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もふもふ帝国でニート巫女やっています
3話 ナポレオン「技術チート人材が次々と狐娘の部下になってる件」

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簒奪ってなーに?

君主の地位を、資格を持たないものが奪う事です。
……権力は人を惹きつけ、誤った道へと誘う魔性の輝きを持っています。
ヨーロッパ帝国のナポレオン皇帝陛下の場合は、民主主義らしい国民投票で誕生した専制君主ですから例外ですな。

by 初代首相タヌキモン




【領主補佐 タヌキモン視点】

イスラの地(アラブ)は、戦乱まみれの悲惨な土地。
北をオソロシア帝国、西をナポレオン皇帝率いるヨーロッパ帝国、東にイスラム世界最強のブタマン・トンカツ帝国、南に暗黒大陸アフリカと接する大魔境。
民は重税と戦乱で苦しみ、抵抗する部族は悉く皆殺しにされて、土地は砂漠だらけという、この世の地獄のはずだった。
だが、私ことタヌキモンが現地に太い狸の足を運んで見た所、民は安らかだ。
低い税率で毎日を安心して暮らしていけている。
法律が公平に施行され、治安も良い。
宿に泊まれば米のご飯が出てきて美味しい。
私みたいな狸が二足歩行で歩いていても、子供達から石をぶつけられない。
ヨーロッパ帝国辺りなら、子供達は棒と石で武装して殺す気で虐めにくるのに、ここにはそんな人種差別はないのだ。
軍事力もオスマン・トルコ帝国(全盛期ならヨーロッパ全土と戦える)が元ネタっぽいブタマン帝国の砦を攻略できるくらいだから、きっとあるのだろう。
これらの光景を見た時、私の頭の中で確信したのだ。
現実の日本での若い時に志し、大失敗した【歴史に名前を残す偉大な政治家になる】という夢を。
この地なら、私も成り上がることができる。
まずは文官として採用されてトップへと上り詰めることからはじめよう。
そして、ミーニャン・イスラ辺境伯を最終的に排除し、この地を私のものとするのだ。
つまり領主の地位を簒奪。
三国志の曹操の魏を乗っ取って奪った司馬懿のように地位を奪うのだ。
そして私はここに独立国を作り上げ、偉大な専制君主として歴史に名前を残す!
ひたすら征服のために戦って兵士がうんざりしたマケドニアのイスカンダルのように!ヨーロッパを統一して最後は失敗して島流しにあったナポレオンのように!ユーラシア大陸を席巻したチンギス・カンのように!他を絶する大帝国を築き上げてみせよう!
……と思い込んでいた時があった。
今、私はミーニャン辺境伯とそのペットのエミールという小僧と一緒に、五右衛門風呂に入っている。
五右衛門風呂は、鋳鉄製の巨大な風呂桶に水をいれ、下から火で炙って温める形式の1人用の風呂のことだ。この風呂の場合、魔法使いが下から炎で炙ってくれている。
そんな狭い風呂だから、私の頭はミーニャン辺境伯の大きなおっぱいに挟まれている形になっていた。
柔らかい胸に包まれる事、なんと至福なことか。プヨプヨして柔らかい。
こうやって若い女性と触れ合うのは十数年ぶりだ。ミーニャン辺境伯の優しさが目に染み入るようだ。
風呂に入るのも懐かしい。
今まで川で水浴びをするのが精々だったが、この世界での風呂は魔法使いの人件費もしくは燃料代を考えると贅沢品なのだ。
巨大帝国を作り上げるという野望に比べたら、今の状況の素晴らしさは天上の気持ちである。
だが、エミールという妖狐の小僧。
お前はいらないからさっさと出て行け。
ミーニャン様と小僧との間にに私が挟まれてかなり窮屈なのだ。
こら、小僧、私の顔に触れて幸せそうにモフモフするな。
この立派な狸顔を触りたいなら、高級メロンでも用意したまえ。
リンゴでも良いぞ。

「たぬきもーん。
お風呂気持ちいい?」

私を後ろから抱き締めているミーニャン様から声がかかった。

「は、はい気持ちいいです、ミーニャン様!」

「それは良かった。
風呂は心の洗濯だよね」

「その通りでございます。
かのローマ帝国も公衆浴場が繁盛し、古代ローマ人は1日の数時間を風呂で過ごしておりました。
貧富の差を問わず、誰でも使用でき、執政官になりたい元老院議員が市民の支持を集めるために一日無料開放したりと、人気取りにも役に立ちます」

「財政に余裕できたら、公衆浴場を作るのもいいかもしれないね。
皆、お風呂に入りたいだろうし、燃料は炎の魔法を使えば比較的安めで済むしね」

本来の予定なら、時間をかけてミーニャン様の地位を簒奪するつもりだったが、それはよしておこう。
2年間、荒んだ生活をしていたせいで私の頭がどうかしていたのだ。
危うく、こんなに優しくて親切で胸が素敵なミーニャン様に恩を仇で返す所だった。
それに、権力を得る方法など幾らでもあるのだ。
立憲君主制の民主主義国家を作って、そこで首相になれば、初代首相という事で間違いなく伊藤博文クラスの有名な偉人になれる事は間違いない。
有名になった後は、自由気ままに各地で演説して酒を飲んでゴルフをする生活をすれば完璧だ。
……ミーニャン様と結婚すれば、夫として合法的に領主の地位を得る事はできるが、それは望み薄だから諦めた。
今の私は狸。
こんな外見の私と結婚してくれる女性は、きっと少ないだろう。
さて、今はミーニャン様のために官僚制度を整えたり、文官を広く登用する事が優先だ。
そのためには、各地に宣伝して人材を募らないといけない。
その中には、私を越す才能の塊みたいな奴もいるかもしれないが、そう簡単には私は負けない。
現代地球で必死に政治を学んだ事がある。
それを支えに私はこの世界で経験を積み、何時か有名になってみせよう。

「モフモフだぁー」

考え事をしていたら、ミーニャン様も私の狸顔を触ってモフモフしてきた。
モッフモフされながら思った事は、この御方には不思議な魅力があるという事だ。
ただの女ではない。
短時間で簒奪する気満々だった私を改心させた時点で、不思議なカリスマがある。
これが名君の器という奴かもしれぬ。
背後から感じる胸の感触がプヨプヨだ。
とってもエロくて興奮するはずなのに、私の心から邪心が消えて癒されるようだ……。
胸の器だけを見れば、ミーニャン様は皇帝の器に違いない。











ミーニャン様と一緒に風呂を上がった後、ミーニャン様はエミール少年から綺麗な緑と白の縞々パンツと巫女服を手渡されて、それを着用していた。
若い狐耳の少女がゆっくりと縞々パンツに両足を通す過程には、ロマンがつまっている。
この世界では、普通に女性用のパンツは投擲武器アイテム扱いであるが故に、世界中に流通している。それを流用したのだろう。
更にミーニャン様が着用した赤い袴は、尻尾を袴の下から出すために裾を短くしてあるから……私には、巫女服を改造したコスプレ衣装にしか見えなかった。
おかげでずいぶん動きやすいようだが、その分だけ足元の露出が増えている。
黄金の太い尻尾は私よりもモフモフしてそうで気持ち良さそうだ。
ミーニャン様の着替えを見ている内に、私はある事を考えつく。

新しい宗教を起こして、ミーニャン様をそこの教祖にすればいいのではないか?

あの可愛らしさと、私の心を癒した異常なカリスマは、現代のアイドルに通じるものがある。
現時点で新興宗教を本格的に起こしたらヨーロッパのバチカン辺りに異端認定されて討伐軍がやってくるだろうが、将来的に辺境伯領が力を蓄えて、本国を遥かに上回った時、新しい宗教を起こして既存の腐った宗教から切り離し、政治と宗教が分離した政教分離を行い、ミーニャン様には法王としてお飾りになってもらったら、民主主義を導入しやすいかもしれない。
最終的には日本の天皇制のように、人民の心を安定させ、野心家が好き勝手に政治できない体制を作れば、恐らくは安定するだろう。
つまりこういう事だ。

野心家(´・ω・`)オラはこの国家の頂点になるだぁー!そして独裁者になってハーレムして、国家を私物化するんだぁー!

教祖(´・ω・`)でも、私には政治的な権力はないけど、立場的には国家の象徴という扱いだよ?
ハーレム禁止ー。

野心家(´・ω・`)え?首相になっても、本当の意味での頂点になれないだと!

教祖(´・ω・`)うん。それに民主主義国家だから、専制主義と違って権力者の権力は分散されて、他者から批判されるのは当たり前でしょ?独裁者になるのは無理だと思うの。

野心家(´・ω・`)ちくしょううううううううううううううううう!!!!

現実なら穴だらけのやり方だが、この世界では完璧だ。
権威を作るのに時間はかかるだろうが、冒険者には寿命など無いに等しい。
挑戦する価値はある。
これが成功すれば、私の名は歴史書に刻まれ、立憲君主制と民主主義を唱えて実行した偉大な政治家として名を馳せるはずだ。
そうすれば女の子からモテモテ。
狸と結婚してくれる可愛い女性もいるだろう。たぶん。
男の外面ではなく、内面を愛してくれる素敵な女性と私は会いたい。
この異世界に、日本のKAROUSI(過労死)文化を持ち込んでしまう事になっても、私は女にモテモテになりたいのだ。
恨むべきは、狸が好きだからといって、このゲームに接続する時に種族【狸人】を選択した自分自身の決定だが、それは取り返しの付かない事だから諦めるとしよう。











ミーニャン閣下と一緒に風呂にはいった翌日。私は仕事をスタートした。
まず最初にやった事は、優れた官僚制度を作る事。
つまり、今以上に、書類で組織が効率よく動かせるようにし、人材が増えたら、職務を専門的に分化し、各部門が協力して組織を運営していく分業の形態をとる予定だ。
人材を得るために、辺境伯領中に看板をたてて在野にいる人材を募る事にした。

【優れた文官募集、地球人だろうと犬だろうと口から酸を吐くエイリアンだろうが学があれば採用します】
【冒険者は軍人(平時は工兵)としてミーニャン辺境伯軍で働きませんか?高給があなたを待っている!】

宣伝工作は国家の基本。
私が生まれ育った日本という国は、宣伝工作が下手で功績を丸ごと他国に強奪されて、色々と駄目な点もあったが故に、宣伝が重要だという事を私は身にしみて理解している。
この荒れ果てた土地には人材が必要だ。
将来的には人材を育成するために学校を作る必要があるが、教育に回す予算がないので諦める事にした。
もしも財政に余裕が出来たら、最小限の読み書きと算数を習う程度の学校を作ろうと思う。
近代国家を作るには、教育が不可欠なのだ。








【ミーニャン辺境伯視点】

最近、タヌキモンに仕事を放り投げたら、私の一日の労働時間が6時間から3時間になって、エミール君を抱き締めてモッフモフできる時間が増えた。
タヌキモンが公務員になるための就職採用試験を実施して、次々やってきた良さ気な人材を文官や武官に採用して凄いんだ。
私も面接官として参加したけど、タヌキモンには人を見る目ってのがあるんだね。
複数の人間と同時に面接試験をやって、テキパキと質問応答を繰り返して、採用と不採用を即決で決めて凄いんだよ。

たぬきもん(´・ω・`)あなたの特技は?

受験者A(´・ω・`)蘇生呪文使える僧侶です。死んだのが24時間以内なら魔力消費だけで死者を蘇生できます。

たぬきもん(´・ω・`)よし、軍病院に採用。次。
あなたの特技は何ですか?

受験者B(´・ω・`)ファイアボールを極めて、大砲並の威力です。

たぬきもん(´・ω・`)よし、武官として採用。次。
あなたの特技は何ですか?

受験者C(´・ω・`)お、おら普通の農民だ!
でもやる気ならあるだ!
力仕事ならまけねぇだよ!

たぬきもん(´・ω・`)はい、不採用。
次の活躍をお祈りしています。
次、あなたの特技は何ですか?

受験者D(´・ω・`)現実で技術者やってました。
予算があれば蒸気船作れます。他の動力を持つ船も作れます。

たぬきもん(´・ω・`)よし、採用。

受験者E(´・ω・`)現実で地下水をせき止める地下ダムを作ってました。
砂漠地帯でも安定して水を供給できます。

たぬきもん(´・ω・`)よし、採用。

受験者F(´・ω・`)黒死病などの病気に対するワクチンの作り方を知っているので、設備をください。

たぬきもん(´・ω・`)よし、採用。

文官になるための最低限の適正を測るためのテスト用紙まで量産して、軍隊に高Lvの冒険者が溢れてて凄い。
最終的に、私、国家公認のニートになっちゃうかも?
毎日、モッフモフして気楽に過ごせるって素敵だよね。
そう思って、朝の書類仕事をニコニコ笑顔でやっていたら、タヌキモンが執務室の扉を小さい脚で蹴っ飛ばして入ってきた。
真っ青な狸顔を真っ赤に染めあげて慌てている。

「大変です!閣下!
暗黒大陸アフリカから黒い鎧の武装集団1000人がやってきました!
どれも高LV……廃人プレイヤーの集団です!」

あるぇー?
ひょっとして私のモッフモフライフおしまい?
首チョンパ、もしくは牢屋でまた性奴隷生活なのかな?かな?
エミール君とのモフモフこれでおしまい?
タヌキモン達が内政チートやってくれる前に、そんな展開は酷いよ。
超大国と戦争する前に詰むなんて、絶対間違ってるよ。





あとがき

パンツは投擲武器〜Elonaネタ
http://suliruku.futene.net/uratop/Elona.htm


(´・ω・`)本来なら穴あきパンツにする予定だったけど

たぬきもん「ミーニャン様の縞々パンツは、緑と白の縞模様で、尻尾を通すための穴が開いている所が特徴的だ。
さすがに赤い袴には穴は空いてないが、尻尾を袴の下から出すために裾を短くしてあるから……私には、巫女服を改造したコスプレ衣装にしか見えなかった」

(´・ω・`)脱ぐ時、尻尾のせいで脱ぐの困るじゃねぇかーと気づいて却下。

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