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ラスボスが学校
Lv6「不死王、本屋を訪れる」


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この国の製紙技術に感動したワルキュラは、大通りにある本屋に訪れた。
本棚には、ズラリッと、新品の本が何百冊も納まっている。
喜ぶワルキュラの隣で、キーニャンの狐耳が下に垂れ、彼女は恐怖で震えていた。

「もっふぅ……」

今日、絶対、ワルキュラの周り限定で、『検閲されていた』事実がばれる。そう、彼女は判断せざる負えなかった。
そうなったら、国から直々に制裁され、可愛らしい狐とモフモフする夢は、二度と叶わなくなる……かもしれない。

「素晴らしい!知識の宝庫ではないか!」

そんなキーニャンの様子に気づかずに、ワルキュラは本を次々と手に取り、ペラペラッとページをめくる。
その光景を見たキーニャンは、あ、もう、私の人生オワタ、と確信した。
頭がハゲな皇帝に、徹底的に酷いに目に合わされた後、オークにプレゼントされて、娼婦、真っ青の日々を送るんだろうなぁと思っていると――

「凄いぞ!キーニャン!
どの本もページが破れていない!」

「もっふぅ……?」

「この国は貧乏なのにっ!
本だけは優れているな!
どのページも、全く欠けていない!
俺の手で、ページをめくっても破れないぞ!
感動したっ!俺は猛烈に感動しているっ!」

「も、もっふぅ……?」

「きっと、教育を重視しているのだろう!
ハゲ皇帝は、中々に優れた為政者のようだ!
どの本も、良い紙を使っているぞ!破けていない!」

「もっふぅ……」

「どうした?さっきからため息ばっかりだぞ?
何か……辛い事でもあったのか?」

「い、いえ、なんでもないで、もっふふ、です」

「……困った事があったら、何でも私に相談するのだぞ。
大抵のことは解決できるはずだ」

怖い骸骨顔で、リーダーシップを発揮するワルキュラ。
そんな彼の様子を見ても、キーニャンの悩みは深まるばかり。

(もっふぅ……ワルキュラ様の所に届く『本限定』で検閲されているなんて……教えられる訳がないよ……。
可愛い狐とモフモフしたい……素敵な彼氏欲しい……)

「俺は国に帰ったら、積極的にこの国の製紙・印刷技術を学ぶように、経済界の皆に宣言しよう!
これだけ素晴らしい本がたくさんあれば、もっと国が豊かになるはずだ!」

狐娘は、目の前の偉大なる骸骨を見て思った。
この化物、本国に帰ったら、大量粛清やっちゃうかも……と。
検閲をやっていた皆さんも、自分と同じ思いを抱いているのかなと思い、キーニャンはまだ見ぬワルキュラの側近に、親近感を抱いた。


側近「ワルキュラ様のためを思って、検閲!
ワルキュラ様に渡す記事で、けしからん内容は、全部、削除!削除!」

皇后「善意で検閲です!」

ワルキュラ「なんで、新聞のページが破けているんだ!」









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