拳銃を構えながら、泉の近くに行くと
とんでもなく可愛い吸血姫娘がいた
吸血姫「はぁ……なんで、僕ってこんなに勘違いされるんだろう。
血も家畜で我慢しているのに……」
『完全に吸血鬼です、どうもありがとうございました】
『妖精さんの人生終了のお知らせ】
(なんて可愛い娘だ。
人は外見が9割って聞くけど、あの見た目だし、きっと中身も良いに違いな)
オークA「ぶひぃぃぃぃぃ!!退治しに来たぶひぃぃぃぃ!!!」
オークB「俺達のお嫁さんにしてあげるぶひぃぃぃぃ!!!」
吸血姫「きゃー!?」 手足を拘束されて動けない
オークC「ぶひぃぃぃぃぃ!!!いくら怪力でも拘束されたら無意味ぶひぃぃいl!!」
「この世の天国を味わせてやるブヒィィィイl!!」
『可愛い娘が危ない!』
『はよ、妖精さん助けに行け』
「よしっ!
可愛い娘を助けてナンパしてくる!」
スマートな形をしている自動拳銃グロック17を構えて突撃
『欲求に率直すぎwww』
「そこの豚っ!
彼女から離れろ!」
『いや、射撃しろよ!』
『言葉より弾丸はよ!』
「悪い豚はしねぇー!」
ターンターンターン
オーク「ぶひぃ、痛いブヒィィィイl!!!」
『現代兵器ちゅよい』
『見せてもらおうか、オークの性能とやらを』
ターンターンターン
「痛いブヒィィィ!!!」
『お腹の脂肪が防弾チョッキになっている件』
『脂肪の厚さが、性能の決定的な差ではない事を教えてやる!』
オーク「ひでぶっ!」 残り吸血姫が、腰の鞘から短剣を抜いて殺した
『うわ、西洋ロリ、つよい』
『ひぇぇ……豚の体がえぐれてる……』
一部の豚が逃げた
「ね、ねぇ?」
(俺が好きになったのは、とんでもない怪力娘でした)
「も、もしかして、アナタ様は伝説の邪悪皇帝ダーク・シルバーだったりする? 」
「あ、はい」
『ちょwwwwそんな設定があるのか妖精さんwwww』
『お前wwwwさっき、マンジョンで死んだとか言ってたよなwww』
『嘘つくなよwwww』
(こんな可愛い娘が悪人な訳がない)
男が、次に目を覚ました時、そこは緑生い茂る森林地帯だった。
空には、膨大な陸地が空を飛び、幻想的な世界観を作り出している。
「……美しい。
これが俺の引越し先」
ノスタルジックな感覚に浸っていたが――
『うはwwwwなにこの動画wwww』
『このショタ可愛いwwww短いズボンがたまらんww』
『なにこれ?新しい映画?やばいなCG技術』
「神秘的な気分が台無しだよ!」
ようやく女神との会話で貰った能力『動画を自動的にUPして、応援メッセージを聞き取れる』事を思い出した。
つまり、24時間監視付きの異世界生活。
プライバシーなんてものは存在しない。
この能力を自力で制御できる日が来るまで――見られまくりだ。
『生ライブって動画に書いてあるけど?なにこれ?』
『この銀髪の娘可愛い。男の子?女の子?』
『こんな可愛い娘が女の訳がない(キリッ』
地球の皆の実況で気づかされた。
男の体――小さな少年になっていて、背中から大きな蝶蝶の羽が生えている。
透き通る銀髪は腰まで伸びていて、一瞬、女の子になったのかと思ったが、股間にはちゃんと小型のアームストロング砲があったから安心した。
今の彼の格好はパンツルック。短いズボンにシャツという軽装。
隣に――大きな黒猫がいた。眠そうに「にゃー」と鳴いている。
『でかすぎwwww』
『人間の子供サイズの猫とかwwwwww』
『可愛えぇぇぇぇぇぇ!!モフモフしたいぉ!』
確かに猫は愛らしい格好をしていた。
だが、少年から見れば、この猫サイズは驚異だ。
人間の子供を狩り殺す戦闘力を持っているのだとしたら、異世界人生はスタート地点で終わりかねない。
そうやって少年が戦慄していると、黒猫は――
「女神さまに言われて、助けに来たのにゃー」
「ああ、ニャンコ付きって言ってたっけ?」
「長年、ニートしてたせいで、捨てられたなんて事はないにゃ。
吾輩の事は、ニャンコと読んでほしいのにゃ」
「あ、うん。そう」
何処となく、共感を抱ける黒猫だった。ニート生活していたという意味で。
それは同時に頼りなさを感じさせるものがあったが、一人で異世界生活するよりマシだろうと彼は思った。
『ニートなニャンコwww』
『はよ、黒猫に抱きついてモフモフはよ』
頭に響く声で、少年は今更ながらに気づいた事がある。
ネットによる広告収入が、この異世界生活の生命線を握っているのだから、可能な限り、こ
動画を見ている視聴者に媚びる必要があった。
(広告収入が途絶えたら、やばい、
ここはニャンコに抱きついた方がいいのか……?)
ニャンコの黒い毛並みは、とってもモフモフしていて気持ちよさそうな毛皮だ。
少年は抱きつく。そして、柔らかい顎を撫でた。
「にゃにゃにゃっ、できれば男の子より、女の子に撫でられる方が好きにゃ〜」
(贅沢言うなよっ……)
『やべぇぇぇぇぇ!!!可愛いぃぃぃいl!!!』
『この動画、作り物とは思えないぃぃぃぃ!!!しゅげぇぇえぇぇぇ!!』
『この動画をつくった奴は、まじ天才だよぉぉ!!』
今のところ、視聴者のハートは掴めた。
だが、この異世界という現実が作り物だと思われるのは、彼にとって不愉快だった。
それにネット広告以外にも、確実な収入源がほしい。
可能なら寄付金という形で、支援をしてくれるパトロンを見つけたい。
なにせ、ここは異世界だ。ネット通販が出来なくなったら人生が詰みかねない。
「この動画を見ている皆っ!
お願いっ!皆の力で俺を助けてくれっ!」
『そういう設定か』
『視聴者参加型か……』
少年には、秘策があった。
この動画が、生ライブで、ガチで異世界にいるんだと、視聴者に理解させるには――動画に書き込まれたコメントに反応して、行動すれば良い。
『このショタの名前なんだろう?』
【自己紹介パート、はよ』
丁度いいコメントが書き込まれた。
しかし、名前となると恥ずかしさを覚えてくる。
なにせ彼は半年間ニートだったのだ。社会的な地位なんて皆無に近い。
(本当の名前を言うと、ニートだった事がばれるっ……?
こ、ここは偽名を名乗るしか、銀髪の妖精だからプラチナ?
いや、もっと格好いい感じにっ!)
「俺の名前はシルバー!
お願い!この異世界で生活するために、助けて!
さっきまで日本にいたけど、マンションの十階でトラックに轢かれて殺されて、この世界へ連れてこられたんだ!」
『設定がざるすぎるだろwwwww
その妖精の外見で日本人設定とかwww』
『どうやったら、十階にトラックが来れるんだよwwwww』
「仕方ないだろ!
全部、事実なんだからっ!」
『あれ……この子、コメントに反応してないか?』
『最近のAIと動画技術凄いな』
「ここは現実なんだ!
地球とは違う星にいるんだっ!
お願いだから信じてくれっ!」
『今、ニュースで三十回建てのマンションが、崩落する事件が報道されてるぞ』
『え、まじ?』
『この子、異世界にいるのか?』
「や、やっと、信じてもらえたっ……?」
『なんで背中から羽生えてるの?』
『日本に住んでいた外人さん?』
「女神って名乗る存在に色々と頼んだら、妖精にしてもらえた」
『俺もトラックに轢かれたい』
『とりあえず、何が出来るのか教えろ。
そうじゃないと、こちらとしてもアドバイスできない』
このコメントを聞いた少年は考え込む。
妖精という生物がどのような生態なのか、彼には分からない。
幸い、ニャンコという話が分かる黒猫がいるから、顎を撫で撫でしながら聞いてみる事にした。
「なぁ、ニャンコ。
妖精って、どんな事ができる種族なんだ?」
「にゃー?
男にも女にもなれるにゃ。
女風呂をのぞき放題にゃ〜羨ましいにゃ〜」
(このニャンコ役に立たねェェェェ!!!)
『この猫、ゲスいwwww』
『両性具有か』
『なにそれ怖い』
『男の子にも、女にも慣れるとか……神秘すぎるだろ……どういう体の構造してるんだ、この子』
●吸血鬼に運搬されて、ベットで寝かされた妖精さん
(知らない天井だ……)
吸血姫「あ、妖精さん起きた?
倒れいている君をここまで運んだんだよ?」
「あ、はい。
ありがとうございます」
吸血姫「僕の名前はプラチナ。
こう見えても、ここら一帯の領主やっているよ」
『幼女領主』
『親はどうした……死んだのか?』
「お、俺は……(日本人の名前だと、ネットのみんなに気づかされる恐れがある。
俺が元ニートだってばれるのは嫌だ)」
「フ、フェア」
吸血姫「フェア君、どうしてきみは、あそこにいたの?
妖精って初めて見たけど、どこに住んでいるのかな?」
「ちょ、ちょっと東の方から、ここに来ました」
吸血姫「東って?」
「東にある日本って島国から」
吸血姫「やったー!
同胞に会えたー!」
抱きつかれる妖精さん
ぎゃぁぁぁぁあいたいいいい
『貧乳の感触はどうかね?』
『俺も抱きしめられたい』
「え?え?」
吸血姫「日本から来たって事は、あの神様に転生させられた日本人って事だよね!
どんな特典もらったの!
あ、僕と友達になってくれないかな!
寂しくて辛かったんだ!」
「ネット通販」
吸血姫「え?」
「俺の能力は、地球の物資を購入できるネット通販なんだ……」
吸血姫「しゅ、しゅごい!
なんて便利そうな能力なのtぅ…3手!
異世界交易で大儲けできそうだよね!」
(ネットの皆に常時、見られているってことは隠しておこう。
俺、この娘と付き合いたい)
「いや、そんなに便利な能力じゃないんだ。
地球の金しか使えないし、地球の金はネット経由でしか稼げない。
こっちの物資は売れないって、女神が言ってたよ」
吸血姫「ふーん、そうなんだ……」
「期待させてすまない」
「僕のところで働かない?
貧乏な領地だから、そんなに高い給料は出せないけどね!」
「はい!お願いします!」