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シルバーが、豚人間600匹を倒し、誘拐された女性達を救出してから三日の時が過ぎた。
エルフ娘のエルフィンは、村へと戻り、陵辱の日々は終わったが……彼女の心が休む暇はない。
今、エルフィンは困っていた。細長いエルフ耳が、元気を失い、下に垂れている。
(な、なんで……!
わ、私がシルバー様の秘書なのですかっ……!?
責任重大すぎて、大変なのですよっ……!
転生特典に、ヒロイン補正を選んだら、とんでもない大悪党が引っかかってしまったのですっ……!
命が幾つあっても足りないのですっ……!)
エルフィンも困っていたが、その隣で宙に浮いているシルバーも困っていた。
新しい領主として、千人の領民に紹介される日なのである。
そのために、村中の亜人が集まり、それぞれが全く違う外見を持つ生物だから、困惑していた。
美形だらけのエルフ、力仕事をやってそうなドワーフ、爬虫類の外見を持つリザードマン……大小様々な面子が場に揃っている。
しかし、その中には一人も、人間(ホモ・サピエンス)は居なかった。
『エルフも、ドワーフも人類の文化にしか存在しない生物だお』
『きっと、未来世界が、色んな美少女に溢れているのは、人間の欲望の結果に違いないな……』
『二本足で直立歩行している猫だお』
『モフモフしたい……』
『人間はどこにいるん?』『あの世かな』
エルフィンには、さっきから不思議なノイズ混じりの雑音が聞こえている。
シルバーが受信しまくっている電波が、同じ『転生者』であるエルフィンの脳にも、僅かながら届いているのだ。
(シルバー様といると……壊れたラジオが近くにあるような……そんな感覚になるのです……
相性が悪すぎるのですよ……性奴隷のエッチィ日々から解放してくれたのは嬉しいのですが……ストレスが溜まりそうなのです……!)
受難の日々は、まだまだ始まったばかりだ。
〜〜〜〜〜〜〜
シルバーとプラチナが、群衆の前にある、木で作られた台座へと仲良く登った。
二人とも手を繋いでいて、プラチナが無駄に元気だから、エルフィンは不安な気持ちにさせられた。。
貧乏領主(プラチナ)が元気な時、それは大金が動く事を意味するだけに、今まで、散々、苦労させられてきたエルフィンは緊張せざる負えない。
「この方はっ!僕の夫となられたシルバー様です!
なんとっ!なんとっ!あの大英雄ダーク・シルバー様なんです!
これで、領地も発展して、ウハウハですよね!」
プラチナが、領民に紹介を開始した。ほとんどの領民は恐怖で体が震えている。
銀髪ロリが、ただの可愛い女の子ではないって事を知っているからだ。
だって、後ろに骸骨戦士を従えている。
しかも、3体どころではない。10体だ。豚人間との戦いで、激減したはずなのに増えている。
それだけで、どこかで大量殺戮が行われたんだなと、領民は理解できてしまった。
(この骸骨……外見が怖くて嫌なのです……。
弱い弱いと言ってますけど、そう簡単に壊れない時点で、恐ろしい存在なのですっ……!)
エルフインと、領民の意見は同じだ。平然と、動く骸骨を量産するプラチナの倫理観に、恐怖するしかない。
だが、この場には、プラチナの恐ろしさを欠片も知らない新参者達がいた。
南の海からやってきたリザードマン。緑色の鱗に覆われた蜥蜴人間が10匹いる。
「ぎゃはははは!あんなショタとロリが領主だぁ?
バカをいうんじゃねぇ!
どうせ、豚人間600匹を倒したのは嘘だろ!」
「「そーだ!そーだ!」」
「「弱者がリーダーなのは可笑しいぞー!ギャハハハハハ!」」
そんな罵声が場に響いた。そんな状況でシルバーは――
「諸君!俺は今日から、領主になったシルバーだ!よろしく頼む!」
『妖精さん、蜥蜴の罵声をスルーすんなwwwww』
『このショタ妖精っ……!全くアドリブができない大根役者だわっ……!』
『事前に決められたセリフしか言えない妖精さんwwww』
「無視するんじゃねぇ!このクソチビがぁ!」
リザードマンの指導者らしき男が、顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
群衆を掻き分けて、シルバーのところへと近づいてくる。
エルフィンは、暴力の気配に、体が恐怖でビクンビクン震えた。
(た、大変なのですっ……!
このままじゃ、本当に、大変で、大変な事になるのですっ……!)
エルフ娘の視線は、シルバーの両手に注がれていた。
地球で、最も人間を大量殺戮した虐殺マシーンがあるのである。
こんな場所で、その殺戮マシーンが性能を発揮したら、紛争地帯みたいに、死体が量産される事、間違いなし。
シルバーは、武器を持っているせいか、余裕ぶった態度で、リザードマンに問いかける。
「いや、豚人間を倒したのは、本当なんだが……ところでお前は誰だっけ?
種族は、トカゲ人間?」
「トカゲ言うな!リザードマンだ!
そしてっ!俺の名前はっ!ゴブリン・ハンターのケロス様だぜぇ!
俺の手にかかれば、どんなゴブリンでも一撃であの世逝きさぁ! 」
『直立二足歩行の蜥蜴……?』
『どう進化したら、こんな生物が誕生するんだ?』
『手足の指の数が、人間と同じだから、きっと人間の遺伝子と合体させて作ったんじゃね?
染色体の数を調べれば簡単に分かるだろ』
シルバーは、目の前にいる蜥蜴が、人間と同じ遺伝子を使っているように思えなかった。
ついつい失礼すぎる質問をしてしまう。
「……えと、職業がゴブリン・ハンター?
それって凄い仕事なのか?」
『凄く弱そうな肩書きだ』
『……いや、豚人間みたいな化物かもしれないぞ』
シルバーは、ゴブリンと殺し合いをした事がないから、弱いのか、強いのかさっぱり想像できなかった。
馬鹿にされたと判断したリザードマンが、腰の鞘から剣を抜く。剣の刃先はボロボロだった。
『剣が錆びとるやんwww』
『ちゃんと整備しろよwwwww』
「ホラ吹き妖精と、吸血姫は、ここでぶっ殺してやるっー!
お前らを倒せば、今日から、俺様が領主って事でいいよなぁー!」
「「へへへへ!俺達の時代が始まるぜぇ!」」
「「兄貴っー!やっちまぇー!」」
「「そんなチビなら、簡単に殺せるぜぇー!」」
笑顔を浮かべるリザードマンのケロスが、シルバーとの間合いを詰めて、迫ってきた。あと20mほど接近したらショタ妖精を斬り殺せる距離だ。
「死にやがれぇー!」
『あ、だめぇー!トカゲさんっー!』
『剣じゃ、銃には勝てないのぉー!』
シルバーは、手に持っている殺戮マシーン……自動小銃AK47。壊れ辛い・扱いやすい素晴らしいアサルトライフル。
その照準を、目の前のリザードマンに定めて、躊躇なく引き金を引いた。
強力な乾いた音が連続して響く。錆びた剣が銃弾で折れて、ガラクタになる。
ケロスの体中が穴だらけになって、真っ赤な血を噴き出して倒れた。
「……ま、魔法使いだったのかっ……!」
ケロスの背後にいた、取り巻きのリザードマン達も倒れた。全身に穴が開いている。
明らかに致命傷だった。
『ちょwwwwおまwwww』
『銃弾の威力が高すぎて貫通しとるぞwwww』
『取り巻きまで殺すなよwww』
「あ、威嚇射撃するの忘れて、殺しちゃった」
『言い訳が棒読みwwww』
『妖精さん!最初から殺す気満々だよったよね!?』
『プラチナたんを守るために必要な犠牲だから、仕方ないんだお……』
領民達は、シルバーの所業に恐怖した。
歯には歯を。暴力には暴力を。反逆者には血の制裁を。
わかりやすい、力という恐怖が広まり、粛清されたくない彼らは……その場で土下座してひれ伏す。
「ひぃぃぃぃぃ!すいませんでしたぁぁぁぁ!」蜥蜴人間。
「恐ろしい魔法を使うんですねぇぇぇぇ!!」犬娘。
「ダーク・シルバー様の復活万歳っー!」エルフ
「さっきのトカゲどもは、悪いゴロツキだったんですぅぅぅぅぅ!!
処刑してくれてありがとうございましたぁぁぁぁぁ!!」ドワーフ
「わかるんだよぉー!新領主様はイケメンなんだねぇぇぇぇー!」猫
「にゃー!最強ですにゃー!」猫
「あ、うん。分かってくれたら、それで良いんだ……」
『妖精さん、こういう社会で一番重要なのは恐怖政治だよな』
『恐怖で民草を支配するのが一番だお!』
『こらwwwwwちゃんと、話し合いで解決しろよwwww』
『先に殺そうとしたのは、リザードマンの方だから仕方ないお……』
(あ、圧倒的な戦闘力なのですっ……!
しかも、あの銃を何処かで見た事があるのですよっ……!
でも、銃って、完成されすぎて、どれも外見が似ているから、たぶん気のせいなのですっ……!)
エルフィンも、恐怖で手足がガクガク震えた。
これから、地球の国であったような恐怖政治が始まるのかと思うと、未来が真っ暗なように思えた。
さらに広場の外側から600体の骸骨がやってきた事で、群衆の恐怖は絶頂期に突入する。
プラチナは無邪気な笑顔で、骸骨を指差して――
「あ、そうだ!シルバー様が豚人間を倒した証拠ならありますよ!
ほら、見てください!
この新鮮な骸骨達っ!
三日前の死にたてのピチピチですよ!
皆、シルバー様に逆らった豚の末路です!」
『ちょwwww最初にそいつらを出せよwwwww』
『プラチナたんが、ドジっ娘だお……でも、可愛いから許せるお……』
『リザードマン達が死に損wwww恐怖政治するなら、骸骨を最初に出せwww』
『うむ……この演説は失敗なような気がするな……段取りが間違えすぎている……』
蠢き、無言で笑う骸骨達。
その姿を見て領民のほとんどは『逆らったら、お前らもこうなる』という暗黙の意思表示だと理解し、ひたすら拍手と賞賛の声を出して、支配者に媚を売る。
「さ、さすがシルバー様ですだぁぁぁぁ!!」
「オラ達、尊敬するですだぁぁぁぁ!!」
「にゃにゃにゃっー!凄い力ですにゃー」
皆、新しい支配者を見て、顔の筋肉が恐怖で引きつっている。
しかも、シルバーの10秒スピーチが終わった途端、プラチナがこんな事を言い始めた。
「今から拍手をしましょう!
拍手を一番最初にやめた人の家は……1年間、税金が2倍になりまーす!
もちろん、税を払えなかったら奴隷になって貰います!
はーい!シルバー様に拍手っー!」
『ひでぇwwww昔の西欧かwww』
『村八分政策だ!差別する対象を作る事で、統治しやすくなるアレだ!』
『プラチナたんのお腹が、真っ黒クロスケですぞ!妖精さん』
一人一人、パチパチッと拍手をし始める。
エルフ、ドワーフ、猫、犬、リザードマン……皆、違う外見だけど、共有する価値観を持っていた。
それは恐怖。逆らったら殺されるという感情を、皆が抱いていた。
領民の拍手は、一日中、その恐怖とともに、鳴り響く。
「「シルバー様万歳っー!」」
「「豚人間を討伐してありがとうございますー!」」
「あ、うん……わ、分かってくれたらそれで良いんだ……?」
『妖精さん、平等で公平で統治はよ』
『素人に、そんな不可能な政治力求めんなよwww』
『恐怖政治で正解だお……ナポレオンもこう言ってたお。
人は恐怖と利益で動くんだお……』
(ひ、秘書として、やっていける自信がないのですっ……。
でも、ここを離れて暮らしていける自信もないのですっ……。
私はどうすれば良いんですかね?)
拍手をうっかりやめてしまった、エルフ娘の税金が2倍になった。
AK47(良質中古品) 5万円
どんな悪環境でも使える突撃銃じゃよ。無許可でコピーされまくって、安価で買えるんじゃ。
世界中の人間を殺して殺しまくった史上最悪の殺戮マシーンじゃよ
プラチナ(´・ω・`)トカゲさんは、美味しくステーキにしていただきました。
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【内政チート】 「俺は後装式の大砲を開発して、連射チートする!」1854年のイギリス