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もふもふ帝国でニート巫女やっています
エピローグ 〜ナポレオン皇帝陛下万歳!〜

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【ミーニャン辺境伯視点】

楽しい一日が終わり、次にやってくるのは憂鬱な仕事の日々。
エミール君と楽しく休日過ごして帰ったら、アメリカ独立戦争が勃発した事をタヌキモンの口から知らされた。

「閣下!これは一大事ですぞ!
アメリカ独立戦争で大儲けできます!」

でも、私には知識がなさすぎて、遥か遠くアメリカ大陸で起きた問題がどのように自分たちに影響があるのか分からない。
私が首を傾げると、タヌキモンはすぐに私が事態を理解してないと把握して、執務室の緑色の掲示板に、チョークで図を描き始めた。
青狸って可愛いからモッフモフしたい。

〜子供でも分かるアメリカ独立戦争〜

注意 大英帝国=イギリス王国

大英帝国(´・ω・`)世界の工場とか言われていて凄い超大国やで。世界の半分の富を持っていて偉いんや。銃剣突撃最高やで。

アメリカ(´・ω・`)大英帝国の植民地だよ。この世界では清とインドの代わりに、南北アメリカ大陸全部を大英帝国が支配しているよ。

大英帝国(´・ω・`)最近、戦争しすぎて出費が激しいから、植民地アメリカに課税しまくって財政を補うわ。
今日から砂糖、酒、茶、紙、ガラス、ペンキを購入する時は、俺に莫大な関税払えよ。

アメリカ(´・ω・`)そんなー。
日常用品に関税かけられたら生活が苦しくなるー
代表なくして課税なし。
植民地と本国は対等の立場で付き合えー。
国王は人民に跪くべきー、人民のために働けー。
大英帝国の圧政反対ー!

大英帝国(´・ω・`)お前ら、テロリスト認定したわ。
軍隊派遣して弾圧したる。
自治権剥奪な。

アメリカ(´・ω・`)こうなったら戦争してやるー、アメリカ独立戦争だぁー

ヨーロッパ帝国(´・ω・`)宿敵、大英帝国を倒すチャンスー!

わかりやすい。
タヌキモン、頭が良いよ。
私の頭で理解できるように、内容を簡単にして描けるなんて天才だよ。
もう、領主の座をプレゼントして隠居したい。
でも、どうやって儲けるつもりなのか、これじゃ分からないから、図を描くのに疲れてハァハァ言っているタヌキモンに質問してみた。

「内容はわかりやすいけど、このアメリカ独立戦争でどうやって儲けるの?」

「……イギリス王国が植民地と戦争状態に突入するという事は、イギリス王国を宿敵だと思っているヨーロッパ帝国もこの隙を突くために動くという事です、閣下。
イギリス王国は世界の工場と呼ばれ、安い工業製品を量産して世界中に輸出しており、ヨーロッパ帝国の市場にも、膨大なイギリス製品が溢れかえっておりますが……戦争となれば、経済制裁するためにイギリス製品の輸入は停止します」

「わかった!
イギリス製品の代わりに辺境伯領で生産した物資をヨーロッパ帝国に売りつけるんだね!」

「そうです、閣下。
さすがに工業力で辺境伯領が劣っているのが現状ですが、幾つかの分野では優位に戦えます。
独立戦争を起こしたアメリカ側と最新の電気駆動船で交易をすれば、向こうの安い商品を輸入して売り捌く事も可能です。
機械化が進んでおらず工業力に劣るヨーロッパ帝国そのものを経済的に辺境伯領に依存させれば、ミーニャン閣下の立場はますます強化され、辺境伯領はヨーロッパ帝国に守られて安全という事ですな」

しゅごい。
こんな事を僅かな情報からすぐに予測して行動するタヌキモンすごい。
タヌキモン達のおかげで、私のモフモフライフは安泰だよ。
……えと、タヌキモンがこの土地に来て、現時点で4年ぐらいしか経過してないのに、なんでそんなに工業力が辺境伯領にあるのか、書類とか見ている私でも謎だから不思議。
たくさん借金して、色んな事業に融資したのと、冒険者が次々とやってくるおかげなのかな?
フランスにいるナポレオン先生、いや、ナポレオン皇帝陛下、この世界は不思議な事に満ちてると思います。











<ヨーロッパ帝国フランス本国 フォンテーヌブロー宮殿大広間>
【ナポレポン皇帝陛下視点】

諸君、余は戦争が大好きだ。
諸君、ナポレオン皇帝は戦争が大好きだ。
余は全てを戦争で手に入れた偉大な男。
一代でヨーロッパのほとんどを支配下に治めた大帝国ヨーロッパの偉大なる皇帝である。
後世の模範となるであろうナポレオン法典を作りあげ、複数の分野で天才に相応しい功績を残した前代未聞の男だ。
民主主義国家の国民投票で、圧倒的賛成多数によって誕生した偉大な独裁者なのだ。


これを聞いた諸君は余が生まれながらの高貴な王族か何かだと思ったかね?
違うのだ。
余の生まれはコルシカ(イタリア半島の西にある島)生まれの貧乏貴族。
父親と一緒にフランス本土へと渡り、田舎者だとフランス人から馬鹿にされながら育ち、王族を憎悪し、卒業に普通は4年かかる士官学校をたった11か月で卒業し、16歳の時に兵を率いる少尉となった天才なのだ。
これは士官学校始まって以来の快挙なのである。
だが、しかし、当時のフランス軍は一流の貴族じゃないと出世できない職場。
そして余は不人気な砲兵士官で出身が貧乏貴族。
普通にやっていたら、下っ端のまま軍人人生を終えてしまう。
フランス人としての自覚がない余にはそれが苦痛だった。
一流貴族という血筋だけで無能どもが出世する環境に憎悪し、王族を軽蔑した。
だが、運命は余の味方である。
軍人として働き始めた6年後に、王政を廃止した大量粛清劇【フランス革命】が始まったのだ。
乱世となれば、身分に関係なく能力を示せば出世できる。
余は成り上がるために、独裁をしていたジャコバン派に近づき、ロベスピエールの弟と知り合い、己を売り込み、フランス各地で戦争をして勝利し続けた。
余は数々の戦いに勝利し続け、大尉→少佐→少将→最高司令官と短期間で一気に出世し、戦争の天才である事を世間に示したのだ。
王党派と手を組むイギリス王国軍の艦隊を丘の上から正確に砲撃して撃退して少将。
首都パリで起きた王党派の武装蜂起を砲撃して鎮圧する頃には、余は既に26歳の身でありながらフランス軍最高司令官になっていた。
イタリア経由でやってくるオーストリア軍の大軍を、兵力の移動と集中を使って撃破して圧倒的な速度で進軍し各地で大国の軍勢と戦って連戦連勝。
気づけば余の戦績は38勝3敗、勝率9割超え。
ヨーロッパのほとんどを影響下に治め、民主主義の政体が産んだ最強の専制君主なのである!


諸君、これで余が世紀の大天才だという事が分かるだろう?
諸君、余は栄光を齎してくれる戦争が大好きなのだ。
諸君、そんな余には絶対に倒さねばならぬ敵がいる。
それはヨーロッパ帝国の西にあるイギリス王国。
奴らは産業革命を起こして機械化を押し進めて工業力を飛躍的に上昇させ、アメリカ大陸全土を植民地にして大英帝国と名乗り、その圧倒的な工業力で戦いを挑んでくる厄介な奴らだ。
余に敵対する勢力があれば、海から物資を送って支援してくる最悪の敵だ。
余の軍勢は陸での闘いでは連戦連勝だが、海での戦いではイギリス王国軍を率いるネルソン提督に敗北している。
 
膨大な時間とお金を費やして世界最強の大艦隊を築き上げても、海軍大国イギリスには勝てなかった。
これは余の人生の汚点であり、最大級の屈辱だっ……!
負けたままで終われば、余という偉大な芸術作品の価値を貶める事になる!
しかし、イギリス王国は島国、海軍力でイキリス海軍を上回らないと大軍を上陸させる事が不可能。
余はイギリス王国をなんとしてでも征服せねば納得できぬ。
奴らは何時も、余の覇道を邪魔してくる。
大陸中の国々を同盟させて、余の敵としてぶつけてくるのだ。何度も何度もしつこくストーカーのように、イギリス王国は常に余の邪魔をしてきた。
許せぬ。
ヨーロッパ帝国の発展と安定のためにも、イギリス王国は必ず打倒しなければならない。
だから、余はイギリス王国の植民地アメリカで独立戦争を起きたニュースを聞いた時、心が爽やかな気持ちになるほどに感動した。
今こそ、イギリス王国を征服する好機である。
余の軍勢には、不敗のダヴーを始めとする有能な26元帥……いや25元帥がいる。必ずや、今度こそイギリス王国があるグレートブリテン島を征服できるはずだ。
ならば、今やる事は一つ。
イギリス王国に対して経済制裁をしてイギリス経済を壊滅させ、その間にヨーロッパ帝国の海軍力を増強させて、その後にイギリス王国を討つ。
余は玉座から立ち上がり、前方に並ぶ有能な臣下達をゆっくり見渡した。

●ダヴー元帥。戦術家としての有能さでは余よりも上の男で、不敗のタヴーと呼ばれている。倍以上の兵力相手に何度も勝利する時点で可笑しいが、余に絶対の忠誠を捧げてくれる頼れるハゲ頭だ。

●ネイ元帥。われに次ぐ組織のナンバー2だ。1万人の兵を率いる時は素晴らしい指揮官だったが、それ以外のすべての局面においては単なる愚か者だ。

●スールト元帥。戦略家として余をサポートしてくれる頼れる元帥の1人だ。しかし、いつも冷静すぎて気持ち悪いと周りから思われている。

●ベシェール元帥。超優秀な騎兵指揮官だ、こやつの騎兵突撃は悪鬼としか言いようがない凄まじさがある。

●ミュラ元帥。騎兵を率いる事にかけては有能な男だ。戦場で命令すればすぐに敵軍を粉砕してくれる余の右腕だ。しかし女性が好きすぎて戦場にも愛人を連れ込んでいる困った奴だ!

●マッセナ元帥。有能だが、昔、密輸商人として働いていたせいで略奪行為をやる困った奴だ。今はスペインでゲリラ鎮圧作戦をやっているからここには居ない。ミュラ元帥の真似をして戦場に愛人を連れ歩いている困った奴だ!

●ジュールダン元帥。攻撃より防御が得意な男だ。攻勢に出た途端、大損害を受ける困った奴だ。

●マルモン元帥。すごく裏切りそうな気配が漂う男だ。きっとこやつは余の最大の敵に違いない。きっとパリの守備を任せたら勝手に降伏して戦略そのものを台無しにするであろう。

●ベルナドット元帥、スヴェーデンの王族だ。今はスヴェーデン王になったからここには居ないが、きっと余のために働いてくれるであろう……なんだ、この胸騒ぎは、強大な敵になる予感がする。

●シール元帥。防御戦が得意なのだが、戦争中に軍隊を放棄して家に帰る困った奴だ。なんで余はこんな男を元帥にしたのか、未だに分からぬ。

●ポニアトフスキ元帥。元帥に任命して三日後に溺死した困ったちゃんだ。蘇生魔法があるから、ちゃんと今も生きている。

●ブリュヌ元帥。地味な奴だ。ペリニョン元帥の次くらいに存在感がない。
●ペリニョン元帥。地味な奴だ。
●オージュロー元帥、兵士から人気があり幸運に恵まれた男だ。裏切りそうな予感がする。
●モルティエ元帥。役立たずだ。
●モンスイ元帥。誠実な人間だが有能ではない。軍勢の移動速度が遅すぎて有害だ。

●マクドナルド元帥。忠誠心溢れる良い男だ。きっと最後まで余と一緒に居てくれるであろう。

●ルフェーブル元帥。死ぬことを恐れずに戦う勇敢な男だ。だが、周りへ注意を払わずに正面の戦いに集中する傾向があり、包囲されて戦死する危険がある戦いをする。

●ジャン・ランヌ元帥。私が最も信頼している親友だ、勇敢すぎて何度も何度も戦場で戦死している有能な指揮官だ。

他にもたくさんいるが紹介はこれくらいで良いだろう。
この中で最良の3人はダヴー、スールトとベシエールだ。
彼ら三元帥はトップクラスの将軍であり、彼らは間違いなく成功した人物だ……と言いたいが、余の人物評価はコロコロ変わるから信用するな。
一通り広間にいる臣下達を見渡した後、余は息を大きく吸い、玉座から立ち上がり、全員に聞こえるように強く宣言した。

「アメリカで起きた独立戦争は、イギリス王国を打倒する最良の好機である!
余の覇道を邪魔してきた憎い敵を倒す日がとうとう訪れたのだ!」

元帥達は顔に笑みを浮かべていた。
余もそれに釣られて笑顔になり、大きな声で言葉を続けた。

「しかし!現時点での海軍力ではイギリスが上だ!
余の無敵の軍勢をブリテン島に上陸させるには、多くの準備を必要とする!
大軍を輸送する船!それらを守れる海軍力!イギリス軍の戦力を削ぐための妨害活動!
まずはイギリス経済の破壊を目標とし、ヨーロッパ帝国とイギリス王国との交易を一切禁じるものとする!
イギリスの船を見つけ次第沈めろ!
積荷は燃やせ!人は殺せ!
属国と同盟国もこの決定……大陸封鎖令に従うべし!
歯向かうものはヨーロッパ帝国最強の大陸軍が敵になるものと思え!」

その言葉とともに余は右手を大きく振った。
元帥達は片手を上げて敬礼をし、余の偉大さに敬意を示す。

「「「「「イエス・マイ・ロード!!」」」」」」

良い心地だ。実に素晴らしい。
イギリス王国を征服した時、余はヨーロッパ帝国の国名をナポレオン帝国へと変え、ユーラシア大陸全土をいずれは征服して偉大な覇王になるのだ。
その暁には二度と人類が余の名前を忘れぬよう、ユーラシア大陸の名前も変えてナポレオン大陸と名付けよう。
この世界では、フェニックスの卵というアイテムがあれば、幾らでも身体の寿命は伸ばせる。
余が生きている限り、無限の覇道を歩む事ができる。

さぁ、奏でよう。
余はこの世界の主である。
人類史上初めての世界統一を成し遂げた時に、それが証明されるであろう。
諸君、そんな事は不可能だと思ったかね?
負けると思ったらあなたは負ける、最終的に勝利を収めるのは「私はできる」と思っている人なのだ。
この世において成功したければ、他人よりそんなに賢い必要はない。ただ大抵の人より一日早ければ良い。
不可能という文字は愚か者の辞書にのみ存在する。
偉大な余に辞書があるとするならば……その辞書に不可能という言葉は存在しないのだ!





あとがき

小説書くためにナポレオン皇帝の生涯(1769年- 1821年)を簡単に纏めて見た
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/1769-1821.html
当時の新聞「ナポレオンが怖いから、皇帝陛下と呼びします!」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_62.html
ナポレオン皇帝の終盤の人生が悲惨な件
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_68.html
ナポレオン皇帝「余の凄さは兵士の士気が高く、兵力の移動と集中がすごかったからである!」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_79.html
不敗のタヴー「銀河英雄伝説のヤンってキャラの元ネタが俺な件」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/03/blog-post_63.html

バランス調整のために、大英帝国にはインドと清の代わりにアメリカ大陸全土支配している設定になった。
(史実の大英帝国は世界の半分の人口を支配していたから、この作品の大英帝国は史実の大英帝国より弱いと思う)

ナポレオンの3回の敗戦

@ロシア遠征  軍団丸ごと消失して、ヨーロッパを軍事力で支配する体制が崩れた。
A反ナポレオン連合軍戦 
B島流しされた後にフランス本土に戻って、ボコボコにされて100日天下で終わった合計三回戦




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