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二章 プロローグ〜紅い大魔王がテンプレTS転生〜(絵画) |
カウンター日別表示 《 》 ----== SystemMessage ==---- 【万能の天才スキルが発動した!ナポレオンは】 |
孤独だ。
絶望だ。
世界の皆が敵だ。
批判してくる奴はシベリア送りだ。
私は世界の半分に影響を及ぼす超大国《ソビエト社会主義共和国連邦》の頂点に君臨したが、そこには皇帝《ツァーリ》の孤独が待っていた。
誰も信用できない。
仲間も信用できない。
家族も信用できない。
側近達は裏切るかもしれないと思って、次々と粛清した。
妻は自殺した。
手に入れた権力の座を守るために、次々と禁忌を犯して粛清を正当化した。
少なくとも2300万人ほどを殺し、膨大な人民を強制労働所に送り、人生を笑って踏み躙った。
そうしたら、皆が私に恐怖し、ひれ伏した。
愛とか友情などというものはすぐに壊れるが恐怖は長続きする。
フランスのナポレオン皇帝がかつて言っていた言葉も《人は恐怖と利益で動く》
実践したら確かに現実はその理屈で動いていた。
全人民に恐怖される存在になった事で、私は権力者にしては珍しい……安らかな死をベットで得る事に成功した。
死が全てを解決する。
人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ。
たった一つの死は悲劇だが、100万の死は統計に過ぎない。
私にとって死んだ2300万人はただの数字だ。
彼らが死んだ事なんて、どうでも良い。
誰かに感謝される必要もない。
感謝の気持ちとは、犬に悩まされて気分を悪くするようなものだ。
しかし……孤独だ。
何処まで行っても私の人生は孤独だ。
後世の歴史家は、第二次世界大戦でソ連を勝利に導いた私を偉大な独裁者として評価してくれるだろう。
だが、そんな評価をもらっても私は孤独だ。
友達が欲しい。
一生、信頼し合える友が欲しい。
私は……私は……自分すら信用できない。
信用できる何かが……欲しい。
……ここで私は疑問に気づいた。
私はベットの上で安らかに死んだはずなのに、思考できている。
目を開けると、周りに真っ白な空間が広がっていた。
地平線の彼方まで真っ白。
こんな光景は地球ではありえない。
目の前に全裸の金髪幼女天使が居て、満面の笑みをこちらに向けている。
「世界で一番人類に迷惑かけたアナタ!
おめでとうなのです!ナンバーワンなんて尊敬しちゃいます!
さっさっ!
このカタログの中から、転生特典を選んでください!
私からご褒美なのです!
さぁ!早く転生するのです!
ナンバーワン糞人間!」
幼女天使が本《カタログ》を出して、私に渡してきた。
きっと、ここは天国と呼ばれる場所だ。
だが、私は無宗教だ!
神など信じていない!
「ここは天国なのだろうか……?
私は共産主義者だぞ……?
死んだら無に帰る思想の持ち主なのだが……?」
「そんなの関係ないのです。
早く異世界に転生して、第二の人生でも歩んだらどうですか?
さっさっ!
このカタログを読むのです!」
私は恐る恐る、カタログのページを開いた。
ページの一部に、ロシア語でこんな事が書かれていた。
【女の子からモテモテになる!ハーレムオリ主属性!】
【最強のチート魔力!】
【天才的な頭脳!】
【一生、お金に困らない金運!
【病気にならない健康な身体】
【生涯付き合える最高の大親友が出来る】
【苦労した分だけ周りから感謝される】
【絵を描く才能】※アドルフ・ヒトラーが選んだから選択できません!
私を裏切ったナチスドイツのヒトラーの名前がそこには合った。
私を騙して、独ソ不可侵条約を破って600万人ほどの大軍で攻めてきた糞野郎の名前だ。
一度も会った事はないが、私と同じくらい悪い大魔王だ――そして、私とよく似ている。
ヒトラーは自身過剰で誰も信じない、故に大胆に動く。
私は猜疑心が強くて誰も信じない、故に慎重に動く。
根本は違うが、誰も信じないという所は嫌なくらいに似ている。
第二次世界大戦中、奇妙な友情のような者を感じた気がするが、戦いそのものは私が勝利し、ヒトラーが得た領土を私がガッポリ!と頂き、ヒトラーの自殺で奇妙な友情は終わった。
……そうか。
ヒトラーは絵師になりたかったのか。
小さい奴だ。
だが、この天国かよく分からない場所では、自分に正直になった方がいいのかもしれぬ。
そう、私が欲しいのは
【生涯付き合える最高の大親友が出来る】
私は、最高の親友が欲しい。
死ぬその日まで、私と友情を育み、共に努力し、私に殺されない。
そんな友が欲しい。
だから、私はこの転生特典とやらを選んだ。
そしたら幼女天使が首を傾げて
「あれ?
こんなショボイ特典で良いのですか?
ハーレムとか、金持ちとか、超能力とか、色々とお得な特典ありますよ?」
「……私はそれらを全て手に入れた。
だが、待っていたのは深い絶望感と猜疑心しか残らなかった」
「人生大成功したまま、ベットで安楽死できた幸運な独裁者なのに、願いがショボイのです。
ここに来る連中、追い詰められて自殺や、若い内に病死、負けた末に転落人生経験して死んだり、最後まで戦争しまくった末に死んだりとか、可哀想可哀想な奴ばっかりなのですよ?」
「そんなのは知った事か。
私は最高の大親友が欲しい。
お前が悪魔だろうか、神様だろうが、そんな事もどうでも良い。
お前の事も全く信用できない」
「まぁ、良いのです。
さぁ!異世界で第二の人生を!
あ、前世の記憶が9割くらいの確率で消えますけど、それで良いですか?」
「この絶望が消えるなら、記憶なんて消えても良い。
それよりも……大親友とやらは、私に殺されずに人生最後の日まで付き合ってくれるのか?
それが重要だ。
私は人を信用する事が出来ない。
きっと疑って殺してしまう。
こうやって話している間にも、貴様の事を殺したくなってきた」
「それは大丈夫なのです。
アナタの魂を二つに分割して、二人同時に死なないと死ねない仕様にする転生特典なのです。
スターリンの事を一番わかってくれるのは、スターリンだったり?」
「ちょ、おま――」
こうして、私の人格と記憶は消去された。
あとがき
紅い大魔王スターリン(´・ω・`) 前世の記憶をなくして転生!
↓
♀スターリンちゃん(´・ω・`)
やったね!素敵なロリ娘な金髪美少女が大親友になったよ!相手国に核ミサイル攻撃!
♀ベリヤちゃん(´・ω・`) ゆわわーい!たくさん殺そうね!
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