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5話フィンランドの白い死神にソ連軍1000人が挑戦した結果
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■悪の帝国■

「ぎゃはははははは!!!もう最高!」

ソ連軍が侵略した北ヨーロッパの街々で酷い光景が広がっていた。
大勢の女性がソ連兵(安っぽい緑色の軍服を着ている)に裸にされて陵辱され、男は遊び道具代わりに銃で撃たれて殺されている。
特に酷かったのが、第二次世界大戦中に流行した娯楽行事――相手の急所をわざと外して銃を撃ち、可能な限り苦痛を味わせた後にあの世に行かせる遊びをやっているソ連兵が大量に居た事だ。

「ほら!次は何処を撃たれたい?足か!腕か!手か!指かっ!何処が良いっ!?ギャハハハハ!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」

ソ連兵が拳銃を右手に持ち、40代前半の男性の手足を打ち抜いて遊んでいる。
男性は苦しみにのたうち回って、血を撒き散らし地面が真っ赤に染め上がった。
そうやって男性が苦しむ様を見るだけで、周りにいるソ連兵達は子供のような無邪気な笑顔になって大喜び。
人の不幸は彼らにとって蜜の味。

「ほら!早く返事しろよ!お前が死んだら、次は娘を犯しながら嬲り殺すぞ!」
「む、娘の命だけは――」
「次は太腿で決定!」
ターン! ソ連兵の持っていた拳銃から非情な銃声が響いた
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!! 」

太腿を撃たれて大量の血を流している男性から10mほど離れた所で――10代前半の可愛らしい娘がソ連兵達に犯されている。
更にその隣には、娘を守ろうとして抵抗した末に、ソ連兵達に穴という穴を犯されて殺された妻が遺体となって転がっていた。
こんな光景が街全体のあちこちで繰り広げられている。
地獄だ。
この世の地獄だ。
ソ連軍は飢えた狼と何ら変わらない存在と成り果てている。
こんな事をやったら戦後の統治に多大な支障が出るのに、目先の快楽を求めていた。
綺麗な女は犯し、街にある金目の物は根こそぎ略奪。
非道なソ連兵の手で、身体の各所を撃ち抜かれた男性は、大量の血を流し続け――30秒ほど経過すると永遠に動かなくなった。

「なんだ、つまんねぇの!あっさり死にやがった!ギャハハハハ!!!」
「父親殺されて泣く娘とか最高!」
「悲劇のヒロインになれて良かったな!気分はどんな気持ちっ!?ねぇ!?どんな気持ちっ!?俺達にお父さん殺されてどうだった!?」

ソ連兵達は楽しそうに大笑いして、男性の娘を馬鹿にした。
犯されながら娘は父親の死に絶望し、顔を悲しそうに歪めて涙を流す。
両親を虐待しながら殺した男達の子供を孕むのは嫌だ。
憎い、殺したいほどに憎い。
大好きだった幼馴染の少年も近所の知り合いも友達も、皆、似たような事をされて殺された。
少女の繊細な心には絶望しか残っていない。

「じゃ!約束通り娘も殺すわ!」

ソ連兵は日常会話のように自然にそう言って、拳銃の銃口を娘の頭に向けた。
娘は犯されながら、銃口を見て心臓を破裂させる寸前で脈動させる。
殺される。
犯されながら殺される。
両親を殺した男に殺される。
こんな悪魔みたいな男に、今までの人生全てを否定されて殺される。
神様、私は悪魔みたいな男の玩具になるために産まれてきたの?

「最初は何処から撃たれたい!?腕か?足か!?それともケツか!?マ●●は使うから最後な?!ギャハハハハ!!!」

醜く笑うソ連兵の姿を見て、娘はこの男を地上に舞い降りた本物の悪魔だと思った。
同じ人間には見えない。
人を笑って殺せるなんて人間じゃない。

「無反応だな!お嬢ちゃん!なら俺が選んでやるよ!足の指を1本1本撃つ事に決定!これ超痛いぞぉ!」
「い、いやああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「可愛い娘が泣き叫ぶなんて最高!いいねぇ!いいねぇ!その悲鳴!ギャハ――」

ターンッ!
笑っていたソ連兵の頭に、穴が一つ空いた。
遥か遠い所から次々と飛んできた銃弾が、陵辱・虐殺の限りを尽くすソ連兵の頭や胴体を貫く。
ソ連兵達は慌てて、乱暴狼藉を一時中断して、銃弾が飛んできた方向――街の外にある高い山を見た。
街からは1km以上離れている。
そこから1分の間に16発の弾丸が飛来して、同じ数のソ連兵を殺傷した。
この状況にソ連兵達は驚く。
最低でも狙撃銃を持った腕の良い軍人が50人くらいが居ると錯覚した。

「ま、まさかっ……イギリス軍!?」
「間違いねぇよ!こんな遠距離から攻撃できる武器を持っているのはあいつらくらいだ!」
「遮蔽物に隠れ――」
ターンっ!部下に命令しようとしたソ連兵の頭に穴が開いた。死んだ。
恐ろしいほどに正確な連続射撃に、街にいるソ連兵達は数を少しずつ減らしていく。
弾丸の速度は秒速700m。
ソ連兵は着弾して死んでから、その場に銃声が響くという不思議な体験をしている。
獲物を一方的に狩る側だったはずなのに、立場が完全に逆転した事にソ連兵達は深い怒りを感じた。
街に居た1000人ほどのソ連兵は――本能に従って事態に対処する道を選ぶ。
恐怖に直面した時、人は二つの選択を迫られる。
恐怖に屈するか、排除するか。
ソ連兵達は後者の選択を選び、恐怖の対象を消滅させるために、戦車や装甲車を盾にして、山に潜む狙撃兵を狩るべく行動を開始した。

「山狩りだ!殺せぇー!」
「狙撃兵を捕まえたら遊ぼうぜ!指を1本1本弾丸で吹き飛ばしてやんよぉー!」
「それが終わったら、また街に戻って女をレイプして遊ぼうぜ!最近ストレスが溜まって仕方ないなぁ!」
「狙撃兵が女だったら犯そうぜ!手足切断してダルマにしてな!ギャハハハ!!」

迂闊にも、彼らは大軍を展開するのに不向きな山へと向かってしまった。
スターリンが将校を粛清しすぎたせいで、まともな判断ができず、敗北フラグを立ててしまった。


■白い死神■

――狙う、撃つ、狙う、撃つ、狙う、撃つ。
山には、迷彩色のシャツとズボンを纏った、16歳ほどでクールな雰囲気が似合うウサギ娘ウサウサ・ヘイヘがいる。ポニーテールの銀髪とウサギ耳が特徴的だ。
地面にうつ伏せになり、モシンナガン小銃(課金アイテム)で遥か遠くに居るソ連兵に狙いを定めて、正確に射殺する作業を繰り返していた。
人間を殺す事に何の躊躇いもない。
ウサウサから見ればソ連兵はただの狩りの獲物に過ぎなかった。
ソ連兵の頭に銃弾を当てる度に、ウサギ耳がピョコピョコ可愛く動いて「スコア更新、41人」と呟いている。
ウサウサの隣には、重い魔法の鞄を抱えた少年エミールが居て、白くて鮮やかな和服を着こなし、頭に銀色の犬耳、お尻には大きな尻尾があった。
外見年齢は12歳ほどに見える。
二人共、この世のものとは思えない綺麗な銀髪だ、
明らかに両者とも、ゲーム世界に閉じ込められた異質の存在――冒険者(プレイヤー)だった。
ウサウサは目視で、ソ連兵を連続狙撃する作業を繰り返しながら、エミール少年に

「……エミール、私達の居場所が敵にバレた。移動しないと包囲される」
「すいません、ウサウサさん。僕がNPCを助けようとか言ったせいで巻き込んじゃいました……僕、ダメな男ですよね」

エミール少年の犬耳が元気を無くして下に垂れる。
ウサウサは不思議そうに首を傾げて

「なぜ謝るの?」

モシンナガン小銃を魔法の鞄に仕舞い込み、サブマシンガンを取り出して持ち替えて、これから近接射撃戦闘をしようとしていた。
その行動にエミールも首を傾げて問いかける。

「あの、ウサウサさん?逃げないんですか?」
「私の前世――戦士シモ・ヘイヘの記憶が言っている。あのソ連兵達は私よりも遥かに弱い。だから殺せる」
「いや、いつもの中二病はやめて逃げましょうよ。僕が囮になりますからウサウサさんは逃げ――」

エミールがそう言う前に、ウサウサは飛びついて、エミールを自分の下に強引に押し倒した。
先ほどまでエミールの頭があった空間を、茂みの向こうから飛んできた大量の弾丸が貫く。
ウサウサは自分の胸を、エミールの顔に載せたまま、右手でサブマシンガンを構え、銃弾が飛んできた方向に向けて乱射した。

タタタタタタタタタタタタターン!

茂みの向こうからドサリッと複数の人間が倒れる音がした。
脅威を排除したウサウサは、自分の下にいるエミールに心配した口調で話しかける。

「……エミール大丈夫?頭打ち付けてない?」
「ご褒美です、ありがとうございます」

エミールはウサウサの柔らかい胸を押し付けられて興奮して、鼻から血を流していた。
犬耳をピョコピョコ動かして嬉しそう。
ウサウサは冷たい目を向けて
「変態」
と短く呟き、エミールが持っている魔法の鞄から、大量の弾薬(課金アイテム)を素早く取り出して――迫り来るソ連兵に対処するためにその場から駆け出す。
大量の銃声が山に響いた。


■死神からは逃げられない■

(もうやだ!おうち帰る!)

ソ連軍のウツワ・チッチェナー伍長は、貧乏な農家の生まれだ。
畑仕事をしていたら軍に無理やり徴兵されて、戦争をやらされている。
だが、戦争は思っていたより楽しかった。
ヨーロッパ諸国の装備は19世紀のマスケット銃。
20世紀の自動小銃を持っているソ連軍から見れば、原始人同然の存在だった。
戦いに勝利するのは楽勝。
勝利すれば街で美少女をレイプして、金目の物を略奪できたから故郷に居た頃よりも幸せだった。
この1000人の兵士を動員した山狩りも半日くらいで終わると思って楽観視。
報告に寄れば、相手はウサギ耳を生やした16歳くらいの女の子と、鞄を抱えた犬耳の少年1人。
同レベルの装備を持っていたとしても、集団で行動しているソ連軍の圧勝の……はずだった。
ウサギ耳の女の子ウサウサはただの狙撃手ではない。
機動戦士ガンダ●のアムロ・レ●の元ネタになったリアルチート偉人『フィンランドの白い死神』だ。
死神の魔の手から、人間が逃れる事は可能だろうか?
答えはNOだ!

「ぎゃぁー!助けてお母さ――」
ターン!
遠距離戦をしたら、ウサウサの正確な狙撃でソ連兵の頭を連続ヘッドショット。

「「「「そんなー!」」」
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタターン!
接近したらサブマシンガン乱射で大量虐殺。
さすがに連戦すればウサギ娘の持っている弾薬が尽きるだろうと思ったら、ソ連軍のAK系列の自動小銃と弾薬を鹵獲して再利用して戦いを継続。
既に1000人居た仲間が100人未満に減っていた事に驚いたチッチェナー伍長は、生き残った部下3人に

「逃げ――」逃げろと叫ぶ前に、目の前にいた部下Aの頭がヘッドショットされて、周りに血を撒き散らした。
心を恐怖に支配された伍長はその場から逃げ出した。
残った部下2人が泣きそうな顔でその後ろからついてくる。
5分ほど山の中を走り抜けると、前方にソ連軍のT34戦車があるのが見えた。
伍長達は合流した方が安全を確保できると思って、戦車に近づいたら
ターン!
戦車の上から顔を出していた戦車長がヘッドショットされて動かなくなった。
「ひゃぁぁぁぁ!!!!!!?!!!」
伍長は先ほどから続く、死ぬかもしれないという緊張の連続に耐えられず叫んだ。
周りを見渡し、鬱蒼と茂った林を見つけ、ここなら狙撃されずに済むだろうと思って走る。
ターン!ターン!
後ろから部下Bと部下Cがヘッドショットされて、ドサリッと倒れる音がした。
伍長は振り返らなかった。
林の中に入れば、命だけは助かる。そういう思いで30mの距離を走り抜けて、林の中に入ると――そこは死体が大量に転がっていた。
伍長は狙撃兵から遠く離れた場所へと向かうために逃げていたはずなのに。
気付いたらウサウサに近づいていた、ありえない。
そう勘違いして伍長は叫んだ。

「アイエエエエエエエエエエエ!!!!?!!マサカ敵兵ガ大量ニイル!?ナンデエエエエエエ!?コレ!?ナンデエエエエエ!!!?!」

ウサウサ本人がサブマシンガンで近接射撃戦闘したり、狙撃銃で狙撃して移動を繰り返しているから、何処にソ連兵の死体があっても可笑しくないのに伍長はその場に立ち止まってしまった。
動かない的を射殺するのは容易い。
ターン! 
伍長の頭を銃弾が貫いた。
崩れるように地面に倒れて永遠に動かなくなった。
この30分後に、この山に居たソ連兵で生きている者は誰も居なくなった。


■兵器は鹵獲するもの■

「モシン・ナガン、トカレフM1940半自動小銃、PPS43短機関銃」

ウサウサがウサギ耳をピョコピョコ嬉しそうに動かしながら、死んだソ連兵から弾薬と武器を回収して、エミールが持っている魔法の鞄の中にポイポイ入れている。
エミールは魔法の鞄(無限にアイテムが入る代わりに、入れた質量に比例して重くなる鞄)が加速度的に、どんどん重くなっている事に不安を感じて、ウサウサの背中を見ながら話しかけた。

「あの、ウサウサさん」
「どうした?」ウサウサは回収作業を優先して振り返らなかった。
「早くここから逃げませんか?たぶん街に残っているソ連兵がやってきますよ?」
「それは駄目。武器と弾薬は補充できる時に可能な限り補充しないと安心して戦えない」
「いやでも、そんなにたくさんアイテム入れたら僕の鞄が重くなりますよ?」
「大丈夫。エミールは筋力ステータスが高い。本当なら戦車も回収したいけど重すぎるから諦める」

そう言ってウサウサは宝物を見るような目で自動小銃や弾薬、爆弾、通信機、対戦車ロケットを魔法の鞄の中に放り込んだ。
既に魔法の鞄の重量は10dを超えている。
エミールは少し不貞腐れた顔で

「でも、こんなにたくさん弾薬を入れても使い切れませんよ?」
「ソ連軍に敵対的な人間達に配るから問題ない」
「はい?」
「私1人ではソ連軍に対抗できない。でも、皆で抵抗すれば勝てる。だから、武器は可能な限り回収する」
「でも、それは余計に戦火を広げるだけじゃ?」
「ソ連軍は人間を人間と思わない悪魔。悪魔の支配に屈するより戦争をした方がマシ。私が敬愛するマンネルハイム将軍も「自らを守れない国を助けてくれる国はない」って言ってたから私は戦う」

ウサウサの紅い眼は、ここではない何かを見ているようだった。
彼女の脳裏には、かつて20世紀という時代を真っ赤に染め上げた悪魔の顔が映っている。
スターリン――己の保身のためだけに最低でも2000万人以上を殺しても何とも思わない大魔王。
強制労働収容所を各地で作り、人民を過労死させた。
無料の労働力欲しさに、他国に戦争を仕掛けて奴隷にし、世界中に争いの種を撒き散らし地獄を作り上げた。
スターリン、いや、ソ連の野望を食い止めないと世界が危ない。





――最強の狙撃手の歴史がまた1ページ

あとがき

(´・ω・`)チンギス・カーンとアレクサンドロス大王はちゃんと男だから安心してほしいでござる。





【フィンランドの歴史】 シモ・ヘイヘの伝説が非現実的すぎる件 20世紀(1939年)
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アメリカ「フレンチ・インディアン戦争が酷すぎる件、追い詰められたイギリス軍が細菌兵器でインディアン壊滅させて大勝利END」 18世紀
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ローマ帝国「カエサルの借金がありえない額、12万人の兵士を1年間雇用できる額」 紀元前1世紀
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ローマ帝国「兵士達に40kgの荷物を持たせて、兵站線を短くして軍事チート!」 紀元前1世紀
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ウサウサはウサギ耳をピョコピョコ動かし、回収し切れない武器と戦車を近くの街の住民に寄付しようと思った。

プロットはノートに書く主義だから、ほとんど紙媒体で保存しているでござる







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