればいいですよね。
師匠の知的好奇心を満たすために、私の地球知識をフル活用しますよ!

「えとですね、地球の夜空は月が一つしかなくて、惑星の表面の7割が海という水の惑星なのです」

「月が一つしかないなんて、不思議な惑星だね。
その惑星にはどんな国があったのかな?
滅亡した過去の国家でも良いから、話してくれると僕は嬉しいよ」

師匠の目が知的好奇心でキラキラ輝いています。
なるほど、師匠はこういう会話が好きなのですね。
私の地球の知識を大公開して、たくさんたくさん会話しますよ。
私も地球の事を思い出したい時がありますし。

「ナウル共和国というニートだらけの島国があるのです。
誰も働かないのに世界一裕福だった時期もあるのですよ。
なぜか分かりますか?」

「その国は機械化が進んでいるだと推測したよ、これなら裕福さを保ったまま、働かずに暮らせるね」

「いいえ違うのです。
リン鉱石という農業に使える資源を採掘して海外に売る事で、働かなくても暮らせるほどの圧倒的な大金を得られるようになったから、誰も働かなくなったのです。
島の全ての仕事を外国人労働者に頼って国民総ニート。
リン鉱石が尽きた後も、財産をほとんど使い果たした後も国民のほとんどが働かずに暮らして、滅亡まっしぐらでした」

私の話を聞いて師匠が苦笑しました。

「やれやれ、ヴィクトリアが居た惑星も、この星とあんまり違わないようだね。
どうせ、そんな可笑しい国々があちこちにあるんだろう?」

し、心外なのです。
地球には普通の国家がたくさんあるのです。
……海外旅行をあんまりした事がないから、行ったことがない国がほとんどですけど、えーと、日本の周辺の国々なら、普通の国があるはずなのです。
韓国 ☛ 犬を食べる、ちょっとしたことで国が洒落にならないほど大混乱になって存在そのものがコメディ、あれ?よく考えると本当に実在する国家でしたっけ?架空国家の気がするのです ☛却下
中国 ☛ 色んな物が爆発、人肉料理やっている辺境が未だにある、人口13億の巨大国家は大きすぎて説明するのが難しい☛却下
台湾 ☛ 日本に似ているらしいけど行ったことがない ☛却下
モンゴル ☛ 寒くて辛い上に、腐敗して大変らしいですけど行ったことがない ☛ 却下
ロシア ☛ 寒すぎてウォッカ飲みすぎて死ぬ人がいる。経済がガタガタ、家の外にあるものは捨てたものだと思い込む、私が現地に行ったことがない ☛ 却下
フィリピン ☛ 国内にテロリスト勢力が複数あったり、産業が発達しなくて貧乏で大変、あんまり詳しく知らない ☛ 却下
あれ?
普通の国って何でしたっけ?
よく考えたら、地球には普通の国など存在しないと思うのです。
普通とは=その国で取得した常識。
故郷以外は、全てが普通じゃない国に見えちゃうのです。
私は返答に困ったのでニパァーと笑顔でごまかす事にしました。



師匠にクスクス笑われたのです。グスン。










……師匠との楽しい楽しい散歩日和がそれから1ヶ月ほど続きました。
雨の日も、晴れの日も手を繋いで楽しく散歩人生なのです。
何時になったら結婚までゴールインできるのだろうと思っていると、遥か前方の地平線の彼方で、野党らしき連中に襲われているボロボロで貧相なおじいさんを見つけました。
光の精霊達を使って野党を撃退しようと思いましたが、外見だけで人を判断してお爺さんが実は悪人でしたっ!というオチだったら困るので、師匠に聞いてみるのです。

「師匠、遥か前方に襲われているお爺さんがいるのです」

「ヴィクトリアは光の精霊の扱い方が上手くなったね、偉い偉い」

師匠の手が私の頭を撫で撫でしてきました。
こんなラブコメをやっている場合じゃない……とツッコミを入れようと思いましたが、師匠が風の精霊魔法で遠くに居る野党らしき連中とお爺さんの声を拾って、ここまで届けてくれました。
風の精霊魔法は便利ですよね。
情報戦では絶対最強なのです。

「ヒャッハハハハ!!!
テメェラ農夫は大人しく死ぬまで働けばいいんだよぉー!
そうしたら来世で俺達と同じ戦士階級になれるぜぇー!
オラァッー!働けぇー!」

このセリフを言っているのは、おじいさんを襲っている悪い連中(私の主観)の1人です。
手に黒光りする鞭を持ち、お爺さんの背中を何度も何度もパシーンパシーン叩いています。
お爺さんは泣き叫びながら、桑を持ち、地面を耕作して一生懸命働いて可哀想可哀想なのです。

「や、やめてくだされぇー!
ちゃんと働きますから、鞭で叩くのはやめてくだされぇー!」

悪党達はそのお爺さんのおどおどした反応を楽しみ、酒を飲んでゲラゲラ笑っておじいさんを馬鹿にしています。

「わかったら良いんだよぉー!
クソジジイが死んだら、バラバラにして畑に肥料としてばらまくから安心しろよ!
ギャハハハハハ!」

「前世で悪い事をしたから、クソジジイは苦しんでいるのだぁー!
善行を積めぇー!善行をなぁー!
生きているだけでありがたいと思ぇー!」

私はこれらの光景を見て怒りました。
お爺さんに対する労わりの精神が全くないのです。
光の精霊さん達も怒ってプルプル震えています。

 ̄   ̄
   ̄     ☚顔
【負の感情やだー】
【この国やだー他の国に行こうよー】
【撫でて!撫でて!】

精霊さん達は単純に負の感情が大量に溢れているから嫌そうにしているだけでした。
……とりあえず、精霊さん。
お爺さんにイジワルしている人達に圧倒的な光を見せて気絶させて欲しいのです。
後遺症残っても良いから、殺さない程度にお願いします。

【わかったー】【後で撫でてくれるんだねーわかるんだよー】

そう言うと精霊さん達は、ピカァッー!ピカァッー!悪い連中達の所に強烈な光を炸裂させました。
その光は自然界にありえない色の光。
そのため人間の脳は可笑しい化学反応を起こし、悪い連中とお爺さんを気絶させ。ドサッと地面の上に両者が倒れました。
あっ、お爺さんを巻き添えにしてしまったのです。

「やれやれ、ヴィクトリア。
光の制御が大変なのかもしれないけど、助ける対象まで攻撃しちゃ駄目じゃないか」

「すいませんなのです」

お爺さん、巻き添えにしてごめんなさいです。
精霊さんは後で撫で撫でしてあげるのです。

【やったー】【撫で撫できたー】





悪い連中を放置して、お爺さんの身体を光の精霊魔法で治しました。
どうやら自然界には存在しない光を浴びたせいで、目が失明寸前になっていたようなので、眼を治して新品同様に戻してあげたのです。えへん。
お爺さんは眼を覚ました後、私達の姿を視認して眼をパチパチとさせた後……地面に頭を下げてジャパニーズ土下座してきたのです。

「ひええええええええ!!!
お許し下さい!
その格好から僧侶階級様ですよねっ!?
お助けてくださいっー!」

私の格好?
白いフリフリのワンピースですけど、何を勘違いしているのか分からないのです。
私はお爺さんを安心させるために、外国から来た事を告げる事にしました。

「お爺さん、私は外国人だからお爺さんがどうして土下座しているのか分からないのです。
さっきから言っている僧侶階級とは何なのですか?」

「え?
僧侶階級じゃない?」

「そうなのです」

「そんなに豪華な服を着ているのに?」

「この白いワンピースは確かにかなりの値段がしますけど、そんなに豪華ですかね?」

私はスカートの裾を少し持ち上げて言うと、お爺さんが黙りました。
そして1分すると両手を差し出して

「この国の事を説明するからお金をくれ。
ラッキー銅貨3枚で良い」

良心的なお値段だったから、師匠がポンっとラッキー銀貨一枚渡しました。
さすが師匠、太っ腹なのです。
普段、飲み食いせずに生活している分、金銭感覚が大崩壊です。
お爺さんは銀貨を噛んで本物かどうかを調べた後に、両手をモミモミして私達に媚びる視線を向けて、こう言いました。

「この国は転生者の国なんだ、小さいお嬢ちゃん」

私も転生者ですが何か?とツッコミを入れたかったのですが、話がややこしくなるからツッコミを入れるのをやめました。




あとがき

(´・ω・`)社会問題の宝庫●●ド!

テーマ➊【イ●●のカ●●制度】
小説書くためにインドのカースト制度のひどさを纏めてみた。
http://suliruku.blogspot.jp/2015/02/blog-post_63.html

ナウル共和国
http://suliruku.futene.net/1uratop/Nauru.html

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